○西日本新聞
核のごみ関係でお伺いしたいんですけれども、先ほどのご回答で、大きくは原発を減らしていく方向で、新たな負担を受け入れるつもりはないというお考えがあったんですけれども、文献調査の後で概要調査に進む際には、知事としてそれに対しては反対するというふうに捉えてよろしいんでしょうか。
○知事
その心は、やはり──まず、最終処分場というものは必要だと思います。それは国の責任において造らなければいけないと思っています。
ただ、佐賀県の場合は、このエネルギー政策に大きな貢献もしてきたし、今実際に稼働しておりますので、これはそれぞれの都道府県で等しくみんな意識を持ちながら最終処分場について決めていくという、それは国全体としてのそういった動きというのが必要だという問題意識があります。なので、我々とすると──我々とというか、私の政治姿勢として新たな負担を受け入れる考えはないと申し上げているわけです。
今、文献調査について、玄海町と町議会がいろんな、まさに地域でいろいろな検討をしているので、今文献調査に関しては見守っていきたいなと思っておりますが、私の考えは変わらないので、そこで考えていただければと思います。
○西日本新聞
知事が概要調査に対して反対されるのかどうか、しっかりとその場で、そのときに判断されるかは注目されていると思うんですけど、そのあたり踏み込んで反対したりとか、そういう段階に進んだら知事として反対したりとかということなのか。
○知事
だから、新たな負担を受け入れる考えはありませんということで分かっていただけるんじゃないでしょうか。
○西日本新聞
これ以上の具体的なお話は今はしないというか。
○知事
それに尽きるというか、私はその考えを変えるつもりはありませんので、それがよっぽど何かの状況で新たに私なりの考えがあったら、それは皆さんにお話ししますが、基本的に私の考えはずっと一貫していて、大きな政治的な自分なりの考え方というのはじっくり考えながら作り上げてきたものだから、それは基本的に変えることはありません。
○西日本新聞
同じく、最終処分場の問題を抱えた北海道では、2000年に核抜き条例というのを設置したりして、それをそのまま一つの受け入れのハードルになっている現状があると思います。佐賀県でもそういった実効力があるといいますか、なにか反対するような施策といったり、条例をつくったりとか、具体的な取組は何かご予定されていますか。
○知事
考えていません。私の考え方というのは先ほど申し上げたとおりです。ですので、そして、私から条例をつくる提案をするつもりはありません。
もちろん、議会側が提案するかどうかというのは、それは議会側がご判断すればいいことだと思いますし、そのときそのときに条例化するかどうかというのは、時の執行部、知事と、それから議会側がそれぞれ自らの見識で判断すべきことだと思います。そして、私は、自分としての考え方は申し上げたとおりなので、自らそれを条例化するという考えはありません。
○朝日新聞
重ねてなんですけど、玄海町の核のごみの関係で、先ほど知事がおっしゃった、結局新たな負担を受け入れるつもりはないというのは、最終処分場の建設ということを指しておっしゃっているのかと思います。先ほど文献調査に関しては見守っていきたいというのは、当然先ほどから概要調査の段階では知事の意見を聞く手続がありますけれども、文献調査に関してはないという段階で、例えば、文献調査をこのまま町長が認めた場合、そこに関して知事から文献調査自体への何かしら意思表明というのはされないということなんでしょうか。
○知事
私はこの観点でもう一つあって、国全体で考えるべきという玄海町が言っているという話と、玄海町が、まさにこれは住民自治の世界で、特に文献調査に関しては、町としてどうあるべきなのかというのが問われている。対馬の例でもありますように、その上で、市長さんの判断があったわけです。今回はそういった意味で、玄海町が問題提起をして、そして、議会で議論をして、これから町長さんは住民を巻き込んでという話をされているようです。そして、町長としての判断をするという、ある部分、住民自治にとって大切なプロセスを生んでいるので、そこに対して、あまり私が見守りたいと言ったのは、私がそこに介入して何かを言うというつもりはないんです。ただ、私としての考え方は、かねてから申し上げているとおりなので、そこで分かっていただけるんではないかと思います。
○朝日新聞
その点とも重なりますけれども、今回の玄海町議会、請願が出た背景とか町議会の議論の中でも、この請願を通したからといって、ただちにそのような建設を受け入れるということではないんだと、そこはあくまで議論を呼び起こすというか、そういった発言もいろいろ出ているんですけど、そこら辺についてはそれが、立地自治体としても、そういったことをするというのが一つの責務なんだという考えが議論されていますが、そこら辺はどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。
○知事
私はそれは、立地自治体の責務とは思っていないから私の考えを申し上げているわけなんだけれども、でも、やはり私は、玄海町は玄海町で、これまで何十年も前から原発立地自治体として様々な取組とか勉強とかをしてきたわけだから、そこに対しては一定の敬意を表したいなと思っているので、今回、私からあまり玄海町に対して、あまりというか、全く介入はしていないところです。
○朝日新聞
ただ、今後、町長がゴールデンウイーク明けでも判断をされるというふうにおっしゃっていますけれども、特に知事のほうから何か面会するとか、面会を求めるとかですね、そういうアクションは起こさないということでよろしいですか。
○知事
私のほうから特に何か呼びかけをすることはありません。
○読売新聞
核ごみの関連でなんですけれども、町議会では、最終処分場をつくるつくらないは別にして、今停滞しているこの核ごみの問題を議論の呼び水にしたいということで賛成された議員さんもたくさんいらっしゃるんですけれども、今回、知事の考えは変わらないというのは一旦置いておいて、この議論が、全国的に提起しようという動きが玄海・佐賀から起ころうとしているということについての受け止めをお願いできますでしょうか。
○知事
これは核のごみと俗に言いますけれども、そういったところがないと、今、多くの原発が立地しているわけでありますので、そこがしっかりと回って、今後持続していくためにも必要だということは大切なことです。そして、特に言われていますけれども、電力消費地の皆さん方がそれを享受しているということに関して、これはまさに食もそうなんですけどね、今、地方がいろんな問題に直面しておりますが、そういったことをもっと国民的に議論をしてもらいたいというのは、これに限らず思うところなんです。特に最近、円安だから大根とかキャベツが外国行くと1,000円以上だと言っていますよね。でも、僕らが一生懸命作っている野菜が、値段が200円か250円にちょっと上がった段階で、都市部ではいたたまれないと言われて、いや、うちだって、それは1,000円とまではいかないまでも、しっかりその価値を認識していただいたら、もっと農業が立ち行くのになとか、いろんな思いがあるわけです。
ですので、今日は人口動態の問題もありましたけれども、都市部の皆さん方が、この国が持続可能であるためにそれぞれどういう役割を果たすべきなのかということ、これは大切なことだと思います。ですので、今回、玄海町さんがどこまでの思いでそれをされたのか分かりませんけれども、一石を投じたことにはなるのかなと思いますし、こういったことを機に、国全体で、国民全体でこういった様々な国家の課題を考えていただくような、そんな国になってほしいなと思います。
○読売新聞
確認なんですけれども、先ほど言った中で、県はエネルギー政策にこれまで貢献しているという話でしたけれども、今現在、玄海原発も稼働し、その電力供給に寄与しているということを指しているという認識でよろしいでしょうか。
○知事
はい。佐賀県は今3号機と4号機を稼働しております。その中で、私も含めて、県職員、そして、全ての市町がそのために様々な準備、準備というのは、安全第一で万が一が起きないように、そして、起きた場合にはどう対応するのかということで、これは周辺の都道府県や市町村もそうですけれども、そういった意味で原発と向かい合って毎日暮らしています。そういったところで、我々とすると政策的、国全体のエネルギー政策に対して十分寄与はしているものと思いますし、ここにさらに新たな知見が必要です。最終処分場の問題は何十年という単位ではないので、そこまで我々が負荷を負うというのは、ちょっとそこはバランスが悪いんじゃないのか、我々としては十分にそれに対する寄与をしているんではないのかなと認識しております。
○佐賀新聞
原子力関連なんですが、文献調査や概要調査に応募すると多額の交付金が出ると思います。この交付金がなかなか理解が難しいなと思うとともに、知事は交付金とセットで調査が行われることについてはどのように感じていらっしゃいますか。
○知事
これはコメント難しいですけれども、国がどういう考え方でやっているのか、そして町がどういう気持ちでというのも私も分からないんですけれども、ただ、やはり負担を負うところに一定のメリットがないとというのはよく分かります。
そして、今、国のほうが、まずは文献調査というところに多くの手が挙がってほしいなと。今、北海道二つだけなのでという気持ちも、そこは理解します。ですので、そういった意味で、結局、この20億円というのがどういう効果になるのかというのは私には分からないけれども、一定のメリットを享受しながら意見交換をして、その輪が広がっていくということに関してはいいことかなと思います。