県教育委員会では、平成23年度から武雄青陵中学校において標記事業に係る実証研究に取り組んでいます。
実証2年目となる今年度の取組も半ばが過ぎました。
こうした中、今年度後半事業の円滑な実施に向けて、第2回となる地域協議会を下記のとおり開催しました。
主な内容は以下のとおりです。
○日時 平成24年10月17日(水曜日) 17時~18時30分
○場所 佐賀県立武雄青陵中学校
○協議会構成委員
・県教育庁教育情報化推進室長
・県統括本部最高情報統括監
・武雄青陵中学校長
・武雄高等学校長
・西部教育事務所長
・先進的ICT利活用教育推進事業教育実践校担当者代表
・武雄青陵中学校PTA会長
・大学教官(情報システム及び教科教育担当者各1名)
・武雄市教育委員会教育長 以上10名
1 開 会
2 会長挨拶(教育情報化推進室長)
○今年度の取組が半ば過ぎたが、他県の教育委員会などから本校への視察も多くな
され、非常に注目されている。学校には負担をかけていると思うが、よろしくお願いし
たい。
○先日も、韓国教育学術情報院、通称KERISからの訪問があった。佐賀県の取組に
高い評価をいただいている。その中でも、武雄青陵中学校の取組には、見るべきも
のがあるという言葉をいただいている。
○本県が進めているICT利活用教育は、児童生徒の学力向上を目指したものである
が、ここでいう学力向上とは、単に点数が上がるというような狭い意味での学力のこ
とではない。学ぶ喜び、学ぶ興味を高めることである。一方、教師にとっては、自分の
教え方のレパートリーが広がり、教授法の改善につながるということでもある。
○昨年度末に国の方で実施された武雄青陵中学校でのアンケート調査では、生徒たち
の学習意欲等において、高い成果を見ることができた。
○これからも、フューチャースクール実証校として取組を進め、その成果等については、
積極的に情報発信を行ってほしい。
3 副会長挨拶(武雄青陵中学校長)
○高い評価を受けたことをうれしく思う。職員に伝えたい。
○本事業も2年目を迎える。今年は中身の充実を図るべく、日々の授業の内容につい
て、より成果が上がるような取組を進めている。
○武雄高校とのWeb会議システムを活用した取組も、少しずつ前に進んでいる。
○いろいろと課題もあるが、みなさんの示唆を受けながら取り組んでいきたい。
4 議 事(主な協議内容)
(1) 平成24年度の取組状況について(県教委)
○独自課題である別校地にある武雄高校との双方向通信は、両校で計画的に取り
組んでいただいている。一方、もう一つの独自課題である教育情報システムの導入
に関する課題抽出が、十分には進められていない。これは、年度当初、システムの
一部改修とデータの入力に時間がかかったことによる。
○学習者用デジタル教科書への保存がうまくいっておらず、別サーバあるいは別ファ
イルへの保存で対応している状況だ。
○学習者用端末の利用頻度を上げるための知恵を本協議会委員の先生方からいた
だきたい。
○他のフューチャースクール実証校との意見交換を行ったが、本校で学習者用端末
のパネル交換が多く出ていることは特徴的だ。
○IWB(IWB)は、大半の授業で利活用されている。特に、指導者用デジタル教科書が
多く使われている。問題点としては、可動式であるが故の焦点のズレの発生が多く
みられる。キャリブレーションのしなおしを何度もする必要が起きている。
○無線LAN、ネットワークについては、協働学習による利活用が増えた。
○ICT支援員の業務内容については、昨年度の授業支援から授業支援準備にシフト
しているのが特徴的だ。
〔意見交換〕
○学習者用デジタル教科書の機能を使った保存ができない場合もある。その場合は、
保存先を別に作って対応している。担当の教科書会社へも照会中である。
○学習者用端末とIWBの親和性は、特に問題はない。協働学習支援ソフトを用いて、
生徒の画面をIWBに写したり、教師作成の学習プリントを配付したりするなどの利活
用が進んでいる。
○IWBの焦点のズレについては、致遠館中学校でも同じ問題が発生したので、県が導
入するIWBの機種としては、来年度、配備分については、別の機種とした。太良高校
のように、プロジェクタが固定されている場合は、キャリブレーションをしなおさなけれ
ばならないという問題の報告はあっていない。焦点がずれると、極端な場合、円が
楕円に見えたり、細胞分裂が明確に分からなかったり、ということもありうる。
○IWBの「ズレ」は、致遠館中学校では、設置後、
半年で発生している。レールで移動させること
で起きる現象なので、構造上仕方がない。それ
でも、当該IWBの全国シェアは大きいと聞いてい
る。ボードではなく、フレームをもって動かせば、
比較的安心だ。
○学習者用端末についても、操作性の悪さが指
摘されているが、「こうすればもっといい教育が
できる」という方向で提言を行ってほしい。
(2)今後の事業計画について(県教委)
○災害時のICT利活用については、調査分析の委託業者(凸版印刷)の力添えが必要
だ。災害発生時に学校が避難所となった場合に、誰が、どんな状態で避難されている
のかをいち早く情報を集約するといった内容を実証してみたい。
○別校地との双方向通信については、Web会議システムを用いて、計画的に実施してい
ただいている。先日、新聞でも外国とつないだ実践が紹介された。昨日も高校の先生
が英語のディベートを中学生に対して実施していただいたと聞いている。
○その他、授業実践は別資料で写真を提供していただいているので、そちらを参照して
欲しい。学びのイノベーションとの関係もあるので、アンケート調査も今後やっていくこ
とになるので時期等のご協力をお願いしたい。
(3) 意見交換 ●…委員 ○…県教委
学習者用端末の持ち帰りについてはどうか
○当初からの研究テーマとしていることなので、それについては取り組んでもらいたい。
現在、中原特別支援学校では、校長からの申請を受けて、持ち帰りの許可を出して
いる。武雄青陵中学校でも、クラスや曜日を固定し、持ち帰りの実証をやってみてい
い。県立高校も、今後、同様の課題が出てくることが想定される。管理規則取扱いも
今後検討が必要な問題である。
災害時の活用、避難所としての活用より、子どもたちが持ち帰りができれば、本人の安否がわかるのではないか。通信の環境が整うのかが問題だ。今のマシンを家に持って帰っても使用できるのか。
○プロキシサーバの設定が必要だが、自宅で使うことは理論上可能である。ただし、
セキュリティの問題や家庭のネット環境など、どういう条件を整備すれば、家庭での
持ち帰りができるかの課題を洗い出すことが必要だと考えている。
○「先進的ICT利活用教育推進事業」では、持ち帰りを前提でやっている。持ち帰りを
したときに課題があるのであれば、それを一つ一つ解決していくことが必要だ。災害
が起こった時に避難を強いられることになった場合でも、子どもたちの教育を受ける
権利を守ることを念頭に置いたものである。そこに対する課題は抽出していく。
学習者用デジタル教科書のインストール状況はどうか。他方、状況調査を見ても、県内のかなりの学校は、指導者用デジタル教科書を用いた分かりやすい授業が行われているように感じている。
○武雄青陵中学校では、学習者用デジタル教科書については、3年生を除く、各学年
の国語、英語、数学の3教科でそれぞれ4単元ずつが開発され、夏休みにインストー
ル作業が行われた。指導者用デジタル教科書は、5教科全学年のものがIWBで使用
可能な状況になっている。
高校とのつながりについては、昨年もWebカメラを用いて取り組んでいるが、今年度の取組として昨年と違った手法やコンセプトはあるのか。
○手法としては、昨年度と変わっていない。送受信の形態を変え、どんな教育場面に
活用できるのかを検証していくことになる。昨年度は、高校での講演会を中学校の
4クラスで受信した。今年度は、できるだけ多くの生徒にそのような双方向通信による
交流を体験してもらいたいと考えている。
○教育の情報化推進のための導入に対する課題の抽出・分析について、幅広く、教育
の情報化に向かって何ができるのかを比較的自由に提案するよう総務省から話が
あった。例えば、不登校やいじめなど特定の教育課題があって、複数の者が一同に
会する時間的な余裕がない場合、端末を用いて話し合いの場を持つことが可能にな
るのではないかという提案を今回示している。今後そのような形で、幅広く利活用を
考えて行かねばならない。
(4) その他
○次回の地域協議会は、できれば授業参観後の会にしたい。日程的に、いつだった
ら開催可能かについて、学校と教委とすり合わせる。議会の時期と重ならないよう
にしたい。
○11月26日に公開授業を全クラスで予定している。ほとんどのクラスでタブレットを
使用する。国からも各都道府県に案内を発出している。
○写真の資料には、音楽で自分の口の開け方をビデオ撮影して合唱の改善に生か
すなど、これまでにない新しい取り組みも紹介しているので、参照して欲しい。
5 閉会