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令和6年9月11日令和6年9月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

SAGA2024は、9月5日から正式競技が開始されており、すでに白熱した試合が展開され、会場も盛り上がっています。アスリート、競技団体をはじめとした関係者、サガンティア、20市町、そして県民の皆様とともに、新しい大会を創り上げてまいりましょう。

それでは、令和6年9月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。

まず、パリオリンピック・パラリンピックでの佐賀県ゆかりのアスリートの活躍について申し上げます。

パリオリパラには、過去最多となる17人の佐賀県ゆかりのアスリートが出場しました。セーリングでは、アトランタオリンピック銀メダリストの重由美子さんの指導を受けた唐津西高校出身の岡田奎樹選手が銀メダルを獲得しました。また、佐賀県フェンシング協会に所属している髙嶋理沙選手が銅メダルを獲得しました。たくさんの応援をチカラにして、パリの大舞台で力を発揮してくれました。

次に、北部九州総体2024について申し上げます。

北部九州4県を中心に熱戦が繰り広げられ、佐賀県内では6競技が開催されました。団体ではレスリング男子の鳥栖工業高校が2大会連続3度目の優勝を果たしました。また、新体操男子では神埼清明高校が6大会ぶり7度目の優勝を飾り、なぎなた女子は牛津高校が初優勝を達成しました。個人競技では、ウエイトリフティングをはじめ、レスリング、少林寺拳法、なぎなた、柔道で優勝するなど、全国トップクラスの実力をいかんなく発揮し、過去最多の優勝数9となりました。

SAGAアリーナやSAGAアクアではボクシング、フェンシング、競泳が開催され、国際大会レベルの会場や企画・演出、そして、おもてなしに称賛の声が多く寄せられました。

次に、改めて、SAGA2024について申し上げます。

8月21日に佐賀県選手団の結団式をSAGAアリーナで開催しました。国スポ・全障スポ52競技の約1,100名の選手や監督などが一堂に会した中で、選手団代表として国スポの國元悠衣選手と全障スポの竹下仁選手に県旗が授与されました。各選手は改めて佐賀県代表という想いを強くするとともに、大きな盛り上がりを見せました。

そして、9月5日から体操競技を皮切りに正式競技が始まりました。佐賀県勢は体操成年男子2位、成年女子4位、少年男子5位と幸先の良い滑り出しでした。選手が着地を決めると会場内に大歓声がこだまし、力を出し切った選手たちには感動の涙がありました。そして、岡慎之助選手をはじめ多くの日本の第一人者が参加したことで、大きな盛り上がりを創っていただいたと思います。

国体から国スポに変わるSAGA2024は、スポーツが本質的に持つ大きな価値を全国に向けて届けるために、失敗を恐れずに数々のチャレンジを行う前例のない「新しい大会」です。また、「する」「観る」「支える」、スポーツに関わる全ての人が主役の大会であり、携わる方々に、あらゆるシーンでスポーツの喜びを体感していただきたい大会でもあります。総合開会式では、整列行進ではない自由な入場行進や各都道府県の選手団ごとのアピールタイムなど、総合閉会式では、新時代のエンターテインメントアリーナであるSAGAアリーナを生かした音・光・映像を駆使した演出など、新しい大会を彩る様々なチャレンジを行います。また、競技会では、より多くの「応援のチカラ」で選手を後押しするため、競技をはじめて観る人にも分かりやすい「観戦ガイドブック」や実況・解説付き動画配信のほか、ナイトゲームを開催します。さらに、選手個人にスポットを当てた表彰やメダルを授与することとしています。

すべての人に、スポーツのチカラを。

スポーツには、人間の根源的な喜びを生み出すチカラがあります。新しく国スポとなるSAGA2024は、多くの方にスポーツ新時代を実感できる大会にしたいと思います。SAGA2024を大きな通過点、飛躍するチャンスとし、SSP構想を推進し、スポーツのチカラを()かした人づくり、地域づくりを進めます。そして、スポーツビジネスやスポーツホスピタリティなどが浸透し、新しい価値を生み出していく新たなスポーツ文化が、我が国で日常となる社会の実現を佐賀から目指してまいります。

次に、南海トラフ巨大地震への対応について申し上げます。8月8日に日向灘を震源とする地震が発生したことを受け、国は南海トラフ地震臨時情報を初めて発表するとともに、南海トラフ巨大地震における具体的な応急対策活動に関するアクションプランを策定しています。この中で、佐賀県は南海トラフ巨大地震でも被害が想定されない地域とされ、大分県に職員を派遣することとなっています。また、熊本地震では佐賀県が支援拠点となった実績も踏まえ、南海トラフ巨大地震発生時には、再びその役割を担うことを想定し、準備したいと考えています。今後、必ず発生すると考えられる南海トラフ巨大地震に備え、支援する側としての大きな役割を果たしていくためにも、必要となる空港や高規格道路などのインフラ整備を進めてまいります。

続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。

まず、玄海原子力発電所についてです。

7月26日に玄海原子力発電所に私自身が立ち入り、航空機の衝突などのテロに備えた「特定重大事故等対処施設」や事故発生時に指揮所となる「緊急時対策棟」など、様々な安全対策が進められていることを確認しました。現地では池辺社長に対して、「嘘をつかない、風通しのよい組織、あらゆる事態に対応できる組織にしていただく」ということを、改めて求めました。

また、8月16日には98回目の佐賀県原子力環境安全連絡協議会を開催し、能登半島地震を踏まえた取組などについて議論しました。協議会には知事に就任以来、一度も欠かさず出席し、玄海原子力発電所の運転状況や安全対策などの取組を確認しています。

8月29日には、青森県六ヶ所村に建設が進められている再処理工場について、日本原燃が竣工目標を2年半延期して2026年度内にすることを発表しました。核燃料サイクルは、国と事業者で責任をもって進め、それぞれが責任を果たすべきであり、引き続き、国に対し機会を捉えて強く求めていきます。

玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。

次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。

昨年発生した屋久島沖での米軍オスプレイの墜落事故については、米軍が調査報告書を公表した8月2日に、防衛省から県に対して、事故原因は人為的な問題であったという説明がありました。防衛省に対しては、今回の事故も踏まえ安全対策を徹底するよう、引き続き求めていきます。

なお、防衛省と県で合意している環境保全と補償に関する協議会の設置と有明海漁業の振興基金の創設については、漁協、防衛省、県の三者で協議や準備を進めてまいります。

次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。

与党検討委員会の求めにより、7月30日に開催された委員会に南里副知事が出席しました。在来線を利用することを合意している新鳥栖-武雄温泉間について、長崎県が合意と異なるものを望むのであれば、地元で新たな合意形成が図られるのが本来の議論の在り方であることなど佐賀県の考えを、改めて説明しました。

また、8月23日に国土交通省鉄道局との「幅広い協議」が開催されました。鉄道局の北村幹線鉄道課長と引馬地域交流部長の間で一定の信頼関係を築きながら意見交換ができたものの、鉄道局から新しい提案などはありませんでした。

なお、北陸新幹線敦賀-新大阪間について、事業費が8年前の約2.1兆円から最大約3.9兆円になり、将来の物価上昇を見込むと5兆円を超えるという試算が公表されました。整備新幹線は事業費の大幅な上振れが常態化しており、西九州ルートについても、それを前提として考える必要があります。様々な可能性について議論はしていきますが、現在の状況に至っているこれまでの経緯も踏まえれば、拙速に議論を進めるような簡単なものではないと考えています。

次に有明海の再生について申し上げます。

有明海のノリ養殖については、生産枚数と金額の日本一奪還に向けて、カキ礁造成や二枚貝の設置などの色落ち被害への対策に加え、赤潮の発生や動きなど、海況を高精度に予測できるシステムの開発に新たに取り組んでいます。

また、漁船漁業については、厳しい資源状況が続いているタイラギやアゲマキ、サルボウなどの二枚貝の種苗生産や放流の技術開発とともに、大規模海底耕うんなどによる漁場環境の維持・改善に取り組んでいます。

国には、有明海の再生に対し、これまでの経緯を十分に踏まえ、責任を持った対応をしてもらいたいと考えています。

次に、県立大学について申し上げます。

佐賀県立大学(仮称)については、専門家チームも交えて教育の中身の検討を進め、6月には「教育方針の基本的な考え方(案)」を取りまとめました。併せて、県立大学で達成したい教育を実現するのにふさわしい施設機能についても、「施設機能の考え方(案)」として整理しました。

県立大学の拠点となる場所については、県内13市町から立地の要望をいただきました。県としては、それらの市町からの提案のほか、民有地の活用も含めて検討を行ってきました。県立大学は、佐賀県にとって必要な機能であり、できるだけ早い開学を実現したいとの想いから、拠点となる場所について、7月中に決めることとしました。

近年の大学のスタンダードであるコンパクトな施設、既存の建物や近隣の施設の活用、佐賀大学や西九州大学と連携した教育環境の実現、県内全域からの通学の利便性など、幅広い角度から検討を行っていました。協議を重ねる中で、拠点となる場所を佐賀市八丁畷町の佐賀総合庁舎敷地内とすることとし、7月23日に発表しました。近隣には、SAGAサンライズパークや佐賀市文化会館があり、商業施設も近く、佐賀駅からも徒歩圏内であり、大学として躍動感が増す場所だと考えています。また、複数の高校とも近く、県立大学と高校が連携した新しい教育も展開できるものと考えています。

7月31日には、佐賀市と連携協定を締結し、周辺環境の整備などに協力いただくこととしています。周辺の施設からは、「街が変わる」「楽しみだ」と期待する声を多くいただいています。また、佐賀市においては、8月の市議会で県立大学を活かしたまちづくりに取り組むための調査研究費についても予算化され、新たなまちづくりに向けた機運も高まっています。

また、県立大学での学びは、県内の現場でのフィールドワークにも重点を置くことを想定しており、県内の多くの市町に学生の活動拠点となるベースキャンプを設けたいと考えています。県立大学の開設による教育や地域活動における効果が、県内各地域に広く行き渡るよう取り組んでまいります。

この度、拠点となる場所を決定したことから、県立大学において必要と考える建物の機能や規模などを整理し、「施設機能の考え方」を具現化しました。佐賀総合庁舎の本館は改修し、敷地内の南にある別館は解体して新校舎を建設することとし、今議会には改修と新設に係る設計予算を提案しています。

なお、現在の佐賀総合庁舎に入居する機関については、佐賀市の協力も得て、スムーズな移転を図ってまいります。 

今回、県立大学の拠点となる場所が決まったことを受けて、スケジュールについて、さらに精査、具体化を進めたところ、「令和10年4月以降を目途」としていた開学時期については、令和11年4月としました。改修した校舎を使用することで開学を迎え、開学2年目の令和12年4月には、新校舎の利用開始を見込んでいます。県立大学の早期開学に向けて、ハード面である設計業務に着手することと併せ、ソフト面である教育内容に関しても、大学の根幹となるカリキュラム体系や内容、教員の規模など、専門家チームと共に検討を加速させたいと考えています。

社会は急速に変化しています。これまでの常識や知識の延長線上では、予測できない時代を迎えています。不確実性の時代だからこそ、現状を是とすることなく、自ら学び、行動し、チャレンジする人材が求められています。佐賀県には、これまで県立大学という他の都道府県に標準的に備わっている機能がありませんでした。しかし、それは、ゼロから大学を創るチャンスを、今の私たちに与えてくれました。私たちが目指すのは、不確実性の時代の中、必要とされる人材を育てる大学、県内の高校生や中学生の学びに刺激を与え、社会人には更なる学びや学び直しの機会となる大学、そして、地域の企業などからパートナーとして頼られる大学です。県内の様々な分野、業種、年代の方とともに、創り、育て、成長する大学を目指してまいります。

続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。

まず、唐津市沖の洋上風力発電について申し上げます。

唐津市沖における洋上風力発電に対しては、地元に様々な意見もあったことから、丁寧な説明や真摯な意見交換を重ねてきました。こうした中、県が考える全ての利害関係者から法定協議会への参加について同意を得られたことから、7月19日に国に対して法定協議会の設置を要請しました。引き続き、丁寧に対応を進めながら、再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指してまいります。

次に、最低賃金と賃金UPに対する支援について申し上げます。

先月開催された佐賀地方最低賃金審議会において、最低賃金を現行の900円から56円引き上げ、956円とする答申が出されました。引き上げ幅は、国が示した引上げの目安50円を6円上回り、九州では最大の上げ幅となった3県の一つとなりました。また、金額では九州で福岡県に次ぐ単独2位を維持するとともに、福岡県との差もさらに縮小しました。このことは、一定評価できるものだと考えますが、両県の最低賃金には36円と未だ相当の差があります。県内の人材確保を進めていく上でマイナスの影響を与えることから、引き続き賃金格差の是正に向け、佐賀県の実情に応じた議論が尽くされることを期待します。

一方、原材料やエネルギー価格が高騰する中、最低賃金が上昇することにより、県内の中小企業への影響が懸念されます。県では、昨年10月から「佐賀型賃金UPプロジェクト」を立ち上げ、企業の生産性向上を支援することで、賃上げを後押ししてきました。今回、最低賃金の引き上げを受けて、改めて支援に係る予算を今議会に提案しています。中小企業の生産性向上や価格転嫁を支援し、持続的な賃上げ、豊かさの連鎖へとつなげてまいります。

次に、佐賀牛の輸出拡大について申し上げます。

7月27日に佐賀県高性能食肉センター「KAKEHASHI」から、佐賀牛の米国への輸出を開始しました。今後、タイ、台湾、シンガポール、香港にも拡大してまいります。また、本年4月からは佐賀牛の生産基盤の拠点である「佐賀牛いろはファーム」でも子牛の出荷が始まり、「佐賀生まれ、佐賀育ちの佐賀牛」を一気通貫で直接世界に売り込む舞台が整いました。佐賀牛は今年で40周年を迎えました。今後は、さらに「佐賀から世界へ」戦略的に輸出を拡大し、世界的なブランドになることを目指してまいります。

次に、JR佐世保線へのICカードエリア拡大について申し上げます。

10月3日から、佐賀から佐世保・ハウステンボスまでの間でICカードを利用できることとなります。これは、令和4年4月、私からJR九州の古宮社長と長崎県の大石知事に直接働きかけを行い実現に至ったものです。これまで利用エリアが県都佐賀駅で分断されていましたが、佐賀の東西を結ぶ全ての駅で利用可能となり、国スポの開会式やバルーンフェスタにも間に合うこととなりました。

次に、佐賀駅南の歩道空間のリニューアルについて申し上げます。

佐賀駅南エリアは、人々が歩くことで新たな可能性や価値を生み出す空間「さが維新テラス」としてリニューアルしました。9月4日には、佐賀商工会議所青年部や大学生などが中心となり、音楽演奏、マルシェ、乾杯イベントを行い、この空間が持つポテンシャルが見えたように感じました。今後も、訪れる人々が思い思いに豊かな時間を過ごすことができる空間、そして、人々が憩い、集い、歩くことでもたらされる、様々な楽しみ方やイノベーションが生まれる佐賀らしい空間が創られていくことを期待しています。

次に、県道東与賀佐賀線本庄バイパスについて申し上げます。

9月30日に県道東与賀佐賀線本庄バイパスが開通します。有明海沿岸道路の(仮称)東与賀インターチェンジへのアクセス道路としての機能を果たします。

次に、吉野ヶ里遺跡の発掘調査の状況について申し上げます。

昨年4月に発見され、全国的に話題を集めました邪馬台国時代の有力者の墓である石棺墓の調査では、石蓋に刻まれた線刻が石棺墓本体の石材の面に残されていました。このほか、土壌に残された成分からは、石棺内部に人体が埋められていたことが示唆されるなど新たな知見が次々と判明しました。しかしながら、現在の技術では、石棺墓に埋葬されていた被葬者の身分や社会的地位、埋葬された時期までは明らかにすることができませんでした。これからの技術の進展とともに未来の研究者に委ねることとし、石棺墓を埋め戻すこととしました。今後も、「謎のエリア」周辺の調査を継続し、吉野ヶ里遺跡の全容解明、ひいては古代国家形成の謎に迫ってまいります。

次に、防災・減災対策について申し上げます。

7月10日、昨年の豪雨で土石流が発生した唐津市浜玉町の今坂地区で行われた慰霊祭に出席しました。犠牲者の方を追悼するとともに、7月から砂防ダムの工事に着手し、早期復旧を進めていることをお伝えしました。

また、8月28日には大町町の下潟排水機場において、増設ポンプの運転を開始しました。激甚化・頻発化する自然災害に対し、佐賀県内水対策プロジェクト「プロジェクトIF」による防災・減災対策にも切れ目なく取り組んでまいります。

続きまして、提案事項について御説明申し上げます。

今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正予算編成後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。

この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、

一般会計      約87億1,100万円

特別会計      約44億7,200万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約5,326億8,500万円

特別会計  約2,135億6,300万円

となっております。

次に、予算案の主な内容について申し上げます。

はじめに、在住外国人を支援する取組についてです。

現在、外国人は職場や地域で共に活動する存在となっており、県内の在住外国人は1万人を超え過去最多を更新しています。職場や地域においてコミュニケーションを深めたいなど、様々な理由によって日本語のスキルをもっと磨きたい方々がいます。今回、県内企業と協力し、在住外国人の日本語力向上に資する取組を支援することとしました。多文化共生の取組を推進し、外国人に選ばれる佐賀、外国人の皆さんも心地よく暮らせる佐賀としてまいります。

次に、トップアスリートを育成する取組について申し上げます。

アスリートの育成には、ケガの予防や体のケア、リハビリはもとより、栄養や心理面のサポート、動作分析などスポーツ医科学の支援が重要となっています。現在、鳥栖市で整備が進められているサガン鳥栖U-15の練習グラウンドと一体的に整備するスポーツ医科学モデル施設に支援することとしました。この施設にはスポーツ整形外科が入居し、ここから得られる家賃収入は、グラウンドや施設の維持管理費などに活用され、アスリートに還元する仕組みとなっています。SSP構想のもと、育成世代を含めたスポーツ医科学の普及や活用を推進するとともに、スポーツにより「稼ぐ」ことが、「育てる」チカラになるモデルケースを創出します。

次に、海洋プラスチック問題への取組について申し上げます。

唐津を含めた九州北部地域は、海流や季節風などの影響により、頻繁に大量のプラスチックごみが漂着しています。海に放棄されたプラスチックは、半永久的に分解しないことから、長期間において生態系や環境に影響を及ぼします。2050年には海洋プラスチック流出量の累積が、魚より多くなるという試算もあり、世界的な視野で抜本的かつ様々な対策が必要となっています。この海洋プラスチック問題の解決を目指す拠点として、世界初の「世界海洋プラスチックセンター(仮称)」を唐津市波戸岬に整備することとしています。このハード整備と相乗効果を発揮させるため、国内外の研究者などを集める国際シンポジウムを開催することとしました。一人一人の学びと行動変容を促すとともに、同じ問題を抱える国や地域とネットワークを構築し、佐賀から海洋プラスチック問題の解決を目指してまいります。

次に、カスタマーハラスメント対策を支援する取組について申し上げます。

本来、顧客の声は業務改善につながる貴重な意見となり得るものですが、度を過ぎた行為は働く人を傷つけます。近年、県内においてもカスハラが確認され、人材が離職するケースが発生しています。今回、企業が行う対応力向上の取組を支援することとしました。消費者も含め県民みんなで理解を深めながら、労働者の皆さんが安心して働ける環境となるように取り組んでまいります。

予算外議案といたしましては、条例外議案として14件となっています。

最後になりますが、400年以上続く有田焼の歴史を振り返ると、酒井田柿右衛門による色絵磁器の開発にはじまり、今泉今右衛門による鍋島焼の絵付技術の革新、さらに井上萬二による白磁の造形美の追求など挑戦の繰り返しにより、世界最高水準の地位を築き上げてきました。常に時代に向かって挑戦を続けてきた志は、現代にも受け継がれ、世界的なデザイナーと伝統的な職人技術を融合させた新たな有田焼の姿を世に示そうとしています。

「挑戦なくして、伝統なし」

これは、有田だけでなく、佐賀県に生きるものが大切に受け継いできた考え方でもあると私は思います。

佐賀農業は、食糧の安定的な確保が求められた時代において、水田農業の佐賀段階、新佐賀段階で、日本一の反収を成し遂げました。そして、米の需要が減少し、農業所得の向上が求められる近年においては、「さが園芸888運動」を展開し、より稼ぐことができる園芸農業の拡大に取り組んでいます。

戦後、77回にわたり続いてきた国体は、佐賀から新しい大会として国スポに生まれ変わろうとしています。 メイン会場の一つとなるSAGAアリーナは、単なる体育館ではなく、多機能の稼げるアリーナとしました。大会運営においても、SSP構想のもと大会後も見据えた様々な挑戦を行っています。全国的に国スポを持続可能な大会にしようと模索が始まった今、佐賀が先駆けて新しい大会の一つの形を示し、日本の新しいスポーツシーンを創っていきたいと考えています。

かつての佐賀人たちは、国家存亡の危機意識のもと、国民皆教育、三権分立、司法制度、鉄道など数多くの近代国家の礎を創り上げました。過去や経験、常識にとらわれず、鳥瞰力・大局観を持った人たちが国の将来や行く末を考え、最先端の知をどん欲に学び、果敢に行動したからこそ、成し遂げられたものです。

今日、我が国は、急激な人口減少や激動する国際環境の中にあり、大きな変革が求められています。佐賀人がこれまで続けてきた挑戦に想いをはせながら、今を生きる我々も挑戦を続けていくことが、次の時代の佐賀県を創っていくのではないでしょうか。時代の変化や未来を見据え、挑戦を続け、伝統を次の時代に紡ぎ、新しい佐賀を切り拓いてまいりましょう。

以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。

よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

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