生活保護制度の見直しを求める意見書(案)
我が国の生活保護制度は、生活に困窮する者に対して憲法第25条に規定する理念に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を無差別平等に保障するもので、国民が安心して生活を送るために欠くことのできない「最後のセーフティネット」となっている。また、その反面、不正受給問題をはじめ、受給世帯と未受給世帯における生活困窮の逆転化現象など現実は多くの問題も抱えている。
生活保護法制定から60年。社会経済情勢は大きく変化し、国民の相互扶助に対する考え方も多様化している中で、時代のニーズ、国民の十分な理解を得られる制度に変えていくことが重要である。また社会保障費は年々増大し、近い将来において生活困窮者を救うどころか、国家財政の破綻を招くのではないかと危倶するところである。
よって、生活保護制度の元来の目的を踏まえ、生活困窮者及びその他国民のニーズや実態等を反映した公平かつ公正な制度への改善を、下記のとおり要望する。
記
1 日常の生活は自力で営む意思を持った生活保護の境界域にある世帯に対し、その傷病が改善するまでの間、医療費の自己負担相当額について一時的に医療扶助のみを行う医療扶助単給制度の新設を要望する。
2 世帯の収入の柱となる者が傷病等により一時的に生活困窮となった場合などには、保護開始時から期間を決めて保護を行う期限付き生活保護制度の新設を要望する。
3 国が定めた基準の最低生活費をわずかに上回る一般世帯は、その生活費の中から医療費や介護サービス料などを支払っている中で、一般世帯と保護世帯の生活困窮の逆転化現象も生じていることから、現状を鑑みた制度の改正を要望する。
4 生活困窮者は、生活保護の受給の決定はできる限り簡便な調査で、迅速に行われることを望んでいる。一方では、生活保護を受ける権利を行使する上で、義務を十分に果たすことも求められている。
こうした状況を鑑み、生活保護の受給の決定、あるいは受給要件を満たさなくなった者の取扱いなど、制度の運用にあたっては、実施機関の手続きを柔軟・迅速に行える仕組みへ改正するよう要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年12月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 菅 直人 様
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 西岡 武夫 様
厚生労働大臣 細川 律夫 様
以上、意見書案を提出する。
平成22年12月17日
提出者 原 口 義 己 吉 田 欣 也 篠 塚 周 城 宮 崎 泰 茂
留 守 茂 幸 牛 嶋 博 明 石 丸 博 石 井 秀 夫
木 原 奉 文 伊 東 猛 彦 稲 富 康 平 稲 富 正 敏
竹 内 和 教 伊 藤 豊 中 倉 政 義 福 島 光 洋
藤木 卓一郎 岩 田 和 親 楢 崎 近 太田 記代子
末 安 善 徳 石 倉 秀 郷 桃 崎 峰 人 土 井 敏 行
峰 達 郎 指 山 清 範 古 賀 善 行 大 場 芳 博
石 井 久 起 内 川 修 治 田 崎 信 幸 岡 口 重 文
原 田 寿 雄 徳 光 清 孝 宮 原 真 一 坂 口 祐 樹
藤 崎 輝 樹 向 門 慶 人
佐賀県議会議長 留守茂幸 様 |