議案等の審議結果
意見書案と採決状況
意第9号
否決
玄海原子力発電所の再稼働に反対する意見書(案)
原子力発電の安全性の議論やその安全対策については、昨年の3月11日の東日本大震災以降、国民的な議論が深まることもなく、また、重大な安全対策もほぼ手つかずの状態であるにもかかわらず、野田首相は、今夏の逼迫した電力事情を背景に、「国民生活を守るために」との理由を掲げ、関西電力大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働を認めた。
しかしながら、国民の多くは、原子力発電所の再稼働の議論や安全性を判断するためには、まずは、福島第一原子力発電所の大規模な事故や放射能汚染等の徹底的な原因究明や分析、検証を行い、それを踏まえて安全基準や防災計画等をきちんと作成した上で、住民の意見を聴きながら総合的に判断する必要があると考えている。
世論調査をみても、再稼働に反対との声が過半数を超えていると報道されているが、これは、未だ事故の収束が見えない東京電力福島第一原子力発電所の大事故の恐ろしさを目の当たりにした、国民の正直な気持ちと推察できる。
つまり、原発は一度事故が発生すれば、広範囲な地域に放射能汚染の被害をもたらし、一瞬で平和な日常生活が奪われるという厳しい現実を見せつけられたからにほかならない。
このような状況であるにもかかわらず、国は、関西電力大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働に当たっては、東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証や総括を行わないまま、短期間で安全の基準をつくり、その後、科学的根拠や国民の意見に真摯に耳を傾けることなく、政治判断をしたところである。
また、国民が独立性を期待した、原発の安全性を判断する原子力規制委員会及び原子力規制庁は、やっと発足する運びとなったが、審査方法や手続きなどは、これから新しい組織で検討し整理されることになると思われ、現在のところ、原発の安全性を審査、判断する体制はまだ確立されていない状況である。
さらに、本県では、2005年のプルサーマル公開討論会における九州電力の仕込み質問や九州電力へのシナリオ作成依頼、さらにはいわゆる一連のやらせメール問題等が次々と発覚し、県と事業者である九州電力の不透明な関係が明らかになっている。
本県議会では、これらの問題の真相究明に全力を注いでいるが、未だ、真相は闇の中である。
よって、本県議会は、このような九州電力玄海原子力発電所をとりまく状況を鑑み、同原子力発電所の再稼働には断固反対する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年7月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 野田 佳彦 様
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 平田 健二 様
経済産業大臣 枝野 幸男 様
環境大臣 細野 豪志 様
原子力行政担当大臣 細野 豪志 様
内閣官房長官 藤村 修 様
以上、意見書案を提出する。
平成24年7月6日
提出者 宮崎泰茂 武藤明美
佐賀県議会議長 石井 秀夫 様