議案等の審議結果
平成25年2月定例県議会
知事提案事項説明要旨
本日、平成25年2月定例県議会の開会に際し、県政を運営するにあたりまして、私の所信を述べさせていただくとともに、提案しました平成25年度当初予算案及び平成24年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
昨年は、「総合計画2011」の本格的なスタートの年と位置付け、基本理念である新しい時代をリードする佐賀県をめざして、県政を進めてまいりました。
有明佐賀空港初の本格的な国際路線として佐賀―上海路線が就航し、週3便に増便されたことや、韓国麗水(ヨス)市での国際博覧会において、ユニバーサルデザインやバリアフリー映像に関する佐賀県の取組を世界へ情報発信したことなど、世界を見据えた大きな一歩を踏み出せた年と認識しております。
また、構想から44年の歳月を経て、白石平野へ念願の農業用水が届くことで、農業の振興や地盤沈下の抑制が期待される嘉瀬川ダムが完成したことや、障害のある人もない人も同じ空間の中で共に楽しむというコンセプトで「バラエティ・アート・フェスタさが2012(第12回全国障害者芸術・文化祭さが大会)」を開催し、予想を大きく上回る方々に参加いただいたこと、佐賀県として応援している「サガン鳥栖」が、J1昇格初年度の歴代のチームとして最高位を収めたことなど、記憶に残る様々な出来事がありました。
今年の県政運営にあたりましては、まずは、現下の経済・雇用情勢に対応するため、「経済の活性化」を重視していきたいと考えております。
昨年末に誕生した安倍政権では、我が国の景気状況を踏まえ、政府として日本経済再生を実現するための取組を強力に推進していくこととされており、県といたしましても、国の対策に呼応した県内経済の活性化策等に取り組んでまいります。
また、県政の各分野におきましても、時代を、地域を開いていくことが、未来を拓くことにもつながることから、「拓く。」をキーワードに、「今日より明日を必ず良くする。」ため、「総合計画2011」の“進”重点項目をはじめとした各種施策を推進してまいりたいと考えております。
中でも、『くらし』の分野におきましては、5月に開設される予定の「佐賀県医療センター好生館」が県の医療拠点病院として、これまで以上に質の高い医療を提供していくよう努めていくこと、「九州国際重粒子線がん治療センター」における治療など最先端のがん治療を県民が受診しやすい環境づくりを進めること、
『安全・安心』の分野におきましては、地震や津波、原子力災害など大規模災害等に対する防災・減災対策を推進すること、
『環境・エネルギー』の分野におきましては、太陽光発電や水力、海洋エネルギーなど再生可能エネルギーの普及促進を図ること、
『産業・雇用』の分野におきましては、消費者から選ばれる農水産物づくりや、農業経営の多角化への支援、環境保全型・省資源型農業の展開、企業ニーズに応じた新たな物件の確保など企業誘致の推進、中小企業の新規事業展開に向けた企業連携強化、若年者の正社員化の推進など県内産業を支える人材の育成・確保、並びに有明海沿岸道路、西九州自動車道など県内の広域交通ネットワークの整備を推進すること、
『情報発信』の分野におきましては、県産品の新ブランド「Premier-S(プルミエ)」等を活用して首都圏市場の開拓や情報の発信を行うこと、東京エリアにおける佐賀県全体の認知度やイメージを向上させていくこと、
『国際化』の分野におきましては、中国や韓国をはじめとしたアジア諸国との交流促進や、県内企業の国際取引の支援、有明佐賀空港における国際路線の定着と誘客対策を進めること、
『文化・スポーツ』の分野におきましては、優れた演奏会や展覧会等の誘致、県立博物館等で新たな分野の企画展を開催すること、「サガン鳥栖」が今後もJ1で活躍できるよう環境整備を支援すること、フルマラソン化した「さが桜マラソン」などを通じて全国に向けて佐賀県の魅力を発信すること、
『人材育成』の分野におきましては、ILC(国際リニアコライダー)計画の脊振地域への立地に資するため、基礎科学やILC計画の意義について県民の理解促進を図ること、先進的なICT(情報通信技術)利活用教育を推進すること、北部九州4県で共同開催する「平成25年度全国高等学校総合体育大会」を円滑に実施すること、
などに意を用いて取り組んでまいります。
次に、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
まず、現下の経済・雇用情勢に対する対応について申し上げます。
我が国の経済は、円高・デフレ不況が長引き、昨年後半には、世界経済の減速等も背景に、景気は弱い動きとなり、景気の底割れも懸念されていましたが、最近では、景気回復への期待を先取りする形で、株価等も回復しはじめております。
政府においては、こうした改善の兆しを景気回復に確実につなげ、国民の間に漂う閉塞感を払拭していくために、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を、一体的かつ強力に実行していくこととし、その取組の第1弾として「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が1月に決定されました。
こうした国の対策に呼応し、本県においても国の資金を活用して「佐賀県緊急経済対策」を実施することにより、県内経済の活性化を図ってまいります。
次に、地方分権改革の推進について申し上げます。
義務付け・枠付けの見直しや、国から地方への権限移譲など現在の地方分権改革の主要課題は、第1次安倍内閣が設置した地方分権改革推進委員会の調査・審議以降、国政の主要課題となったものであります。
政府においては、地方分権改革に引き続き取り組むこととされ、内閣府に特命担当大臣を設置し、今通常国会に、さらなる義務付け・枠付けの見直しに向けた法案を提出するため調整を進められているところです。
ぜひ、第1次安倍内閣で種をまいた地方分権改革を、第2次安倍内閣で花を咲かせていただきたいと思っており、政府・与党のさらなる取組に期待したいと考えております。
次に、原子力防災対策について申し上げます。
県では、原子力規制委員会において策定された「原子力災害対策指針」にもとづき、3月までに県地域防災計画の修正を行うため作業を進めているところです。
今回は、原子力災害に特有な対策を重点的に講じておく区域として、予防的防護措置を準備する区域、いわゆるPAZや、緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZを設定するなどの修正を行いたいと考えております。
これらの区域の設定につきましては、昨年策定された「原子力災害対策指針」や、国の主催のもと佐賀・福岡・長崎3県の副知事が参加した「広域的な地域防災に関する協議会」での議論などを踏まえ検討してまいりました。
その結果、PAZにつきましては玄海原子力発電所から半径5キロメートル、UPZにつきましては半径30キロメートルの圏内が妥当と考え、市町をはじめ、防災関係機関や隣接の福岡県及び長崎県とも十分協議しながら区域決定の作業を進めており、最終的には、3月末に開催する佐賀県防災会議で決定することとしております。
今後も、県民の安全・安心の向上の観点から、隣県との広域的な避難計画の調整など継続的に原子力防災対策の充実に努めてまいります。
なお、原子力発電所の安全性については、現在、原子力規制委員会において、新たな安全基準の策定に向けた作業が進められているところです。
国においては、最新の知見を踏まえて、原子力発電所の安全確保に積極的に取り組まれ、国民の信頼にしっかりと応えていただきたいと考えております。
次に、有明海の再生について申し上げます。
諫早湾干拓潮受堤防排水門の開門調査につきましては、1月7日、8日の両日、佐賀県議会をはじめ、有明海沿岸市町、有明海漁業協同組合と合同で、開門開始時期の前倒し等について要請活動を行いました。
今回の要請活動では、林農林水産大臣をはじめ、副大臣、政務官、さらには与党の政策責任者の方々や関係する国会議員の方々と面談したところです。
また、今月2日には、林大臣に佐賀県を訪問いただき、開門開始時期の前倒しを求める漁業者の切実な声を届けることができたものと思います。
林大臣からは、佐賀県側が求める前倒しは難しいとの考えを示されましたが、一方で、前倒しに向けて必要なことについて努力をしていく旨の発言がありました。
県といたしましては、有明海を再生させ、「宝の海」として次世代に引き継ぐため、関係者で連携を図り、様々なチャネルを活用しながら、今後とも全力で取り組んでまいります。
次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
TPPへの交渉参加につきましては、TPPへ参加した場合の影響等が全く明らかにされていないとともに、幅広い国民的議論も十分なされていない中で参加協議を進めていくことには反対の態度を表明してきたところであります。
今月予定されている日米首脳会談において、TPP交渉への我が国の参加問題が議題となる見通しであるとも言われている中で、まさに「日程ありき」でTPPへの交渉参加に向けた協議を進めていくことは到底許されるものではないという思いから、今月13日に、県議会とともに、国に対して県の考えをしっかりと伝えてきたところです。
今後とも、関係国との協議内容などの詳細な情報を分かりやすく国民へ提供するよう、国に対して強く求めるとともに、国においては、幅広い国民的議論を十分踏まえた上で、協議内容が我が国の国益を損ねる場合には、参加見送りも含め、断固たる姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
県といたしましては、引き続き、関係国における協議状況や我が国の動きなどを注視しながら、必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、ILC(国際リニアコライダー)計画について申し上げます。
ILC計画の推進につきましては、九州・山口地域の産学官政が一体となった「ILCアジア・九州推進会議」が今月14日に設立されたところです。
ILC計画の実現のためには、まずは、国家プロジェクトに位置付け、国として取り組んでいただく必要があり、ILC計画に対する国の方針を明確に示していただきたいと考えております。
県といたしましても、本推進会議や福岡県等と連携しながら、世界の素粒子物理学研究の頂点となるILCの脊振地域での実現をめざして、一層の取組を図っていくこととしております。
次に、LCC(格安航空会社)について申し上げます。
昨年1月に就航した春秋航空の佐賀-上海路線につきましては、好調な搭乗率を背景に、7月に週3往復に増便されました。尖閣諸島問題の影響により、9月以降、利用者が減少したことから、県内はもとより福岡都市圏などにおける個人客の利用促進に取り組んでいるところです。
また、春秋航空に次ぐ、東アジア地域からの新たなLCCの誘致活動を積極的に行ってまいりましたが、去る2月6日、有明佐賀空港へチャーター便を就航させた実績がある韓国のLCCジンエアとの間で、有明佐賀空港-仁川(インチョン)国際空港路線の開設について合意に至りました。
県といたしましては、航空会社とも協力し、より多くの個人客の掘り起しに努め、本年12月に完成予定である国際線専用施設の整備後、できるだけ早期の定期便化につなげていきたいと考えております。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
まず、平成24年度補正予算案の概要について申し上げます。
今回の補正予算の編成にあたりましては、11月補正後の事態の推移に対応するため、国の補正予算に対応した追加認証見込額を計上するとともに、歳入歳出予算について、所要額の調整を行うことを中心として編成いたしました。
今回提案いたしました平成24年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 225億1,300万円
特別会計 減額 約 3億6,900万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 4,512億1,200万円
特別会計 約 1,187億5,000万円
となっております。
以下、補正予算案のうち「佐賀県緊急経済対策」にかかるものについて申し上げます。
今回の「佐賀県緊急経済対策」におきましては、防災・減災等及び暮らしの安心・地域活性化等に取り組むこととしております。
防災・減災等につきましては、老朽化した社会資本等の点検・補修及び更新、地震、津波など大規模災害や風水害・土砂災害等に対する事前防災・減災対策を実施することとしております。
暮らしの安心・地域活性化等につきましては、生活空間の安全確保と質の向上、基幹的交通インフラ等の整備促進、農林水産業の活性化、暮らしの安心の確保、教育体制の整備を行うこととしております。
なお、事業の実施にあたりましては、早期発注により本経済対策の成果を高めるため、入札契約における見積期間の短縮や総合評価落札方式を適用しないことなど、特例を設けることといたしました。
以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、
地方交付税 約 13億1,100万円
国庫支出金 約 226億2,100万円
繰 入 金 減額 約 17億3,600万円
諸 収 入 減額 約 21億6,700万円
県 債 16億8,300万円
そ の 他 約 8億100万円
計 約 225億1,300万円
となっております。
次に、平成25年度当初予算案について申し上げます。
国の平成25年度予算につきましては、日本経済再生に向けて、切れ目のない、いわゆる「15ヶ月予算」の考えのもと、平成24年度補正予算と一体的なものとして平成25年度予算を編成することとし、予算全体として「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」に重点を置いた予算を編成されたところであります。
平成25年度の地方財政につきましては、いわゆる「15ヶ月予算」の考え方に即して、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税等の一般財源総額について、平成24年度地方財政計画と同水準で確保されたところですが、地方公務員給与費の臨時特例等の影響により、地方交付税総額が3,921億円減額されたところであります。
この結果、具体の中身は未だ不透明であるものの、現時点においては、一般財源が減少することとなり、また、平成25年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る7,208億円に達する見込みであることに加え、国と地方を通じて大幅な財源不足が生じていることから、県財政の置かれた状況は依然として厳しいものとなっております。
平成25年度当初予算につきましては、「新しき世に佐賀あり。」を基本理念とした県政運営の基本である「総合計画2011」及び各本部の基本戦略に基づき、限られた資源の重点的・効率的配分を行い、真に県民の期待に応え得る予算編成を行ったところであります。
この結果、平成25年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一 般 会 計 4,139億4,000万円
特 別 会 計 約 961億3,300万円
となっており、一般会計におきましては、前年度当初予算と比較しますと、1.1パーセント減となっております。
次に、当初予算案の主な内容について、「総合計画2011」に掲げた8つの政策の柱に従って申し上げます。
まず、『安全・安心』について申し上げます。
消防学校の訓練施設の整備につきましては、複雑多様化する災害に的確に対応できる消防職員及び消防団員の育成を図るため、高層訓練塔、補助訓練塔及び水難救助訓練施設の改築に着手することといたしました。
暴力団対策につきましては、暴力団犯罪から住民を守るため、防犯カメラ等の整備を進めることとしております。
交通安全対策につきましては、より一層安全で快適な道路交通環境を実現するため、交通信号機の新設をはじめとした交通安全施設の整備を進めることとしております。
嘉瀬川ダム完成後における上流水源地域の振興につきましては、流域全体の自立的・持続的な活性化を図るため、下流受益市町等で構成する団体が水源地域と連携した事業やイベント事業などを実施する場合に、その経費の一部を助成することといたしました。
次に、『環境・エネルギー』について申し上げます。
有明海の再生につきましては、農林水産省が行う開門調査に加えて、県としても、生物生態系の観点から、開門による有明海湾奥部の環境改善の効果を検証し、再生方策につなげるため、開門に伴う底生生物や水質等の変化を把握する調査に取り組むことといたしました。
生活環境の保全につきましては、公共用水域の水質保全を図るため、市町が実施する処理場や管路等のハード整備に対し助成してまいりましたが、県内の汚水処理人口普及率が県の計画にほぼ達したことから、今後は、下水道施設の統廃合や下水道資源の有効活用など、質の向上対策に資する助成へ移行することとしております。
多様な森林(もり)・緑づくりにつきましては、水源のかん養や地球温暖化の防止など森林の持つ様々な公益的機能を十分に発揮させるため、森林環境税を財源として、引き続き、県、市町及び県民の協働による荒廃森林の再生を推進するとともに、新たに森林所有者等が行う間伐に対し支援を行い、荒廃森林の拡大防止を進めることといたしました。
次に、『くらし』について申し上げます。
保育サービスの充実と子どもの居場所づくりにつきましては、子どもの保育環境の充実を図るため、安心こども基金を活用して老朽化した保育所の改築等を積極的に促進することとしております。
高齢者福祉の充実につきましては、ユニバーサルデザインを活かした誰もが自分らしく暮らせる在宅での生活スタイルを支援する拠点施設として、「佐賀県在宅生活サポートセンター」の整備を行い、サービス内容や利便性の向上を図ることといたしました。
障害者福祉の充実につきましては、在宅で医療的ケアを必要とする重度の障害児等を介護されている方々の負担を軽減するため、医療型短期入所事業所に対し、医療機器購入経費の助成を行うこととし、重度の障害児等の受入れを促進することといたしました。
また、聴覚に障害のある方の社会参加を進めるため、手話通訳等の養成・派遣や相談支援を行う「佐賀県聴覚障害者サポートセンター(仮称)」の開設に向け、必要な設備・備品の整備を行うことといたしました。
歯科保健対策につきましては、「佐賀県口腔保健支援センター」を設置し、歯科保健の行政窓口を一本化するとともに、歯科医療関係者等への情報提供や研修実施などの支援を行うことといたしました。
なお、離島における歯科保健医療サービスの充実を図るため、巡回歯科診療設備を整備する佐賀県歯科医師会に対し補助することとしております。
がん対策につきましては、公的医療保険の適用がない重粒子線がん治療などのがん先進医療の普及を図るため、がん先進医療を受ける場合の治療費助成制度や治療費を金融機関から借り受けた場合の利子補給制度を創設し、県民が、がん先進医療を受診しやすい環境づくりを進めることといたしました。
医療提供体制の充実につきましては、救急医療のさらなる充実を図るため、ドクターヘリの基地病院となる医療機関に対し、ドクターヘリ運航に要する経費について補助することとしております。
また、看護師確保対策として、看護学校が行う広報・PR事業や、佐賀県看護協会が実施する看護体験事業を支援することといたしました。
CSO活動の活発化と県民協働の推進につきましては、公益的な活動を担うCSO(市民社会組織)が自立的に活動できる環境を整備するため、職業上のスキルを活かしたボランティアや寄附によりCSOを支援する取組に対して助成することといたしました。
次に、『産業・雇用』について申し上げます。
元気な農村づくりにつきましては、農産物の生産とともに加工や流通などの農業経営の多角化をさらに推進するため、専門家による指導・助言の機会を拡大することとしたほか、小規模な施設設備整備を支援する制度を創設することといたしました。
園芸農業の持続的な発展につきましては、省資源・環境保全型園芸農業の取組や、新たな園芸生産の取組拡大に必要な機械・施設の整備などに対し助成するとともに、重油にできるだけ頼らない施設園芸への転換を図るための脱石油・省石油型機械・装置の整備に対する支援の強化を、引き続き、実施することとしております。
モノづくり企業の支援につきましては、自動車産業等の取引拡大を図るため、中小企業が連携して取り組む部品等の開発について支援を行うことといたしました。
幹線道路網の整備につきましては、県内の主要都市を結び、北部九州の広域的な高速交通網を構築する西九州自動車道、佐賀唐津道路、有明海沿岸道路、国道498号の整備を引き続き推進いたします。
なお、西九州自動車道の唐津千々賀山田インターから北波多インター間におきましては、本年3月23日の供用開始が予定されており、また、有明海沿岸道路の久保田インターから芦刈インター間におきましては、芦刈インターにアクセスする県道江北芦刈線の全線と併せて本年3月30日の供用開始を予定しております。
港湾の整備につきましては、伊万里港において、コンテナ船の大型化に対応するため、マイナス13m岸壁やコンテナ貨物専用のガントリークレーンの整備を進めてまいりましたが、本年4月の供用開始を予定しております。これに合わせて、輸出貨物量の増大を図り、国際コンテナターミナルとしての利活用を促進するため、伊万里港を利用して輸出を行う荷主に対して助成することといたしました。
また、唐津港においては、物流機能強化や大型旅客船の接岸、さらには、震災時の緊急物資輸送にも対応する東港地区耐震強化岸壁の整備を、国と連携して進めてまいります。
次に、『情報発信』について申し上げます。
情報発信プロジェクトにつきましては、日本最大の情報集積・発信量を誇る東京エリアにおいて、情報拡散力の高い消費者が好感を持つ企業やメディア等と協同して、佐賀県に興味・関心のない消費者を対象に佐賀県の魅力に触れる機会をつくるとともに、それを話題化することによって、本県に対する認知・理解を高めることに取り組んでまいります。
外国人観光客の誘致促進につきましては、宿泊観光客の中で、半数以上を占める韓国人観光客の県内宿泊数を増加させるため、韓国内の各種メディアを複合的に活用し、佐賀県観光の魅力や情報を発信することとしております。
次に、『国際化』について申し上げます。
国際化推進のための環境づくりにつきましては、急速なグローバル化が進展する中、国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的な違いを認め合い、対等な関係を築きながら地域社会の構成員として共に生きていく「多文化共生社会」の実現に向け、「新商工ビル(仮称)」内に、在住外国人の支援、県民と外国人との触れ合いや国際理解を推進するための国際交流支援拠点を整備することといたしました。
また、同ビル内に、県内企業の海外展開を積極的に支援していくための、ワンストップ相談窓口機能を設けた国際ビジネス支援拠点を整備することとしております。
有明佐賀空港につきましては、去る2月6日、韓国のLCCジンエアとの間で、週3便の定期チャーター便による有明佐賀空港-仁川(インチョン)国際空港路線の今年夏ごろの開設について合意したことを受けて、路線の定着を図り定期便化につなげていくために、ジンエアに対して運航経費の一部を支援することとしております。
韓国の全羅南道(チョルラナムド)との交流につきましては、佐賀県が日本代表として出展する「2013順天(スンチョン)湾国際庭園博覧会」が、本年4月20日から半年間、韓国全羅南道(チョルラナムド)順天(スンチョン)市で開催されることから、この博覧会において佐賀県のPRや青少年による文化交流などを行い、韓国全羅南道(チョルラナムド)との交流をさらに深めてまいります。
次に、『文化・スポーツ』について申し上げます。
多彩な文化の振興と伝統文化の継承につきましては、県内の各地域で大切に維持、継承されてきた民俗芸能や伝統芸能に対する認識を深めてもらうため、デジタル映像として記録し、広くメディアや各種イベント等で紹介することといたしました。
また、県民に多彩な文化に出会い、触れ、楽しむ機会を提供するとともに、文化に対する関心を高めてもらうため、これまで県内で開催されることの少なかった優れた演奏会や展覧会等を誘致する補助制度を創設するとともに、県立博物館においては、世代を超えて幅広い層に楽しんでいただけるよう、生活文化という新たな分野の企画展を開催することとしております。
また、昨年開催した「バラエティ・アート・フェスタさが2012」で取り組んだ、障害のある人もない人も誰もが、それぞれのスタイルで芸術や文化を楽しむことのできる風土・土壌づくりをさらに進めていくため、「バラエティ・アート・フェスタさが2013」を開催することといたしました。
さらに、世代を超えて多くの人たちに県立博物館等を訪れてもらい、佐賀県の特色ある歴史や文化への理解を深めてもらえるよう、佐賀県出身の洋画家岡田三郎助の最晩年の傑作「裸婦」を購入し、これを核として県立美術館の魅力をアピールするとともに、博物館・美術館、九州陶磁文化館、名護屋城博物館、佐賀城本丸歴史館の各施設において、施設の特徴に応じた新たな視点からの企画展などにも取り組んでいくこととしております。
夢・感動と活力を生むスポーツの振興につきましては、昨年のロンドンオリンピックで見られたように、本県スポーツ選手の世界での活躍が、県民の誇りと自信の醸成、また、世界への情報発信にもつながることから、さらなるアスリート支援として、新たに日本のトップレベルで世界を目指す本県スポーツ選手の支援を行うことといたしました。
また、県内において、様々な国際・全国レベルのスポーツ大会やスポーツ合宿の開催により本県の情報発信を行うため、スポーツイベント等の積極的な誘致や受入れのコーディネートを行うスポーツコミッション事業をスタートさせることといたしました。
さらに、佐賀県唯一のプロサッカーチーム「サガン鳥栖」の活躍は、県民に夢・感動と活力を与え、スポーツへの関心を高めるとともに、全国に向けた本県の情報発信につながることから、今後も「サガン鳥栖」がJ1で活躍できるよう、鳥栖市が行うホームスタジアムの環境整備について支援を行うことといたしました。
最後に、『人材育成』について申し上げます。
確かな学力を育む教育の推進につきましては、業務を継続的に改善する手法である、いわゆるPDCAサイクルの確立により、全国学力・学習状況調査の一層の活用を図るとともに、本調査において上位に位置している秋田・福井両県に教員を派遣し、先進的な取組を調査することにより、指導方法の改善や学習習慣の定着等に向けた取組を進め、児童生徒の学力向上に努めてまいります。
豊かな心を育む教育の推進につきましては、昨年から社会問題ともなっているいじめ問題において、学校だけの取組では解決が困難な事案に対し、元警察官や弁護士などの外部人材を活用することにより、早期に対応・解決するための体制を整備することといたしました。
青少年の健全育成につきましては、非行少年を生まない社会づくりを推進するため、少年非行に対する経験、知識を有するスクールサポーターを中学校へ派遣することとしております。
健やかな体を育む教育の推進につきましては、本年7月28日から8月20日までの間、佐賀、福岡、長崎、大分の北部九州ブロック4県を会場として全国高校総体が開催されますので、本県で開催される競技種目が円滑に実施されるよう、必要な準備を進めるとともに、引き続き、高校生の競技力向上を図ってまいります。
社会経済の進展に対応した教育の推進につきましては、児童生徒の学力向上に向けて、先進的なICT利活用教育を推進するため、引き続き、教育現場におけるICT機器等の整備、新たな教育情報システムの構築・運用、教職員の人材育成に一体的に取り組んでまいります。
以上、平成25年度当初予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、
県 税 678億3,500万円
地方消費税清算金 154億3,300万円
地方交付税 1,426億2,000万円
国庫支出金 約 504億8,700万円
繰 入 金 約 158億9,100万円
諸 収 入 約 330億9,600万円
県 債 669億5,900万円
そ の 他 約 216億1,900万円
計 4,139億4,000万円
となっております。
このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成25年度地方税制改正案に係る増減収額を考慮して計上しております。
地方交付税につきましては、地方財政対策等をもとに、現段階で見込み得る額を基礎において、所要額を計上するとともに、県債につきましても、国の地方債計画等をもとに、今回計上する事業費の財源として所要額を計上しております。
次に、企業会計として運営しております工業用水道につきましては、収益的支出約4億4,600万円、資本的支出約4,000万円となっております。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として「佐賀県新型インフルエンザ等対策本部条例(案)」など32件、条例外議案として「国営土地改良事業に対する市町の負担について」など11件、あわせて43件となっております。
このうち、乙第38号議案「佐賀県住宅供給公社の解散について」及び乙第39号議案「権利の放棄について」につきましては、佐賀県住宅供給公社における分譲地の販売が完了したことに伴い、自主解散するとともに、損失処理のために債権放棄を行うものであります。
昭和40年に設立した佐賀県住宅供給公社は、本県の住宅政策において大きな役割を果たしてまいりましたが、民間事業者等による住宅供給の充実に伴い、その社会的役割は終えたものと認識しております。
また、長引く宅地価格の下落等により多額の損失を生じる恐れがありましたことから、平成17年度に解散を前提とした「経営改革計画」を策定し、公社の経営改革に取り組んでまいりました。
当時見込んでおりました20億円程度の最終損失額を、県及び公社職員が一丸となって経営改革に取り組み、約2億4,000万円まで圧縮することができましたが、結果として、損失が生じましたことについて、県民の皆様へお詫び申し上げます。
その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
さて、今年の干支は「巳」ですが、これまで積み上げてきたものを大切にしながら、絶えず古い皮を脱ぎ捨てて成長を続ける蛇のように、必要な変化をためらわず、佐賀県という地域を新しい時代にふさわしい姿にしていきたいと考えています。
「新しき世に佐賀あり。」と言われ続ける佐賀県を創るために全力で取り組んでまいりますので、どうか、議員各位、並びに、県民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
以上、私の所信と今回提出しました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。