志村康様の御逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
志村さんとの出会いは、私が初めて菊池恵楓園を訪問した平成28年1月でした。
つらい経験をされてきたにもかかわらず、その後も私が同園を訪れるたびに、ふるさと佐賀への想いをやさしい口調でお話しされるお姿がとても印象的でした。当時、同園内に展示されていた、錆びて使用されていない「希望の鐘」の復元を思い立ったのは、志村さんとの出会いや会話がきっかけでした。数少ない退所者がある時に鳴らされた鐘の音。この鐘の音を蘇らせることで、全ての人にハンセン病の差別と偏見の歴史に思いを馳せ、2度と同じことを繰り返してはならない。そんな考えから、平成29年3月、佐賀県は菊池恵楓園にこの希望の鐘を復元しました。
かつて佐賀県は、ハンセン病の患者を菊池恵楓園に隔離していました。人生は一度なのに、厳しい制限の中で生活を送られた皆さんにいくらお詫びしても尽くせません。本当に申し訳ありませんでした。
すべての人がありのままに生きられる社会をつくっていかなければなりません。人は人を大切にしなければなりません。
ハンセン病患者の方々への差別や偏見との闘いの先頭に立ち、その解消のための啓発活動に力を注いでこられた志村さん。その人生に思いを馳せ、過去を決して風化させず、我々は二度と同じ過ちを繰り返さないという誓いを未来につないでまいります。
親愛なる志村さんの御冥福を心からお祈り申し上げます。