続きまして、令和6年度9月補正予算案についてお知らせしたいと思います。
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9月補正は予算額が87億円の増額となっております。そういたしますと、補正後の予算は5,327億円となっております。
87億円の内訳ですが、通常補正が11億円、財政的な補正として76億円です。この76億円、ここにありますように、決算剰余金の積立てが48億円、そして、国庫返納金というのはコロナの包括支援金などをお返しするものなどであります。毎年このぐらいの額の財政的な補正があります。
昨年はこの通常補正の中に唐津、浜玉などの災害があって、ここに200億円積まれていたので、だから、去年は全体で300億円ぐらいの補正でしたけど、今年はそこの部分が2億円程度なので、全く規模感は違いますが、必要なものを積み上げた結果、87億円ということでございます。
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続きまして、その11億円の中身について説明したいと思います。
まず、佐賀県立大学についてですけれども、改めてこれまでの経緯ということですが、昨年、令和5年2月に「県立大学の基本的な考え方」を公表しまして、令和5年9月に「基本構想の(素案)」を公表して、その後の11月議会で議論が行われていて、そこからさらに具体化プログラムに進むのかというところで県議会でもご議論をいただいたのが思い出されますが、そこが最終的には可決されまして、令和6年、今年になって「基本構想」を策定して、専門家チームが設置されました。山口先生と飯盛先生と早田先生ということで、具体化プログラムがスタートしたわけでございます。そして、令和6年、今年6月には教育方針の基本的な考え方(案)、そして、施設機能の考え方の案が示されまして、7月23日には県立大学の拠点として佐賀総合庁舎敷地内、佐賀市八丁畷とすることを発表させていただいて、本日、関連予算の発表をさせていただきたいと思っております。
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先ほど申し上げましたとおり、場所はここにするわけであります。
立地する場所を決めたことで、「施設機能の考え方」というのを示させていただきましたけれども、具現化をしております。まずは目指すところとして、学生の主体的な学びを重視する。カリキュラムや授業形態に合わせた弾力的な運用を可能とする。県全体を学びのフィールドとし、地域との接点を多く持つといったことを大事にしていきたいと考えております。ここに今言ったことが書いてあります。
具体的には今のうちの総合庁舎はこういう形になっているんですが、本館については、それを改修させていただくということで考えています。そして、南側にあります車庫と別館は解体して、こちらのほうは新設です。新設校舎を造らせていただきたいと思います。
こういった形で建物内外のつながりを意識したオープンスペース等によりまして、街と大学がつながりを生み出すような空間づくりを行いたいと考えています。
今回の予算ですけれども、設計者の選定に関する経費が500万円ありまして、そして、既存建物の改修、新校舎に係る設計経費を予算化しています。言うと、これを改修して、こちらを新築するわけでありまして、その設計業務を債務負担行為として6.6億円としているという予算になります。
ということで、今後、令和8年度にかけて設計業務等を行いまして、令和9年度から校舎に係る改修、新築工事を行う予定です。従いまして、開学時期についてもこの場所を決めてから精査をしていたわけですけれども、改修校舎が利用可能となります、令和11年4月といたしまして、新校舎の利用、こちらのほうの利用は翌年の開学2年目の令和12年4月からを想定しております。県立大学の早期開学に向けまして、着実に歩みを続けていきたいと思っています。
それから、この総合庁舎内にはかねてより移転を検討しておりました材料試験センターがあります。こちらのほうは佐賀県工業技術センター敷地内へ移転することといたしまして、こちらも整備に必要な設計費を別途計上しております。
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続きまして、中小企業の賃金アップと成長の実現のための経費ということで、これも報道などでだいぶ最低賃金の話がクローズアップされているようであります。佐賀県は福岡県と近接しているので、特に、東部地域は人材流出ですとか、福岡県さん側のほうに働きに行く方が非常に多いという問題も抱えておりまして、ここの縮小が課題であったわけですけれども、今回、佐賀県としては過去最大の56円アップということになりまして、福岡に次ぐ九州単独2位ということ。目安額プラス6円というのは九州1位タイということで、ここの格差が5円縮小して36円になりました。といっても、まだ36円もあって、関東の隣県では東京、神奈川は1円差というのをいつも意識していて、これだけの差があると、まだまだここは改善しなければいけないなというふうに思っています。
この政策を打つときに、我々はかねてから賃金UPプロジェクトというのをセットで導入しておりまして、企業の生産性向上を支援してまいりました。やはり今、人材難でありますので、できるだけ合理的な経営ができるようにということで、賃金アップとセットで企業の収益増というものを生産性向上を支援してきたわけです。
去年、令和5年度9月の補正で第1弾、204事業者、5年度の2月補正、ですから、今年2月の第2弾で660事業者が活用するということでありまして、今回は第3弾を打とうということであります。
中小企業向け支援でありまして、補助率3分の2、要件は事業場内最低賃金の5%以上賃上げということにしております。
さらに、従業員がいない事業者向けにつきましても支援をしていくということで、こちらのほうも声があって、いわゆる1人でやっている会社というか、そういったところについても支援をしていくということにしております。
こういった形で生産性向上を賃上げとセットでやることによって、豊さへの連鎖につなげていきたいというものが佐賀モデルでございます。
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続きまして、企業のカスハラ対策を支援する予算を組ませていただきました。
カスタマーハラスメントは、顧客などからの暴行、脅迫、不当な要求などの著しい迷惑行為によって人を傷つけることということで、近年、社会的な関心も高まっていると思います。
UAゼンセンの調査だと、約5割の労働者がカスハラの被害を受けているということのようです。県内でも、過度な要求を長時間にわたり求められた、大声で威嚇されたという声、そして、雇用主の皆さんからも対応方法に苦慮しているという声もあります。
実はこれは公務員も非常に増えておりまして、特に、県や市町の職員というのは住民の声を聞くことも多いので、ずっと電話を切っていただけないとか、ずっと同じ方が何度も何度も来られるといったところで非常に苦慮をしております。我々も公務員ですから、当然みんなのために仕事をしているわけで、みんなの意見を聞きたいなと思いながら日々取り組んでいるわけですけれども、それが非常に過剰になって個人攻撃みたいな形で迫られてくると、非常に全体としての、みんなのために働く、みんなの時間が取られてしまったり、そういったこともあるので、ぜひ我々公務員も賢く県民の皆さん方に使っていただきたいと思っているし、市町は特に最前線に立っているので、そういった声も聞きますので、この際、民間の事業者、例えば、商店なども皆さんおっしゃるんです、いろいろお客さんの声というのは大切にしたいと。ただ、それがあまりにも過度になると非常に人材定着にも影響を及ぼしますし、何よりも働く人を傷つけるということなのです。ですので、労働者の皆さんが安心して働ける環境となるようにプロジェクトを立ち上げたいと思っております。
セミナーや個別相談会などの経費を予算化しております。
さらに、消費者側への意識啓発も大切ですので、そういった出前講座などを通しまして、消費者側への意識啓発のことも考えていきたいというふうに思っております。
県もこのカスハラについての方針を10月までに対応マニュアルを策定したいと思っておりますので、そういったことについての市町との意見交換を含めて、みんなで取り組んでいきたいと思っております。ご支援よろしくお願いします。そして、県民みんなでこういった理解を広めることも大事です。よろしくお願いします。
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続きまして、新規で佐賀県在住外国人の日本語力を向上する支援をしたいと思っています。
これはご案内のとおりですけど、外国人との関わりというのはだいぶ変化しておりまして、昭和の頃は親善交流なんて感じでやっていましたけれども、だんだんビジネス化して、観光化して、そして、今となっては職場、地域の欠かせない担い手としての側面が非常に強くて、本当に一緒に働く仲間という意識で取り組みたいと思っています。よく言う言葉で言えば、多文化共生、みんなで地域を盛り上げていくということだと思います。
そして、佐賀県の県内在住外国人の数も1万人を突破することになりまして、10年前の2倍、30年前の4倍ということで、自然とみんなで心地よく暮らせる佐賀を目指していきたいということであります。
その中で、やはり我々もやさしい日本語を使っていかなければいけないんですけれども、外国人の皆さん方も少しでも日本語ができるようになってコミュニケーションが取れたらいいなという声も多うございます。そういった意味で、今回、補助メニューを加えることによって、そういった研修の幅が広がっていけばなというふうに思います。目的は多くの外国人の皆さんに佐賀を選んでいただいて、共に暮らせる、そして、永住いただく方も本当に今は多いんです。ですので、本当にそういったグローバルな、それが自然に支え合いながら生きていくような、そんな社会を佐賀はつくっていきたいと考えております。
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続きまして、既に予算化されている事業として、企業版ふるさと納税などを活用させていただいて、サガン鳥栖のU-15の練習グラウンドを整備することにしています。もともと飯田というところの調整池を使って練習して、私も見に行きましたけど、ほとんど水でじゃかじゃかというか、よくここで練習していたなというようなところであったので、今回は産業技術総合研究所の隣のところを、もともと県の土地だったんですけど、国から返していただいて、今整備を行っているわけなんです。
それと併せて、今回はSSP構想の一環として、スポーツ医科学施設を整備するということにしております。民間のスポーツ整形外科が入居することを予定しているわけですけれども、賃料収入というのはグラウンドの維持管理費等に充てられるので、そのままアスリートに還元されるという形になるのかなというふうに思っております。SSP構想のモデル施設としていくということで、今回は設計予算と債務負担行為も含めて計上しております。
今、サガン鳥栖のJ1ほうは非常に苦しい状況にありますけれども、何とか残留できるようにみんなで応援していきたいと思うし、どうであってもサガン鳥栖の命綱はユースチームがしっかりしていることなので、こちらのほうはきっちりと前へ進めていきたいと考えているわけであります。
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続きまして、様々な方、障害のある方やひきこもりの方などに新たな体験をしてほしいという事業です。
我々も様々な福祉の現場を訪れて想いを聴いてまいりました。そうした中で、何とかSAGAアリーナで開催されているようなプロスポーツとか、そういったところにまず第一歩として踏み出せないのかなという声があって、障害などでずっとおうちにいる方などに、まず、外に出る一つのきっかけとして、自然な形で家族や支援者も一緒に観戦するということをトライしてみたいということで、今回、福祉関係者と共に、セットでこういった事業を立ち上げることにしました。
まずここをやってみて、そこで少しでも社会参加ができるようになっていったら、また広げていきたいなと思うわけですけれども、佐賀県は“さがすたいる”ということで、みんなが心地よく、自分らしく過ごせる佐賀県にしたいというふうに思っております。
今回、全障スポでも団体スポーツを呼びかけて、初めてそういうところに参加した選手たちもいて、そういったところからとてもやりがいというものを感じて、日々充実するようになったという声もあって、やっぱりそうやってスポーツとかそういったことに何らかの形で一緒になにかをみんなでやっていくというフィールドに何とか参加いただけるようにという一つの考え方でやってみたいと思っております。
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続きまして、海洋プラスチック問題についてです。
ご案内のとおり、今、海に流出する海洋プラの量というのは世界中で年間800万トンぐらいあって、2050年には海洋中の魚の量を超えるという試算もあるぐらいで、大変みんなで苦慮しております。その中でも、特に、佐賀県や長崎県のこのエリアというのは、大陸のほうから様々なプラスチックごみが流れてきて漂着して堆積するというエリアになっているので、佐賀県は世界海洋プラスチックセンターというのを設けて、佐賀県から、そして、波戸岬から世界の海を考えるような拠点にならないかと志を立てて、今進行しているわけであります。
令和8年度にオープンする予定なわけですけれども、その間、やはり雰囲気を盛り上げて、みんなでソフトの展開も並行してやっていこうということで、今回予算化いたしましたのは国際シンポジウムということで、令和7年2月頃に国内外の研究者、そして、政府機関の職員とか、そういった皆さんに唐津に集まっていただいて、海洋プラ問題をローカルから考えていこうということです。
ですので、波戸岬にはほっといても海洋プラはたまっていますので、そういった問題も見ていただきながら、みんなでワークショップして、どう解決すればいいのかという情報発信も含めたこともやっていきたいと思っております。
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ということで、今回の9月補正予算についての発表は以上でございます。