佐賀県教育委員会では、ICT利活用教育は学力向上の有力な手段であると捉え、今年度から全県規模で「先進的ICT利活用教育推進事業」に取り組んでいます。
こうした中、今年度8月、県立武雄青陵中学校が総務省「フューチャースクール推進事業」並びに文部科学省「学びのイノベーション事業」の実証校として認定されたことから、県教育委員会では同校を「先進的ICT利活用教育推進事業」の新たな実証研究校として位置付け、県立致遠館中学校等と併せて実証研究に取り組むこととしました。
そこで、県教育委員会では、平成23年11月に本事業の円滑な実施に向けて、教育委員会や学校関係者、保護者等で組織する地域協議会を設置しました。
今回は、主に、今後の取組方針等についての協議を行う目的で開催したものですが、以下は、その主な内容です。
1 佐賀県教育委員会挨拶(福田教育情報化推進室長)
- 協議会については、今回第2回目ということで順調に取組が進んでいることに感謝している。
- この先進的ICT利活用教育推進事業とフューチャースクール推進事業、学びのイノベーション事業については、しっかりと連携を図っていきたい。
- 9月の県議会で施策検討していただき、2月県議会において予算化を含めて最終的に協議していただくこととしている。
- 特に、武雄青陵中学校においては、佐賀県のみならず全国を牽引する気持ちで是非取り組んでほしいと思っている。武雄市においても武雄地区の小中学校と青陵中がうまくスクラムを組んで、1つの発信地となれるように取り組んでいただければと思っている。
2 議事
(1)平成23年度の取組状況について(別添資料 (66KB; PDFファイル))
・これまでの取組状況
・これからの取組状況
(2)平成24年度の事業の運用及び運営の在り方
(3)意見交換
〇福田教育情報化推進室長:
2月下旬から県議会が始まるが、今後、県議会の視察が入るかもしれないので、対応をお願いしたい。
〇石松武雄青陵中学校校長:
小学校の事例ではあるが、「タブレットPCでデジタル教科書を使ってみたときに、動きが鈍い」という報告等も聞いている。文科省からは、国語については光村図書で検証してほしいと要望があったが、青陵中は3教科とも東京書籍を使用している。
また、これは別件であるが、1日中使用できるほどバッテリーがもたない。
〇福田室長:
小学校版の学習者用デジタル教科書については、多くのメモリが必要となり、起動が重くなるとの報告があっている。また、タブレットPCの種類も多くなり、教科書会社はデジタル教科書の作成に苦慮していると聞いている。バッテリーについてはメーカー側の検討となる。
〇江口致遠館中学校教諭:
研修会等ではアダプタを使用した。昼休みに1回は充電をする必要がある。
〇森本CIO:
バッテリーのみで運用するのではなく、アダプタにつないで運用するほうがよい。授業で使用し続ければ、3~4時間もてばよい。6時間もたせるためには運用面で工夫したほうがよい。
また、デジタル教科書の起動が重いとはどういうことか。プログラム 面が原因なのかデータの量なのか。
〇福田室長:
データの量の問題である。小学校版として作られた試作版は付加機能が多く、全部の機能が必要かどうかを検証する必要があるとのことである。
〇渡辺佐賀大学大学院教授:
デジタル教科書を使用する際の起動の重さについては、現在、研究中である。
〇野田武雄青陵中学校PTA会長:
デジタル教科書を使用するとき、紙ベースの教科書はあるのか。
〇石松校長:
紙ベースの教科書も併用している。デジタル教科書については、4単元しかなく、部分的に使用している。
〇福田室長:
国の方針としては、将来的には、クラウドから端末へ持ってくる形を示されているが、制度面の制約もあり、しばらくは併用であろう。
県では、今年度から、本格的にICT利活用教育の推進に取り組んでいるが、2月18日(土曜日)に青陵中で、2月19日(日曜日)に致遠館中でそれぞれ保護者対象に体験会を実施することとしている。
なお、特別支援学校でも実証研究をしているが、タブレットPCを使用したことで、以前より生徒が明るくなり前向きになったといった保護者からの声が多くあった。
〇事務局(下村):
情報通信技術を活用した授業での効果の検証について、文科省からは、平成25年度にはタブレットPC等を導入した実証校に対して、導入成果を比較するための協力校を設定してもらい、両校の生徒の状況比較を依頼されている。このことについてご意見をいただきたい。
〇福田室長:
文科省のいう協力校とは、本県ではおそらく他の3つの県立中学校の中から1つということになろうが、本県では全ての県立中学校でICT利活用教育を実践していくので、比較のしようがないと考えている。
〇野田PTA会長:
保護者としても実験的な要素を感じる。そのような形で比較されるというのは残念である。他の方法はないのか。
〇草場佐賀大学准教授:
研究の方法としては、同じクラス同じ生徒を対象に、ICTを利活用した単元と使用しなかった単元の定着度を比較する方法もある。
〇福田室長:
韓国では、デジタル教科書を使用するクラスと使用しないクラスを生徒自身が選択し授業展開している例もある。
〇草場佐賀大学准教授:
いずれにしても教育的配慮が必要である。
〇浦郷武雄市教育長:
学力向上が求められているので成果検証が必要ということであろうが、実証校と協力校を比較することはできても、義務教育段階でもあるのでその結果を表には出せない。
〇松尾杵西教育事務所長:
以前、同じような比較検証の依頼があり現場は大変であった。
話は変わるが、教員の研修の場として青陵中や致遠館中が使用されると思うが、我々が使用する場合には、利用規定などがあるか。ぜひ使用できるようにしてほしい。
〇森本CIO:
授業実践報告書の作成について、教科別・場面別の指導資料とはどのようなものか。
〇福田室長:
指導法の開発であり、具体的には指導事例の提示である。このことについては、青陵中のみならず全県下で実証研究しているので、活用ガイドブックにも示す事例についても報告書に含めることも考えられる。
〇竹森武雄高校長:
武雄高校としても今回の取組にはできるだけ協力したいと考えている。これまでにWeb会議を2回実施してみてよかったと思う。3月もジョイントスタディとしてWeb会議を実施する予定である。
また、武雄高校にはタブレットPCが導入されたが、できれば電子黒板を早く入れてほしかった。
〇福田室長:
今回のタブレットPCの導入目的は、あくまでも青陵中との交流用である。本格導入は24年度からなので、電子黒板は平成24年度に導入する。
〇石松校長:
1月下旬にタブレットPCが導入されたので、武内小や山内小と連携を図りたいが、よいか。
〇浦郷教育長:
タブレットPC同士で連携ができるのか。
〇森本CIO:
タブレット同士でもどのような機種であっても、インターネットに接続していれば連携はできる。
〇浦郷教育長:
そうであるならば、大いに結構である。
〇千北屋課長:
青陵中のホームページは業者委託か。先生方の作成ならばICT活用にもつながる。
〇石松校長:
青陵中の職員とICT支援員が作成している。
〇渡辺佐賀大学大学院教授:
フューチャースクール推進事業の関係で、和歌山と連携することがあれば力になれるので、声をかけてほしい。
〇石松校長:
第3回の地域協議会では、委員のみなさんの要望する資料を準備したい。何か必要なものがあれば連絡してほしい。