佐賀県教育委員会は、平成21年3月に「佐賀県立高等学校再編整備第二次実施計画」を策定し、太良高校の再編を決定しました。
この計画では、今までの太良高校の2学級については、平成23年度に西部学区の定員としては1学級減じ、その上で、「従来全日制高校で十分に対応できていない生徒」に教育の機会を提供するために、県内全域から40人程度の募集を行い、新しいタイプの県立高等学校のモデル校とすることとしました。
これを踏まえ、新しい太良高校の具体的なあり方等を検討するために、「
新太良高校設準備委員会」を立ち上げ、魅力ある学校づくりを目指した検討を行い、平成22年3月に
「太良高校改編計画」(以下「改編計画」という。)を取りまとめました。
改編計画には、改編の目的及び特色として、
- 平成23年4月に「多様な学びのできる全日制高校(普通科)」のモデル校として改編する。
- これまで太良高校が果たしてきた役割を引き継ぐとともに、既存の全日制高校では十分に対応できていない、不登校経験や発達障害のある生徒及び高校中途退学者で、全日制高校で学ぶ意欲と能力のある生徒に対しても教育機会を拡大し、多様な学びができ地域も生徒の教育を支援する学校とする。
としています。
また、目指す学校像としては、
- 多様な選択科目の設定や単位認定により、生徒の個性や可能性を引き出し伸ばす学校
- ICT教育の充実や少人数によるきめ細かな指導により、生徒に確かな学力を身につけさせる学校
- キャリア教育の充実により、生徒の主体的な進路選択を支援する学校
- 様々な体験学習により、社会性や他人を思いやる心を身につけた生徒を育てる学校
- 地域や家庭と連携し、共に歩む学校
としています。
このような再編の目的や目指す学校像等を踏まえ、再編の成果や課題を明らかにすることによって、今後の本県における高等学校教育の振興に資することを目的とし、検証を実施しました。平成26年3月に、再編後の太良高校の教育を受けた初めての卒業生を中心としたものであることから、これまでの結果を「検証報告1」とし、報告します。
なお、これまで太良高校の「改編」としていましたが、県立高等学校の再編整備実施計画の中で実施したものであることから、今回の検証より「再編」を用いています。
1 教育機会の拡大について
太良高校の再編によって、中学生の進路状況に部分的な変化が見られるようになっています。教育機会の拡大を図るという当初の目的は達成できていると考えます。更に教育機会の拡大を図るためには、太良高校の教育の成果を他校にも広めたり、定時制や通信制での対応についても検討したりする必要があると思われます。
全員が進路を決定することができたことは高く評価できます。就職分野で、一般企業への就職、あるいは福祉関係機関と連携した福祉的就労、進学の分野で、国立や私立の大学、専門学校や海外留学など、生徒の能力や適性に応じた進路の実現ができたものと考えます。ICTの利活用、学び直しを可能にする柔軟なカリキュラム、多様な単位認定、少人数学級編制等によって、きめ細かな教育を行い、学校全体で学力向上に努めたことにより、一定の成果を上げたのではないかと考えます。
3 地域との連携について
地域との連携は、太良高校の教育に不可欠なものであり、太良町における体験学習やボランティア活動等をはじめ、地域の方々との交流は生徒の人間的な成長を促しました。
4 今後の課題
このようなことから、本年度の実績は高く評価したいと考えますが、まだ再編後3年目です。
検証を確かなものにするためにも、引き続きデータを蓄積し、太良高校再編の成果と課題について、検証を継続する必要があります。