令和4年2月7日 令和3年度の重点的な取組について教育長が記者会見を行いました
<発表項目>
- 重点プロジェクト ~教育が直面する重要課題に正面から取り組む~
1 唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト
2 プロジェクトE
3 部活動改革プロジェクト
4 さがすたいるスクールプロジェクト
<配布資料>
<概要>
令和4年度の佐賀県教育委員会の重点的な取組について説明する。
児童・生徒が高い志と理想、郷土への誇りをもって困難に立ち向かっていくための「生きる力」を育成することを目標に、児童・生徒の教育に取り組んでいる。
教育が直面する重要な課題に正面から取り組むため、今年度から重点プロジェクトを掲げている。
・唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト
・プロジェクトE
・部活動改革プロジェクト
令和4年度は、これに加えて
・さがすたいるスクールプロジェクト
を新たなプロジェクトとして取り組み、
・「未来のさが」を担う教員の人材確保
を加えた5つに重点的に取り組む
<唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト>
各県立学校の魅力や強みを徹底的に磨き上げて、それを積極的に情報発信し、県内外からの志願者増に結びつけ、学校と地域の活性化に結びつけていく取組。
令和3年度は、8校のモデル校において地域と連携したプロジェクトを進めるとともに,それを積極的にプロモーション、情報発信してきた。
令和4年度は、さらにそれを加速、発展させ、「SAGAコラボレーション・スクール」9校と、「SAGAスマート・ラーニング」8校を指定し、重点的に取り組んでいく。
学校魅力アドバイザーを配置してバックアップしながら、各学校では、学校魅力強化委員会を設置し、地域、外部の人材と連携して学校の魅力を高めていく。
コラボレーション・スクールの中の重点4校には、コーディネーターを配置し、地域との連携をファシリテートしながら、県立高校の魅力をアップしていく。
県立高校の情報を積極的に発信していく取組もさらに加速させる。
・SAGA県立学校進学ナビというウェブサイトを設置
県立学校の魅力を発信するとともに、生徒募集に関するタイムリーな情報を提供
・SAGAハイスクール・ウェビナーの開催
学校説明会のリアルタイム配信、アーカイブのオンデマンド配信
あわせて、県内5地区で開催する高校進学相談会や、各学校での体験入学会も実施し、ウェブでの配信とリアルな取組と合わせて、志願者増につなげていく。
今年、有田町とも連携協定を結んで、有田工業高校の全国募集に取り組んでいるが、今年4月の入学生の入試から、県外からの受験資格を拡大。こういった取組もさらに加速化していきたい。
<プロジェクトE>
ICT教育については、佐賀県は全国でもトップランナーを走ってきた。環境が整っている利点を生かして、一昨年のコロナ禍における全国一斉休校時も、直ちにオンライン授業に取り組むことができた。そのときの集中的な取組をプロジェクトEと呼んだが、そういった段階をフェーズ1として、フェーズ2ではさらに取組を進化させていく。
来年度は、国が取り組んでいるGIGAスクール構想で市町も1人1台端末が実現する中で、教員間のノウハウや情報の共有ができるウェブサイト「Eコネクト」を開設し、ICT教育についてのスキルを県全体で飛躍的に高めていきたい。
教育のデジタル化について、佐賀県で独自に英語デジタル教材を開発して、それを来年度、本格的に供用していく。また、学校行事のオンラインによる配信等にも取り組み、全体で佐賀県のICTの取組をさらに加速していきたい。
<部活動改革プロジェクト>
部活動に関しては、少子化に伴う学校の小規模化、教職員の働き方改革等、様々な課題に直面している。子供たちがいろんなスポーツや文化芸術に取り組むチャレンジの選択肢を狭めたくない、確保していきたいという思いで部活動改革に取り組んでいる。
令和3年度には、「SAGABUKATSUミライプロジェクト委員会」を設置し、関係者とともに、部活動の地域との連携や地域移行について、議論を進めてきた。やり方はいろいろあるが、その全体を「SAGA部活」と名付けて応援していく。来年度は、
・SAGA部活スペシャルサポーター派遣(外部の指導者である部活サポーターを派遣)
・部活サポーター派遣(レベルの高い指導者を地域と連携している部活動に派遣)
・地域部活動推進(平日:学校部活動、休日:地域部活動といった地域部活推進の試行への支援(スポーツ庁委託事業))
・学校/地域拠点型クラブ支援(拠点型クラブへの広報支援(選手募集広報等))
に取り組む。これらを通じて、「SAGA部活」を推進し、SSP構想の推進、あるいは文化芸術の振興に貢献をしていきたい。
また、部活に関連して、地域連携型の活動を進めていくと、複数の学校で合同チームを組む機会が増えてくる。そういった中、大会参加規定で合同チームの出場への制約が現状、厳しい。佐賀県の中体連では、来年度、これまで2校でしか合同チームが組めなかったものを、3校以上でも組めるよう緩和をしていただくが、全国中体連の大会参加規定が厳しく、これ以上の緩和は難しいとのことだった。こういったことは、全国の中体連にも、提案をしていきたい。
<さがすたいるスクールプロジェクト>
県では、誰もが自分らしく、心地よく過ごせる優しいまちのスタイル
“さがすたいる”に取り組んでおり、そのコンセプトを学校に適用して、学びたい誰もが、安心して学べる、優しい学校づくりを進めていくのが「さがすたいるスクールプロジェクト」。
例えば、校則や制服の見直し、いじめや不登校問題、学校への生理用品の設置、夜間中学や定時制・通信制の充実、特別支援教育の充実、など様々な課題がある。こういったものをこのプロジェクトで、誰もが安心して学べる優しい学校に取り組んでいきたい。
特に、夜間中学に関しては、佐賀県は今のところ設置されていない。令和3年度アンケート調査をして、一定のニーズが佐賀県にあることが確認できた。来年度、夜間中学に関する検討委員会を設置し、市町とともに検討を進めたい。
つぎに、県東部地域の特別支援教育に対するニーズの高まりの中で、中原特別支援学校の教室不足も深刻になっており、県東部地区の特別支援学校の充実を図っていく。中原特別支援学校の教室の増築と併せて、九千部学園の施設敷地を活用して、新しく鳥栖特別支援学校を設置して、県東部地区の特別支援教育の先端的機能を担っていきたい。
<「未来のさが」を担う教員の人材確保>
教員の人材確保については、全国的な課題だが、特に佐賀県では、小学校の採用試験の倍率が1.4倍と全国でも一番低い。教員の人材確保に強い危機感を持っており、多くの人に佐賀県教員を目指してもらうため、採用試験について大きな制度改革をすることになった。
1つは、特別選考の新設。
・現職教員のUJIターンに係る選考
・唐津にあります7つの離島の枠
・大学、大学院からの推薦制度
2つ目は、秋の採用試験(小学校教諭)の実施。教員になりたいという意欲が高い人たちに、セカンドチャンスを提供していく。
また、こういった取組や佐賀で教員になることの魅力を積極的に発信するために、新たにウェブサイトを設置する。
こういった取組で、佐賀県教育委員会は、夢や目標を実現しようとする子供たちを全力で応援していきたい。
また、最後になるが、新型コロナウイルス感染の第6波の収束が見えない中で、学校現場において感染症対策に全力を尽くしていただいている教職員、また、児童生徒や保護者の皆様にこの場をお借りし、心より感謝申し上げる。
<質疑>
○読売新聞
教員採用試験の新制度は、他県ではもう行われているような事例なのか。それとも、佐賀県が新しくやる制度なのか。
また、秋の採用試験は、夏の時点で基準に満たないと判断した人を採用するとのことで、その点はどうなのか。
〇教育長
推薦制度については他県でも事例はあると思う。秋採用は、他県の事例は聞いたことがなく、我々としては全国初ではないかと思っている。
教員志望者は全国でチャレンジするので、様々な事情で夏のチャレンジが成功しなかった人たちがおり、そうした中には教員になりたいと意欲に燃えている人もいる。そういった人に佐賀県はセカンドチャンスを提供し、佐賀県の選考レベルに達している人を採用したい。
○読売新聞
夜間中学は、新年度に検討委員会を設置ということだが、今後の流れ、スケジュールはあるのか。新年度中には設置されるわけではなく、そのさらに翌年などを目指す考えか。
〇教育長
夜間中学は、義務教育であり、基本的には市町が義務教育を担っているので、市町としっかり議論をしなければならない。他県の事例でも、多くは市町で設置され、一部例外的に県立で設置されている。ニーズ調査の結果では、県内広くニーズが分布しており、どこにどういう形でつくるのかというのは悩ましいところ。そこも、市町も含めてしっかり議論、検討し、今後の進め方も含め委員会で検討していきたい。
設置時期は、令和4年度ということではなく、今後の進展は議論を踏まえて考えていく。
○毎日新聞
「部活動改革プロジェクト」は、教員不足などで教員の仕事量が増えていて部活に携われないといったことも狙いとしてあるのか。今、コロナで部活動も停滞している中、新年度にこれをやる意義を改めてお願いしたい。
〇教育長
部活動に関しては両面から課題がある。
まず、生徒側からは、学校の小規模化で既存の全部活を1つの学校で維持する事が難しくなったり、1つの部の生徒数が減り活動が難しくなったりすると、選択の幅が狭まる。
もう一つは、教員の働き方改革の中で、特に中学校教員の時間外での仕事のかなりの割合を部活動が占めている。
その両面から、これまでどおりの形で部活動を続けることが難しい。部活動数を減したり、時間を厳しく限定したり、様々なやり方があるのかもしれないが、チャレンジしたい生徒たちの夢を応援し、スポーツや文化・芸術の選択の幅を狭めないために、これまで主に学校単位で活動してきた部活動を地域と一緒に盛り上げていきたい。それを「SAGA部活」として、いろんな形で来年度から応援していく。
○朝日新聞
配布資料で校内LAN整備があるが、佐賀県は2014年からタブレットでの授業をもうやっている中で、学校内LAN整備が必要ということだが、その時点では分かっていたことではないのか。
○教育長
校内LANは既にある。数年に一回更新が必要で、そのタイミング。
○佐賀新聞
先ほど知事から発表があった、4年生の35人学級について、教育委員会としての考え方を伺う。
○教育長
国も、5年間かけて小学校6年生まで35人学級を実現しようとしている。
佐賀県では、以前から国が1年生だけ少人数学級を実施していた時から2年生までの少人数学級を県独自に実現してきた。県として少人数学級には積極的に取り組む中で、国の一歩先を行くという思いで今回取り組ませていただく。
○STS
部活動で去年から委員会をされているが、学校型や地域型などいろいろある中で、いつまでにどういう形で部活動を展開していくのかといった、スケジュール感はあるのか。
○教育長
いつまでにどこまでというのはなかなか難しいところ。国は、令和5年度から本格的な学校部活動の地域移行を進めたいと表明しているが、一気にということではないのだろうと考えている。我々も子どもたちのチャンスをできるだけなくさないよう強引に一斉にという形ではなく、いろんな地域との連携のやり方を全体的に盛り上げていく。
具体的なレベルになると、各市町や各学校が、置かれている状況でどうされるかということになるので、県教育委員会として一律にこうしていくとはならない。地域、学校、種目により状況は様々で、様々な形で中学生、高校生が活躍できる場を確保していくのが我々のコンセプト。出口では地域のクラブチームもあるので、知事部局とも連携して今後進めていく。
○共同通信
部活動で、地域や民間の活用ということだが、全国で、特に地方では受け皿になる民間団体がないとか、指導者が足りないといったミスマッチも起きていると思うが、その辺りについて県が支援するような考えはあるか。
○教育長
個別の支援は、先ほど事業として申し上げた指導者の派遣、部活サポーターの派遣ということになるが、部活動の処方箋は様々で、学校単独で成り立たなくなれば、いくつか組んで、地域クラブや合同チームなどを組んでいくということになろうかと思う。様々なやり方を総動員して、受け皿と人材を確保していきたい。
その中で、教職員が今まで学校の部活動を見る中で、社会体育の指導に関わるチャンスは少なかったが、そういったこともできるような仕組みをつくっていく必要があると思う。
○共同通信
教員の確保で、秋の採用試験を開始されるが、これは夏の1回目の採用枠を減らして秋に回すのか、または採用枠を増やすのか。
○教育長
教員の枠自体を増やすわけではない。教員の採用数は決まっているので、その一部を秋に採用していくということ。
○共同通信
夏の採用を減らし、秋にもう一回チャンスを設けるメリットとは何か。
○教育長
夏の採用枠を減らすのではなく、夏の採用試験の合格者の辞退などで欠員がでている部分を秋採用で採っていくことになる。
○NHK
今、教員不足の件に関連して、特別支援学校の教員も不足していたと思うが、中原特別支援学校が増築され、その後、鳥栖特別支援学校が新設されるが、どのように対応されるのか。
○教育長
特別支援教育の専門的な採用も行っており、今後のクラス数も推計しており、それに対応できるような計画的な採用をやっていく。