●日時:平成27年7月2日(木曜日)13時から15時
●場所:大会議室 (新行政棟11階)
●協議会構成委員(25名)
- 県教育委員会教育長
- 県最高情報統括監
- 県教育委員会副教育長
- 県内市町教育委員会教育長(県内20市町)
- 連携企業代表
●内容
(1)教育委員会挨拶 古谷教育長
本日は、お忙しい中、平成27年度第1回佐賀県ICT利活用教育推進協議会にご出席いただき、ありがとうございます。県教育委員会を代表して、一言、ご挨拶申し上げます。
県では、今日の高度情報化、グローバル社会にあって、教育の情報化の推進は、これから必要となる、コミュニケーション能力や情報活用能力等、いわゆる「生きる力」の育成に不可欠なものであり、今後の教育を左右する喫緊の課題と捉え、現在、全県規模で取り組んでいます。
特に、平成23年度からは、事業の全県展開へ向けて、人材の育成と機器の整備、更に県独自の教育情報システムの構築に、一体的に取り組んでおります。
また、本事業の推進に当たっては、県と市町とが一体となって、計画的、組織的に取り組むことが何より重要であり、そのための連携と協力が不可欠であると考えております。
この推進協議会も、本年度は、5年目を迎えることになります。
こうした中、県立学校では、平成26年4月からは、1年生から順次、学習用パソコンを導入し、県立学校全校で本格的なICT利活用教育の実践を始めたところです。
また、各市町におかれても、本年度中には、全ての市町立小・中学校において、電子黒板については、全普通教室に各一台の整備を終えられると聞いています。
いずれにしても、このICT教育の取り組みに当たっては、学校現場、市町教育委員会としっかり連携を取りながら進めていくことが大切であろうと思います。
そのため、県では、4年間の区切りを迎えたということで、学校現場から出ている問題点や意見等を求めながら、課題を洗い出して、改めてこの総合的な検証を行うという取り組みを進めています。
本日の協議会では、県や各市町での取組状況や国の動き等についての情報交換や協議等を行っていくことといたしております。ぜひ、本日の協議会が、会員の皆様にとって有意義なものとなればと思っております。簡単でございますが、県教育委員会からの挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(2)新規会員紹介
佐賀県教育委員会 教育長 古谷 宏(平成27年5月29日付けで就任)
唐津市教育委員会 教育長 稲葉継雄(平成27年4月 1日付けで就任)
(3)県の取組について 福田副教育長
平成23年度にスタートした本事業についても4年間を終え、これから新しいステージに入っていく。導入期を終えて本当にこれを学校現場で展開していくために定着に向けて動かないといけない。きめ細かな状況把握、改善に向けた取り組みということで、例えば、アンケート調査や学校訪問、発表会などでの意識調査を通して、きめ細かく声を拾っていきたい。中には、市町の取組に対する意見もあるので、私の方から報告させていただきたい。
あわせて、入試制度の改革等新たな教育改革の動きに対応していかなければならないと考えている。
ICT利活用教育改善検討委員会の委員は15名。うち9名は現場から来ていただいている。小学校の代表として小学校校長、中学校の代表として中学校長、高等学校の代表として高等学校長、小学校、中学校、高等学校の保護者代表、佐賀県内の3つの職員団体それぞれの代表を御推薦いただいた。入試改革もあるため、この分野の第一人者の有識者も委員に入っていただいた。座長は、佐賀新聞社の富吉様にお願いし、ICTに限らず細やかに佐賀県の子供たちをどう育んでゆくかという立場で検討を始めたところである。
確認しておきたいのは、いわゆる教育の情報化というのは、ICTを活用して教育の質の向上にどうつなげるかということ。時代背景として、今求められている高度情報化、グローバル社会に対応できる人間を育成しなければいけない。そのためには国の教育改革の動き、PISA調査の分析結果等についても精査する必要がある。
併せて昨年度末には、過疎化、少子化対策としてテレビ会議等を使用した授業等を、正規の授業としてカウントできるという取組の発表があった。そういった、ICTが持っている特性を活かした教育の在り方についても目を向けていく必要がある。
そのような中、次期学習指導要領の改訂が始まっているが、現在の学習指導要領についても、学力を支える三つの要素としてメリットを書いてある。1つ目は基礎・基本の徹底、2つ目は知識・技能を活用して自ら考え判断し、情報発信につなげる力、3つ目は学習に取り組む意欲をどう育んでいくか。これは、PISA調査でも、子供たちの学力についてはV字回復しているが、一方で意識の面ではまだまだ低いということで、学習状況調査の意識の問題として、国の方では取り組みが進められている。
大学入学者選抜改革の動きについて、中央教育審議会で答申が出された。1つは全国学力学習状況調査の高校版として在学中に受ける試験で、もう1つは卒業段階に受ける試験である。これは、全国学力学習状況調査とは違い、PISA調査のような問題形式で作問がなされて、いわゆるCBTといったコンピュータを使った試験の方法も検討していくということですでに発表されている。この活用方策として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」と三分割して、高1・高2・高3と育んでいって、大学入試につなげていく。大学でもこういった改革が求められており、対象が中学校1年生からなので、このような動きが始まっていることを、市町の小中学校についてもアンテナを少し高くしていただきたい。
教職員の研修については、市町の協力があり、国の調査でみる限り、ほぼ全部の先生が使えるまでになっている。一方で、使えるということと本当に授業に活かせるというレベルまでは若干強化しないといけない面があるため、推進リーダーを中心とした研修、県の教育委員会から出向いていく出前授業的なOJT等について強化している。
初任者研修では、ICTを使った教育をあなたがするとして、「どんな教育をしたいかイメージできますか?」というところから始めている。イメージができる先生もいれば、イメージすら厳しいという先生もいた。現在は、あらかたこういう教育をすれば目の前の子どもに対して勉強を教えることができる、またはリードすることができるというレベルまでなっている。県立高校では、実際やる中で工夫をしていただいている。黒板を使った方がいい場面、デジタル教材を使った方がいい場面など、いろいろな意見が出てきている。自分の授業や他の先生の授業を振り返って、または、学校開放時に他校の授業を見ながら工夫されている。市町についても、電子黒板が入り、将来的には学習用PCが入り、そういった中で、先生方が最終的には最前線なので、うまく使っていってほしい
県立学校では、平成23年度に実証研究が始まり、現在では高校1年生・2年生が学習用PCを使うような状況になっている。市町についてもかなり機器整備が進んでいる。こういう状況であれば、なおのこと、先生方がそれについていけるレベルになっているのか、本当に先生方がそれを活かせる立場になっているのかを精査しながらやっていくべきだということで、取り組みを進めている。
学校では、校務管理システムの利用がかなり増えている。先生方が実際に生徒に授業をする以外のところで事務負担の軽減につながるものと考えている。
電子黒板、情報端末が入ってくると、子どもと先生をどうつなぐか、教材をどう確保するかを考えなければならず、こういった中で学習管理システムと教材管理システムを一体的に使う取り組みを進めている。国の新たな実証研究も始まり、佐賀県と国のシステムをどのようにリンクしていくかが議論されている。
佐賀県には、佐賀県教育クラウドとしてSEI-Netがあるが、市町には県が作ったSEI-Netを利用しているところと、独自にシステムを使われているところがある。将来的には市町と県立の学校がリンクできればと考えている。
特別支援教育については、市町の特別支援学級の子どもたちと県の特別支援学校の子どもたちを合わせて考えていただきたいが、知的障害や肢体不自由の子どもたちが、タブレットを使って自分の意思を伝えることができるということは、学習意欲につながると思われる。また、学校で勉強できない、病弱や不登校の生徒については、テレビ会議システムを使い、先生と生徒のマンツーマンで指導ができる。こういったものをうまく組み合わせていければ、今までなかなか指導ができなかったいろいろな子どもたちにも踏み込めるのではないかと考えている。
成果ということでは、電子黒板については、生徒の「なぜ?」に応えるのに有効だという声がでている。学習用PCは、なかなか面白い面もあるが、使ってみて思い通りにはいかなかったという声もある。生徒の「分かった、できた」という声を拾い上げるのには有効に使えている。アクティブラーニングのように、生徒主体の授業ではかなり使えるものになるが、そのためには、先生たちがもっと生徒とキャッチボールを行う場面を作っていく必要がある。電子黒板はこれまで通りの授業をしていても、スッと入っていける。ただ、学習用PCは少し授業のやり方を工夫しないとうまく使えないのが事実である。
一方、現状での課題としては、「教材」が一番の課題である。先生方からは教材を使いたい、子どもたちからは使ってほしいという声がある。しかし、紙の教材では著作権法35条の特例事項により、先生同士の共有や切り貼りができたが、デジタル教材では一切禁止されている。そのため、先生方が使いたいと思っても、すぐに使えない状況ができている。
次に、自主教材の問題がある。先生方の強みは自主教材であるが、作ってみたものの、その中に他からの引用があったりして著作権が絡むと、どうしても厳しい状況にならざるを得ない。先生方には著作権の研修を多くしているが、先生方からは「厳しい」という意見が多く出ている。
最後は、先生方の慣れである。今まで使っていなかったものを使って、日々成長されており、3歩4歩と前に進んでいるが、希望とする10歩目まではもう少し時間がかかる。
授業で先生方が使う教材については、教育委員会が用意する必要があるため、そのための予算を確保していただきたい。市町でも電子黒板を整備するだけでなく、教材も考えてほしい。
県としては、教材を作りたいが不安な先生方の要望にこたえてサポーターを配置している。著作権を審査したり、著作物を提供したりしてくれている。また、現場支援も行っている。機器のトラブル等についての現場支援として、ヘルプデスクを配置しており、今年度からは県立高校は全校に現地員を1名ずつ配置した。
市町におかれましても取り組みの検証と次に向けてのステップアップをお願いしたい。
(4)市町の取組状況について
◇電子黒板の整備状況について
◇独自に実施する教員研修について
◇ICT支援員配置状況
◇教育情報システムの整備状況について
◇特徴的な取り組み等について
以下要旨のみを記載
○佐賀市
電子黒板は、計画を前倒しして、昨年度中に、全校に配置した。
○唐津市
離島を抱えている。そのデメリット解消にICTの活用を考えている。
○鳥栖市
電子黒板は、今年度配備予定です。
タブレットは今後検討する。
SEI-Netは県内でも早めに取り組んでいっている。使えば使うほど、いろんな不具合が出ている。県の方のご指導をいただきたい。
○多久市
電子黒板の配備は完了している。
支援員は2名配置している。
○伊万里市
校務パソコンの整備も遅れているが、整備中です。
液晶型かプロジェクター型か検討中で、今年度中に配備が終わる予定です。
SEI-Netを活用の予定です。
○武雄市
電子黒板は今年度中に配備予定です。
スマイル学習、スーパー食育スクール(食と健康、タニタと連携)を実施している。
先生方は、あればいろいろな工夫をされる
武内、若木でプログラミング教育を実施している。
○鹿島市
電子黒板は今年度中に配備予定です。
支援員の予算を補正でしたため、時期がずれてしまい、支援員が見つからない。確保が大変であり、企業に頼むと高く、苦慮している。
情報システムについて、指導要録、出席簿、通知表等、独自にエクセルで作ったものを使っている。
○小城市
研修は教育総務課に担当主査を置いて、対応している
ヘルプデスク1名、支援員3名配置し、一番大事と考えて、財政には説明している。
システムは大きなお金がかかる。今後続けていけるのか不安もある。
○嬉野市
指導要録、出席簿等についてはソフトをいただきながら対応している
○神埼市
電子黒板を入れて、中学校の授業が変わった。授業が分かりやすくなり、子どもたちの顔が上がるようになった。
中学校3年に一人1台の端末を入れている。学力向上に生かしていきたい。現状は、まず、最初に取り組んでくれたのが体育で、マット運動などを動画で撮影して使用した。カメラ機能では理科を、社会科では、総合的な学習の際の調べものに活用している。国語、英語、数学はまだまだ活用できていない。学力向上で活用し、結果を出していきたい。
校務用パソコンについては、中央のサーバーで一括して対応している。
○吉野ヶ里町
28年度は特別教室まで全て、電子黒板を配備予定です。
支援員は今年は確保できなかった。来年度はぜひ確保したい。
○基山町
電子黒板については、議会に予算要求している。
支援員の配置はしていない。予算面の課題がある。
中学校に端末を整備した。学校サーバーの更新も迫っており、優先順位を決めて取り組みたい。
iPadを導入した。発達障害の児童生徒に役立つと報告を受けた。
財政に要求するための資料とした県の成果資料をいただきたい。
○上峰町
タブレットを利用した学力向上の取組を行っている。
5年ほどの買い替えがあるので、リースを考えている。
外国語活動としては、発音の上達のためにマンツーマンの英会話などの取り組みを行っている。
○みやき町
電子黒板は84インチを導入した。
キーボードの取り外しが可能なタブレットを導入した。
支援員は、3校区で3名配置している。
○玄海町
26年度はタブレット導入の実証研究事業を実施した。タブレット導入について9月補正を考えている。
支援員を小学校に1名、中学校に1名配置している。
○有田町
電子黒板は50インチのTVで代用しているが、夏までに電子黒板の整備完了予定です。電子黒板の研修を進めていく。
支援員を2名配置している。
指導要録をSEI-Netで考えている。
○大町町
電子黒板は27年度中に整備を完了する予定です。
夏休みにSEI-Netの研修を予定している。
○江北町
電子黒板は整備済みです。
先生方の要望については、打ち合わせをしながらしている。
○白石町
電子黒板については整備済みです。
デジタル教科書の操作研修を予定している。支援員を4名配置している。
PC40台3セット導入し、2週間ごとに移動のパソコン教室を行っている。
パソコン教室の更新時期にタブレット型に更新を予定している。
教育情報システムはSEI-Netの利用を検討している。
○太良町
電子黒板の整備済みです。
支援員を各学校に1名常駐している。
情報端末を今年度、中学校1クラス分配備予定である。
(5)意見交換
○佐賀県
学力向上、多久市の取り組み結果を紹介した。
多久市では、帯時間を利用して、ドリルやプリント学習を行っている。
基礎学力の向上のため、苦手分野の克服にASPサービスの利用もある。折をみてご紹介したい。
○伊万里市
支援員の配置の必要性が高いと感じた。
県で市町村への支援というところまで広げていただくことはできないのか。
○佐賀県
研修は県の役割、システムも県の役割、機器の整備は1678億円の交付金がある。
国家プロジェクト的な枠組みについて、国に要望している。
○唐津市
学力向上のためにアクティブラーニングに力をいれていきたい。ICTで相乗効果が得られると考えるが、まずはアクティブラーニングに力を入れたい。
○小城市
学力調査の関心が高い。
グローバル社会、点数の力ではなく、それ以外の力を育成する。
資質を向上させる。
生きる力、生き抜く力の育成に取り組んでいる。
○佐賀県
アクティブラーニングは子供たちが主体で学ぶ。少子化の中で子供たちが自ら考える力を養う必要がある。
学力向上というと点数となるが、次の世代を担う子供たちをどうするか。
これまでの教育を否定する訳ではなく、どう説明するか困ったときに電子黒板、学習用PCを使えばよい。
(6)その他
事例発表、高校生ICT利活用プレゼンテーション大会の応募及び実施の案内をおこなった。