教育予算の拡充を求める意見書(案)
日本の将来を担う子どもたちに豊かな教育を保障することは社会の基盤作りにとってきわめて重要である。
2010年度政府予算の文部科学省予算は、伸び率が5.9%と大幅に増額されている。さらに高等学校の授業料無料化が実施されるなど、教育予算を拡充する方向が示されている。
ただ一方で、この間、義務教育費国庫負担金の負担割合が2分の1から3分の1に縮小されたり、三位一体改革による地方交付税の大幅削減、不況による税収の減少など、地方自治体の財政状況はますます厳しくなり、十分な教育予算の確保が困難になっている。
地方財政が逼迫している中、少人数教育の推進、学校施設・設備の充実、旅費・教材費の確保、就学援助・奨学金制度などの教育条件に関して、財政の格差がそのまま教育の自治体間格差の拡大へとつながっている。
さらに、低所得者層が拡大し、就学援助受給者が年々増大するなど、家計の所得の違いが教育格差にもつながっている。このような自治体の財政力や保護者の所得の違いによって、子どもたちが受ける「教育水準」に格差があってはならないことは言うまでもない。
教育予算を国全体として、しっかりと確保・充実させる必要があることから、下記の事項の実現について強く要望する。
記
1 子どもと向き合う時間の確保をはかり、きめの細かい教育の実現のために、少人数学級化の実現などの新たな教職員定数改善計画を策定し、実施すること。
2 教育の自治体間格差を生じさせないために、義務教育費国庫負担制度について、国の負担率を2分の1に復元することも含め、制度を堅持すること。
3 学校施設整備費、就学援助・奨学金、学校・通学路の安全対策など、教育予算の充実のため、地方交付税を含む国の予算を拡充すること。
4 非行防止、犯罪被害未然防止など生徒指導を強化するため、専門的見地から生徒指導の支援ができる人材を配置する予算を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 菅 直人 様
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 江田 五月 様
総務大臣 原口 一博 様
財務大臣 野田 佳彦 様
文部科学大臣 川端 達夫 様
以上、意見書案を提出する。
平成22年6月29日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 留守茂幸 様
|