この説明によれば、県条例にもとづく環境アセスメント実施の要件(35ヘクタール以上)となる工事面積に、「排水関連施設」工事の面積を含めなければならないことは明らかである。ところが防衛省は、この「排水関連施設」工事計画は現在、佐賀県有明海漁協等と調整中として具体的な工事面積を示さず、環境アセスを実施しないまま佐賀駐屯地の工事を着工した。こうした行為は県条例違反の「環境アセス逃れ」そのものである。
(2)また、佐賀駐屯地新設にともなう佐賀空港の「平行誘導路」建設については、山口祥義佐賀県知事が6月定例佐賀県議会冒頭の「知事提案事項説明」の中で、「5月25日には、浜田防衛大臣と面談し、工事を行うにあたって、周辺地域の環境へ配慮した上で進めていくことを要請しました。(中略)自衛隊の使用により全体の離発着回数が増加することを踏まえ、平行誘導路の設置など、民間空港としての発展を第一に連携することに合意しました」と発言している。
防衛省と佐賀県が合意した「平行誘導路」の面積は不明であるが、5月25日の会談の際に県知事が防衛大臣に示した「図面」(「平行誘導路」のイメージ図)をみれば、「平行誘導路」の工事面積が0.9ヘクタール以上であることは明らかであり、佐賀駐屯地と合わせて35ヘクタールを越えるため、県条例にもとづく環境アセスメントの対象になる。
2.佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備計画と環境アセスメントとの関係については平成28年3月、当時の防衛大臣政務官の藤丸敏衆院議員が、「空港西側の土地を全部使うと環境アセスをしなければならない。だから35ヘクタール未満となる一部を買って、また次を考える」と、露骨に「環境アセス逃れ」の本音を語っている。この点について九州防衛局は、平成28年4月27日付文書で佐賀県に対して、「藤丸政務官の発言は国会議員としての発言。環境影響評価の手続については、条例に従い適切に進めていく」と回答していた。
3.県条例第2条は、「この条例において『環境影響評価』とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築をいう)の実施が環境に及ぼす影響について(中略)総合的に評価することをいう」と規定している。
この条文によれば、佐賀駐屯地の新設工事だけでなく、「排水関連施設」の工事や「平行誘導路」の設置工事も、「特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築の事業」に該当することは明白である。
さらに県条例の「施行規則」によると、「事業の要件」として「宅地その他の用に供するための土地の造成(当該土地の造成と併せて整備される道路、排水施設、緑地その他の施設の用に供するための土地の造成を含む)の事業(施行区域の面積が35ヘクタール以上であるものに限る)」と規定されている。
「佐賀駐屯地」が「施行規則」で言うところの「当該土地」であるならば、「排水関連施設」や「平行誘導路」が「当該土地の造成と併せて整備される道路、排水施設、緑地その他の施設の用に供するための土地」にあたることは明らかである。
4.以上のことから、県条例にもとづく環境アセスメント実施に関して、次の項目を請願する。
(請願項目)
1.防衛省に対して、佐賀駐屯地開設にともなう「排水関連施設」と「平行誘導路」の工事面積を公表させ、その面積が0.9ヘクタールを越えるのであれば、県条例にもとづく環境アセスメントを実施するよう、求めること。
2.佐賀県知事に対して、防衛省に環境アセスメントの実施を勧告するよう、求めること。