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令和7年2月14日令和7年2月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

令和7年2月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。

はじめに、「第26回全国農業担い手サミットinさが」について申し上げます。

 先月、寬仁親王妃信子殿下の御臨席を賜り、本県初となる「第26回全国農業担い手サミットinさが」をSAGAアリーナで開催しました。昨年、農政の基本理念や方向性を定める「食料・農業・農村基本法」が、制定後四半世紀を経て初めて改正されました。食料安全保障の抜本的強化や合理的な価格形成などを目指すという、日本農業の大きな転換点・分岐点となるタイミングで、佐賀でのサミットを迎えられたことは感慨深いものがありました。全国から志を持った担い手の皆さんが集まり、日本の食料自給率を高めていくことや、農畜産物に対する価格転嫁の実現などについて議論が行われました。食料自給率がほぼ100%であり、西日本一、全国でもトップクラスを誇るこの佐賀県で、SAGAアリーナに全国の担い手が集結し、志を高め、想いを共有できたことは大変意義があったものと考えます。その後、県内各地の佐賀農業の現場に分かれて、地域に根ざした交流につながっていく佐賀らしいサミットになりました。今年開催される日本青年会議所全国大会や全国土地改良大会においても、SAGAアリーナから大会の効果が県内各地に波及していくような形につながっていって欲しいと考えています。

次に、江藤新平復権プロジェクトについて申し上げます。

江藤新平は、東京奠都の建白書、三権分立に基づく近代国家制度の設計、憲法や民法の法典編纂など、現代につながる国の骨格を創る重要な役割を果たしました。今であれば、それぞれが10年スパンの大仕事です。その一つ一つをわずか数か月で成し遂げた超人的な実行力や鳥瞰力から、佐賀が生み育てた稀代の傑物だと考えます。その江藤は、明治7年の佐賀戦争後、正当な裁判を受けることなく、内乱罪で処刑されました。佐賀戦争から2年後、佐賀県はお取り潰しとなり、その後、長崎県へ併合されます。7年を経て分離独立し、現在に至りますが、この歴史の影響が今の佐賀に残っているようにも感じます。後に、江藤は罪状が消え、名誉は回復したものの、真の復権には至っておりません。西南戦争を起こした西郷隆盛は、没後、募金が集められて銅像が建てられるなど、鹿児島県民に盛り上げられて今があります。

今、世界は様々な価値観が入り乱れ混沌とし、それぞれの価値観や存在に対し、どのように協調しシステム等をつくり共存していくのかが問われています。こうした時代だからこそ、明治維新という大変革期において、日本のグランドデザインを描いた江藤の功績に光を当て顕彰する意義があるのではないでしょうか。江藤の「真」の功績や、崇高な「志」を伝え、復権を図り、肥前さが幕末維新博覧会から育む「佐賀への誇り」を未来に紡いでまいります。

次に、九州佐賀国際空港の台北便について申し上げます。

台北便は令和5年4月の運航再開以降、搭乗率が概ね90%と好調に推移しており、4月1日から、佐賀空港の台北便として初となる「週3往復の定期便」就航が実現いたします。引き続き、台湾と佐賀、双方からの利用促進に取り組んでまいります。

続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。

まず、佐賀空港の自衛隊使用要請についてです。

飛行を停止していた陸上自衛隊オスプレイについて、昨年12月27日に防衛省から県に対し飛行を再開するに当たって、追加の対策などの説明がありました。県からは、これまで以上に米軍と情報共有を行いながら、安全性を追求し説明責任を果たすよう求めました。飛行の安全は何より大切です。引き続き防衛省には、起こったことに一つ一つ丁寧に対応し、説明責任を果たしていくよう求めてまいります。

7月以降の駐屯地開設に向けて、隊庁舎や、格納庫、駐機場などの整備が進んでおり、隊員とその家族が駐屯地やその周辺に移り住むことになります。各地にある駐屯地では、駐屯地祭りや、地域行事への隊員の参加など、地域との信頼関係を構築するように努められています。目達原駐屯地も開設から70年を経過し、この間、吉野ヶ里町、上峰町の地元の皆様と信頼を積み重ねてきました。佐賀駐屯地(仮称)も地域に愛され、頼られる存在になれるような関係が構築されていって欲しいと思います。

また、防衛省と県で合意している有明海漁業の振興と補償のための基金の創設について、条例及び必要な予算を今議会に提案しています。あわせて、防衛省から着陸料を徴収する条例改正も提案しています。さらに、即応体制や駐屯地をはじめとした関係者との緊密な情報共有などのため、県の組織体制を強化することとしています。

次に、有明海の再生について申し上げます。

有明海の水産資源については、再生のシンボルであるタイラギが13季連続休漁となるなど、依然として厳しい状況です。ノリ養殖についても、単価は高値でしたが、秋芽網期は12月以降の少雨と赤潮の影響により色落ち被害が発生するなど、質・量とも厳しい状況でした。漁業者の皆さんは海況の好転を願い、冷凍網期の開始を遅らせるなど、一枚でも多く、質の良いノリを生産するため、あらゆる手段を講じています。

国は、令和7年度予算案において、これまでの有明海再生事業に加えて、新たに有明海再生加速化対策交付金を創設しました。今後10年間で四県に対して、総額100億円が措置されることとなっています。有明海漁協には、この国の加速化交付金や県の漁業振興・補償基金も有効に活用していただきたいと考えています。県としても、漁場環境を改善するための大規模海底耕うんや、ノリ養殖の安定生産に資する精度の高い海況予測システムの開発に必要な予算を今議会に提案しています。

宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。これからも、力を合わせて全力で取り組んでまいります。

次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。

北陸新幹線敦賀-新大阪間や北海道新幹線新函館北斗-札幌間の例を見ても、従前から申し上げてきたとおり、整備新幹線には、スキームも含めて様々な課題があると考えます。敦賀-新大阪間では、フル規格での早期整備で地元の合意形成が図られていたものの、事業費の大幅な上振れや地下水の問題などから、ルートも含め様々な意見が出ている状況です。上振れした多額の財政負担については、沿線自治体の首長や地元国会議員から国費を投入すべきとか、受益に応じた負担とすべきなどの意見も出ています。また、新函館北斗-札幌間は、想定外の巨大な岩の発見などにより、目標となる令和12年度末の開業が相当程度遅れる見込みです。さらに、最近では、延伸工事により川の水が枯渇し、工事の事業主体が地元農家と補償協議を進めるといった事例もあります。新鳥栖-武雄温泉間についても、複雑で難しいものですが、今後も、慎重に議論してまいります。

次に、城原川ダム事業について申し上げます。

水没予定地域では、国と城原川ダム建設対策協議会で移転補償に係る協定書が調印され、地元での協議が進んでいます。県においても、用地の先行取得を行うために必要な予算を今議会に提案しています。また、2か所の集団移転先のうち志波屋地区では昨年12月から造成工事が開始されています。平ヶ里地区では国の経済対策において造成工事に必要な予算が確保されています。地域の治水対策を進めるため、少しでも早いダムの完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き国に働き掛けてまいります。水没予定地域の皆様の不安な気持ちが少しでも解消し、生活再建が円滑に進むよう、今後も国や神埼市と連携して、お一人お一人に寄り添いながら支援してまいります。

次に、玄海原子力発電所について申し上げます。

3号機の貯蔵プールの保管容量を増やすリラッキング工事は、昨年11月28日に完成し、12月から運用が開始されています。

1号機と2号機では、放射能に汚染されていない設備の解体・撤去が行われています。九州電力は、先月29日、令和8年度から着手する汚染された設備の解体・撤去などについて、廃止措置計画を更新する認可申請を原子力規制委員会に行っています。九州電力に対しては、国の審査に真摯に対応し、県民へ分かりやすく丁寧に説明するよう求めています。また、県に対しても事前了解願いが提出されており、国の審査の動向を注視してまいります。

玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。

次に、県立大学について申し上げます。

現在、県立大学のソフト・ハード両面において、着実に準備を進めています。先月、県立大学の核となる学長予定者については、専門家チームのリーダーである立教大学の山口和範教授に決定しました。今後、山口氏を中心に教員組織の在り方や大学の運営体制を検討していきます。ハード面においては、設計を補助するコンストラクション・マネジメントに係る業者が決定しました。今月末には、設計業者も決定する予定です。また、専門家チームとともに、大学における教育の柱となる卒業認定、カリキュラム、入学者の受入という3つのポリシーを中心に現時点でのとりまとめを行いました。令和9年10月の設置認可申請に向けて、更に内容を精査してまいります。

続きまして、提案事項について申し上げます。

気候変動や国際社会の分断、AIの急速な発展など、世界は不確実性を増しています。佐賀県の令和7年度当初予算につきましては、こうした時代背景の中で、佐賀県の中に人材が育成され、イノベーションを起こし佐賀の地から新たな価値がつくられるといった想いの中で、編成いたしました。

令和7年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ 

一般会計     5,130億2,100万円

特別会計    約1,988億7,100万円

となり、一般会計を前年度当初予算と比較すると、約75億円の減、率にして約1.4%の減となっています。減少の主な要因は、新型コロナ対策関連経費が約143億円の減、SAGA2024国スポ・全障スポ開催経費が約105億円の減など、臨時的な経費の減少によるものです。他方、通常経費については、約173億円の増となっており、佐賀の将来を見据えた新たな取組などにより、各分野の施策を更に推進させてまいります。

  財政運営については、税収等の状況変化に応じてローリングを行い検証しています。今回、当初予算の編成に当たっても、財政調整積立金残高や将来負担比率を検証しながら予算編成を行いました。財政調整積立金残高については、令和8年度末の計画額約130億円を確保できる見通しです。また、将来負担比率については、令和6年度と7年度に約140%程度となり、その後、県債残高の減少とともに徐々に改善していく見通しで、安定的な財政運営ができているものと考えています。

財政状況については、今後も外的要因を含め様々な事情により変化することから、常に財政規律に配慮しつつ、佐賀の未来を見据えた県政運営に努めてまいります。

次に、予算案の主な内容について申し上げます。

まず、県内企業の人材確保・定着に向けた取組についてです。

本県では、大学に進学する生徒の8割超が県外に進学し、その多くはそのまま県外で就職しています。人材不足が深刻となる中で、県内企業にとって若者の県内就職の促進と定着は重大な課題となっています。こうした状況や県議会での議論も踏まえつつ検討を重ねた結果、新たな試みとして、奨学金返還支援制度を創設し、従業員の奨学金返還を支援する企業に補助することとしました。あわせて、今議会に制度の創設に必要な条例を提案しています。

県は、これまでも「プロジェクト65+」SAGAやものスゴフェスタなど県内就職促進のための取組を進めてきました。さらに、今回、子ども向けの職業体験テンコンツを提供しているKidZaniaと連携し、新たに小学校高学年から中学生向けに、より現場に近い職場体験プログラムを実施することとしました。

また、本県で暮らす外国人の方は1万人を超え、働いている外国人は8千人、外国人を雇用している県内企業は1千事業所に上っています。新たに、佐賀県国際交流プラザ内に、外国人雇用に係る企業の相談窓口を開設することとしました。隣接するさが多文化共生センターと連携し、ワンストップで支援します。

次に、医療、介護、保育における人材確保・定着に向けた取組について申し上げます。

エッセンシャルワーカーは、人と人とのつながりや思いやりを感じることのできるかけがえのない職業です。各分野においてサービスへの需要が高まる中、現場に応じた人材の確保が必要となっています。

若手医師が佐賀でのキャリアアップを目指せるよう、佐賀大学医学部附属病院で臨床研修を受けながら、海外留学に向けた勉強もできる「SAGA臨床研修グローバルコース」を開講することとしました。また、小中学生を対象に看護や保育の仕事体験に取り組みます。さらに、看護学生を対象に合同就職説明会を開催します。介護人材については、介護支援専門員いわゆるケアマネジャーの資格を取得・更新するための研修受講料の支援に取り組むこととしました。

次に、子育てし大県“さが”プロジェクトについて申し上げます。

少人数学級について、県では、国に一年先行して、今年度、小学校全学年での実施を実現しました。来年度は、国に先駆けて中学校1年生には少人数学級を、中学校2年生には少人数学級とティームティーチングの選択制を導入します。また、新たな取組として「SAGA本恋フェス」を開催します。中高生が本の魅力や面白さを紹介し合ういわゆる「ビブリオバトル」や、佐賀ゆかりの小説家と小説紹介インフルエンサーのトークライブを行います。さらに、若年世代の男女が将来のライフプランを考えて日々の生活や健康に向き合う「プレコンセプションケア」に取り組んでいます。来年度は新たな取組として専門医による相談窓口を設置します。

次に、男女共同参画社会の更なる推進に向けた取組について申し上げます。

育児休業を取得する男性と、男性の育児休業を奨励する事業者を後押しする奨励金制度を創設します。また、女性の健康課題について理解を深める「フェムケアSAGA」を推進します。県内企業の経営者層への生理痛体験研修や、コンサルタント派遣などによりモデル企業の創出に取り組んでまいります。

次に、様々な困難を抱えている人の想いに寄り添う取組について申し上げます。

まず、在宅で重度の医療的ケア児を介護する家族へのレスパイト支援についてです。新たに重度の医療的ケア児を一時的に預かるための病床を確保した医療機関に対して支援することとしました。また、ひきこもり地域支援センターの実践プログラムに、就労体験を設けることとしました。実践的チャレンジの場を設け、社会復帰や自立を後押ししてまいります。さらに、産婦人科の検査機器の購入・更新に対して支援し、生まれて間もない新生児に対する聴覚検査を行うことで、難聴の早期発見・早期療育につなげることとしました。

次に、SSP構想の推進について申し上げます。

SAGA2024を大きな跳躍点として、SSP構想を更に推進するため、「SAGAスポーツピラミッド構想推進条例(案)」を今議会に提案しています。誰もが「する」「観る」「支える」「育てる」「稼ぐ」それぞれのスタイルでスポーツに親しみ、アスリートがスポーツで食べていける社会、スポーツを活かしたビジネスシーンが広がる社会を目指してまいります。

SAGA2024では、全障スポを目指す中でパラスポーツに取り組む人が増え、多くのアスリートが大会に出場しました。また、サガンティアなどにより、多くの方がパラスポーツに関わることで理解も深まりました。こうした機運を今後も活かしていきたいと考えており、来年度は、全国に呼び掛けて県独自のパラスポーツ大会の開催にトライします。開催県以外で全障スポに参加することがなかなか困難であるため、試合への参加機会や選手のモティベーションの維持・向上につなげたいと考えています。あわせて、パラスポーツに関わる方の活動をサポートするコーディネーターを配置します。サガンティアの中には、聴覚に障害のあるアスリートや関係者を手話通訳などで支えた方々がおられます。こうした「情報保障サポーター」の活動継続を支援するため、手話通訳や要約筆記の学習会の開催やスポーツ大会などへの派遣を行うこととしました。全障スポで生まれた機運を大切にし、パラスポーツの仲間を増やしてまいります。

また、サンライズパークの中央管理棟をリノベーションし、身近にスポーツ医科学のサポートを受けられる環境を整備します。そして、スポーツ資源と企業とのマッチングや、県内企業へスポーツビジネスが更に拡がるようスポーツビジネススクールを開講します。

さらに、生徒が主体的に考え、チャレンジする部活動の応援プロジェクト「SSPBаtоns~ボクたちがつくる部活のカタチ~」に取り組むこととしました。部活動の備品の購入について、学校ごとに示される予算額の中で、生徒が中心にその使い道を話し合い決めることで、様々な効果が生まれていくことを期待しております。

次に、佐賀城本丸御殿の「奥」について申し上げます。

全国に現存・復元する本丸御殿において「奥」の存在が明確になっているのは、唯一佐賀城だけです。佐賀城については良好な史料が多く存在していることから復元の可能性が十分にあります。これまで文献等の調査を行ってきましたが、新たに発掘調査に着手し、「奥」の全容解明に取り組むこととしました。あわせて、当時の藩主たちの生活について県民に関心を持っていただけるよう講演会等にも取り組みます。史実を大切にしながら、唯一無二の価値を未来へつないでまいります。

次に、佐賀県の3つの特別史跡について申し上げます。

吉野ヶ里遺跡で発見された石蓋に文様が刻まれた石棺墓については、現在の技術ではどのような人物が埋葬されたかを明らかにすることはできず、後世の研究者に託し、昨年、埋め戻しました。吉野ヶ里遺跡の持つ歴史的価値を後世につないでいくことは我々の使命だと考えています。来年度は、歴史公園内の未調査地いわゆる「謎のエリア」に隣接する地域の発掘調査などに取り組みます。

基肄城跡は、日本最古の山城として歴史的・学術的に極めて貴重な史跡です。引き続き、史跡の価値に触れる機会の創出などに取り組む基山町を応援してまいります。

名護屋城跡並陣跡は、徳川家康や前田利家など、全国から150を超える言わば武将オールスターが集結し、文化が花開いた歴史的な舞台です。この唯一無二のストーリーに焦点を当てた「はじまりの名護屋城。」プロジェクトに取り組んでいます。来年度は、全国のお城ファンが集まる「出張!お城EXPO」を九州で初めて誘致し、名護屋城大茶会とコラボします。

次に、鍋島焼の350周年について申し上げます。

鍋島焼は、鍋島藩官営の御用窯として、伊万里の大川内山で開窯し、今年で350周年を迎えます。この節目を好機と捉え、タイの王室などに献上してきた品々を一堂に集め、連綿と受け継がれてきた高度な技術を発信する展示会を開催します。また、海外のバイヤーを産地に招き、育まれた歴史や伝統、作り手の想いに直接   触れ、鍋島焼が持つ真の価値を知ってもらうことで、海外への販路拡大を図ります。先人たちが長い年月をかけて築き上げてきた鍋島焼を次の50年、100年につないでまいります。

次に、佐賀さいこうフェスについて申し上げます。

佐賀さいこうフェスは、今度で10回目を迎えます。コロナ禍も乗り越え、みんなの想いを紡いで開催してきました。国内外で活躍するアーティストとの交流、タイフェスや、障害者福祉施設によるマルシェとの同時開催など、進化を続けています。佐賀の秋には無くてはならない存在となり、文化芸術の象徴である城内エリアに彩りを与えています。10回目となる今回は、文化芸術と城内エリアが融合する佐賀城本丸のお堀や石垣を活かしたシンボルアートや、博物館を夜間開放するNightMuseumにも取り組みます。

次に、唐津西の浜におけるマリンエリアの創出について申し上げます。

今年度からスタートしたSUP、シーカヤックなどのマリンアクティビティやビーチイベントが、好評を得ています。アクティビティを更に充実させるため、唐津城や虹の松原などの絶景を空から眺める非日常が体験できる「パラセーリング」を導入することとしました。

次に、鳥栖駅東側エリアの活用について申し上げます。

鳥栖は九州のクロスポイントであり、企業の進出が盛んなエリアです。また、SAGA久光スプリングスやサガン鳥栖のホームタウンとして、多くの交流が生まれる街です。鳥栖駅は県内2位の乗降数を持つ、佐賀県の東の玄関口です。駅の東側エリアは、スポーツの試合がある日以外にも大きなポテンシャルを有していると考えています。鳥栖市やプロスポーツチームなどと連携して、鳥栖駅東側エリアにおいて、期間中のシンボルモニュメントの設置をはじめとしたイベントに取り組みます。関係者みんなでこのエリアが持つポテンシャルについて気づき活用するきっかけとしていきたいと考えています。

次に、むしろこれから鹿島・太良プロジェクトについて申し上げます。

一昨年11月のKATAラボの開設以降、常駐する4人のメンバーが地域の皆さんと一緒に、本物の価値と向き合っています。みんなの想いが一つ一つ形となり、新たな価値の創出につながりつつあります。多良駅では、県と太良町が一緒になり取り組んだ多良岳口の利用が昨年12月からスタートし、駅を拠点としたまちづくりが始まっています。来年度は、肥前鹿島駅エリアの整備に着工します。このエリアは、鹿島・太良をゆっくりと、じっくりと楽しむために、最初に訪れる「スローツーリズムのフロント」として機能します。引き続き、この地域ならではの唯一無二の仕掛けづくりに取り組んでまいります。

次に、山を大切にする取組について申し上げます。

山は、そこに暮らす人々だけでなく、すべての人々に恩恵をもたらす源流です。山の未来を語り合う「山の会議(仮)」では、山の素晴らしさを再認識することから始まり、山を大切に想う人々がつながり、自発の地域づくりの輪が広がっています。さらに、地域ならではの自発を積み重ね、未来に向かい「山」を大切にする輪を広げていくため、令和10年度に「山の博覧会(仮称)」を開催したいと考えています。多くの県民の方に、「山」と人が織りなす佐賀ならではの自発の地域づくりを見て感じていただき、世代やエリアを超えた人と人とのつながりが生まれる取組に弾みをつけていきたいと考えています。同じく令和10年度に開催予定の全国都市緑化フェアと連携しながら準備を進めてまいります。

次に、海洋プラスチック問題への取組について申し上げます。

世界的な課題である海洋プラスチック問題の解決を目指す拠点として、世界初の「世界海洋プラスチックプランニングセンター(仮称)」を唐津市波戸岬に整備しています。先月末には「海洋環境国際シンポジウム みんなの海 国際会議 vol.1」を開催しました。国内外の研究者、国際機関など約140名の関係者が参加し、センターへの注目度や期待感を肌で感じました。講演やパネルディスカッションでは、これから10年、100年と続く海洋プラスチック問題解決の聖地にとの期待の声や、国境を越えた専門的知見の共有について協力を惜しまないと(  )心強いエールをいただきました。愛称「PLA PLA」のとおり、誰もが気軽に「ぷらっと」立ち寄ることができ、海洋プラスチック問題を身近に感じ、一人一人の行動変容を促していく拠点としていきたいと考えています。

次に、「SAGA BLUE PROJECT」について申し上げます。 

県では、「7さいめせんのこうつうあんぜん」に取り組んでいます。子どもの目線で通学路を見た場合、これまで気づかなかった危険があったという一人の県職員の実体験から発案されたものです。歩行中の交通事故死傷者数は7歳が突出して多い状況でもあります。新たに子どもの目線に配慮した点検・対策マニュアルを作成することとしました。また、車の速度を抑制するハンプ等の整備に係る市町への支援についても引き続き取り組みます。

人の命は何よりも重いものです。佐賀県は人の命を見つめる県として「SAGA BLUE PROJECT」を更に進め、交通事故で人の命がなくなるということをゼロにしていく、そうした強い想いで努力を積み重ねていきたいと思います。

次に、さが園芸888運動について申し上げます。

これまで、きゅうり、いちごなどの施設園芸において、トレーニングファームや園芸団地の整備を進めてきました。研修から就農までの一貫した人材育成が充実することで、新たな担い手が育っています。この取組を更に加速させていくために、優れた技術を持つ農家がトレーナーとなり研修を行うミニトレーニングファーム2か所と園芸団地3か所を新たに整備することとしました。施設園芸で培われたノウハウを、本県の主力品目であるたまねぎや、みかんなどの露地園芸に波及させていきます。露地野菜を生産する農業法人を核としたトレーニングファームを整備します。また、離農予定の果樹園地で就農希望者を受け入れ、園地として継承していくことを目指し、新たな就農ルートづくりに取り組みます。「磨き、稼ぎ、つながる農業」の実現に向け、さが園芸888運動を推進してまいります。

次に、玄海地区の漁家の経営安定に向けた取組について申し上げます。

気候変動の影響により、近年、魚が多く獲れる場所や獲れる魚の種類が変化するなど、これまでの漁法だけでは経営が厳しい状況にあります。玄海地区において、気候変動に対応する漁業の確立に向けた取組を進めます。イカ釣り漁業においては、遠い漁場でも鮮度を保持できる手法の確立や、イカ以外の魚種との複合経営にも取り組みます。定置網漁業においては、ブリなど多く獲れるようになった魚種に対応した漁具の改良に取り組みます。

次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。

有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁や地盤改良、盛土の工事を進めており、新たにジャンクション部の工事に着手します。有明海沿岸道路の福富鹿島道路では、鹿島側において、具体的なルートなどを、令和7年度中に地元にお示しできるよう取り組んでまいります。大川佐賀道路については、(仮称)川副インターチェンジへの延伸に向けて着々と整備が進められます。また、佐賀唐津道路の多久佐賀道路(1)期は、用地買収が進められています。引き続き、災害に強い広域道路ネットワークの整備を進めてまいります。

伊万里港については、シリコンウェハー大手SUMCOの投資が進んでいる久原地区において、臨港道路の4車線化工事を進めています。改良を終えた楠久津交差点では、朝と夕方の渋滞が大幅に緩和しています。唐津港の東港地区においては、物流機能向上のため、航路泊地の整備が進められており、県においては、より大型のラグジュアリークラスのクルーズ船の誘致を見据えた調査を実施しています。今後も、佐賀の未来を創り、未来を守る社会資本整備を着実に進めてまいります。

  次に、防災・減災対策について申し上げます。

六角川水系については広田川排水機場を整備しており、来月末に運用を開始します。先月には、六角川流域水害対策計画の素案を公表しています。県と連携を図り、国において牛津川遊水地や六角川洪水調整池などの整備が進められます。また、砂防ダムの完成に向けて、唐津市今坂地区の土砂災害対策を引き続き進めてまいります。激甚化・頻発化する自然災害に備え、佐賀県内水対策「プロジェクトIF」をはじめとした防災・減災対策を引き続き進めてまいります。

次に、令和6年度補正予算案の概要について申し上げます。

補正予算の編成に当たりましては、11月補正後の情勢の推移に対応することといたしており、今回提案いたしました令和6年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

一般会計   減額 約134億9,700万円

特別会計        約30億6,800万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計   約5,456億3,800万円

特別会計   約2,166億3,100万円

となっております。

減額補正となっている要因としては、国の補正予算を活用した経済対策及び物価高騰対策で約60億円の増を行う一方、年度末の事業精算などにより約195億円の減となったことによるものです。

次に、経済対策及び物価高騰対策について申し上げます。

まず、中小企業に対する支援についてです。

県では、一昨年10月に「佐賀型賃金UPプロジェクト」を立ち上げ、生産性向上に係る取組を支援することで、企業の賃上げを後押ししてきました。この度、現場の声を踏まえて、「NEXT賃金UPプロジェクト」として支援を拡充することとしました。これまでの取組に加えて、国の助成金への上乗せ補助により、事業者の自己負担軽減に取り組みます。また、“TheSAGA認定酒”をつくる蔵元に対しては、酒米の価格高騰分について支援することとしました。このほか、人材確保のための設備投資や、専門家の伴走支援による価格転嫁を支援します。あわせて、物流事業者に対する物流効率化や人材確保、プレミアム商品券の発行に対しても支援します。生産性向上や持続的な賃上げを実現し、県内経済の好循環へとつなげてまいります。

次に、農林漁業者に対する支援について申し上げます。

農林漁業の現場は、屋外での作業が多く、近くにトイレや脱衣所の確保が難しい場合もあります。女性や障害者、外国人など多様な人材が安心して活躍できるよう、移動式トイレや女性更衣室などの設備投資に支援することとしました。このほか、畜産農家と園芸農家に対して、子牛の生産費用と取引価格の差額や酪農機械の導入、飼料や燃料の価格高騰分について支援します。

次に、医療・福祉・子育てや、生活者支援の現場に対する支援について申し上げます。

国が定める公定価格で運営され、物価高騰の影響が適時に反映されない医療機関や福祉施設、保育所などに支援金を交付します。また、新たに就労継続支援事業所に対して、工賃向上に資する、生産性向上の設備投資に支援することとしました。

また、食材などが高騰する中、子育て支援やフードバンク活動を行うCSOが、安定した運営ができるよう支援金を交付することとしました。あわせて、佐賀県食でつながるネットワーク協議会に対して、食品を一元的に管理する保管用倉庫の整備などへ支援します。

次に、子育て世代の負担軽減の支援について申し上げます。

物価高騰により、学用品や食材の価格が上昇し、家計を圧迫しています。また、保育施設や学校などが提供している給食にも影響を及ぼしています。こうした状況を踏まえ、非課税の低所得世帯を対象に支給している高校生等奨学給付金に県独自で上乗せします。また、私立の保育施設や学校などに対する食材価格の高騰分に対して支援します。

次に、災害支援トイレの整備について申し上げます。

大規模災害では、避難所におけるトイレの確保が課題の一つとなっています。トイレに被災者が集中することで、避難所の衛生環境の悪化につながっています。また、過度に水分補給を控え、脱水症やエコノミー症候群を発症される方もおられます。上下水道が使用できない場合でも使うことができる可搬型トイレコンテナやトイレカーなどを整備します。

予算外議案といたしましては、条例議案として21件、条例外議案として10件となっています。

乙第2号議案「九年庵設置条例(案)」につきましては、九年庵を公の施設に定め使用料を徴収するものです。九年庵の本質的な価値に光を当てた磨き上げを通じて、来園者を増加させ、収益化を図り、将来の世代に九年庵の価値を引き継いでまいります。

乙第18号議案「佐賀県佐賀空港条例の一部を改正する条例(案)」につきましては、航空機が行う離着陸に相当する行為や滑走路等を使用する行為を明確化し、事前届出の対象とするものです。

最後になりますが、今年で私が知事に就任して10年となりました。知事の最大の使命は県民の命を守ることとの強い信念を持ち、常に危機管理と向き合った10年間でした。初当選登庁4日後に発生した鳥インフルエンザを皮切りに、3年間で2度も起こった豪雨災害、未曾有の新型コロナウイルス対応、52年ぶりの豚熱など様々な危機事象が次々と起こりました。危機管理に当たり、私が常に心がけてきたことを改めて申し上げたいと思います。

まずは、オペレーションを大切に刻々と変わる事態の推移に的確に対応していくこと。また、リーダーである知事が現場を知り、危機管理で最も肝要な初動を迅速にするための必要な方針を明確に示すこと。その上で、現場の指揮は現場で取らせることが大切であり、現場で判断できる副知事や部長などを現場指揮者として派遣し、現場の判断を最優先して本部はそれを支援していくことなどが挙げられます。私は、知事に就任する以前、茨城県東海村のJCО臨界事故や有珠山の噴火など様々な危機事象において、国の職員として現場の最前線で対応に当たりました。その経験から、現場を知らない人や組織が指揮権を発動することの危うさが身に染みてわかっています。知事に就任して10年、こうした私の危機管理に対する考え方は、平素から職員に繰り返し共有し、実際の危機事象の際には自らの行動でも示してきました。うまく行かなかったことは修正する、それを繰り返していくことで、今では佐賀県は、格段に向上した現場重視の危機管理対応力を構築できたと感じています。それは佐賀県の誇りであると同時に、これからも引き継ぎ、更なる向上を続けていかなければいけない大切な財産だと考えます。

また、能登半島地震の検証の中で、実動機関を統括・調整する機能が不十分であったという課題が挙げられています。私は、危機管理において指揮を執る県と、実動機関との連携は必要不可欠であるとの認識のもと、知事就任から間もなく、「佐賀県実動機関トップ連絡会議」を立ち上げました。災害時において、警察、消防、自衛隊、海上保安庁、地方気象台が即応できるよう連携体制を常に強化しています。そして、令和3年からは消防防災ヘリコプター「かちどき」を運用しています。これにより初動対応において県自身が自衛隊、警察のヘリなどの航空運用調整を実施することが可能となり、被害状況を早期に把握し、迅速な初動対応につなげることが可能となりました。

現在、国においては、石破総理大臣の強い想いのもと、防災庁の設置に向けた議論が進められています。国には、まずは実際の危機管理の現場がどのようなものであるのかを改めて見つめ直し、現場の手触り感がある議論をしていただくことを期待します。佐賀県もこれまでの経験に基づく知見や提言を提供していきたいと考えています。

危機管理については、常に緊張感を持ち、不断の見直しを行ってまいります。そして、救える命を救うとの強い想いで、県民のためこれからも全身全霊を尽くす所存であります。

以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

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