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令和6年6月13日令和6年6月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:
   令和6年6月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。

はじめに、豚熱について申し上げます。

今月6日以降、唐津市内で複数の野生イノシシが豚熱に感染していることが確認されました。既に県内全ての養豚農場ではワクチン接種が行われております。そして、国から経口ワクチンの散布推奨地域に指定されたことを受け、本日から野生イノシシに対して散布を始めております。引き続き、警戒感を緩めることなく対応してまいります。

次に、SAGA2024について申し上げます。

本大会の開幕まで残り4か月を切りました。「体育」から「スポーツ」に変わる新しい大会が佐賀からはじまります。スポーツの楽しさ、素晴らしさが実感できるような前例のない新しい大会の開催に向けて準備を進めています。

4月からは、本大会に先駆け県民誰もがそれぞれのスタイルで楽しむことができるデモンストレーションスポーツや、障害者スポーツの普及を目的としたオープン競技が始まりました。また、今月9日まで、全障スポの正式競技のリハーサル大会を県内各地で開催しました。個人競技は佐賀県選手の代表選考会、団体競技は九州ブロックの予選会を兼ねた大会でもあり、SAGA2024に出場したいという並々ならぬ想いがひしひしと感じられる白熱した戦いが繰り広げられました。

また、県内ではSAGA2024に向け機運を盛り上げようと、様々な取組が広がっています。学校や地域の商店街などではBatonsのBGMが日常的に流れ、商業施設などではプロモーション動画が放映されています。また、佐賀駅ホーム外観には巨大ラッピングが施され、県内各地でラッピングバスが走っています。

私たちにとって、SAGA2024はSSP構想の一つの大きな通過点です。新たなスポーツシーンを切り拓けるよう、競技団体や市町、サガンティアの皆さんなど、SAGA2024に関わる全ての方と気持ちを一つにし、佐賀だからこそできる大会にしたいと思っています。

最近、「3巡目国スポの在り方」について、全国的に様々な意見が出されております。私自身も、これまで戦後行われてきた国体と同じ形を続けるのではなく、新たな形を創っていくべきという問題意識を持っています。また、必要な財政負担や準備はもちろんありますが、大事なのは、それを大会のその先にどう活かすのかだと考えています。

国スポは「体育」から「スポーツ」に変わる全く新しい大会です。SAGA2024は、「新しい大会」として、未来を見据え、新たな発想で果敢にチャレンジしているものです。会期前開催や県外開催といった大会運営の工夫はもとより、むしろ大会後のその先を見据えた施設整備、さらには、選手の活躍にスポットを当てた表彰、新しい大会を象徴する開閉会式の演出、ナイトゲームの開催など様々なことに取り組んでいます。

すべての人に、スポーツのチカラを。

私は、スポーツには自由な楽しみや喜びなど人が生きていくための原動力となる本質的な価値があると確信しています。SAGA2024はスポーツに関わる全ての人が主役の大会です。そして、この大会をきっかけに、スポーツビジネスやスポーツホスピタリティなどが浸透し、新しい価値を生み出していく世界標準のスポーツ文化が日常となる社会の実現を目指してまいります。

SAGA2024のその先を見据え、次世代へつないでいきたいという想いで、情熱をもって取り組んでまいります。

次に企業誘致について申し上げます。

4月23日、「新産業集積エリア唐津」へ佐賀鉄工所の進出が決定しました。この工業団地は県と唐津市が共同で整備し、平成23年1月に分譲を開始したものです。これまで多くの企業が関心を示されましたが、あと一歩のところで決定には至りませんでした。整備から13年が経過した中、佐賀の地で創業し、グローバルに展開する自動車用ボルトのトップメーカー「佐賀鉄工所」が一括購入を決定いただいたことを大変嬉しく思っています。

今回建設される新工場では、EV化に対応した新製品の生産も行う拠点になるとのことです。将来の成長基盤の主軸となる拠点として佐賀を選ばれたことは大変誇らしく思います。佐賀県を代表する企業の一層の成長と発展を期待しています。

令和6年の地価公示で、佐賀県の工業地の上昇率が全国1位となりました。8年連続の上昇で、まさに企業立地におけるポテンシャルの高さを示したものと考えています。特に引き合いの多い県東部地域では、「佐賀県・鳥栖市サザン鳥栖連携プロジェクト」を進めています。3月17日には県道鳥栖朝倉線が、またこの県道から九州自動車道へとつながる小郡鳥栖南スマートインターチェンジが今月9日に開通しました。このインターチェンジ付近では、現在、佐賀県初となる官民連携による大規模産業団地「サザン鳥栖クロスパーク」の開発を進めています。民間事業者が、県や鳥栖市と連携しながら、土地の用地買収から造成、企業誘致までを一貫して行うこととしています。連携のパートナーを選ぶ事業者募集に全国から5グループもの応募があったことは、事業者側が一定のリスクを負ってでも開発したい可能性に溢れるエリアであることを示しているものと思います。民間の力を最大限活かしながら佐賀県の輝く未来につながるよう、今後ともスピード感を持って戦略的企業誘致に取り組んでまいります。

次に国民保護について申し上げます。

林官房長官から、5月中旬に、いわゆる「台湾有事」についての要請が私にありました。そして、今月3日に開催された九州地方知事会議において、国から沖縄県先島諸島の住民の避難先の提示等がありました。佐賀県は、与那国町の受入先となり、今後輸送手段や受入施設等の初期計画策定に取り組むこととしています。

私からは、林官房長官をはじめ国に対して、激動する国際情勢の中、台湾有事のみならず、朝鮮半島有事なども考慮する必要があるのではないか、国外から九州へ多くの避難民が流入することへの対応などについてもさらに検討を進めることを要請しました。

続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。

まず、玄海原子力発電所などについてです。

現在、3号機は通常運転中であり、4号機は通常運転再開に向けた調整運転が行われています。

敷地内では、事故発生時に指揮所となる「緊急時対策棟」の設置工事が進められています。これは、現在使用している「代替緊急時対策所」の機能を拡充させたものであり、10月に完成予定です。

なお、5月16日、玄海町が特定放射性廃棄物の最終処分場選定の第一段階に当たる文献調査の実施を受諾され、今月10日、原子力発電環境整備機構による調査が始まりました。私は、かねてから一貫して申し上げているとおり、佐賀県として新たな負担を受け入れる考えはございません。最終処分場は、国全体として必要ですが、佐賀県はエネルギー政策に十分に貢献しているものと考えています。

玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。

次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。

駐屯地の整備については、昨年6月12日の着工から1年を経過しました。現在は、隊庁舎や格納庫の建築工事などが進められています。

なお、昨年11月29日に発生した屋久島沖での米軍オスプレイの墜落事故については、引き続き防衛省に対し、事故原因の詳細について説明責任を果たしていくよう求めてまいります。

次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。

5月13日、長崎県の大石知事、JR九州の古宮社長と三者で意見交換を行いました。

新鳥栖-武雄温泉間は、これまで在来線を利用することで合意がなされたという認識は一致しています。そして新たな合意を作っていくことが難しい課題であるという認識も共有しました。また、まずは足元の西九州地域を盛り上げていくこと、そして三者での意見交換は意義があり今後も続けていくことについて一致しました。

整備新幹線は、地元自治体が手をあげて整備が進められるスキームです。西九州ルートは新鳥栖-武雄温泉間は在来線を利用するという合意のもと、佐賀県は長崎県と一緒に武雄温泉-長崎間の整備に手をあげました。長崎県が佐賀県内の区間について合意と異なるものを望むのであれば、原点に立ち戻り地元で新たな合意形成が図られるというのが、本来の議論の在り方です。

佐賀県から打開しなければならないものではありませんが、新しい提案があれば、様々な可能性について議論はしていきたいと考えています。

次に有明海の再生について申し上げます。

5月12日に、坂本農林水産大臣が本県を訪問され、有明水産振興センターにおいて意見交換を行いました。

佐賀、福岡、長崎、熊本の4県漁業団体の代表者からは、有明海の窮状や再生への切実な想いを伝えられました。私からは、国には、漁業団体の苦渋の決断や再生への想いを受け止め、有明海の再生を加速していただくよう訴えました。

昨年度の有明海のノリ養殖については、令和4年度に続いて不作となりました。この2年間は、10月から12月の雨が極端に少なく、さらに長期間赤潮が継続し、これまでになかった規模で色落ちが発生しました。こうした状況は、偶々この2年間に起きたものなのか、今後も続くのかは科学的に分かっておりません。県としても、漁協や漁業者の皆さんと力を合わせ、できることは何でもやるという強い気持ちをもって取り組んでまいります。

次に、県立大学について申し上げます。

「佐賀県立大学(仮称)」にかかる「具体化プログラム」を進め、この度「教育方針の基本的な考え方(案)」を取りまとめました。これは、県立大学基本構想で示した「育成する人材のイメージ」や「教育内容・方法」をベースに、専門家チームと共に議論を重ね、大学の教育上、重視する価値・ポイントなどをまとめたものです。

併せて、県立大学で達成したい教育を実現するのにふさわしい施設機能についても、「教育方針の基本的な考え方(案)」を踏まえて「施設機能の考え方(案)」として整理しました。学生の主体的な学びを重視し、カリキュラム内容や授業形態に合わせた弾力的な運用が可能となるような施設機能としたいと考えています。

こうした考え方に基づき、設置場所については、現場重視の授業形態が多いことを想定したコンパクトなキャンパス、既存の建物や近隣の施設の活用、佐賀大学や西九州大学と連携した教育環境の実現、県内全域からの通学利便性など、幅広い角度から検討を行っています。多面的な検討の上でできるだけ早く決めたいと考えています。

大学の根幹となるカリキュラム体系や内容、教員の規模などの詳細について、専門家チームと共にさらに議論を深め、極力早く、多くの方に学びたいと思っていただけるような唯一無二の大学を創っていきたいと考えています。

続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。

まず、持続的な賃金引上げの実現に向けた取組について申し上げます。県では、昨年10月、最低賃金が853円から900円に47円上昇したことを受け、直ちに「佐賀型賃金UPプロジェクト」を立ち上げ、事業者の皆さんが生産性や付加価値を向上させ、賃上げの原資を確保するための支援に取り組んでいます。

今年3月には、県から労働局に積極的に働きかけ、佐賀県政労使会議を開催しました。関係機関のトップが集まり、賃上げや価格転嫁は佐賀県が豊かさの連鎖に向かっていくために必要なことであるとの認識で一致しました。また同月、中小事業者の人件費を含めた価格上昇分の適切な価格転嫁を官民連携で推進するため、経済団体等の関係機関と連携協定を締結しました。

こうした取組や事業者の皆さんの努力により、賃金引上げは一定程度進んでいるように感じています。

もっとも、物価上昇を上回る賃上げを図っていくためには更なる取組が必要です。持続的な賃金引上げの実現につなげるべく、事業者の価格転嫁などを推進するための必要な予算を今議会に提案いたしております。

次に、県立夜間中学の開校について申し上げます。

県内初となる夜間中学、県立彩志学舎中学校を、4月20日に開校いたしました。現在、県内各地に居住する年齢や国籍も様々な21名の生徒が在籍しています。開校に向けて御協力いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。

この学校では、義務教育を修了せずに学齢期を経過した方や、不登校などで十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、また、日本語教育と合わせて日本の義務教育を受けたい外国籍の方などが共に学んでいます。校名に込められた想いのように、それぞれの生徒の彩りある志を応援し、生徒と教員が共に学びあい、成長できる学校を目指してまいります。

次に、がん対策について申し上げます。

これまで、受動喫煙防止などのたばこ対策や女性のがん検診受診促進事業のほか、中学3年生を対象としたピロリ菌検査など、がんの予防、早期発見・早期治療につなげる取組を推進してまいりました。令和4年の国民生活基礎調査においては、佐賀県のがん検診受診率は、主要5部位全てで全国平均を上回りました。なかでも胃がんの受診率は九州1位、前回調査からの伸び率では全国1位となっています。

今年4月からは、子宮がん、胃内視鏡検査に加え、乳がん検診についても、県内登録医療機関であればどこでも検診が受けられるようになっています。

また、予めワクチンを接種して感染を防ぐがん予防対策にも注力しています。例えば、子宮頸がんはHPVワクチンの接種と20歳以降の定期的な子宮頸がん検診の二段構えで予防効果を高めることができます。HPVワクチンについては、令和4年4月から積極的な接種勧奨が再開され、現在、接種機会を逃した方を対象としたキャッチアップ接種が行われています。県では、接種対象の大学生と連携した広報など様々な形で情報発信に取り組んでおります。

次に、JAXAGAプロジェクトについて申し上げます。

佐賀県では、令和3年3月、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と全国初の宇宙と地方創生のコラボレーションによる連携協定を締結しました。これまでに、衛星データの利活用や宇宙ビジネスの創出、人材育成など様々な分野で連携を進めております。

このプロジェクトの一環として開校した「JAXAGASCHOOL」が今年で4年目を迎えます。高校生の部では、開校以来県内の高校生が、専門家の支援を受けながら高度な知識や技術を要する超小型人工衛星の開発に挑戦し、3月に見事完成しました。「SaganSat 0号機」と名付けられ、今年8月にいよいよ宇宙へと飛び立つ予定です。高校生が挑んだ宇宙への夢が叶うことを願っています。

また、今年11月、地球を電波で観測する「レーダー衛星」の国際学術会議が佐賀県で開催されることとなりました。会議にはJAXAをはじめ、NASA(アメリカ航空宇宙局)やヨーロッパ宇宙機関、北南米、アジアからレーダー衛星に関する研究者や開発者などが参加されます。第3回目となる今回の会議は、アジアでは初開催となります。会議の前後には、シンポジウムやワークショップなどの開催も予定しています。宇宙時代の到来に向け、JAXAGAプロジェクトをさらに推進してまいります。

次に、有明海沿岸道路等の社会資本の整備について申し上げます。

有明海沿岸道路と南北軸となる佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、嘉瀬南インターチェンジから(仮称)嘉瀬北インターチェンジまでの用地買収が完了しました。また、工事についても継続的に橋梁や地盤改良、盛土の工事を進め、事業の進捗を図っています。福富鹿島道路については、先行して進めている鹿島側で、引き続き橋梁区間の調査・設計を進めています。大川佐賀道路については、(仮称)川副インターチェンジへの延伸に向けて整備が着々と進められています。

また、県と鹿島市で整備を進めていた、道の駅「鹿島」が4月7日にリニューアルオープンしました。地元の皆さんから一層愛され、県内外から訪れる人たちに鹿島の素晴らしさを広く発信する場となっていくことを期待しています。

なお、国による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が最終年を迎えました。県では、佐賀県内水対策プロジェクト「プロジェクトIF」による河川改修をはじめ、砂防施設の整備や災害に強い幹線道路網の構築、橋梁や排水機場の老朽化対策などに取り組んでいます。激甚化・頻発化する自然災害への防災・減災対策は、今後も切れ目無く、継続的・安定的に推し進めていく必要があります。先月末の政策提案の際にも、制度の継続と拡充について、松村国土強靭化担当大臣などへ申し上げてきたところです。

引き続き、地域の発展と県民の安全・安心の確保に向けた社会資本の整備を着実に進めてまいります。

続きまして、提案事項について御説明申し上げます。

今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。

この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、

一般会計      約34億1,800万円

特別会計      約 1億3,600万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約5,239億7,400万円

特別会計  約2,090億9,100万円

となっております。

次に、予算案の主な内容について申し上げます。

はじめに、県内経済の好循環につなげていくための取組についてです。

昨今の国際情勢や円安の進展などにより、エネルギー価格や原材料価格等が高止まりしている状況です。しかし、県内企業へのアンケート調査では、製造業の約4割、非製造業の約5割がコスト上昇分の2割未満しか価格転嫁できていない状況です。こうしたことから、事業者の価格転嫁を強力に推進すべく、「価格転嫁伴走支援プロジェクト」を立ち上げます。専門家による伴走支援やセミナーの開催などにより事業者の価格交渉をきめ細かくサポートしてまいります。また、ダイナミックプライシングなど時期や本来持つ価値にふさわしい値付けをしていくことも必要と考えており、新たに「『適正な時価』研究プロジェクト」に取り組むこととしました。モデル事業者への専門家派遣、県や商工団体など関係機関による伴走を行いながら、関係者で価格設定の在り方を考えてまいります。

次に、職場環境の改善を支援する取組について申し上げます。

県内の有効求人倍率は1.3倍を超える高水準が続き、人材確保は喫緊の課題となっています。一方で、県内中小企業からは、女性や外国人が働きやすい環境整備に取り組みたいものの、経営環境が厳しく投資を躊躇してしまうといった声があります。企業が発展し成長していくためには、多様な人材の活躍を後押しする職場環境作りをハード、ソフトの両面で進めていくことが大切です。多様な人々が集まることで、今までにない新しい発想が生まれ、生産性向上にもつながると考えています。

今回は、女性用休憩室の整備や更衣室の設置、外国人を受け入れるための社員寮の改修など、ハード面について職場環境改善の取組を支援することとしています。多様な人材の活躍を後押しし、県内企業の更なる成長・発展につなげてまいります。

次に、高校生の県内就職をさらに促進する取組について申し上げます。

現在、県では高校生の県内就職率65%以上を目指す「プロジェクト65+」に関係機関一丸となって取り組んでいます。2018年度に56.9%であった県内就職率が2022年度は65.8%になり、この間の県内就職率の上昇率は全国1位となりました。一方、全国の他の地域と比べると県内就職率はまだまだ低く、伸ばしていく必要があります。これまでの取組を拡充し、「SAGA県内企業トリプルツアープロジェクト」として、県内企業の素晴らしさを直接知ってもらうべく、保護者を対象とした県内企業等の見学ツアーなどに新たに取り組みます。また、訪問先企業には専門家を派遣し、情報発信力の強化に向けた支援を行うこととしています。県内企業を志望する高校生を増やし、県内就職率の更なる向上につなげてまいります。

次に、波戸岬少年自然の家について申し上げます。

少年自然の家は、佐賀の子どもたちが宿泊体験などを通じ、骨太で健やかに学び育つための大切な場所です。ただ、県内にある少年自然の家3箇所のうち波戸岬少年自然の家については、指定管理料が多額である、利用者の半数以上が県外の学校や青少年団体であるなどの課題もあります。こうしたことも踏まえつつ、より効率的で効果的な活用方法について調査・検討してまいります。

次に、県内高校への進学促進に向けた受入環境の整備について申し上げます。

昨年10月、小川島の中学生から、唐津本土に県立高校の寮がないことで寮のある県外の高校に進学せざるを得ないという切実な声を聞きました。また、唐津地区の県立高校には、ヨットやバドミントンなどのスポーツや特色のある教育を行う唯一無二の学校があります。これらの学校に進学を希望し、通学している生徒は県内に限られません。

こうしたことから、西唐津職員宿舎の一部について、離島の生徒や県外からの生徒を受け入れる寮として活用することとしております。既に4月からは離島の生徒が入寮しているところです。今回、生活面でのサポートのため食堂を整備し、受入環境を整えることで、島や県外などの子どもたちの県内高校への進学促進につなげてまいります。

次に、新たな大学設置への支援について申し上げます。

学校法人旭学園と武雄市においては、新たな四年制大学「武雄アジア大学(仮称)」の令和8年4月開学に向けて準備が進められています。県は、この共同事業に対する支援として、市が負担する額の2分の1を、市に対して補助することといたしました。武雄アジア大学(仮称)の開学を支援し、県内高等教育機関の充実を図ってまいります。

次に、江藤新平復権プロジェクトについて申し上げます。

江藤新平は、明治新政府において、今に生きる数々の国家制度の設計を成し遂げた、まさに「この国の骨格を造った男」です。傑出した功績があるにもかかわらず、佐賀戦争の影響もあり、政府による名誉回復が遅れただけでなく、県内においてさえその功績や復権について詳しく触れられてきませんでした。薩摩の西郷隆盛、土佐の坂本龍馬らとも並び称されるほどの英雄であるにもかかわらず、我々佐賀県民は十分な顕彰ができていなかったのではないかと感じています。

江藤が成してきたことを、今ここに改めて考えるべきときではないかとの想いから、江藤の真の復権を果たすため、江藤新平復権プロジェクトを進めています。第1弾は3月15日から約2か月間、佐賀城本丸歴史館で特別展を開催しました。約4万人もの来館者があり、県内外の江藤に対する関心の高さを感じました。また、第2弾として、江藤の真実を広く伝えるための映像を制作することとしております。そして今回第3弾となる取組として、特別展「江藤新平展」を佐賀城本丸歴史館内で常設展示することとしています。さらに、来年2月には復権に向けた式典を開催し、江藤の功績の顕彰や関係者による交流を通じ、復権に向けた大きなうねりを創り出してまいります。

我々佐賀県民が、本当の江藤について知り、語り、佐賀の誇りとして未来につないでいくことで、江藤の真の復権が果たされるのではないかと考えております。

予算外議案といたしましては、条例議案として5件、条例外議案として3件となっています。

最後になりますが、SAGAアリーナがオープンして1年が経過しました。開業後の来場者数は50万人を突破。

ライブ、学会、スポーツなど多彩なイベントの舞台としてフル稼働しました。B1に昇格した初年度の佐賀バルーナーズは、シーズン平均観客数が5,000人を超え、観客動員数でB1全24チーム中5位となりました。「バスケをやって、あれほど人が集まるなんて中学、高校の時には想像できなかった。」、これは江北町出身の角田太輝選手の言葉です。

きっと多くの県民の皆さんも、1年前には想像していなかった景色を目撃されているのではないでしょうか。佐賀から時代を切り拓く思いで作ったSAGAアリーナ。県民の皆さんが一緒に盛り上げ、息吹を吹き込んでくれたことに感謝します。

少子高齢化の進展や人口減少、気候変動や国際紛争など社会の不確実性が一層高まる今だからこそ、自ら考え、世界を常に俯瞰しながら、自分たちで未来を切り拓いていくことが重要です。

今から約30年前に始まった地方分権改革も、国民の多様化する価値観への対応、少子高齢社会や変動する国際社会への対応など新たな時代の課題に向き合うために強く求められたものでした。国と地方の関係は、上下・主従から対等・協力に変わり、地方公共団体がそれぞれの住民と共に、自らの責任で、自らの決定によって地域社会を創っていくことが可能となりました。

しかし、この大きな流れを変えてしまうのではないかと危惧する法律改正が現在国において議論されています。地方自治法の改正による補充的指示権の創設です。その他の個別の法律が想定していない「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が発生した場合、国が地方公共団体に指示することができるようにするものです。この指示権が将来、なし崩し的に適用されることで、地方自治の根幹を壊してしまうことにつながらないかと危惧しております。こうした考えのもと、先の政策提案においても、改正後の指示権については厳に抑制的に運用するよう、松本総務大臣に対して強く要請いたしました。

第一次地方分権改革を成し遂げた地方分権推進委員会は、当時、地方に向けて次のようなことを訴えています。国への依存心を払拭し、自治の道を真剣に模索してほしい。国に向けていた目を地域住民に向け直してほしい。我々は今一度こうした地方分権の精神を確認し、大切に貫いていくべきではないでしょうか。

佐賀が生み育んだ江藤新平は、明治維新期の激動の時代の中、類稀なる人間力や鳥瞰力、創造力、そして実行力により、この国を造りました。今、私たちは、江藤に学ぶことが多いのではないかと強く感じています。現場に根差し地域を想いながら、この国の在り方も鳥瞰していく。こうした地方自治を江藤を生んだ佐賀が実践していくことが、この国の改革の在り方、処方箋の参考となるのではないでしょうか。私自身も、これまでもそしてこれからも、常に鳥瞰的に、佐賀の未来を想像し、創造力をもって新たな価値を生み出すことに力を注いでまいります。そして、世界から選ばれる佐賀を、未来輝く世界に誇れる佐賀を、県民の皆さんと共に創ってまいります。

以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。

よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
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