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令和6年11月27日令和6年11月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

令和6年11月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。

はじめに、SAGA2024国スポ・全障スポは、多くの人に「感動」と「共感」を届けた素晴らしい大会となりました。アスリートをはじめ、関係団体、サガンティア、20市町、そして県民の皆様に、改めて感謝を申し上げます。

次に、佐賀県への皇室の御来県について申し上げます。

SAGA2024では、天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々に順次御来県いただき、期間中を通してアスリートや関係者を激励していただきました。国スポでは、総合開会式に天皇皇后両陛下、総合閉会式に佳子内親王殿下、全障スポでは、開会式に秋篠宮皇嗣同妃両殿下、閉会式に高円宮妃殿下の御臨席を賜りました。

天皇皇后両陛下におかれましては、国スポへの御臨席のほか、佐賀県勢の概要を御聴取いただきました。夜には、両陛下を歓迎する県民による提灯奉迎を御覧いただき、両陛下は窓から提灯を振ってお応えくださいました。翌日の地方事情御視察では、鹿島市を行幸啓として両陛下が初めて御訪問され、肥前浜駅・HAMA BARにおいて自発の地域づくりの取組を御覧いただきました。

愛子内親王殿下におかれましては、初めての地方単独公務の地として佐賀県に御来県いただきました。愛子内親王殿下とお話をさせていただく中で、両陛下のそれぞれの母方の曽祖父母が、いずれも佐賀県にゆかりがあることに話がおよび、佐賀県との深い御縁に心から感動いたしました。

SAGA2024を通して、皇室の方々に佐賀県が大切にしている様々な場所を御訪問いただき、佐賀県の様々な取組をお伝えできましたことは、大変光栄なことでございます。また、県民の皆様におかれましても、佐賀空港や沿道、お立ち寄り先で、本当に多くの方々が笑顔で歓迎していただきました。皇室への親しみを持ってお迎えいただいたことをありがたく思っています。

改めまして、天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々に佐賀県への御来県を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

次に、改めてSAGA2024について申し上げます。

 新しい大会へ。すべての人に、スポーツのチカラを。SAGA2024は、「国体」から「国スポ」へと変わる、自由、楽しさ、多様性など、スポーツの持つ「チカラ」を信じ、様々なことにチャレンジした新しい大会となりました。また、「する」「観る」「支える」というスポーツに関わるすべての人が主役となった大会でもありました。そして、スポーツへの想いを込めた一つ一つの取組と、人々の内側から自然と生まれ出るものとが調和し、様々なシーンで笑顔が広がる温かい大会となりました。

 開会式は、まさに「スポーツのチカラ」を体現した式典となりました。これまでのように、規律正しくきびきびとした行進ではなく、各都道府県が思い思いに入場やアピールを行う、自由で楽しいパレードのような入場に変わりました。フィールドやスタンドからは、パフォーマーや観客の皆さんがリズムに乗って、笑顔で選手たちを迎えました。そして、SAGA久光スプリングスの石井優希さんが、SAGAサンライズパークに相応しい太陽から採った炬火を、世界的デザイナー吉岡徳仁さんが手掛けたガラスの炬火台に灯しました。その瞬間、会場の皆さんの心が一つになったと感じました。

開会式の熱量は、各競技会場にも波及しました。ブルーのグッズを身に着けた観客の一体的な応援を背に、佐賀県のアスリートたちが大きく躍動しました。残念ながら、総合成績でわずかに東京都に及びませんでしたが、冬季大会を除いた本大会のみの得点では1位という結果を達成できました。そして、一つ一つの試合にはスポーツだからこそ生まれる筋書きのないドラマがたくさんありました。例えば、ウェイトリフティング女子の安嶋千晶選手は股関節のケガを乗り越え、今回の国スポを競技人生の集大成と意を決して、2冠に輝きました。今後は、佐賀に残り、第2の安嶋千晶を育てるべく、佐賀県で後進の育成に進まれます。バレーボール知的障がいの部男子チームは、全国屈指の強豪に成長しながらも、前2大会では、優勝した和歌山県といずれも初戦で対戦し惜敗でした。二度の悔しさを胸に、ついに今大会では和歌山県と決勝戦で戦い、大接戦の末リベンジを果たしました。粘りのレシーブや勝負所でのスパイクなど、これまでの課題を克服し、会心の最終セットでの逆転勝利となりました。今でも、選手や指導者たちの喜ぶ姿は目に焼き付いています。新体操少年女子では、単独校での出場では上位進出は果たせないという判断のもと、日ごろはライバル関係にある佐賀北高校と佐賀女子高校の合同チームで臨み、優勝を果たしました。まさに、「チーム佐賀」としての底力を発揮してくれました。

SAGA2024では「スポーツのチカラ」を信じ、市町、競技団体など、皆さんがチカラを合わせ、これまでの国体になかった、新しいチャレンジを次々と実現しました。一つはナイトゲームの開催です。仕事帰りや放課後での観戦が可能となったことで、バレーボール成年女子5位・7位決定戦にもかかわらず、1,700名もの方々がSAGAアリーナに集まりました。この試合をはじめ複数の競技会において、アルコールも提供しました。また、メダルの授与と個人表彰にも取り組みました。アスリートや一緒に戦う仲間に敬意を表し、1位から3位の選手や、全障スポの陸上競技における伴走者、ボッチャのランプオペレーターに対して、佐賀らしい心のこもったメダルを授与しました。あわせて、都道府県対抗であるが故に団体競技や総合成績に光が当たる中、選手個々の活躍を「TheGoodPlayer оfSAGA2024」と称して顕彰しました。例えば、バスケットボールでは得点王や女王、ハンドボールでは最優秀選手の表彰を行いました。さらに、全競技全試合のライブ配信に取り組みました。生のアスリートの活躍を日本全国へ届けるべく、実況や解説を付け、スポーツのおもしろさや臨場感を分かりやすく伝えました。

 閉会式は史上初めてエンターテインメントアリーナで開催しました。SAGAアリーナだからこそできる音、映像、光による世界レベルの「スポーツ空間」を体感していただきました。鷲尾伶菜さんのファイナルステージでは、スマートフォンによるペンライトが、自然とかざされていき、会場全体が温かい雰囲気に包まれる感動的なフィナーレとなりました。

 選手団解団式では、長い間、大会に向けて準備をし、地元開催のプレッシャーの中、戦い続けてきたアスリートや指導者たちがお互いに健闘を称えました。大会を振り返るハイライト動画のエンドロールでは、大会に携わったすべての方の名前が流れました。一人一人が大会への想いを噛みしめ、新たなステージへの第一歩を踏み出す解団式となりました。

 新しい大会に向けて挑戦を続けてきたSAGA2024は、日本のスポーツシーンにおいて、スポーツを多面的に捉える転換点になったと考えます。今回の挑戦が灯となり、滋賀県、青森県へとバトンが渡り、それぞれの地域で「スポーツのチカラ」を考える参考になればと思います。そして、新たな挑戦が生まれ、国スポが成長型の大会となっていくことを期待します。図らずも、大会前から「3巡目国スポの在り方」について、廃止を含めた意見が出されたことから、SAGA2024は大きな注目を集める大会となりました。今後の国民スポーツ大会の在り方を考える有識者会議の小林座長をはじめ、日本スポーツ協会など多くの関係者が大会を視察されました。視察をされた方々からは、新しいスポーツの時代を切り拓くという佐賀県の意欲が伝わる素晴らしい総合開会式、また、国体から国スポという変革期のスタートにふさわしい大会などの評価をいただきました。佐賀県の新しい大会に向けた挑戦は、国スポの見直し議論に大きな一石を投じることができたと考えます。

SAGA2024は、SSP構想推進の大きな跳躍点であります。SSP構想による取組が実を結び、SAGA2024においても多くのSSPアスリートが華々しい活躍をみせてくれました。そして、それを目の当たりにした多くの県民に、大きな感動や喜びを与えてくれました。SSP構想の志をともに抱くアスリート、コーチ、学校、競技団体、企業・団体、県民の強い絆は、唯一無二のものです。この絆をより強くし、そしてこれからも新たな仲間たちと一緒に手を携え、「Team SSP」としてSSP構想をさらに推進してまいります。今後もSSP構想を着実に推進するため、次世代の中高生アスリートを育成する指導者の確保やパラスポーツの振興などに必要な財源を、SSP育成基金に確保し、中長期的な視点を持って人材育成に取り組みます。また、佐賀で活躍する社会人アスリートが、引退後の人生設計を佐賀で考え進めることができるよう、セカンドキャリアへの支援も始めます。このために必要な予算を今議会に提案しております。

今後とも、「Team SSP」のチカラを結集し、アスリートの人生に寄り添った人材育成、就職支援、練習環境の充実、スポーツビジネスの振興などに取り組んでいきます。そして、スポーツのチカラを活かした人づくり、地域づくりをより一層進めることで、佐賀から新しいスポーツ文化を創ってまいります。

次に、佐賀が誇るプロスポーツについて申し上げます。

バスケットボールB1で2年目となる佐賀バルーナーズは、厳しい条件を見事にクリアし、2026年から始まる新リーグBプレミアへの参入が決定しました。今季のホーム開幕戦には、クラブ史上最多記録を更新する8,700人が応援にかけつけました。バレーボールSAGA久光スプリングスは、今季から新しく始まったSVリーグで初代女王を目指しています。国スポでは全試合ストレート勝ちで2連覇を達成し、圧巻の強さを見せてくれました。ハンドボールのレッドトルネードSAGAも、国スポで2位と貢献しました。サッカーのサガン鳥栖は無念にもJ2に降格することとなりました。13年もの長きにわたり、一度も降格することなくJ1の舞台で戦い続けたことは称賛に値し、その輝きは失われるものではありません。J2降格が決まり、我々サガンファミリーの真価が問われています。サガン鳥栖は我々の「宝」であり「誇り」であります。これからチーム、ファン、サポーターが一つとなって、1年でJ1に復帰できるよう、オールサガンで応援してまいります。

次に、県の二つの取組によるグッドデザイン賞の受賞について申し上げます。

一つは、SAGAサンライズパークです。回遊性と統一感を高めることにより、エリア全体の新しい価値の創造に成功していることが評価されました。もう一つは、産地支援プロジェクト「伊万里・有田焼産地のものづくりを伝えるコミュニケーションツール」です。伝統産地には見られないデジタルツールを開発し、伝統工芸産地のモデルケースとなることが評価されたものです。

続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。

まず、玄海原子力発電所についてです。

玄海原子力発電所では、再稼働以降もテロへの備えとして、特定重大事故等対処施設を設置するなど、安全性を高める対策が講じられてきました。先月30日には緊急時対策棟が完成し、これまで運用されていた事故発生時に指揮所となる代替緊急時対策所の機能に加え、会議室や医務室などの支援機能が拡充されました。九州電力に対しては、日々の訓練により対応能力の向上を図り、常に緊張感をもって万が一の事故へ備えるよう求めています。 

玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。

次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。

今月13日、中谷防衛大臣と面会しました。9年前に中谷大臣が来県されたとき、米海兵隊の利用要請の取り下げ、民間空港としての発展、漁業者に影響を及ぼさないことを確認できたことが原点となっている。そこから9年間、一つ一つ積み重ねてきたことが、今に至っていることを申し上げました。

また、先月27日、陸上自衛隊与那国駐屯地において、訓練中の陸上自衛隊オスプレイが、離陸の際に地面と接触し、機体の一部が損傷する事故が発生しました。陸自オスプレイとしては初めての事故であったことから、原因究明や再発防止について、一つ一つ丁寧に対応していただくよう大臣に求めました。今月14日には、防衛省から事故調査結果が公表され、県にも説明がありました。事故の原因は、「スイッチの入れ忘れ」と「パイロットの操作ミス」という人的要因であり、教育や訓練などの再発防止策を徹底した上で、飛行を再開するという内容でした。今後も防衛省に対して、安全性について常に追求し、説明責任を果たすよう求めてまいります。

なお、防衛省と県で合意している有明海漁業の振興と補償のための基金は、令和7年度の創設に向け、2月議会に必要な議案を提案できるよう、準備を進めてまいります。

次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。

先月28日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会の分科会が開催され、整備新幹線の様々な課題やリスクについて議論がなされました。北海道新幹線や北陸新幹線などの事例に基づく環境面のリスクや事業費の増嵩リスクがあること。また、「見切り発車」の実例としてフリーゲージトレインの導入を前提とした西九州ルートの着工などがあげられました。

整備新幹線は、スキームも含めて様々な課題があり、西九州ルートは、着工後、国がフリーゲージトレインの開発を断念したという特殊事情があります。これまで在来線を利用することを合意している新鳥栖-武雄温泉間については、拙速に議論を進めるような簡単なものではありませんが、様々な可能性について議論してまいります。

次に有明海の再生について申し上げます。

有明海の漁船漁業については、厳しい資源状況が続いていることや、赤潮によるノリ色落ち被害の軽減にもつながることから、今月、サルボウの人工稚貝約200万個を西南部地区に放流しました。一日も早い資源の回復を目指し関係機関と連携して取り組んでまいります。

ノリ養殖については、海水温が例年に比べ、やや高めで種付けに時間を要したものの、海況は良好であり、順調に摘み取りが行われています。有明海漁協の西久保組合長は「日本一を奪回するため、生産者一丸となって頑張っていく」と決意を示されています。県としても、大規模な海底耕うんや二枚貝の設置、カキ礁造成といった色落ち対策を行っていきます。これからも、漁協や漁業者の皆さんと力を合わせ、できることは何でもやるという強い気持ちをもって取り組んでまいります。

次に、県立大学について申し上げます。

佐賀県立大学(仮称)については、今年度末までに設計業者の決定や契約の締結ができるよう準備を進めています。また、専門家チームとともに、大学の教育の柱となる卒業認定、カリキュラム、入学者の受入れの3つのポリシーに関する議論を集中的に行っています。来年の春には、3つのポリシーを中心に整理し、教育方針をより具体的なものにしていきたいと考えています。地域に愛され、ともに成長する大学を目指し、着実に検討を進めてまいります。

続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。

まず、九州佐賀国際空港についてです。

九州佐賀国際空港においては、民間空港として発展するための「滑走路延長」と、陸上自衛隊の駐屯が重なる中、航空機のより円滑な運航のための「平行誘導路整備」をセットで実施することが必要です。工事に際して漁業者の皆様に配慮する観点からも、同時に工事を行うことが望ましいと考えます。今月13日には、中谷防衛大臣に対し、同時に整備することを提案し、「それぞれが大きな工事なので同時がいいのではないか、全面的に協力する」とのお話をいただきました。また、今月25日には、古川康国土交通副大臣や平岡航空局長に対しても、同様の提案を行っています。「滑走路延長」と「平行誘導路整備」のセットでの実施に向けて取り組んでまいります。

次に、長崎本線多良駅の利便性向上について申し上げます。

多良駅はこれまで出入口が東側のみで、西側からアクセスするためには、大幅な迂回や踏切待ちが必要でした。

令和4年度から県が取り組んできた多良駅西側の出入口の整備が完成し、来月12日より西側からもアクセスが可能となります。引き続き、地域住民の皆様の想いに寄り添い、JR九州や沿線市町と一緒になって上下分離区間の利便性向上に取り組んでまいります。

次に、CSOの誘致について申し上げます。

県内では、災害時の被災者支援や様々な事情を抱える子ども達への支援など地域課題の解決、さらには国際的な課題の解決を行う志を持ったCSOが集積し活動しています。

今月11日には、16団体目となる「認定NPO法人D×P」を誘致しました。困難な境遇にある若者に寄り添い、頼れる人とつながりが持てるようオンライン相談や居場所づくりに取り組まれます。

次に多文化共生について申し上げます。

県内で暮らす外国人の方は1万人を超えています。また、働く外国人は7千人、雇う事業所も1千社と、いずれも過去最多を更新しています。外国人の皆さんは地域・産業の大切な担い手であり、共に支え合う仲間です。一人一人が佐賀で安心して暮らしながらも一層活躍してもらうことを実現したいと考えています。

今月24日には、新たな試みとなる「第1回佐賀さいこう!国際運動会・交流会」を開催しました。外国人と日本人が言語の壁を越えてスポーツを楽しみ、交流を深めました。外国人の皆さんが心地よく暮らしていただくことは、日本人にとっても居心地がよくなるという「さがすたいる」の考え方が浸透していくことを期待します。

次に「ロマンシング佐賀プロジェクト」について申し上げます。

人気ゲーム「サガ」シリーズを手掛ける株式会社スクウェア・エニックスとは、2014年以来特別な関係を紡ぎながらゲームの世界観と佐賀の本物を融合させた様々なコラボレーションを展開し、10周年を迎えました。これまで築き上げてきたロマ佐賀資産を最大限活用し、歴代のサガシリーズとのコラボ作品を展示した企画展や、佐賀駅からSAGAサンライズパークまでをキャラクターで装飾することなどに取り組んでいます。10周年に相応しいコラボ事業を展開し、国内外のファンが集う聖地を目指してまいります。

次に、情報発信プロジェクト「サガプライズ!」について申し上げます。

人気ビジネス漫画「島耕作シリーズ」とのコラボから生まれた「副知事 島耕作」は、全国で話題となりました。このコラボの成果がメディアや広告業界からも評価され、「第66回日本雑誌広告賞」をはじめ、三つの賞を受賞しました。

また、先月末には、今年70周年を迎えたゴジラと佐賀県の「かたち」がほぼ同じであることに着目し、ゴジラを「佐賀県かたち観光大使」に任命しました。すでに、県庁新館展望ホール「SAGA360」には、ゴジラの巨大ビジュアルが出現しています。このほか、世界最大手の清掃機器メーカー「ケルヒャー」の協力による、50周年を迎えた岩屋川内ダムにおける巨大ダムアートなど、県内の至る所で出現していきます。これまで同様、予期せぬ人・企業とネットワークが構築できることや、思わぬところに波及効果が生まれることを期待しています。

続きまして、提案事項について御説明申し上げます。

今回の補正予算案の編成に当たりましては、9月補正、10月の専決処分に続いて、その後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。

この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、

一般会計      約91億5,300万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約5,425億1,000万円

となっております。

次に、予算案の主な内容について申し上げます。

はじめに、バス運転士を確保する支援についてです。

バスは、通勤・通学や買い物、通院など地域住民の日常生活を支える大切なくらしの移動手段です。近年、運転士の高齢化や2024年問題により運転士不足が深刻化し、県内各地でバス路線の再編、減便、廃止につながっています。これまで、バス事業者は、県内を中心に運転士確保に尽力されてきましたが、運転士不足の解消には至っていません。今回、事業者の採用活動を後押しするため、県外採用に対する支援を行うこととしました。県民の皆様が、将来にわたり住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、大切な地域交通を未来につないでまいります。

次に、コスメギフトプロジェクトについて申し上げます。

コスメ企業では、商品の入れ替えが早く、在庫を抱えて廃棄せざるをえないという課題があります。一方で、経済的事情などにより十分に化粧品を購入できないというご家庭もございます。今回、JCCやCSOなどと連携し、行き先の決まっていない化粧品を、ご家庭に贈るコスメギフトプロジェクトに取り組むこととしました。「コスメ県さが」ならではの取組により、美と笑顔が届くことを期待します。

次に、女性特有の健康課題に着目した取組について申し上げます。

月経や更年期症状という女性特有の健康課題は、職場などにおいて正しく認識されていない状況にあります。女性にとっては、我慢をしながら仕事・活動をせざるをえず、望まない離職・転職につながることもあります。今回、女性特有の健康課題への理解を深めるなど、「フェムケア」を推進することとしました。また、九州地域戦略会議においても、官民が一体となって「フェムケア」に係る取組を行うことを提案しています。女性への共感が深まり、寄り添った環境が充実していくことを期待します。

次に、こども食堂・こども宅食の活動を後押しする取組について申し上げます。

フードバンク活動の取組を推進するため、令和4年度に「佐賀県食でつながるネットワーク協議会」を設立しました。食品を一元的に管理するセントラル倉庫の整備や企業への寄付の働きかけもあり、寄付される食品が急増しています。また、こども食堂などの活動が社会に広く浸透し、その数も増加しています。寄付された食品をよりきめ細やかに、こどもたちに届けられるよう、食品の配送拠点整備に対して支援することとしました。こどもたちの健やかな育ちを、みんなで守り支え合う佐賀らしい社会づくりを進めてまいります。

このほか、人事委員会勧告に基づく給与改定、税収増に伴う関連支出の増加に対応するため、必要な額を増額補正することとしました。

予算外議案といたしましては、条例議案として8件、条例外議案として13件となっています。

最後になりますが、佐賀県の人口と面積は全国で42位であります。一方、人口密度で見ると16位と全国でも高い部類に入っています。しかし、人口密度が高いという実感のある方は少ないと考えます。これは市町村ごとの人口密度の偏りを表すジニ係数が日本一低いことに起因しています。県庁所在地や大都市に人口が集中し、他はまばらという構図ではなく、どの市町にもバランスよく人が佇む多極分散型となっています。それぞれの地域の方々が歴史や文化を紡いできた証だと思います。県境には、有明海と多良岳を有し、山海の幸に恵まれる太良町があり、自然と都会が調和し、人口の転入超過が続いている基山町があります。県北部には、玄界灘に臨み、畜産や園芸、漁業が盛んで、日本の歴史を動かした名護屋城を有する上場地区。中山間地域の魅力を活かし、移住者が新たな価値を生み出している三瀬村や七山村など、唯一無二の地域が結集したのが佐賀県であり、佐賀県が艶やかで彩にあふれた県である所以であります。さらに、国立社会保障・人口問題研究所からは、2050年における佐賀県の全世帯に占める一人暮らしの割合は、全国で5番目に低いこと、また、65歳以上の単身世帯の割合も低水準という将来推計が示されました。佐賀県では三世代同居率が高いことが、単身世帯になりにくい理由の一つではないかと推察しています。

昨今、改めて地方創生が注目されています。ただ国が示すメニューを取り入れるのではなく、人口をはじめとするデータを分析することも重要であります。その上で、地域や県の実情に応じ、何をなすべきかを自分たちで考える「自発」が、地方を成長に導くことにつながると考えます。

佐賀県は、他県が持ちえない地域と人口バランスを有しています。さらに、その地域には地域を支える「人のネットワーク」が根付いているという理想的な土壌が育まれています。この土壌に、県立大学やSSP構想など、様々な「人への投資」という種を蒔き、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり。」を進めてまいります。

以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。

よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。


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