平成27年11月定例会 知事提案事項説明要旨
本日、平成27年11月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成27年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
提案事項の説明に入ります前に、当面の課題への対処方針について申し上げます。
まず、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
本年2月に、当時の防衛副大臣から受けた計画内容の説明では、例えば、「米軍と煮詰まった話をしているわけではありません」とか、「現時点では」というように、説明に曖昧な部分があったことから、計画の全体像や将来像を明確にしてほしいと要請しておりました。
これに応じる形で10月29日に、中谷防衛大臣が本県を訪問され、大臣から改めて計画の説明がなされましたが、米海兵隊の利用については、自衛隊機の配備・移駐とは切り離して、要請を取り下げるということでありました。
県民の大きな関心事であった米海兵隊の利用については取下げという形で明確になり、大臣に対し「大きな意味があると受け止めたい」と申し上げたところであります。
しかしながら、大臣等から説明のあったことについては、改めて確認する必要があると思われたことから、大臣に対して、説明内容を精査したいと申し上げたところであります。
また、大臣から現地調査を行いたいとの話がありました。このことについては、決して受入れを容認するということではないことを明らかにした上で、計画の全体像・将来像を明確にするための現地調査であれば異論を差し挟むつもりはないが、佐賀市や漁協の理解を得た上で行っていただきたいと申し上げたところであります。
私自身は、国防の重要性について十分理解しているつもりでありますが、今回の防衛省からの提案・要請は、本県の将来を左右する大きな課題であることから、慎重には慎重を重ねて対応してまいります。
次に、有明海の再生について申し上げます。
諫早湾干拓潮受堤防排水門の開門調査につきましては、10月の内閣改造により就任された森山農林水産大臣が、今月2日、本県を訪問され、本県関係者との意見交換が行われました。
その際、開門調査の実施をはじめ、漁業者が実感できる水産資源の回復に向けた取組について要請を行ったところであります。
また、今月10日、長崎地方裁判所において、開門の差し止めを認めた仮処分決定に対する国の異議申立てを棄却する決定がありました。
しかしながら、今回の決定は、平成22年12月の福岡高等裁判所の確定判決の効力を失わせるものではありません。
国には、当事者として、責任を持って開門問題の解決に取り組んでいただきたいと考えております。
一方、漁業者にとりまして、水産資源の回復は待ったなしの問題であることから、国と有明海沿岸4県が連携して、宝の海である有明海の再生に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
TPP交渉につきましては、10月5日、米国アトランタで開催された交渉参加12か国による閣僚会合において、大筋合意がなされましたが、この協定が具体的にどのような影響を及ぼすのかなど、よくわからない点があることから、特に農林水産業に関わる方から不安の声が上がっています。
このため、県では、今月2日、森山農林水産大臣に対し、
・地域経済に与える影響ついて、丁寧かつ速やかに情報提供と説明を行うこと
・TPP協定の行方に関わらず、農林水産業について万全の対策を講じること
を要請いたしました。
また、今月17日のTPP政府対策本部政務官との意見交換の場において、TPP協定が発効となった場合に様々な影響が懸念される農林水産分野に対し、その影響を緩和する対策や競争力を強化する対策を講じること等を要請したところであります。
昨日、国が「総合的なTPP関連政策大綱」を公表しましたが、県といたしましては、県内の様々な声や関係団体の意見などを聴きながら、引き続き国に対し要請をするなど、適宜必要な対応を行ってまいります。
次に、原子力発電について申し上げます。
愛媛県の伊方発電所3号機につきましては、7月15日の原子力規制委員会による原子炉の設置変更許可を受け、愛媛県の中村知事は、10月26日に伊方発電所3号機の再稼働について「了解する」と表明されたところであります。
一方、玄海原子力発電所3、4号機につきましては、現在、規制基準への適合性審査が行われているところでありますが、いつ終了するのか見通せない状況であり、審査後の手続に係る対応については、審査が進んだ段階で、今回の伊方発電所3号機など、先行する事例における関係者の対応状況や国の考え方を確認した上で、県としての考え方を整理していきたいと考えております。
なお、本年4月に運転を終了した玄海原子力発電所1号機の廃止措置に関しましては、県、玄海町及び九州電力の三者で締結している安全協定を見直し、廃止措置の実施を事前了解の対象に含めるなど所要の改定を行いました。
今後、廃止措置が実施されるに当たっては、この安全協定に基づき、安全第一の姿勢で対応してまいります。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、9月補正後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 86億6,300万円
特別会計 減額 約12億 2,900万円
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約 4,472億9,400万円
特別会計 約 1,077億2,400万円
となっております。
次に、予算案の主な内容について申し上げます。
特別支援教育の一層の充実につきましては、特別支援学校における知的障害のある児童生徒数の増加に伴う教室不足の解消を図るため、10月に策定しました「佐賀県特別支援教育第三次推進プラン」に基づき、県立大和特別支援学校の校舎整備を行うことといたしました。
子どもの教育は重要であると認識しております。子ども達が生き生きと学ぶことができる環境を整備していくことなどを通じ、これからも人づくりにしっかりと取り組んでまいります。
次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例(案)」など10件、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など12件、あわせて22件となっております。
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。