議案等の審議結果
意見書案と採決状況
意第4号
可決
法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書(案)
政府は、平成14年3月、今後、法的需要が増加し続けるものと見込んで、すぐれた多数の法曹を確保し、司法制度を支える体制の充実強化を図るべく、当時年間1,000人程度であった司法試験の合格者数を平成22年頃には目標年間3,000人程度とすること、法曹養成に特化した教育を行うために法科大学院制度を新設し、原則として法科大学院の修了を司法試験の受験資格とすることなどを内容とする「司法制度改革推進計画」を閣議決定した。
その後、司法試験合格者数は平成19年以降2,000人超で推移してきたが、法的需要は想定されたほど増加しなかった。この間、裁判官、検察官はほとんど増員されず、弁護士のみが急激に増加してきた結果、需給バランスが大きく崩れ、司法修習生の就職難は年々深刻化している。
また、法科大学院から司法試験合格までの学費、生活費の負担に加え、司法修習生の「貸与制」により、法曹となった時点で多額の負債を抱える者が多数となった。
法科大学院の入学志願者に義務づけられた法科大学院適性試験の受験者は、少なくとも3万5,000人を超えていた平成15年から年々減り続け、平成25年には 5,000人にも満たないまでに激減した。現在、法科大学院から法曹へという進路の魅力が失われ、優秀な人材に敬遠されつつある上に、司法修習期間の短縮、就職難や競争激化に伴う実務経験不足なども相まって法曹の質の低下も懸念される。
このような司法を取り巻く危機的状況の中、政府が平成24年8月に設置した「法曹養成制度検討会議」は、昨年6月26日に検討結果を取りまとめた。
しかし、取りまとめでは、司法試験合格者数を3,000人程度とする目標は非現実的として撤廃したものの、今後のあるべき法曹人口については、新たな検討体制の下で必要な調査を行い、その結果を2年以内に公表すべきとして問題を先送りにした。また、法科大学院制度については、教育成果の乏しい法科大学院に定員削減や統廃合を促すことなどを取りまとめたが、学生、社会人を引きつけ、志願者減を食いとめる効果的な対策は見当たらない。さらに、大学の法学部の大幅な志願者減が続いている。
このままでは危機的状況のさらなる深刻化は避けられず、最終的には司法のユー ザーである市民が不利益をこうむることになる。
よって、国会及び政府に対し、法曹の質と市民の利益を適正に確保するとの観点から、社会情勢に伴う法的需要とバランスのとれた法曹人口となるよう、一刻も早く供給過多を解消するとともに、法曹養成制度全体の抜本的見直しを行うことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成26年3月 日
佐 賀 県 議 会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 伊吹 文明 様
参議院議長 山崎 正昭 様
財務大臣 麻生 太郎 様
総務大臣 新藤 義孝 様
法務大臣 谷垣 禎一 様
文部科学大臣 下村 博文 様
経済産業大臣 茂木 敏充 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
以上、意見書案を提出する。
平成26年3月19日
提出者 留守茂幸 石丸 博 石井秀夫 木原奉文 伊東猛彦
稲富正敏 竹内和教 伊藤 豊 中倉政義 福島光洋
藤木卓一郎 石倉秀郷 桃崎峰人 土井敏行 指山清範
古賀善行 大場芳博 田崎信幸 岡口重文 原田寿雄
宮原真一 坂口祐樹 向門慶人 米倉幸久 八谷克幸
定松一生 川﨑常博 服巻稔幸 古賀陽三
佐賀県議会議長 木原 奉文 様