部落解放・人権確立第43回全九州研究集会が、ここ佐賀の地で盛大に開催されますことをお喜び申し上げます。
九州各地からお越しいただきました皆様、ようこそ佐賀にいらっしゃいました。心から歓迎いたします。
また、皆様方が、部落差別(同和問題)をはじめとする様々な人権問題の解決と人権が尊重される社会の確立を目指して、たゆまぬ努力を重ねておられますことに、深く敬意と感謝の意を表します。
「博愛これを仁という。仁とは人を慈しむこと」
佐賀の偉人であり日本赤十字社の創設者である佐野常民は、その前身である「博愛社」の名前に儒教の言葉を引用してその想いを表しました。
「慈」という漢字には「親が我が子を大事に育てるような深い愛情をもって接する」という意味があります。
苦しみの中にいる人に皆で手を差し伸べ、寄り添いたいという佐野の想いは、時代を超えてここ佐賀、そして九州の地で脈々と受け継がれてきました。
本日お集りの皆様が人権問題の解決に向けて取組を続けてこられたことも、まさに希望の光として私たちを照らしてくれています。
そうした想いを共有し大切にしていくことが今を生きる私たちの使命ではないかと思います。
社会は、年齢や性別、国籍、障害のあるなしといった様々な「ちがい」がある中で、一人一人がそれぞれの想いを抱えながら生きています。
異なる考え方や価値観が交わることで、様々なアイディアが生まれ、社会に変化をもたらし、新たな時代を切り拓く大きな力になると私は確信しています。
今、佐賀県では、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に掲げ、一人一人の痛みや想いに寄り添いながら多様な意見を取り入れ、佐賀らしい、やさしさのカタチ「さがすたいる」が広がって、誰もが自分らしくいきいきと暮らしている社会を目指しています。
他方で、近年の社会情勢の変化により、人権問題は複雑多様化しており、インターネットによる誹謗中傷やいじめ、虐待、ハラスメント被害など、人権を傷つける行為が、依然として後を絶たない状況です。
佐賀県では、こうした状況を踏まえ、令和5年3月に、「全ての佐賀県民が一人一人の人権を共に認め合い、支え合う社会づくりを進める条例」を制定しました。
これからも、あらゆる差別から目を背けることなく、一人一人の人権が尊重される社会を目指して皆様とともに力を尽くしてまいります。
この研究集会をきっかけに、人権の尊重について、ともに考え行動する人たちの輪がますます広がっていくことを期待しています。
結びに、本会の開催にご尽力された部落解放同盟九州地方協議会をはじめ、関係団体の今後ますますのご発展と、本日ご出席の皆様のご健勝とご活躍を祈念いたしまして、お祝いと歓迎の御挨拶とさせていただきます。