令和元年6月定例会 意見書案と採決状況
意第6号
否決
最低賃金改正等に関する意見書(案)
労働基準法第2条は、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの」と定めているが、最低賃金の影響を受ける多くの非正規労働者やパートタイム労働者は、労働条件の決定にほぼ関与できないのが現状である。
一方、政府においては、最低賃金について、平成22年の雇用戦略対話において初めて数値目標を示し、また、経済財政運営と改革の基本方針2018やニッポン一億総活躍プランにおいて、年率3%程度の引き上げを目指すとしているが、あるべき水準への引き上げができていない現状にある。
また、人手不足が深刻化する中において、都市部との間に生じている賃金格差は、県内労働者の人材確保をさらに厳しくする要因になっている。
これらの課題に対応するには、地域間の賃金格差の是正、賃金水準の大幅な引き上げが必要で、その実現には、中小企業の安定した経営が不可欠である。
よって、国会及び政府に対して、最低賃金の引き上げ及び中小企業に対する支援の充実について、下記の措置を講ずるよう強く要望する。
記
1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
(1) 最低賃金の改正にあたっては、雇用戦略対話の合意に基づき、早期に最低でも800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1000円に到達さ
せ、さらには、1500円を目指すこと。
(2) 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差縮小への施策を推進すること。
2 以下の制度改正を行うこと。
(1) 最低賃金を年金支給額、下請け単価、企業や農業者の労働単価と連動させ、ナショナルミニマムの基軸とすること。
(2) 中小企業に対する大企業の優越的地位の濫用、支払い遅延やいわゆる買いたたき等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法、下
請け代金遅延防止法、下請け中小企業振興法及び独占禁止法の抜本的改正を行うこと。
(3) 最低賃金を引き上げるため、中小企業振興策を拡充するとともに、中小企業の負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度並びに中小企
業及び中小企業で働く労働者の社会保険料負担や減免制度を創設すること。
3 中小企業に対する支援の充実とその周知を図り、安定した経営を可能とする対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年 月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
財務大臣 麻生 太郎 様
厚生労働大臣 根本 匠 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様
中央最低賃金審議会会長 様
以上、意見書案を提出する。
令和元年7月1日
提出者 武藤 明美 井上 祐輔
佐賀県議会議長 桃崎 峰人 様