議案等の審議結果
意見書案と採決状況
意第4号
可決
原子力発電に係る安全対策強化などを求める意見書(案)
3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、我が国の原発史上最も深刻な大事故となった。
先日、東京電力から事故収束の工程表が公表されたが、その1ヵ月後には炉心溶融等の新たな事態の判明により修正が行われるなど、状況は予断を許さず、国や事業者には、一刻も早く事態収拾のための取組みが求められる。
本県は、プルサーマルを実施する玄海原子力発電所を有するが、今回の事故を受け、地元玄海町をはじめ、県内外の自治体や市民団体等から国、県、電力事業者等に対し、原子力発電所の安全対策強化や運用の見直し、また原発事故に備えた「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)の範囲拡大などを求める動きが相次いでいる。
こうした中、国が電力事業者の緊急安全対策について「適切」と判断したことを受けて、九州電力は定期検査中の玄海原子力発電所2、3号機の運転再開の意向を示している。
一方で国は、中部電力の浜岡原子力発電所の停止要請をするとともに、新聞報道等によると、福島第一原子力発電所が津波到達前に激しい揺れで設備が損傷していた可能性も出てきたことから、現行の耐震基準で十分かどうかの検証を開始したことを表明されるなど、国の原子力発電の安全性への判断や基準に対して、地元自治体はもとより県民等から戸惑いや不安を訴える声は強い。
先日も、国から本県に対して緊急安全対策の評価などについて説明が行われたが、疑問解消には至らず、今後より具体的で説得力のある説明が求められる。
また、新聞報道等によれば、福島第一原子力発電所の海水注入を巡っての政府と東京電力との情報混乱や、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の予測図が速やかに住民に公表されなかったことなどが判明するなど、国の情報管理のあり方等が問われている。
ついては、今後、国が行うべき原子力発電所に係る安全性の確保の在り方、防災対策等に関して、次のとおり強く要望する。
記
1 今回の玄海原子力発電所の緊急安全対策における判断については、きちんとしたデータ等を基に安全性の確認等について明確で責任ある説明を行うとともに、国が全責任を負うことを明確にすること。
2 福島第一原子力発電所の事故をはじめとする原子力発電に係る情報の管理や開示については、的確で分かりやすい情報提供と情報開示に努めること。
3 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会において、耐震性や津波対策等の徹底した分析・検証によりきちんとした原因究明等を行い、それを踏まえた安全基準の見直しや明確化を早急に行うこと。
4 EPZの拡大を含む原子力防災指針全般の見直しなどの原子力防災対策の強化を早急に図ること。
5 原子力安全・保安院を経済産業省から分離するなど、原子力安全行政の客観性と信頼性を高めるための規制・監督体制の見直しを検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年5月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 菅 直人 様
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 西岡 武夫 様
財務大臣 野田 佳彦 様
経済産業大臣 海江田 万里 様
原子力安全委員会委員長 班目 春樹 様
原子力委員会委員長 近藤 駿介 様
防災担当大臣 松本 龍 様
内閣官房長官 枝野 幸男 様
以上、意見書案を提出する。
平成23年5月27日
提出者 全 議 員
佐賀県議会議長 石井秀夫 様