教育長定例会見(令和6年11月26日)
<発表項目>
1.
DI SCHOOL SEIRENKATA ディープにいこう How is DI school SEIRENKATA going?
2.~「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」~ 地域×教育で、唯一無二の学びの磨き上げ
3.先生になろう、ここ佐賀で。若手教員の熱い思いを「TEAMさが」で、応援しています!
4.唐津工業高校80周年!ものづくりの唯一無二の学校へ
5.ろう学校 盲学校 創立100周年 高い専門性に基づく、一人一人のニーズに応じた、きめ細やかな教育を
<配布資料>
<概要>
<DI SCHOOL SEIRENKATA ディープにいこう>
DI SCHOOL SEIRENKATAは、将来の佐賀を担うDI人材を育成する佐賀県独自のプログラムです。県内19校から約100名の高校生が、最先端デジタル技術と地元学を学んでいます。
5月のキックオフ後、6月は半導体回路設計、7月にCADを使った半導体設計。9月はAI画像分析、10月に3Dモデリング、現在は総まとめの時期に入っています。
地元学は、志田林三郎、鍋島直正、佐野常民、黒田チカについて学びました。事前ワークをこなし、当日は偉人たちが壁を乗り越えられた理由や偉業を成し遂げた原動力、志は何かをひもとき、グループディスカッション形式で学びました。自分ならどうかと考え、心に残るものとなりました。
9月は、佐賀大学でデータサイエンスに触れました。専門の教授から、データサイエンスの重要性、世の中の膨大なデータから新たな価値を創造する活用法、データ的思考を学びました。11月も、佐賀大学で3Dアートについて、アバターとデザイン思考を学びました。モーションキャプチャーの技術で、センサーを付けた人の動きに合わせ、パソコンの中のアバターが動く技術に、生徒は関心を深めていました。
今後、社会課題を解決する際や新しい発想やアイデアを出すときに、直感や感覚を大事にしながら、一方で、人と議論し課題解決に結びつける思考方法を学ぶ経験を積んでいます。
○佐賀県高校生DI選手権大会 開催
これまでに培ったスキルとスピードを競う大会です。半導体回路設計とプログラミングコンテストは、スピードを競い、AI学習と3Dモデリングコンテストは、チーム競技で、プレゼンテーションも行います。AI学習は、用意されたトイプードルと唐揚げの様々な画像データを学習させ、AIプログラムの精度を競います。3Dモデリングは、当日にテーマが与えられ、チームで制作物を作成し、アイディアを競います。
そのほかに、小中高生を対象に半導体回路設計体験や、予約が必要なフォートナイト対戦会も実施します。これは対戦ゲームですが、ここから最先端のデジタル技術やSEIRENKATAに対する関心をもってもらいたいと考えています。また、高校生が習得した力を企業に見てもらうためにも開催します。
ぜひ、多くの方にご参加いただき、高校生のディープな学びにご注目いただきたい。
<~「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」~地域×教育で唯一無二の学びの磨き上げ>
唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクトに取り組み、4年目を迎えます。特色ある学校づくり、魅力の磨き上げに取り組んでいます。本日は、特色ある3校の取組を紹介します。
○ 鹿島高校の取組~学校魅力強化委員会と協働した「キャリア教育」と「地域連携活動」~
学校魅力強化委員会は、学校と地域の方々との協働で学校の魅力を磨き上げていくための委員会です。鹿島高校は、この委員会に卒業生が多く参加し、企画・運営に携わっているのが特徴です。
例えば、旭ヶ岡キャリア塾では、約20人の多業種で活躍する卒業生が講師になり、キャリア別に分かれ先輩の話を聞きます。先輩が、高校生のときに考えていたこと、今すべきこと、社会で大切なことなどが聞け、進路を考えるためのいい機会になっています。
空き教室を活用して開設したキャリアラボでは、卒業生や鹿島市の地域おこし協力隊が自身の仕事をしながら、高校生をサポートしています。昼休みや放課後に高校生が進路相談をすることができる場になっているのが特徴的です。
他にも、地域の課題解決のため、鹿島市議会と意見交換をしたり、高校生ティーチャーとして小学生の宿題のサポートやプログラミングを教えたり、絵画やスポーツを教える地域連携活動にも参加しています。また、ガタリンピックなど地域イベントの運営サポートにも取り組みました。
鹿島高校では、地域の生徒は地域で育てるという理念のもと、将来的には、生徒1人に1人のキャリアアドバイザーをつけようと計画を進めています。
○ 唐津西高校の取組~体験を学びに発展させ、探究活動により生徒の進路実現へ~
今年度、普通科内に2つのコースを新設しました。
1年次は、視野を広げる、ベクトルを定める時期です。地域にでかけ、地域の現状や課題の探究、グループでの意見交換を通して探究の基礎力を育成します。
2年次は、考えを深める、興味・関心の追求。ここでコースに分かれ、より深い探究活動、地域の方々によるアドバイスを受けます。
3年次は、探究活動のまとめの時期。考察・発表します。最近の大学入試は、一般選抜の他に総合型選抜や学校推薦型選抜があります。なぜこの大学で学びたいのか、何に関心があり極めたいのかが問われます。意思を持ち、進路を切り拓く学びにつながるコースです。
こちらでも、学校魅力強化委員会が地域と学校をつないで、探究活動の多様なフィールドの場を提供していただいています。
○ 牛津高校の取組~地域と協働して育成するスペシャリスト~
牛津高校は、家庭科の学科から成る県内でも特色のある専門高校です。食品調理科、服飾デザイン科、生活経営科の3つの学科があります。
2、3年次には、学科を超えた「起業家入門」という学校独自の特色ある科目があります。地域の現状を把握しリサーチ、マーケティング、現地調査し、アイデアをまとめていきます。コミュニケーション力、創造力、プレゼン力を高め、起業家マインドを育成します。
3年次は、「起業家入門」などの学びを活かして、“みせる”プロジェクトに取り組んでいます。今年8月には1日限定の牛高茶屋をオープンしました。生徒がお店の企画から商品づくり、販売、接客をこなしました。お客様の反応を受け、改良に取り組み充実を図っています
また、生徒目線で学校PR動画を制作しました。映像ディレクターの力を借りながら魅力発信に取り組みました。ご覧ください。
<動画放映>
アイデアを出しながら、中学生に伝わる動画を制作しました。
○ SAGA学校魅力化フォーラム
第1部の基調講演は、島根県海士町の廃校寸前の隠岐島前高校を全国から生徒が集まる学校に変えた岩本悠さんの講演。第2部は、地域からの目線、地域の方が高校と関わる理由を聞くパネルディスカッション。広く教育に関心のある方に参加いただきたい。
<先生になろう、ここ佐賀で。>
若手教員の熱い想いを「TEAMさが」で応援します。
学校現場は、たくさん採用された方々が退職する時期に入ったことや児童生徒への手厚い指導体制の実現のため、採用者を増やしています。10年前に比べ、20代・30代の若手教員の割合が増加しています。
民間アンケートの結果による、20代・30代が目指す理想の教師像は、「子どもたちとのコミュニケーションが上手な人」「授業が分かりやすい」「変化にすぐ気づく」。また、教員としてやりがいを感じるときは、「子どもたちの成長が感じられたとき」「笑顔を見たとき」「感動を分かち合えたとき」。先生方の熱意をもって取り組む姿が、よくわかります。
「未来のさが」を担う若手教員の育成、支援を佐賀県は大事にしています。
〇育成&支援 体制のご紹介
必要なスキルを全員が身につけられるよう、1年目、2年目、4年目の研修を実施。11年目研修にも取り組んでいます。
それらの研修とは別に、学びたいときに学べる研修として、例えば、教育センターでは、学級経営や教育相談講座もあります。明日から使えるヒントが詰まった研修内容です。県内の東部、西部、北部の3か所にある教育事務所では、特別支援教育講座を実施。児童生徒の状況に応じた具体的な支援方法が学べる研修です。また、希望者には、長期派遣研修として、海外日本人学校への派遣も行っています。
若手教員のサポート体制です。
・市町の教育委員会や県の教育事務所には、先生を育成する指導担当の先生がいらっしゃいます。その方々が学校訪問をして、授業づくりの悩みをサポート。
・各学校では、先輩教員に相談ができたり、校内ミニ研修に取り組んだりしています。
・若手で集まり、相談できる場を創出。同じ目線で悩みを共有します。同年代で、授業をどうやっていくか語り合う研修になっています。
・市町の教育委員会では、生活科や総合的な学習にもすぐに役立つ取組を行っています。
気軽に相談できる悩み相談ステーションを開設。スマホで二次元コードを読み取り、24時間、思い立ったときに相談ができます。3つの教育事務所と県教育センターで経験豊富な教員が相談をお受けします。
いつでもどこでも気軽に相談できる体制を作り、若手の教員を支えます。
<SCHOOLレポート>
<唐津工業高校80周年 ものづくりの唯一無二の学校へ>
唐津工業高校には、機械、電気、土木、建築の4つの学科があります。ものづくりの基礎から実践的な技術まで専門的に幅広く学びます。実習や各種資格取得に向けた支援も充実。
最近、ほとんどの機械はコンピューター制御です。それに対応するプログラミングやドローン、建築用CADといった実践に繋がる学びを実現。社会や企業インフラを支える、未来を担う技術者を目指して育成しています。
学校で学んだ技術で地域に貢献しています。例えば、小学校に出向き、ものづくり教室を開催。国スポ・全障スポのカウントボードを作製し、唐津市役所へ寄贈。SAGA2024国スポでは、表彰盾やメダルも製作しました。
その他、部活動も盛んで、全国大会に出場したり、県内の総体でも上位に入賞しています。吹奏楽部は部員が1名。近隣の高校や卒業生と合同で演奏活動。地区の敬老会やイベントに参加し、活躍しています。
地域に根ざした高い技術と、地域への貢献を通して、ものづくりのプロフェッショナルを育成します。
<ろう学校 盲学校 創立100周年>
ろう学校と盲学校が、創立100周年を迎え、記念式典が行われました。
記念式典の後、児童生徒たちの日々の学びや活躍ぶりがわかる発表があり、心に残る会となりました。
ろう学校では、幼稚部から高等部までの一貫した教育を行っています。現在19名が在籍し、1人1人の聞こえの状況に応じたコミュニケーション手段の育成に取り組んでいます。手話、指文字、聴覚をサポートする機材、音声情報などを組み合わせ、読む、書く、話す力、コミュニケーション力を育成しています。子どもの聞こえや言葉についての地域のセンター的機能も持っています。授業の一般公開や、「つぼみルーム」での乳幼児教育相談、就学前のお子さんの相談など聞こえの発達の早期支援にも取り組んでいます。聴覚は、新生児の頃から急速に発達します。早期にどんな療育をするかが大事になります。保護者の相談にも応じますので気軽にご相談ください。
盲学校は、幼稚部から高等部までの一貫教育に加え、専門教育も実施し、高等部や高等学校を卒業した方を対象に、専攻科理療科を開設しています。修了後は、あん摩マッサージ指圧師などの国家試験の受験資格が得られます。
ヘルスキーパーとは、企業などに雇用され、従業員に対し、あん摩・マッサージ・指圧を施術する専門職のことです。教職員互助会では、今年度から制度を導入しています。盲学校の卒業生を1人雇用し、ヘルスキーパー事業、派遣事業に取り組んでいます。学校などからの希望に応じ、ヘルスキーパーを派遣しており、好評を得ています。
目の支援センター「ゆうあい」では、視覚障害のある方の悩みごとや困りごとの相談を受け、サポートとしています。
<質疑応答>
〇朝日新聞
鹿島高校生の市議会との意見交換の内容を教えてください。
〇県職員
環境分野、福祉分野の課題を語り合いました。
〇NHK
鹿島高校のキャリアラボから実を結んだ具体例を紹介してください。
〇教育長
令和6年2月に開設しました。金曜日には先輩がそこにいて、高校生が気軽に相談できる場所というところです。将来的に、1人に1人の先輩が、キャリアアドバイザーになれる体制になればと思っています。
〇読売新聞
教員採用数が増えているグラフは、佐賀県内の数字ですか。
〇教育長
そうです。全国的にも同じような状況です。
〇読売新聞
具体的な数字がありますか。
〇県職員
直近5年は、小学校で200人、中学校では100人近く採用しています。
〇読売新聞
悩み相談ステーションの開設は、今年度初めての県教育委員会としての取組ですか。
〇教育長
そうです。これまでは、教育事務所や学校、教育委員会が、メールや電話で相談を受けていました。もっと気軽に相談できるよう時間を気にせず相談できる体制を整えました。
〇読売新聞
相談できる人の年齢制限はありますか。
〇教育長
経験の浅い人を中心にと考えていますが、特に制限はかけていません。
〇西日本新聞
教員採用試験の倍率は、去年より微増しました。これに対する受け止めをお願いします。
〇教育長
多くの方に受けてほしい思いで制度を変更してきました。例えば、講師経験のある人の免除の範囲を広げたり、試験の時期を早めたり、教育の魅力をアピールしたり、学生への働きかけを行いました。その成果があったと思います。今後もしっかり取り組んでいきます。
〇西日本新聞
3回目の秋採用でした。功を奏したとの受け止めですか。
〇教育長
秋採用の応募が多くなりました。幅広く人材確保の機会を持ちたいと思います。
〇西日本新聞
先日の市長会要望の際、教員業務支援員について、国に補助割合の引き上げを要望するとの発言がありました。近々、文科省に行く予定がありますか。
〇教育長
いいえ。政策提案として、既に要望済みです。
〇西日本新聞
ろう学校、盲学校が100年周年を迎えました。これは珍しいのですか。また、時代に合わせた新しい取り組みがあれば教えてください。
〇教育長
設立当初は、公立ではありませんでした。場所も変わりながら、児童生徒数も多かった時期もありましたが、現在は少子化の影響で少なくなっています。
生徒の発表や展示作品は、感覚が豊かになるような教育がされていて、センスのいい作品ばかりでした。子どもたちが豊かに育つような教育がなされていると感じました。
〇佐賀新聞
教員の働き方改革を進める取組を教えてください。
〇教育長
まず、教員でしかできない業務の精選、割り出しをしました。在校時間を把握し勤務実態をはっきりさせ、業務の割り振りを考えたり、仕事のデジタル化を進めています。今年度は、服務支援システムを導入し、手作業をなくすデジタル化を推進しています。
学校現場の取り組みについても、いい事例がありますので、紹介しながら広げていきたいと思います。
〇佐賀新聞
どのような学校現場の取り組みでしょうか。
〇教育長
例えば、校事時間は、曜日を決めて早く終わらせる。授業ではなく、掃除の時間を早く終わらせて下校を早めるなどです。
〇佐賀新聞
県立大学は、全ての学校に推薦枠を設ける方針が示されました。推薦枠を広げることに対する受け止めをお願いします。
〇教育長
推薦枠をどうするかは、これからのことになります。受験生の希望がかなえられるよう考えます。地元にできる大学に、県内の高校生が進学しやすい形をとりたいですが、具体的にはこれからでしょう。
〇STS
ヘルスキーパーは、民間企業に雇用されている事例がありますか。
〇教育長
県内ではありません。広げていきたいと思っています。
〇STS
教職員互助会の雇用形態を教えてください。
〇県職員
非常勤職員です。
〇STS
教職員のお酒が関係する不祥事がありました。受け止めと再発防止に向けた取組を教えてください。
〇教育長
続けて不祥事が発生したことを重く受け止めております。児童生徒に対し、社会において守るべきことを教える立場にある教職員が、このような行為におよび、本当にあってはならないことだと、残念に思っています。再発防止を徹底します。
〇記者
教員の方々への具体的な規律を正す対策は、どのような対策をお考えですか。
〇教育長
アルコールが脳に与える影響についての周知、飲酒運転を防止するための具体的な対策行動を考え、定着させていきたいと思っています。