口蹄疫対策の充実・強化を求める意見書(案)
平成22年4月20日に宮崎県で発生した口蹄疫は、宮崎県をはじめ関係者が懸命に防疫措置を講じてきたにもかかわらず、発生拡大がとまらず、5月18日には、宮崎県において、「口蹄疫」非常事態宣言、同22日には国内初となるワクチン接種を行うとともに、6月4日には「口蹄疫対策特別措置法」を施行し、指定地域における一般車両等の消毒の実施や、生産者の経営や生活の再建支援などを行うこととされたところである。
こうした中、6月9日には都城市、6月10日には、宮崎市、日向市で新たに発生するなど、事態はさらに、深刻な状況となっている。
こうした口蹄疫の発生・拡大に伴う影響は、宮崎県にとどまらず、九州各県をはじめ全国に及んでいるところである。
佐賀県においても、銘柄牛「佐賀牛」をはじめとする畜産業は、農業産出額の約25%を占める重要な部門となっており、万一、口蹄疫が発生した場合には、畜産業はもとより、地域経済・社会へも深刻な影響を与えることになる。
こうしたことから、佐賀県では、口蹄疫の侵入防止のため、全額県費負担での消毒剤の配布による農場の消毒の徹底を図るとともに、県外からの侵入防止のための畜産関係車両の消毒ポイントの設置や、万一、発生した場合に備え、防疫体制を強化するなど、市町や農協などの関係団体と一体となって、全力で防疫対策に取り組んでいるところである。
家畜伝染病のまん延防止は、国の責務であり、国において、広域的かつ万全の措置を講じる必要があると考えるので、下記のとおり強く要請する。
記
1 口蹄疫のまん延を防止するためには、感染経路を踏まえた的確な防疫対策の実施が不可欠なことから、発生原因と感染経路を早急に解明するとともに、これ以上の拡大を防止するための防疫対策や再発防止対策に万全を期すこと。
2 県や市町、農業団体等が独自に取り組む防疫対策や、畜産農家に対する経営支援などに要する経費については、特別交付税や補助事業により全額補てんすること。
3 家畜の移動禁止等により生じた損失の補てんや、生産者等の経営及び生活の再建等のための措置については、発生県の制限区域に限らず、家畜市場の自主的な開催の停止等により家畜を出荷できず、飼料等生産費が増加していることに加え、子牛・子豚価格の低下も懸念される本県なども全て対象とすること。
また、農林漁業セーフティネット資金等の無利子化を図るとともに、肉用牛肥育経営安定特別対策事業等の加入期限を口蹄疫が完全に終息するまで延長するなど、農家の経営支援対策を充実・強化すること。
4 法に基づき殺処分される家畜等に対する手当金については、十分な評価額を全額国で負担すること。
5 食肉等の需要が減少することがないよう、的確な情報を積極的に提供するなど、風評被害防止対策を講じること。
6 口蹄疫のPCR検査を行える施設を九州内に整備すること。また、簡易検査が行える簡易検査キットを開発すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 菅 直人 様
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 江田 五月 様
総務大臣 原口 一博 様
財務大臣 野田 佳彦 様
農林水産大臣 山田 正彦 様
以上、意見書案を提出する。
平成22年6月29日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 留守茂幸 様
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