令和2年11月定例会 意見書案と採決状況
意第12号
可決
有明海の早期再生を求める意見書(案)
国営諫早湾干拓事業の潮受堤防排水門の開門を命じた平成22年福岡高裁確定判決から10年が経過した。令和元年9月13日、最高裁判所第2小法廷は、平成30年の福岡高裁判決を破棄し、同高裁に差し戻す判決を言い渡した。
これは、漁業権の消滅により開門請求権も消滅するという形式論で確定判決を無効化しようとした福岡高裁の判断の誤りを正したものであるが、今後の裁判の長期化が心配されている。これ以上の長期化は、有明海を悪化させるばかりである。
平成9年4月の潮受堤防締切り以来、有明海の漁場環境は悪化し、赤潮の増加や夏季の貧酸素水塊の発生等により、ノリの色落ち被害や二枚貝等をはじめとする漁獲量の減少が続いている。特に高級二枚貝タイラギは7年連続の休漁となるなど、いまだ漁業者は水産資源の回復を実感するには至っておらず、将来に不安を抱かれ、「このままでは後継者に漁業を継がせることはできない」との悲痛な声すら聞かれており、水産資源の回復は待ったなしの状態である。
有明海の再生のために、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要だという我々の思いは、いささかも変わっていない。一方で、早期の再生を実現するには、関係する者全ての理解と協力が必要であり、話し合いによる解決が最良であると考える。
よって、政府及び国会に対し、有明海の再生に向け、下記の事項を強く要望する。
記
1 関係する者全てが参加する話し合いの場を設け、その意見や思いをくみ取り、問題の解決を図ること。
2 待ったなしの課題である水産資源の回復のために開門調査をはじめ、「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」に基づき再生策を確実に実行すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月 日
佐賀県議会
内閣総理大臣 菅 義偉 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
農林水産大臣 野上浩太郎 様
環境大臣 小泉進次郎 様
以上、意見書案を提出する。
令和2年12月16日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 桃崎 峰人 様