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令和元年11月定例会 知事提案事項説明要旨

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令和元年11月定例会 知事提案事項説明要旨

 本日、平成28年11月定例県議会の開会にあたり、去る10月27日の三笠宮崇仁親王殿下の御薨去を悼み、ここに、県民の皆様とともに心から哀悼の意を表します。
 それでは、提案いたしました平成28年度補正予算案及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 提案事項の説明に入ります前に、当面の諸課題への対処方針及び最近の県政の主な動きなどについて申し上げます。
 まず、10月31日に本県を代表する秋季例大祭である「唐津くんちの曳山行事」が、「山・鉾・屋台行事」として、ユネスコ無形文化遺産代表一覧表への「記載」を勧告されました。
 これは、地元への愛着と情熱を持った「唐津っ子」の皆様の、「くんち」と「曳山」を江戸時代から連綿とつなぎ守ってきたという努力が、高く評価されたものであり、先人達をはじめ関係者の方々に深く敬意を表しますとともに、喜びを分かち合いたいと思います。
今年の「唐津くんち」は、この無形文化遺産の登録内定も追い風となり、唐津の街が県内外から訪れた55万人の観光客であふれ、大いに盛り上がりました。
 また、同時期に佐賀市では、本県の一大イベントとして定着した熱気球大会が開催されました。今年の大会は、19年ぶりの世界選手権大会だったこともあり、過去最高の131万人の人出でにぎわうとともに、一般家庭でのホームステイなどを通じて、様々な国から訪れた外国の方々と草の根の交流も行われたところです。広大な佐賀平野の空に多数のバルーンが飛行する光景は壮観で、県内外からの多くの観光客を魅了しました。
県といたしましては、県民の方々が大切に育んでこられた、本県ならではの「本物」の資源を積極的に情報発信し、誘客や交流などにつなげられるよう尽力してまいります。
 今秋は、佐賀県民や佐賀にゆかりのある方々の努力が実を結びました。
 文化芸術の分野におきましては、武雄市出身の中野三敏九州大学名誉教授が、多年にわたる日本近世文学の研究成果について高い評価を受け、平成28年度文化勲章を受章されました。
 この度の受章は、佐賀県出身者として、5人目の快挙であり、県民の皆様とともに、心からお祝い申し上げます。
 スポーツの分野におきましては、鳥栖高校OBの緒方孝市監督率いる広島東洋カープが、25年振りにセントラルリーグで優勝し、日本シリーズ出場を果たされました。惜しくも日本一にはあと一歩届きませんでしたが、自前の選手を育成し、開花させる手腕は見事なものでした。
 来季からは佐賀東高校OBの辻発彦氏が埼玉西武ライオンズの監督に就任されることとなり、交流戦における同郷監督の対戦という、新たな楽しみが増えたところです。
 岩手県で開催された第71回国民体育大会におきましては、セーリングで宮口悠大選手・岡田奎樹選手のペアが見事1位に輝かれました。また、女子バレーで久光製薬スプリングス、ライフル射撃で林晃輝選手、ボートで國元悠衣選手・小松倫子選手のペアが、各出場種目・種別において2位という成績を収められました。そして、全国障害者スポーツ大会におきましては、85歳の鶴田二郎選手がフライングディスク競技で金メダルを獲得されたのをはじめ、金銀銅合わせて25個のメダルを獲得されるなど、本県選手が活躍されました。
 産業の分野におきましては、山形県で開催された第54回技能五輪全国大会において、電工職種の井上大樹選手が栄えある金賞を、同じく電工職種の井上颯選手が銅賞を受賞されました。金賞に輝かれた井上大樹選手は、来年10月にアラブ首長国連邦で開催される技能五輪国際大会の日本代表として出場されます。世界の舞台における活躍を期待したいと思います。
 県といたしましては、様々な分野における「人づくり」にしっかりと取り組み、全国、そして世界で活躍する人材を育ててまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 防衛省は、7月29日に佐賀市川副町で九州防衛局による地元説明会を開催された後、9月10日から10月15日にかけて川副町の4校区及び東与賀町において住民説明会を開催されるとともに、10月11日には、施設整備の計画地やその周辺地の地権者が所属する有明海漁協4支所の運営委員長及び運営委員を対象とした説明会を開催されました。今後は、地権者を対象とした説明会の開催も検討されています。
 これまでの説明会では、様々な質問や意見が出されましたが、厳しい意見が多かったとの報告を受けています。
 加えて、11月14日には、九州防衛局から、初めてJAさがの代表者に対し、計画を説明されたところです。
 防衛省には、質問や意見に対する回答も含めて、今後とも懇切丁寧な対応をしていただきたいと考えています。
 また、有明海漁協は、8月26日に九州防衛局に発出していた質問・照会文書に対する回答を、10月18日に受理されました。現在、有明海漁協において、回答内容の確認作業が進められています。
 一方、県では、九州防衛局長あてに発出していた4回目の質問・照会文書のうち、未回答であった生活・環境への影響に関する10項目について、11月18日に回答を受けたところであり、現在、その回答内容について、精査・確認作業を行っています。
 さらに、防衛省は、11月8日に、私から直接稲田防衛大臣に要請していたオスプレイによるデモフライトを九州佐賀国際空港周辺において実施されました。私は、空港に一番近い集落である地元川副町西干拓地区と、漁業者の仕事場である有明海海上において、オスプレイが発する音を体感しました。現地においてデモフライトを体感された方々の様々なご意見やご感想もお聴きしながら、今後の議論・検討にしっかりとつなげていきたいと考えています。
 なお、10月13日に行われた参議院予算委員会において、安倍総理が沖縄の米軍基地負担軽減に関して佐賀空港に言及されたことについて、菅官房長官が「沖縄の負担を全国で分かち合うとの認識を前提として、一つの例示を述べたもの」と説明されたことは承知していますが、発言内容に鑑み、今回の発言の真意について、総理ご自身に確認したいと考えています。
 佐賀空港の自衛隊使用要請につきましては、計画の全体像・将来像の明確化のための精査・確認作業、防衛省が実施した住民説明会やデモフライトの状況、さらには、佐賀市、有明海漁協、JAさがにおける今後の議論の状況なども踏まえ、論点を洗い出すこととしており、それらの論点について議論、整理を行った上で、県議会のご意見を踏まえ、しかるべき時期に、後世にきちんと説明ができるような判断をしたいと考えています。
 次に、エネルギー政策及び原子力発電について申し上げます。
 まず、この課題に対する私の基本認識について、改めて申し上げます。原子力発電は、その依存度を可能な限り低減し、再生可能エネルギーの導入などを積極的に推進していくべきであると考えています。
 しかしながら、再生可能エネルギーにつきましては、現状において、安定供給面、コスト面などで様々な課題があり、また、火力発電についても、環境への負荷や燃料の多くを海外からの輸入に依存していかなければならないという問題があります。
 こうした状況の下、原子力規制委員会において規制基準が求める安全性が確認され、住民の理解が得られた場合には、再稼働はやむを得ないものと考えています。
 原子力発電につきましては、県民の安全が最も大事なことであることから、稼働している、稼働していないに関わらず、県として現に存在している玄海原子力発電所と真摯に向き合い、国や事業者の動向を注視しながら、対処していかなければならないと考えています。
 玄海原子力発電所3、4号機につきましては、11月9日に原子力規制委員会から規制基準適合性審査結果について取りまとめられた審査書案が公表され、現在、パブリックコメントが実施されているところです。
 こうした中、先の9月定例県議会において検討すると申し上げていた玄海原子力発電所の再稼働に関する新たな委員会につきましては、県内各界の代表者や学識経験者の方々を委員とし、玄海原子力発電所の再稼働に関して、様々な観点からの意見や専門的なアドバイスをいただくことなどを目的とした「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」を設置するという骨子案を、11月14日に公表したところです。
 本委員会につきましては、原子力規制委員会から出される設置変更許可の前後には設置したいと考えています。
 いずれにいたしましても、常々申し上げているとおり、原子力発電所は安全性が確認されることが大前提であることから、引き続き国や事業者の安全に対する取組を注視していくとともに、審査後の手続に係る対応につきましては、原子炉の設置変更許可が出て国から相談があった段階で、まず国の考えをしっかりと確認し、その上で、先行する事例における関係者の対応状況も参考にしながら、県としての考え方を整理し、県として申し上げるべきことは申し上げていきたいと考えています。
 また、原子力災害対策につきましては、11月22日に内閣府をはじめとする国の関係機関及び佐賀、長崎、福岡の3県により構成される「玄海地域原子力防災協議会」が開催され、3県と玄海地域の関係市町の地域防災計画や国の緊急時における対応を取りまとめた「玄海地域の緊急時対応」について審議されました。今後、協議会における確認結果について、総理が議長である「原子力防災会議」に報告し、了承を求められることとなります。
 原子力災害対策は、これで完成ということはありません。今後も、考えられる様々な事態を想定し、具体的な対策を考え、それに対応する訓練を行うことにより、課題を洗い出し、より実効性のある対策となるよう不断の見直しを行ってまいります。
 今後とも、原子力発電につきましては、国と事業者に対し、徹底した安全対策を講じるよう求めるとともに、県といたしましても、原子力災害対策をしっかりと講じてまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓地潮受堤防排水門の開門調査につきましては、国、開門を求める漁業者及び開門差し止めを求める干拓地農業者等による和解協議が行われています。
 このような中、11月1日の和解協議におきましては、長崎地裁から、国の提案した有明海振興基金(仮称)の話合いについて、年度内を期限とするということが示されたところです。
 県といたしましては、和解協議の状況を注視しているところですが、漁業者にとって水産資源の回復は待ったなしの問題であることから、10月20日のGM21による国への提案活動に合わせて、山本農林水産大臣に直接面談し、有明海再生の早期実現について、
 ・漁家経営の安定に向けて、漁業者が水産資源の回復を実感できるような取組を一層推進すること
 ・有明海の環境変化の原因究明のための一つとして福岡高裁の確定判決に基づき、万全の対策を行った上で開門調査を早期に実施すること
 ・漁業者が安心してノリ生産に取り組めるよう諫早湾干拓調整池からの排水について、こまめな排水を継続して行うこと
を要請しました。
 これからも、国や有明海沿岸の3県と連携を図りながら、宝の海である有明海の再生に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルート整備について申し上げます。
 今年3月、フリーゲージトレインによる全線開業を目指すことを前提に、関係者間において、武雄温泉駅での対面乗換方式による暫定開業が合意されました。
 フリーゲージトレインにつきましては、国において、不具合対策の検証試験が行われてきました。このような中、11月18日に技術開発に関する評価を行う「軌間可変技術評価委員会」が開催され、これまで実施された室内試験では、耐久走行試験に移行する条件が満たされていないことから、検証走行試験等を実施した上で、来年初夏をめどに改めて評価し、耐久走行試験を再開したい、とされたところです。
 検証試験が順調に進み、耐久走行試験が再開されることを期待していたことから、この結果は非常に残念に思います。
 国は、この半年の遅れによって、開業までのスケジュールに変更がないよう取り組むと説明されていますが、西九州ルートの開業に影響が出ないように、しっかりとフリーゲージトレインの開発を進めていただくことを、国に求めてまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業につきましては、知事就任早々に現場に出向き、国に早期の方針決定を訴え、今年7月に方針が決定されました。その後、10月20日に国に対し、ダム建設を早急に進めていただくよう要請したところですが、今後とも、しっかりと国に早期着工を働きかけてまいります。
 次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
 TPP協定につきましては、現在開会中の臨時国会において、TPP協定承認案、関連法案が11月10日に衆議院を通過し、参議院で審議されているところです。
 こうした中、アメリカ合衆国大統領選挙が行われ、TPP協定からの離脱を主張しているトランプ候補が大統領に就任することとなり、TPP協定に対する先行きの不透明感が高まっています。
 安倍総理は、協定発効の可能性について、大変厳しい状況になってきたとの認識を示される一方で、TPP推進の方針は変わらないことを明確にされ、11月21日に開催されたAPEC首脳会議においても、TPPの重要性を訴えられました。
 TPPが目指す自由貿易の下では、例えば、本県に関しては、有田焼、日本酒、自動車部品などの輸出拡大が期待できる一方、農業などへの影響が大変心配されます。
 県といたしましては、今臨時国会が始まってからも、機会を捉えて行動しており、9月28日に私が本部長を務めるTPP対策本部会議を開催するとともに、10月20日に直接山本農林水産大臣に対し、TPPについて、
 ・骨太で、地域の実情を踏まえた審議を行うこと
 ・地方にとっても重要な農林水産業については、国において万全の措置を講ずること
を、緊急に要請しました。
 県内には農業者を中心に、依然として不安や懸念の声があることから、引き続き、
 ・県民の様々な思いに寄り添い対応していくこと
 ・農業の改革を進めるに当たっては、現場本位であること
が大事であると考えています。
 いずれにいたしましても、今後も引き続き、政府やアメリカ合衆国などの動向をしっかりと注視しつつ、TPP対策本部において、情報収集や対応策の検討などを行うとともに、県内の様々な声や関係団体の意見をお聴きしながら、適宜必要な対応を行ってまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
 まず、国体スポーツ施設整備に係る取組について申し上げます。
 平成35年に本県において開催を予定している国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を控え、今年5月に「佐賀県総合運動場等整備基本計画検討委員会」を設置し、県総合運動場・総合体育館エリアの施設整備計画について議論してきたところですが、11月16日に検討委員会から施設整備に係る提言書が提出され、さらに、11月22日に各種スポーツの競技団体等から要望書が提出されました。
 これらの提言書等を踏まえ、今回の整備に当たっては、国体の開催基準を満たすだけでなく、このエリアが「スポーツレガシーエリア」として、「県民の夢や感動」を生み出す「県内スポーツの一大拠点」となるよう検討を進めていきたいと考えています。
 施設整備の基本的な考え方としては、このエリアがスポーツを「する」楽しみはもちろんのこと、「観る」楽しみや「支える」楽しみなど、広く県民の方々が、それぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができる施設を目指すとともに、大会後も本県ゆかりのアスリートが様々な競技で活躍し続けられるような「育てる」機能や、スポーツをしない人たちも楽しんでいただけるような「憩い・にぎわう」空間を持つ施設となることなどを目指してまいります。
 また、提言書等が提出されたことも踏まえ、プロスポーツや全国大会規模のイベントを開催できるアリーナの整備について、需要の見込みや将来の財政面への影響、県民の方々から寄せられる声や県議会の議論なども踏まえ、検討してまいります。
 一方、市町に対しても、我がまちスポーツの振興など両大会後のレガシーづくりを念頭に、開催する競技や会場について検討していただきたいとお願いしているところです。
 県といたしましては、両大会の会場となる市町のスポーツ施設については、共に手を携えて進めていけるよう、整備に必要な支援を行うことといたしました。今後、先催県の例を参考にしながら、支援内容について検討してまいります。
 次に、明治維新150年「肥前」顕彰事業について申し上げます。
 平成30年に明治維新150年を迎えるに当たり、県民の方々の、ふるさと佐賀を誇りに思い、大切にする気運を高めていくため、10月から文化課内に「明治維新150年プロモーション担当」を設置いたしました。また、全庁を挙げて取り組んでいくため、庁内に「明治維新150年事業推進本部」を設置し、11月15日に第1回会議を開催したところです。
 今後、有識者との意見交換など、幅広くご意見をお聴きしながら、幕末維新期に日本を牽引した「肥前」佐賀の「技」、それを成し遂げた「人」、そしてその礎である「志」を顕彰し、佐賀を再興するための事業を検討していくこととしています。
 去る11月2日に県民ホールにおいて、明治維新150年キックオフイベントを開催しましたが、今後とも、市町、民間企業、CSOをはじめ、広く県民の方々とも連携しながら、明治維新150年に向け、機運を高めてまいります。あわせて、国においても、「明治150年関連施策推進室」を設置し、明治150年関連施策の検討を開始されたことから、「平成の薩長土肥連合」の連携を密にし、国に対する共同提案や記念事業での連携を行うことなどにより、「肥前」佐賀が、地方創生を先導する役割の一翼を担ってまいります。
 次に、「中山間地・離島・県境振興対策本部」について申し上げます。
 この本部は、現場を第一とする「現場即応型本部」として設置したものであり、地域の現場の声を吸い上げるため、7月から県と市町でチームを組み、県内5集落への現場訪問を行ってまいりました。
 11月21日に開催した第2回会議では、訪問を通じて集まった「現場の声」について、対応可能な課題には全庁的な視点で素早く取り組んでいくこととし、
 ・例えばコハダなど地域資源を活かした「自発の地域づくり」の種がある集落に対し、その芽を出し、育てる活動を支援すること
 ・イノシシ対策など複数の集落に共通する課題については、これまでの対応を踏まえた上で、地域と一体となった取組を更に進めていくこと
などの対策方針を決定したところです。
 また、こうした中山間地等の多くが直面する諸課題への対応を考える契機とするため、過疎対策に係る全国の優れた取組に触れ、関係者相互の交流を図る「全国過疎問題シンポジウム2017」の誘致に取り組んだ結果、来年10月に本県で開催することが決定しました。
 県といたしましては、「自発の地域づくり」をスローガンに、県と市町が連携しながら、中山間地・離島・県境地域の振興に努めてまいります。
 次に、「佐賀さいこう!応援団」について申し上げます。
 佐賀をふるさとに持つ方々や佐賀が好き、佐賀を応援したいという方々の力を結集し、首都圏をはじめ全国への情報発信の強化、県産品の販売促進、観光誘客や移住の推進を図ることを目的として、「佐賀さいこう!応援団」を結成しました。
 去る10月31日に東京で開催した結団式には、600名を超える方々に参加していただき、「佐賀さいこう!」を合言葉に取り組んでいくことを確認しました。
 また、10月12日に「佐賀さいこう!乙姫美肌女子会」を関西圏で初めて開催しました。当日は、これまで佐賀を訪れたことがない女性の方々に、「日本三大美肌の湯」である嬉野温泉の手湯体験や佐賀美容食コースでのおもてなしなど、美肌をコンセプトとした佐賀の魅力に触れていただきました。
 県といたしましては、福岡都市圏はもとより、首都圏、関西圏などに対しても、様々な趣向を凝らしながら佐賀の魅力をPRしてまいります。
 次に、JR九州及び西鉄との包括的連携協定について申し上げます。
 まず、九州新幹線西九州ルートの開業効果を高めることなどを目的として、8月16日にJR九州と締結した包括的連携協定を契機として、JR九州では、観光情報を発信するデジタルサイネージの設置やカフェの新規開店など、佐賀駅のリニューアルを行われ、「お迎えする駅」としてのおもてなし機能を高めていくための第一歩を踏み出されました。
 11月23日には特別企画として、「JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」」が、唐津~佐世保間で運行され、県や沿線市町の協力を得ながら、佐賀にお越しになったお客様へのおもてなしに取り組まれたところです。
 また、福岡都市圏の活力を取り込んだ「さが 創生」の推進や、県民サービスの充実・向上を図るため、10月19日に西鉄と包括的連携協定を締結しました。
 協定締結を契機として、地域経済の活性化など、様々な分野での幅広い協議を行っており、市町とも連携を図りながら、取組を推進していくこととしています。
 そして、この具体的な取組の第一弾として、西鉄のグループ企業であるNJアグリサポートと基山町との間で、11月18日に進出協定を締結され、これに基づき、新規就農者を支援するモデル農場が、平成29年度に基山町に開設される運びとなりました。
 県といたしましては、今後とも、両協定に基づく取組を着実に推進することにより、福岡都市圏の活力を取り込みながら、本県の発展を図ってまいります。
 次に、CSOの誘致について申し上げます。
 本県におきましては、企業の誘致はもとより、CSOの誘致にも力を入れており、昨年度までに3団体の誘致を実現してまいりました。
 さらに今年度は、8月1日に国際理解・国際協力の啓発に取り組む「認定NPO法人難民を助ける会」を、10月14日に児童養護施設に入所する中高生の支援を行う「NPO法人ブリッジフォースマイル」を誘致しました。
 CSOの誘致を進めていくことにより、県外からの人材の流入や雇用の創出はもとより、県内CSOと誘致CSOとの間に交流が生まれ、それを契機に、例えば活動に当たってのノウハウを学ぶことが可能となるなど、県内のCSO全体の底上げにつながるものと考えています。
 県といたしましては、これからも「志」を持つCSOを誘致していくとともに、地域の抱える様々な諸課題に対して、県民協働で取り組んでまいります。
 次に、伊万里港の振興について申し上げます。
 これまで県、伊万里市、地元港湾関係企業で構成する「伊万里港振興会」を中心に、官民一体となって、新規荷主の獲得、航路誘致、海外ポートセールスなどに取り組んでまいりました。
 このような中、10月には伊万里港と釜山港とを結ぶ航路の増便が実現に至りました。今後、伊万里港における取扱貨物が増加していくよう、しっかりと取り組んでまいります。
 来年、伊万里港は開港50周年を迎えます。50周年を契機として、対アジア貿易の拠点となるよう、企業誘致も進めながら、伊万里港の振興に取り組んでまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入などについて申し上げます。
 去る11月8日に政府が、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みとなる「パリ協定」を批准しました。このことにより、再生可能エネルギーなどに関する取組の重要性が高まっています。
 このような中、本県では、これまで太陽光発電の普及を促進してきたことにより、住宅用太陽光発電の世帯当たりの普及率が14年連続で日本一になっています。
 また、海洋における再生可能エネルギーの分野では、唐津市加部島沖の実証フィールド及びその周辺海域への事業者の誘致に取り組んでいます。水素エネルギーの分野では、昨年度に引き続き、水素燃料電池自動車の公用車としての導入や、県内企業の参入を拡大するための個別分野での研究会などを実施しています。
 さらに、伊万里市の「県営七ツ島工業団地」でバイオマス発電事業が動き始めます。この事業につきましては、事業者の経営環境の変化等から一時はその実施が危ぶまれていましたが、地場の企業と韓国の企業で出資された「伊万里グリーンパワー」において、平成31年度の発電を目指し、取り組まれることとなったものです。これからも、伊万里市と連携し、一日も早い事業実施に向けた支援に努めてまいります。
 今後とも、エネルギー賦存量や本県の地域特性等を踏まえ、環境対策や技術革新の促進、関連産業の創出を図ることにより、再生可能エネルギーの導入・普及の促進に取り組んでまいります。
 次に、ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーンについて申し上げます。
 九州地域戦略会議において、本県がワーク・ライフ・バランス推進キャンペーンの幹事県であることから、「知事が妊婦に」篇という動画を作成し、私自身も妊婦ジャケットを着用して、出演しました。この動画は、妊婦の方々の大変さを伝えることにより、家事や育児、仕事に対する意識改革を男性に働きかけることを目的とし、作成したものです。
 9月27日から動画を配信したところ、国内全国放送3局4番組や韓国の人気ドラマで放映され、また、中東のテレビ局アルジャジーラのサイトや、ハリウッド男優アシュトン・カッチャーさんのフェイスブックなど、世界15か国40サイトに掲載され、現在、世界中で2,000万回以上再生されるなど、国内外から共感を得ています。この動画をたくさんの方々に見ていただき、共感していただくことにより、男性が積極的に家事や育児に参加するきっかけになって欲しいと考えています。
 県といたしましては、妊婦の方々をはじめ、社会的に助けが必要な方々の立場になって考える機運の醸成を図ってまいります。
 次に、情報発信について申し上げます。
 ブランド総合研究所が10月19日に発表された「地域ブランド調査2016」において、都道府県の魅力度では、本県は前年の45位から38位へ、情報接触度では47位から38位へ、観光意欲度では44位から38位へ、居住意欲度では47位から34位へ、また、愛着度では40位から22位へと、軒並みランクが大幅に上昇しました。
 これは、有田焼創業400年事業の取組や地方創生プロジェクト「サガプライズ!」をはじめ、県庁の展望ホールにおいて上映している夜景と一体となったプロジェクションマッピング「アート・アフター・ダーク」、県立美術館で開催した「キングダム展in佐賀」、「ロマンシング佐賀3」などの企画展、その他「あさご藩」の動画など、話題性の高い企画を多数実施してきたことや、移住等の取組を本格的に始めたことなども要因と考えています。そして、これらの情報を公式ウェブサイトやSNSを活用しつつ、県内のみならず、県外メディアにも積極的に取り上げてもらうことにより、相乗効果が発揮されたのではないかと考えています。
 私自身、佐賀にゆかりのない方々から、「佐賀に興味がある。」「佐賀のことが好きになった。」といった声を聞くことが多くなってきており、確かな手応えを感じているところです。
 また、愛着度が40位から22位になったことは、県民の皆様が、ふるさと佐賀の良さや素晴らしさに気づき、再評価し始めたことの証ではないかと感じています。
 今後とも、「佐賀さいこう!」の取組などを、県内はもとより、首都圏、福岡都市圏等にもしっかりとPRしながら、新たな佐賀のファンとなる方々を開拓し、本県に足を運んでいただく機会を創出してまいります。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、国の補正予算に対応するとともに、9月補正後の事態の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
  一般会計    約  135億7,200万円 
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、 
  一般会計    約4,531億  200万円 
  特別会計    約1,025億1,400万円 
となっています。
 まず、補正予算案のうち「佐賀県緊急経済対策(第4次)」について申し上げます。
 国におきましては、長年続いたデフレから完全に脱却し、経済成長を実現していくため、「未来への投資を実現する経済対策」を決定されました。
 県におきましても、国の経済対策に呼応し、「佐賀県緊急経済対策(第4次)」として取り組むことにより、県内経済の活性化を図っていくことといたしました。
 経済対策に係る予算案の内訳につきましては、おおむねハード事業となっており、主な事業は、
 ・有明海沿岸道路(大川佐賀道路)などの国直轄事業
 ・有明海沿岸道路(佐賀福富道路)整備事業
 ・社会資本整備総合交付金などを活用した道路改築事業や河川改修事業
 ・佐賀平野のクリーク護岸整備などの農業農村整備事業
などとなっています。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 佐賀空港の使いやすさの向上につきましては、「佐賀空港がめざす将来像」に掲げる路線及び便数の実現に向けて、航空会社が希望するダイヤでの増便や新たな路線就航に必要な燃料給油体制を整備するため、燃料給油事業者が行う給油タンクの増設や給油作業人員の確保を支援することといたしました。
 特色ある地域文化の保存・継承と魅力発信につきましては、佐賀が生んだ日本近代洋画の巨匠である岡田三郎助のアトリエを、現存する東京都渋谷区恵比寿から、郷土佐賀に移設し、文化・芸術・観光などに活用するための基本計画を策定することといたしました。
 このアトリエは、岡田三郎助本人が長年作品を制作していた点や、多くの女流画家を輩出した「女子美術研究所」の教室としても利用されていた点で、歴史的・文化的に大変価値の高い建築物と評価されています。
 社会福祉施設等の防犯対策につきましては、本年7月に神奈川県相模原市で発生した障害者支援施設における殺傷事件を受け、施設利用者及び職員の安全確保を図るため、国の経済対策を活用し、非常通報装置や防犯カメラの設置など、各施設の実情に応じた防犯対策を支援することといたしました。
 あわせて、国庫補助事業対象外である地域共生ステーションの防犯対策についても、県単独事業で支援することといたしました。
 「子育てし大県“さが”」の推進につきましては、虐待などを背景とした情緒障害により、学校生活や社会生活に困難を抱える子ども達に、心理治療や生活指導を行い、協調性や自立心を育てることで、社会参加を支援するため、児童心理治療施設を民設民営により設置することとしていました。また、民間事業者を公募するに当たっては、入所する子ども達の居住スペースを広くとることや学校との連携などに配慮する必要があるとの判断の下に、公募条件を設定しました。そしてこの度、民間事業者が決定したことから、その民間事業者が行う施設整備に対し支援を行うことといたしました。
 原子力発電関連につきましては、玄海原子力発電所3、4号機の設置変更許可後のプロセスに係る経費を計上することといたしました。
 建設工事早期着手対策につきましては、翌年度発注予定事業のうち、雨期前に実施する浸水対策、防災対策、安全対策などの工事を一部繰り上げて発注し、事業効果の早期発現を図るとともに、工事量の平準化や端境期における中小建設業者の受注機会の確保につながる、いわゆる「ゼロ県債」について、債務負担行為約18億円を計上することといたしました。
 次に、予算外議案といたしましては、条例議案として、「佐賀県職員給与条例等の一部を改正する条例(案)」など8件、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など17件、合わせて25件となっています。
 これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載していますので、説明を省略させていただきます。
 最後になりますが、去る10月22日、眞子内親王殿下のご臨席を仰ぎ、「日本磁器誕生・有田焼創業400年記念式典」が開催されました。
 式典の際に申し上げましたが、有田焼創業400年の節目の年である今年は、次の100年、さらにその先の400年を見据えた有田焼の新しいスタートの年だと考えています。
 海外におけるブランディング、オランダとの交流など、有田焼創業400年事業における取組の成果やノウハウなどのレガシーは、「400+(プラス)」と称して、観光や文化、地域づくりなど幅広く県政に活用してまいります。
 また、今まさに、本県において成し遂げられた偉業の数々が、大きな節目の年を迎えています。昨年は、治水の神様、成富兵庫茂安が、日本最古の取水施設とされている「石井樋」を築造してから400年目、また、今年は、山本常朝の談話を筆録した「葉隠」が成立して300年目にあたります。そして、来年は、日本が初めて公式出展したパリ万国博覧会に、佐賀藩が、幕府、薩摩藩とともに出展してから150年目、再来年は明治維新から150年目にあたります。
 この節目の年を契機に、「薩長土肥」と謳われていた頃の輝かしい偉業や功績に光を当てるなど、郷土「肥前」の顕彰にしっかりと取り組んでいくことにより、県民の皆様が郷土のすばらしさを知り、誇りに思い、自信を持ち、皆で「佐賀さいこう!」と言えるような、佐賀県にしてまいりたいと考えています。
 以上、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
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