平成30年11月定例会 意見書案と採決状況
意第12号
否決
消費税増税に反対する意見書(案)
安倍内閣は10月15日、臨時閣議を開き、2019年10月から消費税を10%に引き上げることを決定した。そして、10月24日に召集された第197回臨時国会において、安倍首相は所信表明演説で「来年10月の消費税率10%への引き上げに備えた経済対策に努め、今後3年間で社会保障制度を全世代型に改革する」と述べた。
10%への増税の最大の問題は、深刻な消費不況が続き、貧困と格差が拡大している経済情勢の中で、増税してもいいのかということである。安倍内閣は、2014年4月に8%へ増税したが、その経済に与える影響について「一時的」「ワンショット」と繰り返した。しかし、2人以上世帯の実質家計消費は、増税前の2013年には平均で364万円だったものが、増税を契機に大きく落ち込み、4年たっても回復せず、この1年間では平均で339万円と、25万円も落ち込んでいる。決して「一時的」ではない。こうした状況下で増税を強行すれば、消費はますます冷え込み、日本経済に深刻な影響を及ぼす恐れがあることは否定できない。
「経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を動員する」として国のいくつかの対策が報道されている。その一例として、中小小売業に対して「ポイント還元」制度がいわれている。ところが消費者がすべてクレジットカードを利用しているわけではなく、中小小売業者に多大な負担と混乱を与えるだけである。また、「軽減税率」の導入もいわれている。その対象として「食料品」とした場合、低所得者よりも高所得者ほど恩恵を受けることになる。消費税の逆進性が指摘されているが、その逆進性をさらに広げるものである。こうしたことから、OECDは「低所得家計への支援策として劣った手段である」との勧告をし、導入している欧州の国々においては廃止の動きがある。
国は、「消費税の増税分は社会保障に充てる」としてきたが、社会保障費は年々削減されてきた。安倍政権のこの4年間で、大企業の減税は4兆円であり、こうした税収の穴埋めに消費税増税が充てられてきたというのが実際である。景気対策というなら、増税を中止することが最良の景気対策である。
よって、政府及び国会においては、社会保障と子育て・教育の財源というなら、消費税の10%への増税を中止し、富裕層と大企業への優遇税制にメスを入れ、応分の負担を求める税政改革に取り組むことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年 月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
財務大臣 麻生 太郎 様
以上、意見書案を提出する。
平成30年11月22日
提出者 武藤 明美 井上 祐輔
佐賀県議会議長 石倉 秀郷 様