令和元年9月定例会 意見書案と採決状況
意第8号
可決
令和元年佐賀豪雨災害対策に関する意見書(案)
本県では、去る8月27日からの記録的な集中豪雨により、県内各地で地滑り、土砂崩れ、道路の崩壊、河川の氾濫、大規模な冠水が相次ぎ、3人の犠牲
者を出すなど、激甚な災害を被ったところである。
大町町では、陸路が途絶した病院施設への救助、救援活動とともに、工場から流出した大量の油による被害拡大を阻止するべく油除去に全力を挙げるな
ど、目下、県及び関係市町や関係機関において、緊密な連携を取り、県民の総力を結集して、被災地の復旧はもとより、県民の生活や経済活動の回復に全
力を傾注しているところであり、また、全国からのボランティアによる支援も多く寄せられているところである。
しかしながら、この災害からの完全復旧、県民の生活の回復等を期するためには、政府、国会、その他関係機関の絶大なる援助を待たなければならない
ところである。
よって、政府及び国会におかれては、被災地の速やかなる復旧・復興のための支援策を講じていただきますとともに、かかる災害が再発しないよう恒久
的対策を講じられるよう下記事項を強く要望する。
記
1 激甚災害の早期指定について
公共土木施設、農業用施設や土砂災害等の災害復旧等を円滑かつ早急に行うため、今回の豪雨災害について「激甚災害に対処するための特別の財政援
助等に関する法律」に基づき、激甚災害として早期に指定すること。
2 被災者生活支援について
被災された方々の安全・安心を確保し、早期の復旧を実現するため、円滑な避難所運営、罹災証明の発行、保健師等による健康管理、消毒の実施や災
害査定等のマンパワーを確保すべく、引き続き人的支援を実施すること。
被災された方々の早期の生活再建に資するため、既存の被災者生活再建支援制度を弾力的に幅広く適用するとともに、災害援護資金貸付金等の支援を
拡充すること。
3 公共土木施設等の災害復旧事業の早期採択等について
災害復旧事業に早期に着手できるよう、公共土木施設、農地・農業用施設の災害査定を迅速かつ柔軟に対応するとともに、十分な事業費を確保し、採
択に関する手続きの簡素化を図ること。
災害復旧事業の実施においては、必要に応じて原形復旧ではなく再度災害が発生しないよう改良復旧を積極的に推進すること。
土砂・流木の流出対策やぼた山の崩壊防止対策に万全を期すこと。
4 低平地における排水対策について
当県は、有明海の潮汐の影響を大きく受ける自然排水が困難な低平地をかかえており、内水氾濫防止の排水対策など抜本的な低平地対策を行うこと。
5 医療提供施設、社会福祉施設、学校教育施設等の早期復旧に向けた支援について
浸水等により、医療提供施設、社会福祉施設、学校教育施設等に甚大な被害が発生しているため、早期に復旧、再開できるよう必要な支援を行うこ
と。
6 商工業や農林業への支援について
商業施設や工場等の事業所が冠水・浸水するなど事業者に甚大な被害が生じているため、本災害により影響を受けた事業者が迅速に事業再開出来るよ
う必要な支援を行うこと。
激甚災害の種類の如何にかかわらず、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を適用すること。
農林業の生産活動の再開のため、生産施設・機械の復旧・整備等の支援や農業共済金の早期支払いなど必要な支援を行うこと。
県内宿泊施設の予約キャンセルや油流出等による県産の農水産物全般への不安感が更に生じることがないよう、風評被害対策に取り組むこと。
7 油流出対策の徹底について
8月28日に大町町で発生した、冠水による油流出について、現状対応のみならず、家屋、農地、河川、有明海への影響が拡大しないよう、その防止対
策を徹底すること。
8 災害廃棄物の処理について
膨大な災害廃棄物が発生しているため、被災市町が実施する災害等廃棄物処理事業について、予算の確保及び早期の採択を行うこと。
災害に伴って発生した海岸漂流・漂着物や海底の堆積物の回収、処理について必要な支援を行うこと。
9 地方交付税等による財政支援の実施について
県及び市町が行う応急対策や被災者の救援、災害復旧等に多額の経費を要するため、普通交付税の繰上交付、特別交付税の配分、災害復旧事業及び災
害関連事業予算の確保に特段の配慮を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年9月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
財務大臣 麻生 太郎 様
総務大臣 石田 真敏 様
厚生労働大臣 根本 匠 様
農林水産大臣 𠮷川 貴盛 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
文部科学大臣 柴山 昌彦 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様
環境大臣 原田 義昭 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
内閣府特命担当大臣 山本 順三 様
(防災担当)
以上、意見書案を提出する。
令和元年9月10日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 桃崎 峰人 様