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平成28年9月定例会 知事提案事項説明要旨

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平成28年9月定例会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成28年9月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成28年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 提案事項の説明に入ります前に、当面の諸課題への対処方針及び最近の県政の主な動きなどについて申し上げます。
 南米大陸で初めての開催となる第31回夏季オリンピック・リオデジャネイロ大会が先月開催され、トップアスリートの熱い戦いに世界中が熱く盛り上がり、スポーツの持つ「力」を改めて感じました。
 日本選手団は、連日のメダルラッシュにより、金メダル12個を含め、史上最多となる41個のメダルの獲得という快挙を成し遂げられました。今回は、特に逆転勝利によるメダル獲得が印象的で、最後まで諦めない姿勢・精神力は国民に大きな感動を与えました。本日開会するパラリンピックでの日本選手団の活躍も期待しています。
 オリンピックにおいて日本選手が活躍する中、本県ゆかりの選手も躍動し、副島亀里ララボウ ラティアナラ選手が出場した7人制ラグビーでは4位入賞を果たされました。ラグビー王国ニュージーランド戦において、副島選手の同点トライから、日本が歴史的な勝利をあげたことに、県民はこぞって心から感動を覚え、子どもたちは大きな夢を抱きました。
 また、久光製薬スプリングスの長岡望悠選手、石井優希選手、座安琴希選手の3選手が出場した女子バレーボールでは5位に入賞され、テコンドーの濱田真由選手が9位と素晴らしい活躍でした。今回は残念ながらメダルには届きませんでしたが、今回の悔しさや経験をバネに修練を積まれ、次の目標に向けて更に飛躍されることを期待したいと思います。
 4年後の平成32年には、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。県といたしましても「さがんアスリートサポート事業」などにより引き続き支援を行いながら、指導者の養成や資質の向上を図るとともに、スポーツの裾野の拡大を図る中で選手の発掘・育成を行うなど、世界の舞台で活躍するアスリートの育成にしっかりと取り組んでまいります。また、本県は、政府が推進する東京オリンピック・パラリンピックホストタウン構想において、オランダ、ニュージーランド、フィジーのホストタウンとなっています。現在、事前キャンプの誘致に成功した団体の第1号として、オランダ空手道選手団の受入が決定していますが、引き続き事前キャンプの誘致実現に向けて取り組むとともに、誘致を契機として、文化や人材の交流促進、トップアスリートを間近に見ることなどによるスポーツ技術のレベルアップ、本県全体のおもてなし力の向上につなげていきたいと考えています。
 さらに平成35年には、本県において国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。東京オリンピック・パラリンピックの勢いや盛り上がりを国民体育大会・全国障害者スポーツ大会へとつなげるべく、本県選手の育成、大会の成功に向けて準備を進めてまいります。また、この大会をスポーツの祭典で終わらせるのではなく、後世に引き継ぐレガシーづくり、自発の地域づくり、そして観光をはじめとする産業の振興につなげていくためにしっかりと取り組んでまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 この課題に向き合うに当たっては、防衛省からの要請内容、いわゆる計画の全体像・将来像を明確にすることが大切であるとの考えから、県では防衛省からの説明内容について精査、確認作業を行ってきました。その一環として、7月14日に防衛省九州防衛局長あてに4回目となる33項目の質問・照会文書を発出し、8月26日にその一部の23項目について回答を受けました。
 まだ回答されていない生活・環境への影響に関する10項目の質問につきましては、今後しっかりと確認することとしていますが、これまでの九州防衛局との質問・回答のやり取りを通じて、計画の全体像・将来像は、より明確になってきたのではないかと認識しています。
 また、防衛省は、7月25日に有明海漁協に対して、九州防衛局による説明会を開催されましたが、様々な質問や厳しい意見も出されたと報告を受けています。説明会の後、有明海漁協は県と一緒に疑義等を整理し、8月26日に県を通じて九州防衛局に23項目からなる質問・照会文書を発出されました。
 さらに、防衛省は、7月29日に佐賀市川副町において地元説明会を開催されました。当日は参加者からの質問に対する回答に十分な時間が確保できず、再度の説明会を求める声もあったことから、改めて同町の4つの校区毎に住民説明会を開催されると聞いています。
 防衛省には、意見や質問に対する回答も含めて、今後とも懇切丁寧に対応していただきたいと考えています。
 本件につきましては、国の根幹に関わる「国防」に関する事柄であり、一方で県民の安全安心に関わる重要な課題でもあることから、県といたしましては、防衛省による地域住民を対象とした説明会の状況や、県議会をはじめ佐賀市、有明海漁協における議論の状況などを注視するとともに、今後ともプロセスを大切にしながら、幅広い観点から検討し、しっかりと対応してまいります。
 次に、原子力発電について申し上げます。
 愛媛県におきましては、8月12日に四国電力伊方発電所3号機が再稼働しました。今回の再稼働は、新たな規制基準に基づき、原子力規制委員会による厳格な審査を経て行われたものと認識しています。
 また、鹿児島県におきましては、川内原子力発電所1、2号機が既に再稼働していますが、三反園新知事が九州電力に対し、熊本地震の影響を考慮し、原子力発電所を直ちに停止して安全性の点検を行うことなどを要請しました。九州電力はこの要請に対し、即時停止は行わず、次の定期検査時において特別点検などを実施することを9月5日に回答しました。
 一方、玄海原子力発電所3、4号機につきましては、現在、原子力規制委員会による規制基準への適合性審査が行われているところです。九州電力からは、9月6日に玄海原子力発電所においても、川内原子力発電所で実施される特別点検をベースにした点検を実施すると説明がありました。
 県といたしましては、今後、玄海原子力発電所の再稼働に関して、様々な観点からの意見や専門的なアドバイスをいただくための委員会の設置を検討してまいります。
 いずれにいたしましても、審査後の手続に係る対応につきましては、原子炉の設置変更許可が出て国から相談があった段階で、まず国の考えをしっかりと確認した上で、先行する事例における関係者の対応状況も参考にしながら、県としての考え方を整理していきたいと考えています。
 また、原子力災害対策につきましては、これまでも、国の原子力災害対策指針の改定等を踏まえ、県として必要な地域防災計画の修正を行い、関係市町をはじめ、関係市町内の医療機関、福祉施設、学校、保育所、幼稚園に対して避難計画の策定を支援してまいりました。今年3月には福岡県を経由して避難することについて、福岡県と合意に至ったほか、離島からの避難に係る協力要請について、佐賀県旅客船協会との協定を締結するなど、県民にとってより安心できる避難計画となるよう不断の見直しを行っています。
 10月に予定している原子力防災訓練におきましては、熊本地震を踏まえ、「予定している避難経路が地震によって通行不能となった場合」や「地震により家屋が損傷し、自宅での屋内退避が困難となった場合」を想定した訓練も実施することとしています。
 予想される事態への対応力を高める訓練を実施するとともに、訓練の結果を避難計画にフィードバックしていきたいと考えています。
 今後とも、原子力発電につきましては、安全性向上に向けた取組を国や事業者にしっかりと求めていくとともに、災害対策の充実に努めてまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 8月の内閣改造により就任された山本農林水産大臣が、諫早湾干拓事業に係る関係者との意見交換を行うため、8月26日に本県を訪問されました。
 その際、開門調査の実施をはじめ、漁業者が実感できる水産資源の回復に向けた取組について要請し、厳しい漁業の後継者問題や諫早湾干拓地潮受堤防締切り以降の漁獲量減少に伴う地域の疲弊について説明するとともに、確定判決を履行しない国に対し漁業者から不信の声があることや、機会を見つけてもう一度現場に足を運び、漁業者の生の声を聞き、有明海の本当の姿を分かっていただきたい、ということなどを訴えました。
 また、9月2日に、有明海再生の施策について議論するための国、関係4県及び漁業団体で構成する「有明海漁場環境改善連絡協議会」が開催されました。この協議会で議論する「基金的予算」は、長崎地裁の和解協議において提案されている基金案とは別物であることが確認されていました。こうした経緯がありながら、9月6日の長崎地裁の和解協議では、国の受け止めにおいて、「こうした4県の漁業団体等の意向も踏まえ、和解協議において国が提案した基金案についての成案を得たい。」とされていることから、県といたしましては、国がこれらのことを別物ではなく、混在して考えているのではないかという懸念を持ったところです。
 県といたしましては、和解協議の状況を注視したいと考えていますが、特に漁業者にとって水産資源の回復は待ったなしの問題であることから、国と有明海沿岸の3県と連携を図りながら、宝の海である有明海の再生に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルート整備について申し上げます。
 西九州ルートに導入予定であるフリーゲージトレインにつきましては、国において車軸等の不具合対策を施した改良台車による検証試験が実施されていますが、現在、試験に使用した台車を分解して、詳細な調査・分析を行っている段階となっており、今後、軌間可変技術評価委員会において、検証試験結果が評価されることとなっています。県といたしましては、今後とも、フリーゲージトレインの開発状況等について、注視してまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業の検証につきましては、これまでに「検討の場」が4回開催されましたが、ここでの議論を踏まえ、今年5月に国の「ダム事業を継続する方針」について異論がない旨、国に回答しました。
 その後、国により開催された有識者会議の意見を踏まえ、7月20日に国土交通大臣が「城原川ダム事業を継続とする」という対応方針を決定されました。
 私自身、知事に就任して早々に水没予定地を視察し、現場の切実な思いをじかに聞き、国土交通大臣に早期の方針決定を訴えてきました。そして、平成21年に検証対象ダムに位置付けられてから、ようやく昨年5月に検討の場が動き出し、今回の決定に至りました。
 城原川ダム事業につきましては、昭和46年に予備調査が開始されて以降、この間、本当に長い年月がかかりました。関係者の中には、
 ・ようやく決定したことを安堵された方
 ・道路などの生活基盤が整備されず不自由な生活を強いられていた方
 ・残念ながら、決定を待たずお亡くなりになられた方
などがいらっしゃいます。既に国に対し要望していますが、国におかれては、こうした多くの方々の思いを酌み、今回の対応方針の決定を受け、自然環境や景観に配慮しつつ、治水対策を早急に進めていただきたいと考えています。
 次に、九州佐賀国際空港の機能強化について申し上げます。
 九州佐賀国際空港につきましては、昨年9月にとりまとめた「佐賀空港がめざす将来像」において、「基幹路線である東京便を中心としながらLCCの拠点空港化を進め、九州におけるゲートウェイ空港としての地位を確立している姿」を目指しており、その実現に向けて新規路線の誘致や増便に取り組むとともに、その受け皿となる駐機場や旅客ビルをはじめとする空港施設の機能強化に取り組んでいます。
 滑走路につきましては、延長の必要性・効果などの調査において、
 ・現在就航している航空会社から延長に対する強い要請があったこと
 ・滑走路を延長することにより、台湾や香港路線誘致の可能性が高まること
 ・タイやシンガポールといった東南アジア路線の就航が期待できること
などを改めて確認しました。
 また、政府は観光先進国を目指し、訪日外国人旅行者数を2020年に4千万人、2030年に6千万人という目標を掲げており、地方空港の役割は更に大きくなっていきます。このことは、九州佐賀国際空港がこれまで以上に九州の玄関口として利用され、本県の発展につながる絶好のチャンスであると捉えています。
 このようなことから、九州佐賀国際空港の機能を強化するため、滑走路の2,500mへの延長に向けて取り組んでいくこととしました。
 滑走路を500m延長することにより、7,000km先に住むアジアの人々を迎え入れることが可能となります。このことにより、九州佐賀国際空港が、名実ともに九州のゲートウェイ空港となり、観光はもとより、文化やビジネスなどにおけるアジアとの交流拠点として飛躍することを期待しています。
 次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
 我が国におきましては、先の通常国会において協定案の承認・成立が見送られ、衆議院で継続審議とされましたが、今月開催される臨時国会において、審議が再開される見込みとなっています。
 県内には農業者を中心に、依然として不安や懸念の声があることから、
 ・県民の様々な思いに寄り添い対応していくこと
 ・農業の改革を進めるに当たっては、現場本位であること
が大事だと考えています。
 県といたしましては、引き続き、私が対策本部長を務めるTPP対策本部において、情報収集や対応策の検討などを行うとともに、県内の様々な声や関係団体の意見を聞きながら、適宜必要な対応を行ってまいります。
 次に、災害支援と本県の防災対策について申し上げます。
 まず、熊本地震の被災地への支援につきましては、九州・山口9県災害時応援協定に基づき、カウンターパートが熊本県阿蘇郡西原村に決定したことを受け、県独自で避難所運営等の支援に充てるため、県内20の市町の職員も含めたオール佐賀県で職員を派遣してきました。
 これまでに熊本県庁や西原村を中心に延べ7,356名の県・市町職員を派遣し、避難所運営や住家被害認定調査などの業務を支援してきましたが、こうした一連の業務が一区切りしたことから、8月1日に復興支援チームを解散し、道路や河川などの災害復旧業務を支援する職員の長期派遣に切り替えています。
 同じ「肥」の国の仲間である熊本県の復旧・復興が進み、一日も早く、被災者の皆様に落ち着いた生活を取り戻していただけるよう、被災地に寄り添った支援を続けてまいります。
 一方で、今回の一連の対応により、多くの職員が様々な気づき、経験、教訓を得ることができました。これらを今後の災害対策に生かしていくために、現在、検証・評価作業を進めているところです。その結果をもとに、災害対策の見直しや充実など防災対策強化にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、有明海沿岸道路の災害について申し上げます。
 有明海沿岸道路の芦刈南インター下り線出口付近において、6月23日の午前0時頃に盛り土が崩壊する災害が発生しました。
災害発生を受け、直ちに現場を視察し、
 ・被災原因の究明はもちろんのこと
 ・何よりも安全を優先し、被害を未然に防止するため、監視体制を強化するなど万全の体制を敷くこと
 ・地震や大雨による状況の変化に応じて通行止めなどの措置を講じること
を指示しました。
 災害発生後におきましては、「軟弱地盤対策工法技術検討委員会」からの技術的な意見を踏まえ、被災原因の究明や二次災害防止対策、復旧工法を検討しているところです。このうち被災原因につきましては、8月31日の委員会において、今年4月に発生した熊本地震や6月下旬の集中豪雨が主な要因であるという見解や、被災後に確認された局所的な弱い地盤の存在も何らかの影響を与えた可能性があるという見解が示されました。
 県といたしましては、引き続き被災箇所の復旧を図るとともに、今回発生した災害を重く受け止め、同様の災害が発生しないよう万全の対策を講じながら、有明海沿岸道路の整備にしっかりと取り組んでまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
 まず、情報発信・誘客対策として進めている様々な取組について申し上げます。
 6月30日から8月28日まで、地方創生プロジェクト「サガプライズ!」における情報発信の一環として、テレビアニメ「おそ松さん」とのコラボレーションを実施しました。東京でのイベントを皮切りに、「松」につながるスポットがたくさんある唐津市において特別イベントを実施し、オリジナル描きおろしイラストを使ったスタンプラリーや唐津市内飲食店でのコラボメニューの提供など、地元と連携した展開が好評を得ました。商店街の空き店舗を活用した期間限定のコラボショップには、全国各地から若い女性や家族連れを中心に2万人を超える方々にお越しいただきました。唐津の街中が彩りにあふれ、活気に満ちたことにより、地元の方々からも喜びの声が多く聞かれています。
 また、同じく「サガプライズ!」事業として、東京・南青山に「有明海の干潟」から直送した「潟泥のプール」を作り、ひんやりとした「ガタ」に浸かりながら、佐賀の地酒や名産品を楽しむ「GATA-BAR(ガタバー)」を、7月22日から7月31日までの期間限定で開催しました。優しく抱かれるような新しい感覚が好評で、多くの方々に来場いただき、経済番組やドイツのテレビ局を含め多くのメディアに取り上げられました。今後、この取組を地域にフィードバックし、本物の干潟の良さを体験し、宝の海有明海の魅力を感じていただく取組につなげていきたいと考えています。
 さらに、夜間の魅力ある観光スポットを創出し、観光客の方々などの満足度を高めるため、7月18日から県庁の展望ホールにおいて、夜景と一体となったプロジェクションマッピング、「アート・アフター・ダーク」を開催しています。この取組は東京、大阪、名古屋に次ぎ、兵庫県以西では初めて本県で開催するもので、佐賀に宿泊されている外国人旅行者をはじめ、県内外から1日平均300人、これまで1万3千人を超える方々に来場いただいています。来場者には「グルメ・パスポート」を配布するなど、地元の飲食店と連携して「夜の街歩き」という人の流れの創出に取り組んでいます。
 県立美術館におきましては、7月30日から9月4日の会期で、基山町出身の漫画家原泰久氏の作品世界を展示した「キングダム展in佐賀」と、スクウェア・エニックス社と県のコラボプロジェクト第3弾となる「ロマンシング佐賀3」の企画展を同時開催しました。今回は、話題性の高い企画展であったことから、公式ウェブサイトやSNSを活用しつつ、県内のみならず、首都圏、福岡都市圏を中心としたメディアに積極的に取り上げてもらうことで相乗効果を発揮し、県内外から5万人に近い方々にお越しいただきました。
 このほか、優木まおみさん、塙兄弟のお二人、江頭2時50分さんなど本県出身者等が出演する、朝ごはんをテーマにしたプロモーション企画「あさご藩」動画を配信し、県産食材の素晴らしさを伝えるなど、魅力的な情報発信に取り組んでいます。
 今後とも、県内のみならず、首都圏、福岡都市圏等にもしっかりPRを図りながら、新たな佐賀のファンとなる方々の開拓を図り、本県に足を運んで頂く機会を創り出してまいります。
 次に、JR九州との包括的連携協定について申し上げます。
 平成34年度に開業する九州新幹線西九州ルートの開業効果を高めるとともに、福岡都市圏との一体的発展により県内地域の魅力を向上させることを目的に、私の方からJR九州に提案し、8月16日にJR九州と包括的連携協定を締結しました。
協定におきましては、
 ・駅周辺等のまちづくりに関すること
 ・佐賀~博多間の輸送力の強化に関すること
 ・ICカードエリアの拡大に関すること
 ・観光開発に関すること
の4項目について、相互に協力した取組を推進していくこととしています。
 この協定を契機とした関連する取組として、佐賀駅構内に本県の観光情報などを流すデジタルサイネージを設置することや、一日限定の特別な列車である「JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」」を、唐津~佐世保間で運行することとなりました。
 県といたしましては、JR九州と連携した取組を推進することで、本県を訪れる観光客が、鉄路で最初に降り立つ玄関口である駅のおもてなし機能を向上させていくとともに、佐賀に居住しながら通勤又は通学するスタイルを定着させることなどにより、福岡都市圏と一体的に発展していくことを目指し、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、有田焼創業400年事業について申し上げます。
 有田焼は400年間日本の磁器の中心であり続けてきました。「挑戦なくして、伝統なし」の精神で、常に時代と向き合い、新たなものに挑戦を続けてきたからこそ生き残ってきたのであり、これはまさに奇跡と考えています。
 長い年月をかけて築き上げてきた芸術性、卓越したものづくりの技術や人材は、本県が世界に誇ることのできる本物の地域資源であり、県民の誇りです。
 創業400年という節目の年を迎えた有田焼は、次の100年、さらにその先の400年をも見据え、今もなお、新しいものづくりへの挑戦を続けており、国内外から大きな期待と関心が寄せられています。
 このため、県といたしましては、8月11日から九州陶磁文化館を会場として、「人間国宝と三右衛門」という特別企画展を開催するとともに、これまでは鑑賞するだけであった名窯の器で、食事を提供するという期間限定のレストラン「USEUM ARITA(ユージアムアリタ)」を開設し、佐賀の旬の食とともに、究極の器の素晴らしさを堪能していただいているところです。
 今後も引き続き、有田焼創業400年事業にしっかりと取り組むとともに、海外展開をはじめ事業で培ったノウハウやネットワークなどのレガシーを、有田焼をはじめとした県産品の振興のほか、観光や文化、地域づくりなどにも活用していきたいと考えています。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
  一般会計    約  29億4,500万円 
  特別会計 減額 約  17億2,400万円 
となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、 
  一般会計     約4,395億3,000万円 
  特別会計     約1,025億1,400万円 
となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 佐賀空港の使いやすさの向上につきましては、ティーウェイ航空が運航するソウル便が、空港の発展や県内の宿泊観光客の増加に大きく寄与していること、また、週5便への増便計画があることから、引き続き路線の安定と発展につなげていくため、運航経費に対する支援を継続することといたしました。また、九州佐賀国際空港の滑走路延長につきましては、その必要性や効果などの調査結果を踏まえ、滑走路延長の事業化に必要となるPI(パブリック・インボルブメント)の実施に向けた準備として、先行事例調査や有識者への意見聴取を行うことといたしました。
 地域における身近な移動手段の確保につきましては、持続可能な公共交通網の実現に向け、移動制約者だけでなく、自家用車利用者や観光客等も含めた潜在利用者の開拓と公共交通の利便性向上を図ることが重要であると考えています。このようなことから、
 ・路線検索、バスロケーションシステム構築等による「認知の向上」
 ・ICカード導入、待合環境整備等による「障害の除去」
 ・テレビCMの広報等による「きっかけの提供」
に計画的に取り組むこととし、まずは、路線検索やバス位置情報発信サービスの基礎となるバス停位置情報の調査や路線バスに導入が予定されているICカードのオリジナルデザインの制作などを行うことといたしました。
 特色ある地域文化の保存・継承と魅力発信につきましては、平成30年に明治維新150年を迎えるに当たり、明治維新150年に向けた県民の機運醸成とともに、県民の誰もが、ふるさと佐賀を誇りに思い、郷土を大切にする気持ちの醸成を図るため、幕末・維新期における佐賀藩の偉業や、県内の偉人の活躍等について、メディア等を活用した情報発信、シンポジウム・プレイベントなど、来たるべき150年に向けた関連イベントを開催することといたしました。
 スポーツの推進につきましては、平成35年に本県で開催される国民体育大会に向け、今年7月に策定した「佐賀県競技力向上基本計画」に基づき、選手の育成・強化・確保を推進するため、強化指定選手の認定を行うとともに、各競技団体における指導体制の充実を図るため、高い指導力や豊富な指導経験を有する指導者をスポーツアドバイザーとして配置することといたしました。
 「子育てし大県“さが”プロジェクト」につきましては、子どもの医療費助成事業の現物給付化に伴う広報に取り組むことといたしました。現在、子どもの医療費助成事業のうち、小学校就学後の市町単独事業は、医療機関の窓口で一旦支払った後、市町から払い戻しを受ける償還払いとなっています。これについて、市町から就学前同様、医療機関の窓口で一定額を支払う現物給付にしたいとの意向が示されていました。これを受け、県といたしまして、昨年11月に開催したGM21ミーティングにおいて、各市町の対象年齢や保護者負担額を必ずしも統一しなくても、各市町の選択により現物給付化を実施できる枠組みを作ることを提案し、これまで市町や関係機関と協議を重ねてきました。その結果、全20市町から、平成29年4月を目途に、助成方法を償還払いから現物給付に変更する方針が示されました。各市町におかれましては、市町の財政負担が伴う中、子育て支援対策として、前向きにご検討いただいたものと感じています。このため、県におきましては、市町が円滑に開始できるよう、ポスターの掲示・チラシの配布などによる広報を行い、県民に事前に十分な周知を図ることといたしました。「子育てし大県“さが”プロジェクト」につきましては、今後とも市町と一緒になって取り組んでまいります。
 産業を支える人材の確保と就職支援につきましては、昨今、少子化や雇用情勢の改善を背景に県内企業の採用活動が厳しさを増す中、高校生の段階から県内への就職意識を高めていただけるよう、学校へ企業情報の提供を行う緊急支援員の配置などを行うことといたしました。
 県産品の国内での新たな販路開拓による販売促進及び県産品の輸出促進につきましては、国内市場の縮小や国内外の産地間競争が激化する中で、農畜水産物、加工品等の県産品を、県外・海外に向けて、これまで以上に売り込んでいくため、来年度、公益財団法人佐賀県地域産業支援センター内に県産品販売支援センター(仮称)を設立し、流通販売推進体制の整備・強化を図ることといたしました。そして、そのために必要な事務所の整備、専門人材の募集等を行うことといたしました。
 また、海外で44店舗の高級レストランを展開し、高い評価を得ている日本人シェフ松久信幸氏(通称「NOBU(ノブ)」)とも連携して、県産品を使用した海外のNOBUレストランにおけるメニュー開発などに取り組み、海外への販路拡大、佐賀ブランドの確立を図っていくことといたしました。
 青年農業者確保・育成対策事業につきましては、地域や佐賀県農業を担う多様な人材の確保につなげるため、首都圏の大学生などのインターンシップを積極的に受け入れることといたしました。また、担い手の確保・育成に向けた県内の気運醸成を図るため、県内で意欲的に農業に取り組まれている青年・女性等にスポットを当てた情報発信に取り組むことといたしました。
 マーケットインによる競争力のある農産物づくりにつきましては、今年は、タマネギの「べと病」が大発生し、これまでに経験したことがない甚大な被害が生じていることを受け、「タマネギべと病」に対する緊急的な特別対策を実施することといたしました。「タマネギべと病」の防除対策を早急に確立し、速やかに現地へ普及させるため、
 ・国や他県の試験研究機関との連携
 ・防除技術の開発等の取組
 ・有効な防除対策の現地実証試験
などを実施するとともに、被害軽減を目的に地域で行う一斉防除のための薬剤の共同購入などの取組に対し、通常の補助率から嵩上げして、特別支援を行うことといたしました。
 建築物の耐震化の推進につきましては、熊本地震による県民の地震災害に対する意識の高まりを受け、住宅の耐震診断に対する支援を拡充するとともに、国の耐震改修補助制度を活用し、住宅の耐震化の促進を支援することといたしました。
 教育を支える環境の整備につきましては、学校教育ネットワークに係る情報セキュリティ対策の強化を図るため、具体的な強化対策の立案・実施にあたり情報技術面で専門性を有するコンサルタントを活用するとともに、佐賀県教育情報システム(SEI-NET)の監視機能の強化などの取組に対して、予算を措置することといたしました。
 次に、予算外議案といたしましては、条例案として、「佐賀県税条例等の一部を改正する条例(案)」など4件、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など13件、あわせて17件となっております。
 このうち、乙第55号議案「県有財産の処分の専決処分について」につきましては、長年その活用が懸案となっていた唐津市佐志浜の「虹の松原ファクトリーパーク」に、住宅用木材プレカットの分野で国内トップ企業の株式会社ポラテックの関連工場の建設が決定したことから、県有財産を処分するための専決処分を行いましたので、その承認を求める議案を提出するものです。
 この度の進出につきましては、熊本地震からの復興を支援するという思いから、九州への進出を早められ、来年5月の操業を目指し本県への進出を決めていただいたものです。これからも「志」を持つ企業にそのパートナーとして選んでいただくため、佐賀のプライドである「ものづくり人財」を育成・確保するとともに、企業の思いに寄り添った支援に努めてまいります。
 これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 最後になりますが、いよいよ平成30年に明治維新150年を迎えます。幕末期に思いを馳せますと、当時の佐賀藩は日本で最初に反射炉を築いて鉄製大砲を鋳造するとともに、実用蒸気船を建造するなど日本最先端の技術力を持っていました。そうした中で、洋式軍事訓練・洋式大砲の実射訓練を実施し、オランダ医学の伊東玄朴を登用するなど、藩をあげての近代化に取り組みました。また、佐賀藩の藩校「弘道館」におきましては、学齢期にある全ての藩士の子弟に就学義務を課すなど、人づくりにも一方ならぬ熱意を注いでいました。
 去る6月23日にNHK-BSプレミアムで放送された鍋島直正公に焦点を当てた番組「英雄たちの選択」の中では、当時の各藩の実力からしても相当高い軍事力・技術力を持った藩であり、その実力からすると、「薩長土肥」ではなく、「肥薩長土」と表現してもよいと言われていました。
 また、1867年に徳川幕府はフランス政府の招待に応じて、第2回パリ万博に参加しましたが、この時に、幕府とともに佐賀藩と薩摩藩だけが参加し、佐賀藩からは佐野常民が団長として派遣され、有田焼などが好評を博したと言われています。
 「薩長土肥」の一角として日本を動かし、時代を牽引していた藩であったこと、当時から世界に目を向けていた先進的な藩であったことなど、当時の佐賀藩の実力が窺い知れると思います。
 明治維新150年という節目の年を目前にし、「薩長土肥」の関係県が様々な取組を行い、盛り上がりを見せている今こそ、本県におきましても、「薩長土肥」と謳われていた頃の輝かしい偉業や幕末・維新期の賢人と呼ばれる人たちの偉大な功績に光を当てるなど、郷土「肥前」を顕彰すべき時であると考えています。そして、このことが佐賀の再興・活性化につながると確信しています。
 このため、輝かしい歴史や文化を「再興」したいという願いを込めて様々な取組を展開することにより、子どもたちをはじめ県民の方々が郷土を誇りに思い、自信を持ち、心から「佐賀さいこう!」と言えるような、県にしていきたいと考えています。
 以上、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

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