議案等の審議結果
平成25年6月定例県議会
知事提案事項説明要旨
本日、平成25年6月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成25年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
まず、地方分権改革の推進について申し上げます。
政府においては、去る3月8日に安倍内閣総理大臣を本部長とする地方分権改革推進本部が設置されるとともに、新藤(しんどう)地方分権改革担当大臣のもと、調査・審議を行う地方分権改革有識者会議が設置され、全国知事会を代表して私もメンバーとして参画しております。
有識者会議では、まず、今後の地方分権改革の在り方について議論を重ね、5月15日に「個性を活かし自立した地方をつくるために」というコンセプトをまとめたところです。
今後は、政府において調整の上、骨太方針2013に地方分権改革の基本方針を明記し、政治主導で地方分権改革を進めていただきたいと考えております。
次に、原子力防災対策について申し上げます。
県では、3月に佐賀県防災会議を開催し、予防的防護措置を準備する区域、いわゆるPAZを玄海原子力発電所から半径5キロメートル、緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZを半径30キロメートルに設定するなど、地域防災計画の所要の修正を行いました。
また、国と佐賀県、福岡県、長崎県の4者による「広域的な原子力防災に関するワーキンググループ」が設置され、先月20日に第1回会議が長崎市において開催されました。
このワーキンググループでは、隣県にまたがる広域避難経路等に関して実務者レベルによる具体的な調整を行い、年度内に地域防災計画や避難計画へ反映することとしております。
今後とも、県民の安全・安心の向上の観点から、住民の避難計画の改善や国の原子力災害対策指針の改定に合わせた対応など、引き続き原子力防災対策の充実に努めてまいります。
なお、原子力発電所の安全性につきましては、現在、原子力規制委員会において、新たな規制基準の策定に向けた作業が進められているところですが、国においては、最新の知見を踏まえて、原子力発電所の安全確保に積極的に取り組まれ、国民の信頼にしっかりと応えていただきたいと考えております。
次に、有明海の再生について申し上げます。
去る5月20日、農林水産省から、暫定的な水対策などを検討したものの適当な方策が見いだせないこと、また、対策工事に着手する環境が整わず対策工事の前倒しについても厳しいことから、開門開始時期の前倒しは現実的には難しいとの説明を受けました。
佐賀県側にとって大変厳しい内容ですが、漁業者は、開門初期における調整池からの大量の淡水の排出による漁業への影響を懸念しており、今後の対応につきましては、佐賀県、有明海沿岸市町、有明海漁協で構成する有明海再生に関する連絡会で協議していくこととしております。
有明海を「宝の海」として次世代に引き継ぐため、今後とも関係者で連携を図りながら、漁業者が望む開門調査の実現と水産資源の回復に向けて、全力で取り組んでまいります。
次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
TPPへの交渉参加につきましては、去る4月20日、TPP交渉参加国の関係閣僚会合において、全ての参加国と我が国との協議が終了したことが確認され、早ければ7月下旬にも我が国が交渉参加するのではないかと言われております。
TPP交渉に参加する以上は、交渉力を駆使し、我が国として、守るべきものは守り、攻めるべきは攻めるよう、国益にかなう最善の道を追求していただきたいと考えております。
県といたしましては、国民に対して、TPPに関する詳細な情報を分かりやすく提供し、幅広い議論を行うことや、TPP協定の締結については、地方の意見を十分に聴取して、国民的な合意を得たうえで判断することなどを、先月末、国に対し提案してきたところであり、今後とも、しっかりと県の考えを国へ伝えてまいりたいと考えております。
また、TPPで想定されるプラス、マイナスの両面につきまして、全庁的にしっかりと情報を把握し、県としての対応などを検討していきたいと考えております。
次に、ILC(国際リニアコライダー)計画について申し上げます。
ILC計画の推進につきましては、九州・脊振地域が国内候補地の一つとなっていることから、ILCアジア‐九州推進会議や福岡県などと一体となって取り組んでいるところです。
先月には、小川福岡県知事とともに、世界最大規模の素粒子物理研究拠点であるCERN(セルン)(欧州原子核研究機構)を訪問し、欧州におけるILCの現状や研究者等が求める研究環境及び生活環境について情報収集を行ってきたところです。
県といたしましては、ILC計画の日本での実現に向け、まずは国において早急に議論を行い、国家プロジェクトとして強力に推進していただくことを求めてまいります。
次に、全国高等学校総合体育大会について申し上げます。
平成25年度全国高等学校総合体育大会「北部九州総体」につきましては、来たる7月28日から8月20日までの24日間にわたり、佐賀、福岡、長崎、大分の北部九州ブロック4県で、「吹きわたれ 若人の風北部九州へ」をスローガンに開催されます。
本県で開催される8競技9種目の大会には、全国から選手・監督約6,500人、県内外からの応援者延べ11万人の参加が見込まれており、大会の成功を通じて高校生の人材育成や本県スポーツの活性化が図られるよう、万全の準備を進めてまいります。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、
・緊急経済対策実施のために必要な予算を計上すること
・その他、早急に措置を要するものについて所要額を計上すること
を中心として編成いたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 152億8,400万円
特別会計 30億円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 4,292億2,400万円
特別会計 約 991億3,300万円
となっております。
次に、予算案の主な内容について申し上げます。
我が国経済は、輸出環境の改善や経済対策、金融政策の効果などを背景に、自動車を中心とした輸出が増加するとともに、消費者マインドの改善等により個人消費も増加しており、GDPベースで2四半期連続のプラス成長と回復基調にあります。
県内の状況につきましては、先月実施いたしました県内企業の訪問調査における景況感において、本年の1月に実施した前回調査と比べて「上向き」と回答した企業が増加しており、持ち直しの動きが見られますが、景気回復を実感していない企業も見受けられるところです。
県では、本年2月に決定した「佐賀県緊急経済対策」に取り組んでいるところですが、今回、国の補正予算に対応した事業を追加計上するとともに、国の資金である「地域の元気臨時交付金」を活用して、県単独事業を前倒しして実施することといたしました。
防災・減災等の体制づくりにつきましては、本年2月に、国において「九州地域の活断層の長期評価」が公表され、県内に影響を及ぼす断層帯の地震規模が、現行の県の地域防災計画における想定を上回る結果となったことから、新たに地震シミュレーションを実施し、震度予測や被害想定を行うことといたしました。
生活環境の保全につきましては、現在、県内4カ所で行っているPM2.5(微小粒子状物質)の測定について、測定局を8カ所増設するなど、監視体制を強化することといたしました。
子育て支援につきましては、子どもの保育環境の充実を図るため、安心こども基金を活用して、保育所の整備を追加して行うことといたしました。
また、保育所の人材確保を図るため、職員の処遇改善に取り組む事業者へ支援を行うとともに、保育士・保育所支援センターを設置し、保育士の再就職等を支援することといたしました。
少子化対策につきましては、「結婚したい」「子どもがほしい」と思う県民を応援する「しあわせいっぱいプロジェクト」をスタートさせることといたしました。
新たな出会いの場の創出などの婚活支援や不妊治療に対する支援の拡充などを行うことにより、自然減の流れにある県内の出生数が、平成29年の推計値より418人上回り、合計特殊出生率が平成23年の1.61より0.1ポイント増になるよう取り組んでまいります。
高齢者福祉、障害者福祉の充実につきましては、本年2月に長崎市で発生した認知症高齢者グループホームにおける火災等を受け、県内の宿泊機能を有する高齢者福祉施設や障害者福祉施設のスプリンクラー整備を支援し、施設利用者の安全・安心な住環境の整備を進めていくことといたしました。
若年者就職支援の推進につきましては、若年求職者への就職支援サービスを充実させるため、これまで唐津と武雄に開設していたジョブカフェSAGAのサテライトを、新たに鳥栖、伊万里、鹿島に開設し、県下全域において就職支援サービスを提供することといたしました。
佐賀牛のブランド力強化につきましては、肉用牛農家の経営安定化と更なる生産拡大を図るため、肥育期間の短縮による生産コスト低減やオレイン酸などの旨味成分を高めるなど、新たな肥育技術を確立することとし、畜産試験場に肥育試験牛舎を整備することといたしました。
有明佐賀空港につきましては、去る4月16日、韓国のLCCティーウェイ航空との間で、本年12月を目途に、週3往復での有明佐賀空港-仁川(インチョン)国際空港路線の開設に向けて準備を進めていくことについて合意したことを受け、路線の定着を図っていくために、ティーウェイ航空に対して運航経費の一部を支援することとしております。
多彩な文化の振興につきましては、県民が新たな文化・芸術に触れる機会を提供し、県民が接する文化のすそ野を広げるため、国内外のメディア芸術の分野における代表的芸術家集団である「チームラボ」の作品展を開催することといたしました。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
国庫支出金 約 85億7,200万円
繰入金 約 77億7,300万円
県債 減額 11億300万円
その他 約 4,200万円
計 約 152億8,400万円
となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県職員定数条例の一部を改正する条例(案)」など10件、条例外議案として、「訴訟上の和解について」など6件、あわせて16件となっております。
このうち、乙第60号議案「佐賀県知事等の給与の特例に関する条例(案)」につきましては、国の地方公務員給与の削減要請及び給与費に係る地方交付税の減額に対応するため、本年7月から来年3月まで、知事等の特別職及び一般職の職員の給料などを減額するものです。
その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。