現在国会で審議されている、いわゆる組織犯罪対策関連三法案は、犯罪捜査にあたって電話等の盗聴を合法化する「通信の傍受」の導入などが盛り込まれるなど、重大な問題をはらんでいる。
「通信の傍受」は、憲法が保障するプライバシーの権利、通信の秘密を侵害するもので、憲法の精神を根本から否定するものである。また、犯罪収益等の没収及び追徴を拡大し、確定判決前の没収保全手続についても認めているが、これは明らかに無罪推定の原則に反するもので、容認しがたい。
以上のことなどにも明らかなように、組織犯罪対策関連三法案はわが国の刑事法制はもちろん憲法の精神をも逸脱するものであり、廃案とすべきである。そのうえで、今後、組織犯罪に対応する措置を検討するにあたっては、新たな立法制定を前提とせず広範な国民参加の議論を踏まえ、慎重に行うことを求めるものである。
以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
平成11年7月 日
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