1981年の国際障害者年は、「完全参加と平等」をテーマに掲げ、国際的にも国内的にも障害者に対する差別をなくし、社会的理解を広げるために大きな力となり、我が国における聴覚障害者の社会参加と平等の保障も着実に前進してきたところである。しかしながら、医師法、薬剤師法など医事・薬事関係法を中心に「耳が聞こえない者、口がきけない者」を絶対的欠格事由と規定し、個々の能力や事情を考慮することなく、一律に資格や 免許を与えないとしている条文がまだ多く残されている。聴覚障害者の社会参加を促進する観点から考えれば、個々の障害程度、業務遂行能力に応じて、手話通訳等必要な支援策を考慮しながら、資格や免許の付与を実施する方策が講じられるべきである。また、欠格事由の規定はないものの、著作権法や公職選挙法など、結果として聴覚障害者の社会参加を制限している法律もある。政府においては、「障害者対策に関する新長期計画」や「障害者プラン」に基づいて、昨年12月に中央障害者施策推進協議会で欠格条項見直しに係る基本方針がまとめられ、各省庁で検討が進められているところであるが、「完全参加と平等」を求める聴覚障害者にとって制度的な障壁を除去することは重要であり、一日も早い法律の改正が求められている。よって政府におかれては、聴覚障害者の社会参加を制限する条項のある法律を、ノーマライゼーションの理念に基づき、早急に改正されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
平成11年7月 日 |