平成29年9月定例会 知事提案事項説明要旨
本日、平成29年9月定例県議会の開会にあたり、提案いたしました平成29年度補正予算案及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
まず、9月3日に北朝鮮による6度目の核実験が実施されました。国際社会の平和と安全を著しく損なう暴挙であり、強く非難いたします。
次に、提案事項の説明に入ります前に、九州北部豪雨災害への対応、当面の諸課題への対処方針及び最近の県政の主な動きについて申し上げます。
去る7月5日から6日にかけて発生した平成29年7月九州北部豪雨では、大雨による河川の氾濫や土石流の発生により、福岡県及び大分県において、37名の方が犠牲となられ、今なお4名の方が行方不明となられております。また、家屋の全壊・半壊、道路や河川の損壊、農地の崩壊など甚大な被害が発生しております。
このたび犠牲となられた皆様に対し、謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。私といたしましては、一刻も早く、復旧・復興が進み、被災者の方々が落ち着いた生活を取り戻されるよう、支援を行ってまいります。
本県におきましては、人的被害はなかったものの、農地、農業用施設、公共土木施設などに被害が発生しており、関係市町と緊密に連携し、被災箇所の早期復旧に尽力してまいります。
また、有明海沿岸には、今回の豪雨により、近年にない大量の木材等が漂流・漂着しました。大切な海である有明海を全力で守るという決意のもと、ノリ養殖をはじめとする漁業、自然環境、海岸などへの影響を最小限に食い止めるため、国、市町、漁業者と力を合わせて、流木等を速やかに撤去いたしました。今後も、監視を継続し、必要な対策を講じてまいります。
森は川を通じて海とつながっており、有明海の水産資源も森の恩恵を受けています。私は県民の皆様に「森・川・海はひとつ」を提唱し、大切な海である有明海を守るため、森や川を一体とした保全・整備の推進を、先頭に立って全力で取り組んでまいります。
続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
まず、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
これまでの防衛省による有明海漁協や地権者を対象とした説明会などでのやり取りを通じて、有明海漁協の漁業者が、諫早湾干拓事業など、有明海周辺における国の公共事業に対する強い不信感や有明海の様々な環境変化による将来への不安感を抱かれていることをお聞きし、大変重く受け止めているところです。
県といたしましては、漁業者の国に対する不信感が払拭され、信頼関係が構築されるよう、
・有明海漁協の漁業者としっかりと対話し、その思いを聴くこと
・漁業者の思いなどを国に伝え、必要な対応を求めていくこと
に全力で取り組むこととしています。
具体的には、7月25日から31日にかけ漁業者の忌憚のない御意見や率直な思いをお聴きするため、有明海漁協の西部地区、中部地区、東部地区、大浦支所及び南川副支所と、副知事をトップとした意見交換会を開催いたしました。
意見交換会では、
・諫早湾干拓問題を何とかしてほしい
・宝の海だった頃の有明海を返してほしい
など、これまでの国の対応に対する不満の声が多かったとの報告を受けており、漁業者の国に対する不信感はいまだ払拭されていないことを改めて感じています。
今回の意見交換会でいただいた漁業者の御意見や思いにつきましては、早速、国に届けるとともに、それを受けた必要な対応を求め、国と鋭意協議を進めているところであり、今後とも、漁業者としっかりと対話を続けていくこととしています。
こうした中、8月5日にはオーストラリア東海岸沖で米海兵隊普天間基地所属のオスプレイ1機が訓練中に海に落下するという重大な事故が発生しました。米軍のオスプレイについては、昨年12月の沖縄県名護市沖での不時着水による機体の大破という事故から1年も経たないうちに再び大きな事故が発生したことは、県民の不安を増大させるものと厳しく受け止めざるを得ません。このため、8月7日には防衛省に対し、
・徹底して事故原因を究明し情報を開示すること
・県民に対し、事故に係る調査結果について、説明責任をしっかりと果たすこと
を文書で申し入れました。さらに、8月29日には米軍のオスプレイ1機が大分空港に緊急着陸するという事案も発生しました。
このうち、沖縄県での事故に関し、昨日、防衛省から、
・米国政府から日本政府に対し、最終事故報告書が提供されたこと
・今回の報告書に対する防衛省としての評価、見解については、まとまり次第改めて説明すること
を報告されたところです。
いずれにいたしましても、オスプレイの安全性は極めて重要であることから、防衛省からの説明を聴取し、しっかりと確認したいと考えています。
次に、有明海の再生について申し上げます。
去る8月31日に公表された国の来年度予算概算要求において、開門に関する予算要求は見送られました。国に対しては、これまで漁業者の信頼を回復する取組を要請していただけに、大変遺憾に思います。国には、責任を持って有明海における環境変化の原因究明、有明海の再生にしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。
8月28日には長谷水産庁長官と面談し、有明海の現状や玄海の漁業者の方々の窮状を伝えるとともに、早期に齋藤農林水産大臣に来佐いただきたいと要請いたしました。この要請を受け、大臣からは来佐する意向が示され、日程等の調整を行っているところです。大臣には、一緒に船に乗って、漁業者が肌で感じている有明海の環境変化や水産資源の減少など厳しい現状をきちんと受け止めるとともに、
・漁業の将来が見通せない中、後継者も育たない
・有明海を再生してほしい、宝の海を返してほしい
など、漁業者の生の声を直接聴いていただきたいと考えています。
また、これまで資源回復に取り組んできましたアゲマキ、ウミタケ、アサリにつきましては、回復の兆しが見えてきたことから、この機を逃がさないよう、今回の9月補正予算案におきまして、有明海再生緊急対策を講ずることといたしました。まずは漁獲を再開し、安定的かつ持続的なものとすること、さらには漁獲量を増加させることを目指してまいります。これに加え、有明水産振興センターにおける品質評価試験のための乾ノリ製造施設を更新することにより、佐賀海苔ならではの「口溶け」、「うまみ」など世界に誇る品質の更なる向上、ひいては、単価の向上につなげてまいります。
有明海の漁業者にとって、水産資源の回復は待ったなしの状況にあります。漁業者をはじめとする有明海の水産に携わる全ての関係者が、有明海を再生するため、一丸となって取り組まれている中、県といたしましては、様々な取組をより加速させ、関係者が水産資源の回復や、将来に向けた人材育成などを実感していただけるよう、その責務をしっかりと果たしてまいります。
今後とも、宝の海である有明海を再生するため、関係者の声を聴きながら、時機を逃さず、全力で取り組んでまいります。
次に、九州新幹線西九州ルート整備について申し上げます。
去る7月14日にフリーゲージトレインの技術開発状況について評価を行う軌間可変技術評価委員会が開催され、車軸の摩耗対策、高速走行安定性及び経済性の検討について評価がなされたところです。この評価結果については、同日に開催された与党整備新幹線建設促進プロジェクトチーム九州新幹線西九州ルート検討委員会に報告され、今後の整備方針について議論されることとなりました。
7月28日に開催された検討委員会では、本県からの意見を求められたことから、
・6者合意で決定した平成34年度のリレー方式での開業及び武雄温泉~肥前山口間の全線複線化を確実に実現していただきたいこと
・西九州ルート整備に対しては、関西・中国方面からの流入効果を期待し、費用を負担していることから、「人の流れ」が実現できるような議論を行っていただきたいこと
・フル規格で整備する場合、本県の実質負担は約800億円を超えることとなり、多額の負担を将来世代に残すことは到底できないこと
などを、私から訴えたところです。
今後、与党検討委員会において、西九州ルートの整備方針について議論が進められるものと認識しており、国などからの情報収集に努め、その議論を注視してまいります。
次に、原子力発電について申し上げます。
去る4月19日に玄海原子力発電所1号機の廃止措置計画が認可され、7月12日に事前了解をいたしました。その際、九州電力に対し、関係法令等を遵守し、安全を第一とした作業の実施に努めることや、地元との連絡調整をしっかりと行うことなどを要請いたしました。
また、3号機につきましては、8月25日に施設・設備の詳細設計が記載された工事計画が認可され、現在、現地において施設・設備を実際に検査する「使用前検査」が行われているところです。さらに、九州電力では、これらの法令に基づく手続と併せて、特別点検の実施や、新たな地震観測装置の設置、UPZ圏内自治体への福祉車両の追加配備など、更なる安心につながるための取組を実施しているところです。
高レベル放射性廃棄物の最終処分につきましては、7月28日に活断層などの地層処分に関係する科学的特性を整理した「科学的特性マップ」が公表され、国において、全国各地できめ細やかな国民との対話活動を行うとされています。高レベル放射性廃棄物は、国が前面に立って最終処分に向けた取組を進めるとされていることから、国の責任においてしっかりと進めていただきたいと考えており、県といたしましては、今後とも国の動向を注視してまいります。
原子力防災につきましては、9月3日及び4日に国や玄海町、唐津市、伊万里市などの関係機関と合同で、原子力防災訓練を実施いたしました。
これに先立ち、8月30日には原子力防災を担当する中川内閣府特命担当大臣、伊藤内閣府副大臣が来佐し、玄海地域の原子力防災の現状を視察され、「原子力防災訓練を踏まえ、避難計画の改善、原子力防災対策の一層の充実に努める」と発言されたところです。
今回の訓練におきましては、当日実施された北朝鮮による核実験に伴い、急遽安倍総理大臣の参加が見送られたものの、代わりに中川大臣が緊急事態宣言を行うなどの臨機応変な対応により、概ね予定した内容が実施できました。また、原子力災害が発生した場合に実際にオフサイトセンターで指揮を執る伊藤副大臣が参加し、原子力防災会議で了承された玄海地域の緊急時対応に基づく国との連携について検証するとともに、離島における訓練を実施するなど、有意義なものとなりました。
県といたしましては、訓練の成果、課題をしっかりと検証し、原子力災害対策をより実効性あるものとするため、引き続き、不断の見直しを行ってまいります。
玄海原子力発電所につきましては、廃止措置を含め、これからも非常に長い年月にわたり関わり続けなければなりません。県といたしましては、引き続き国と事業者に対し、事故発生への備えをはじめ、徹底した安全対策を講ずるよう求めていくなど、何よりも県民の安全を大切に、これからも原子力発電所と真摯に向き合ってまいります。
次に、城原川ダム事業について申し上げます。
城原川ダム事業の推進につきましては、昨年7月のダム検証による事業継続の決定以降、早期建設という地元の思いを受け、これまで期成会などと連携し、国に早期着工を働きかけてまいりました。今回、このような取組が実を結び、国の来年度予算概算要求において、城原川ダム事業を建設段階に移行することが盛り込まれ、ダム建設の実現に向け、更に前進することとなりました。今後とも、必要な予算の確保や、より一層の事業推進を、しっかりと国に働きかけてまいります。
次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定及び日EU経済連携協定(EPA)について申し上げます。
TPPにつきましては、現在、米国を除く11か国において、11月に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に向け、調整が行われているところです。
また、日EU・EPA交渉につきましては、4年に及ぶ交渉の結果、7月6日に開催された定期首脳協議において、大枠合意が表明されました。本県の農林水産業への影響が懸念されることから、翌7月7日には「佐賀県TPP・日欧EPA等経済連携協定対策本部」を開催いたしました。
TPP及びEPAにつきましては、引き続き国などから情報を収集するとともに、県内の様々な声や関係団体の意見を聴きながら、農林水産業をはじめとする地域産業が持続的に発展していけるよう、適宜必要な対応を行ってまいります。
次に、九州佐賀国際空港について申し上げます。
九州佐賀国際空港利用者数につきましては、国内線、国際線とも順調に推移しており、今年8月には平成10年の開港以来、月間利用者数が過去最高となる約8万3千人を記録しました。また、今年度8月末までの累計利用者数も、昨年度の同時期と比較して約7万5千人上回り、過去最高の約32万6千人となっているところです。
このような中、7月4日には訪日外国人旅行者数4千万人の達成に向けて国際線の受入れを強化する地方空港「訪日誘客支援空港」に認定されるとともに、国から最も手厚い支援が受けられる空港のカテゴリーに位置付けられました。
県といたしましては、この認定を契機に、国内外のハブ空港との路線充実、空港の利用促進に更に取り組み、LCCの拠点空港化を実現し、九州におけるゲートウェイ空港として発展させてまいります。
次に、明治維新150年事業について申し上げます。
いよいよ「肥前さが幕末維新博覧会」の開幕まで半年余りとなりました。
メイン館となる「幕末維新記念館」では、当時の佐賀の偉業や先人の活躍をドラマチックに紹介し、来館者の心を震わせる体験ができる館といたします。
また、観光客にも楽しんでいただけるよう、佐賀城公園エリアにあるレストラン「佐賀レトロ館」では、究極の器で一流のシェフの料理を楽しむことができる「ユージアム サガ」を展開するほか、県立美術館では、魅力的な現代アートの特別企画展なども開催することとしています。
これらに加え、9月補正予算案におきましては、未来志向の事業として、オランダとの交流を更に深めるため、オランダと佐賀のクリエイターによるデザインや水辺、食などをテーマとしたコラボレーションを展開する「オランダハウス」を設置することや、明治維新150年を契機とした産業・土木分野の特別企画展などを開催することに必要な予算を計上し、博覧会事業のラインナップが概ね出揃ったところです。
また、唐津市及び鳥栖市に設置するサテライト館の展開とともに、市町における取組も具体化してきており、博覧会は県内全域・県民総参加型という姿に近づいています。
「肥前さが幕末維新博覧会」につきましては、明治維新150年という記念すべき年に、「その時、佐賀は世界を見ていた。」「今、佐賀は未来を見ている。」をコンセプトに佐賀の「技」及び「人」を顕彰することにより、県民が郷土への誇りと自信を持つこと、そしてこれらを土台に築いた「志」を今に活かし、未来につないでいくことを目指しています。
そして、博覧会後に、全国高等学校総合文化祭の本県開催、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、九州新幹線西九州ルートの暫定開業、そして国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の本県開催と、佐賀を国内外にアピールできる大きなイベントが続きます。博覧会を通じ、県民一人一人に醸成された佐賀への誇りや愛着、そして自信を基盤として、これらのイベントを最大限に活用し、本県の発展につなげてまいります。
続きまして、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
まず、県民の命を守るための取組について申し上げます。
本県は、人口10万人あたりの人身交通事故発生件数が5年連続全国ワーストワンとなっております。本年は、件数こそ減少しているものの、死亡事故が相次いで発生しています。
このような中、県民の命を守るという強い想いのもと、8月8日の定例記者会見において、中央分離帯がない4車線道路における二重右折の危険性を訴え、事故抑止効果等を検証するための中央分離帯の設置や交通規制の在り方を県民の皆様と考えていくことを提唱いたしました。また、連続して痛ましい死亡事故が発生したことを重く受け止め、「交通死亡事故撲滅緊急宣言」を行い、改めて県民の皆様に交通ルールの遵守を強く呼びかけるとともに、死亡事故の撲滅に向けた決意を表明したところです。
私といたしましては、県民一人一人が命と真摯に向き合い、お互いに命を守ることを意識して行動することを、県民運動として展開していきたいと考えています。そして、「守れる命を守りたい」との強い信念のもと、ワーストワンからの脱却はもとより、死亡事故撲滅に向け、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。
また、本県では、乳がん及び子宮がんによる死亡率が高い傾向にありながら、これらの女性特有のがんにおける検診受診率は35%程度となっています。さらに、男性と比較しても、検診受診率は総じて低く、特に、胃がんでは約7ポイントも低い状況にあります。このため、今年度から、「ほっとかないで、ほっとしよう。」をキャッチフレーズに、女性のがん検診受診を促進する取組を強化しています。8月からは、夫婦、親子、友人同士で誘い合うことで検診受診につなげる「ペアde検診キャンペーン」をスタートしました。これを契機として、一人でも多くの女性や県民の方々が、自身のため、そして家族のためにがん検診を受けていただきたいと考えています。さらに、毎年9月の「がん征圧月間」に、患者支援チャリティイベント「リレー・フォー・ライフ」を開催しており、がんサバイバーとして私も参加することとしています。
今後とも様々な機会を捉え、がん検診受診を呼びかけ、県民をがんから守り、がんになっても社会全体で支え、これまでと変わらずに暮らすことができる佐賀県づくりのため、これからも全力で取り組んでまいります。
次に、伊万里港の振興について申し上げます。
これまで県、伊万里市、地元港湾関係企業で構成する「伊万里港振興会」を中心に、官民一体となって、新規荷主の獲得、航路誘致、海外ポートセールスなどに取り組んでまいりました。これらの取組により、本年7月には伊万里港と釜山港とを結ぶ国際定期コンテナ航路の週4便化が実現し、2年連続での増便となりました。
今年、伊万里港は開港50周年、国際コンテナターミナル開設20周年を迎えました。今後とも、伊万里港における取扱貨物を増加させていくとともに、対アジア貿易の拠点となることを目指し、伊万里港の振興にしっかりと取り組んでまいります。
次に、「子育てし大県“さが”プロジェクト」について申し上げます。
去る7月21日から、子どもたち、保護者・妊婦の方々の外出、通院等を交通環境の面からサポートする「子育てタクシー」の運行を開始いたしました。すでに、県内ほぼ全域において利用可能となっており、県単位での取組は全国で初めてとなります。また、保育所や放課後児童クラブへのお迎えの代行など、佐賀県オリジナルメニューを用意し、より利用しやすい環境を整備しています。
さらに、「子育てタクシー」を活用し、双子や三つ子など多胎児を妊娠されている方や育児をされる方々に対しても、外出支援を行うことといたしました。
これからも、県内外の皆様に「佐賀県で子育てをしたい」と思っていただけるよう、出産・育児はもとより、交通・住宅環境など様々な観点からの支援に取り組み、「子育てし大県“さが”プロジェクト」を強力に推進してまいります。
次に、情報発信・誘客対策としての様々な取組について申し上げます。
まず、歴史があり趣のある景観や広大な田園風景などの魅力を備える佐賀平野を360度眺望できる県庁展望ホール「SAGA360」において、佐賀の美しい夜景をキャンバスにプロジェクションマッピングで絵を描く「アート県庁プロジェクト・星空のすいぞくかん」を開催しています。フロアー全体にアート作品を展開することで、更に楽しく、堪能できる空間となっており、佐賀に宿泊する外国人旅行者をはじめとし、県内外からこれまで7万人を超える方々が来場されているところです。
佐賀商工会議所青年部と連携したクーポン付飲食ガイドブック「さがオトナ飯」も組み合わせながら、「SAGA 360」は、人々が佐賀の夜街を回遊し、それぞれの幸せに巡り合えるきっかけ「夢のエントランス」となることを目指してまいります。
また、8月9日から9月22日まで、地方創生プロジェクト「サガプライズ! 」における情報発信の一環として、日本で最も予約が取れないと言われる会員制餃子レストラン「蔓餃苑」とのコラボレーションにより、ムツゴロウやワラスボなど有明海特有の魚にこだわった餃子レストラン「珍魚苑」を東京でオープンしています。
さらにこれに加え、カルビーとの共同企画により、佐賀ならではの新しいポテトチップス「佐賀のり味」が誕生しました。世界に誇る佐賀海苔を贅沢に使用することで、佐賀海苔を視覚や味覚で感じられる仕上がりとなっています。
日本一の干潟を有する有明海だけが持つ魅力を、食の感度が高い方々などを通して、多くの皆様に発信しています。
このほか、昨年、朝ごはんをテーマに、本県出身のタレント等が熱演した「あさご藩」動画が、多くの評価をいただきました。今回、「あさご藩」動画の番外編として、実際に県産食材を使った朝ごはんを作って食べてもらう「TRY!(作る)」と「EAT!(食べる)」をテーマとした動画を配信し、県産品に対する県民の誇りや愛着を高めていくとともに、質の高い県産品の更なる情報発信に取り組んでいるところです。
佐賀には、豊かな自然、食、ものづくりなど世界に誇れる本物の地域資源があります。私といたしましては、これらが持つ本物の魅力を大切にしながら、それを活かすトレンドを掛け合わせた情報発信や誘客対策などに取り組み、新たな佐賀ファンを開拓してまいります。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約 36億9,300万円
特別会計 約 8億7,500万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約4,418億8,700万円
特別会計 約1,112億7,200万円
となっております。
次に、予算案の主な内容について、ご説明申し上げます。
先にご説明した事業に加えて、まず、明治維新150年を契機とした佐賀の再興につきましては、「肥前さが幕末維新博覧会」の開催について、県外、特に北部九州エリアにおける認知度を向上させ集客を促進するため広報プロモーションを実施することといたしました。
また、県立博物館・美術館におきましては、
・佐賀県出身の池田学氏、葉山有樹氏、八谷和彦氏による3人展、吉岡徳仁氏による個展
・県内企業のものづくり技術を紹介し、最先端のものづくり技術を体験できる企画展
・佐賀の土木遺産、土木技術、土木に携わる方々をテーマとして、有識者とクリエイターがコラボレーションする体験型の企画展
を開催することといたしました。
さらに、県外からの観光客の皆様が、博覧会はもとより県内の観光地を周遊することで佐賀の魅力を体感し、リピーターとして佐賀を訪れてもらえるよう、博覧会を組み込んだ旅行商品を企画する旅行会社に対し支援するとともに、高速道路を利用する個人観光客向けのプロモーションを実施することといたしました。
防災体制の整備につきましては、消防防災ヘリコプターの導入に向け、運航体制や運航基地の整備などを検討することといたしました。
佐賀を誇りに思う教育の推進につきましては、生徒が居住する地域に加え、佐賀県の偉人や歴史、文化等を学び、ふるさと佐賀を誇りに思う心の醸成を図るため、中学生が共通して活用できる郷土学習資料を作成し、県内の全中学生に配布することといたしました。
次に、予算外議案といたしましては、条例議案として、「佐賀県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例(案)」など6件、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など8件、合わせて14件となっております。
その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載していますので、説明を省略させていただきます。
最後になりますが、この夏は、佐賀県にゆかりのある方々が様々な分野で光輝きました。まず、7月に開催された聴覚障害者による国際総合スポーツ大会「デフリンピック」では、水泳の金持義和選手が全出場種目でメダル7個を、自転車の簑原由加利選手が銅メダルを獲得されました。
これらのトップアスリートによる素晴らしい成績に加え、「世界カデ柔道選手権大会」では、佐賀工業高校の近藤隼斗選手が銅メダルを獲得、「全国高等学校総合体育大会新体操男子団体」では、神埼清明高校が優勝、「全国中学校体育大会剣道女子団体」では、大和中学校が優勝、「日本クラブユースサッカー選手権大会」では、サガン鳥栖U-15が初優勝するなど、中高生の躍進も著しく、佐賀のスポーツの将来に夢や希望が持てることを実感しました。
佐賀のスポーツ選手の活躍は、県民に深い感動を与えるとともに、一人一人の佐賀人としての血を掻き立て、選手はもとより、ふるさと佐賀を誇りに思うことにつながりました。これからも、ふるさと佐賀を胸に活躍する皆様を全力で応援してまいります。
また、7月14日にはふるさと佐賀に熱い想いを持つクリエイターなどが集結し、自由に佐賀起こしのアイデアを提案する「勝手にプレゼンFES」が開催され、斬新な提案をいただきました。
さらに、高校生などが未来の佐賀を創造する企画を提案するプレゼンテーション大会「佐賀さいこう!企画甲子園」の記念すべき第1回を開催し、生徒たちの熱気で溢れ返りました。県内の高校や専修学校、県外からも柳川高校が参加しました。総勢186人57チームが切磋琢磨し、その中から選抜された8チームは合宿を行い、企画内容を磨き上げ、8月24日に開催したコンテストでは、躍動感に溢れたプレゼンテーションが行われた結果、白石高校が金メダルを獲得しました。生徒たちから迸る情熱は、次代の佐賀を創るうねりとなることを予感させるものでした。企画甲子園を通して、郷土への誇りや自信が醸成され、「佐賀さいこう!」という想いが芽吹いたところです。
山口県政の中心は「人」、これからも「人」を大切に、佐賀の未来に向け、志を持ち世界に通ずる「人」を育むとともに、葉隠の一節「何事も成らぬといふ事なし。一念起こると、天地をも思ひほがすものなり。」の言葉にあるように、佐賀をクリエイティブな人材が自由に提案や活動ができる聖地とし、固定観念にとらわれない自由な発想や、何かを成し遂げたいという志を持つ、佐賀を愛する仲間とともに、新しい時代を切り拓いてまいります。
以上、九州北部豪雨災害への対応、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。