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「先進的ICT利活用教育推進事業」に係る第2回全校研修会を開催しました

最終更新日:

  県教育委員会では、ICTを利活用した教育が学力向上の有力な手段であると捉え、現在、全県規模で「先進的ICT利活用教育推進事業」に取り組んでいます。

これまで事業を実施していく中で、学校現場の方々から、特に「デジタル教材における著作権の取り扱いについて詳しく知りたい。」といった意見が多かったことから、教材と著作権との関係について理解を深めるため、下記のとおり本年度2回目の全校研修会を開催しました。

 

日程

平成24年8月27日(月曜日) 13時20分~16時45分

 

場所

武雄市文化会館 大ホール

  武雄市武雄町大字武雄5538番地

 

参加者

  689名全体の様子

・市町教育委員会関係者 22名

・教育庁関係者 47名

・県内公立学校関係者 608名

(市町立小中学校 477名、県立学校 131名)

・私立学校関係者(県内の大学・専門学校等

  を含む) 9名

・一般参加者(企業関係者、保護者等) 3名

 

内容

1 県教育委員会挨拶                            

県教育庁教育情報化推進室 副室長 石井和裕石井副室長挨拶

今日、我が国の社会では、大きな情報改革が進んでいる。そのような中で、これからは、情報通信技術いわゆるICTを利活用した教育によって、新しい学びが創造され、子どもたちがこれまで以上に質の高い教育を受けることができる時代が、また、それと同時に、情報処理能力の有無がその人の人生を大きく左右する時代が到来すると捉えている。

このような認識のもと、佐賀県教育委員会では、ICT利活用教育を、これからの教育を左右する喫緊の課題と捉え、全県的なプロジェクトとして、現在、県立学校を中心に、県内の全ての市町教育委員会と連携しながら、「先進的ICT利活用教育推進事業」を推進している。

佐賀県では、県政運営の基本となる「佐賀県総合計画2011」においても本プロジェクトを最重要施策として位置付けている。

現在、この計画に基づき、総務省の「フューチャースクール推進事業」や「絆プロジェクト」など、国の指導・支援も受けながら、学校現場での実証研究や教職員の指導力向上のための研修、それと並行して、県立の中学校、高等学校、特別支援学校において、各教室には電子黒板を、児童生徒には学習者用端末を順次配備している。

また、我が国で初めてとなる基幹システムとして、学習管理、教材管理、校務管理の3つの機能を統合した新たな「教育情報システム」の構築にも取り組んでいる。

こうした取組において、本事業が目指している、全県規模で、児童生徒の学力向上を目標としたICT利活用教育を推進していくためには、これまで以上に、直接的に児童生徒の指導にあたる先生方の指導力の向上が欠かせない。そうした意味においても、先生方には、このような研修会の一つ一つを大切に積み重ねていただきながら、各学校でも、その内容の共有化を図っていただきたい。

県教育委員会としても、これまでICT利活用教育に係る研修を進めてきたが、その中で、教材の作成や取り扱いにおいて避けては通れない「著作権」について詳しく勉強したいという声が多くあったことから、今回、放送大学ICT活用・遠隔教育センター教授 尾崎史郎先生を招き、「著作権」をテーマとした研修会を開催することとした。

本県におけるICT利活用教育は、一昨年度から本格的な取組を始め、まだ緒に就いたばかりではあるが、このICT利活用教育を、市町との連携の下、全県規模で先進的かつ大胆に推進していくこととしており、全国のモデルとなるような「佐賀県スタイル」として発展させていきたいと考えている。

事業の趣旨、今後の展開の方向性等についての認識を一層確実なものとし、指導の実際に取り組んでいただきたい。

2 今年度の事業実施状況について

  県教育庁教育情報化推進室 主幹 草場聡宏

[要旨]

教育の情報化は避けて通ることができない。国を挙げて積極的にICT機器を学校教育に取り入れてきたシンガポールや韓国と比べて、PISA調査等、国際的な学力比較において、その差が拡大しつつある。また、新型インフルエンザや昨年の東日本大震災のような自然災害、不登校や特別支援教育の視点からもICT利活用教育の推進が重要となっている。本事業を推進していくことにより、教育の質の向上、児童生徒の学力向上が期待される。

今年度の取組状況について、(1)人材育成として、県において第1期の推進リーダー研修を7月までに実施したが、各学校においても校長のマネジメントのもと校内研修が実施されたことと思う。さらに10月からは、第2期の推進リーダー研修を実施する。(2)基幹システムについては、現在、設計・構築を進めている。(3)機器整備については、県立学校に導入する電子黒板の機種選定が終わり、各学校に順次導入していく。(4)市町立学校の機器整備については設置者負担の原則に立って各市町で対応していただいているが、新聞等でも報道されたように、電子黒板の整備も急速に進み、学習者用端末についても、みやき町や小城市で導入計画がある。市町との連携・協議も昨年に引き続き、県教育長及び市町教育長を構成メンバーとする「佐賀県ICT利活用教育推進協議会」を設置し、情報を共有しながら連携を図っている。

県立武雄青陵中学校では、昨年度から、総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」の指定を受け、今年度は、電子黒板で使用する指導者用デジタル教科書を新たに購入し、実証研究に取り組んでいる。1月から始めた学習者用端末を利活用した授業についてのアンケートでは、「楽しく学習できたと思うか。」等の問いに対し、9割の生徒が肯定的な評価をしている。

また、特別支援学校における実践例として、金立特別支援学校では昨年度に引き続き、「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」を実施している。中原特別支援学校では、Web会議システムを利活用した遠隔授業の実践に取り組んでいる。遠隔授業については、病気療養で登校困難な場合や、自然災害等での長期の休校をせざるを得ないときの教育サポートも可能になる。今回構築している基幹システムでは、バーチャル教室、バーチャル授業の送信により自然災害時のサポートができるよう計画を進めている。

以上のように、県教育委員会としては、市町教育委員会並びに学校現場と一体となった事業の推進が大切であると考えており、引き続き、佐賀県ICT利活用教育推進協議会を中心に、推進チーム会議により活用ガイドブックの改訂をはじめとした取組を進めていくこととしている。各学校においても、校長のリーダーシップのもと、推進リーダーが中心となってPDCAサイクルによって校内研修をより一層充実させてほしい。

今年度中に全ての教職員がICTに係る研修を受講し、児童生徒の学力向上のためにICTを利活用した授業実践を行ってもらいたい。具体的には、(1)自分たちの学校のICT環境をしっかりと把握する。(2)機器の操作研修を行う。(3)デジタル教材の活用について校内研修を行うことである。

最後に、情報モラル教育の充実及び徹底が必要である。現在、高校生の9割が、中学生も約半数が携帯電話を所持している。家庭でもインターネットを利用しているという事実から目をそむけずに、情報モラル教育を充実させていただきたい。

3 講演「学校教育における著作権」

放送大学ICT活用・遠隔教育センター  尾崎(おざき) 史郎(しろう) 教授

[要旨]尾崎教授の講話の様子

著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」である。子どもの絵や作文、家族のスナップ写真も著作物である。新聞は全体としては編集著作物となるが、1つ1つの記事や写真も著作物である。著作物を翻訳等したものを二次的著作物という。二次的著作物を利用する場合は、原作者、翻訳者(二次的著作物の著作者)の両方の許諾が必要となる。

 著作者とは著作物を創作する者であり、幼稚園児や小学生でも著作者になり得る。ただし、法人内で作成された著作物で、一定の条件を満たすものは法人が著作者となる。例えば、学校の教職員が仕事として作成し学校名で公表した学校紹介などは、学校が著作者となる。

 著作者は、著作者人格権と著作権(財産権)の2種類の権利を有する。著作者人格権としては、未公表の著作物を無断で公表されない権利(公表権)、公表する際に著作者名をどのように表示するか決定できる権利(氏名表示権)、著作物の内容やタイトルを無断で改変されない権利(同一性保持権)がある。例えば、子どもが描いた絵をホームページに掲載するとき、子どもが本名を公表してほしいと要望したのに名前を出さなかったら法に触れることになる。学校の方針で本名を出さない場合は、本名を出さないことについて了解が得られない限り掲載できないことになる。

著作権としては、著作物を複製する権利(複製権)、ホームページへ掲載するなどして公衆(不特定または特定多数の者)向けに送信する権利(公衆送信権)、公衆送信された著作物を公衆に伝達する権利(公の伝達権)、著作物を上演、演奏、上映、口述する権利(上演権、演奏権、上映権、口述権)、絵などの原作品を展示する権利(展示権)、著作物を譲渡や貸与する権利(譲渡権、貸与権、頒布権)、二次的著作物に関する権利(二次的著作物の創作権・利用権)がある。なお、著作権は譲渡できるが、著作者人格権は譲渡できない。

 著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年まで。無名・変名で著作者が分からない場合は公表後50年、団体名義も公表後50年、映画は公表後70年までとなっている。著作者人格権は、著作者が死亡すれば消滅するが、死後も著作者人格権の侵害となるべき行為はしてはいけない。

 また、著作物を公衆に伝達する実演家、レコード製作者、放送・有線放送事業者にも著作隣接権という著作権に類似した権利が与えられている。実演家とは、著作物を演じた者であり、子どもたちが歌を歌えば子どもたちが実演家となり、自分たちの実演に関して権利を有することになる。また、レコード製作者とは、音を最初に固定した者(音を収録した者)であり、収録した音の利用について権利を有することになる。

 以上のように、著作者等は様々な権利を有しており、著作物等を利用する(例えば複製する)場合は、原則として、著作権者(著作権を有する者)等の許諾を得ることが必要である。しかし、一定の条件を満たす場合は、許諾を得ることなしに著作物等を利用すること(権利制限)が認められており、著作権法の第30条から第50条にかけて規定されている。学校教育に関係深い権利制限としては、次のものがある。

(1)教育機関における複製

授業の教材として使用するための複製を認める規定。そのためには、

(1)  営利を目的としない機関であること(学校はすべて該当する)

(2)  授業担当教員またはその授業を受ける者が複製すること(外部の人に頼むことはNG)

(3)  本人の授業で使用すること(修学旅行などもOKであるが、保護者向けの学級通信掲載はNG)

(4)  授業で必要な限度内であること(必要部分、必要部数であること)

(5)  すでに公表された著作物であること(昨年度の生徒のレポートを印刷して今年度の生徒に配布することはNG)

(6)  著作権者の利益を不当に害さないこと(新聞記事をコピーして使用したり、インターネットのコンテンツのダウンロード、テレビ番組の録画はOKであるが、ドリルやワークを複製することはNG、複数台PCへのソフトのインストールもNG、本一冊丸ごとなど市販物の全部または相当部分の複製はNG)

(7)  慣行があるときは出所の明示をすることが必要である。

(2)教育機関における公衆送信

対面授業で用いている教材を別の場所で授業を受けている人に同時中継することを認めているが、サーバ蓄積型eラーニングは対象外となる。

(3)試験問題としての複製・送信

著作物を使って試験問題を作成したり、その問題をインターネットなどで送信することも認められている。ただし、入試問題を入試終了後ホームページに掲載することはNG。

(4)営利を目的としない上演等

非営利、無料、無報酬の場合に著作物の上演、演奏、上映、口述を認めるもの。ただし、複製や公衆送信を認める規定ではない。例えば、クラス対抗合唱コンクールを行うことはOKだが、そのビデオをDVDに複製し配布するのはNG。

(5)非営利・無料等の放送番組等の伝達

放送・有線放送される著作物を公に伝達すること(例えば、放送中のテレビ番組を生徒に視聴させること)を認めるもの。

(6)非営利・無料の映画以外の貸与

映画以外の著作物の非営利・無料の貸与を認めるもの。

(7)引用

著作物を引用して利用することを認めるもの。ただし、引用部分が明確に区別でき、主従関係を満たし(自分の著作物が主で他人の著作物が従である)、出所を明示することが必要である。内容と関係ないのに掲載したらNG。

(8)私的使用のための複製

個人的に仕事以外の目的で使うための複製を認めるもの。

(9)図書館等における複製

公共図書館などでの複製を認めるもの。ただし、学校図書館は対象外のため、学校図書館でコピーサービスすることはできない(上記(1)に該当する場合はOK)。

  なお、権利制限により複製したものを目的外で使用することはNG(例えば、運動会のパネルにマンガをかくことは(1)に該当すればOKだが、運動会が終了したあともずっと展示することはNG)。

著作物等の利用にあたっては、まず、保護される著作物等に該当するか、次に、保護期間内のものか、さらに権利制限に該当するかを確認すること。保護される著作物等に該当しない場合、保護期間が満了している場合、またはいずれかの権利制限に該当している場合であれば、許諾なしに利用することができるが、いずれにも該当しない場合は、著作権者等の許諾を得て利用することが必要となる(著作権を譲り受けることもあり得る)。

[質疑応答]

(1)海外の著作物を日本で使用する場合、どのような扱いになるのか。

  →日本の著作権法が適用される(我が国の著作物と同じ)。

(2)子どもたちに思い出のDVDを配布したい。その中に歌謡曲をBGMとして入れたいが、大丈夫か。

  →記念のDVDにBGMをつけるのも複製に該当するため、許諾が必要である。市販の音楽CDを利用する場合、作詞家、作曲家、実演家(歌手、演奏家)、レコード製作者などの許諾を得るのは結構大変である。高額の使用料を要求される場合もある。

(3)体育祭で音楽をかけることは大丈夫か。

  →非営利・無料、無報酬であり、上記(4)によりOK。

(4)文化祭の映像を学校ホームページ上で流してよいか。

  →映像に他人の著作物が入っていなければよい。子どもたちが歌っている映像であれば、音楽の著作権が問題となる。また、生徒が写っている場合は、肖像権の関係もあるため、生徒の了解を得ることが必要である。

 

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