令和8年2月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
説明に入ります前に、2月8日に衆議院議員総選挙が行われました。日本は、喫緊の課題である物価高対策に加えて、国家安全保障、人口減少社会への対応など国の根幹に関わる大切な課題に直面しております。国政においては、予算の成立に向けて、速やかに取り組んでいただきたいと思います。また、食料やエネルギーの供給など様々な形で、この国全体を支える地方を大切にしながら、国政運営に当たっていただきたいと考えます。そして、日本の将来を見据えた、鳥瞰的で骨太な議論が行われていくことを期待しております。なお、今回の佐賀県内の投票率は、58.94%となり、西日本の中で奈良県に次いで2番目に高い数字となりました。
それでは、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
まず、城原川ダム事業についてです。
下流域の住民を洪水から守るために苦渋の決断をされた岩屋、政所、今屋敷地区の皆さんに感謝の気持ちを伝える「城原川ダム 水没地域への感謝のつどい」が、昨年12月に開催されました。昭和46年の予備調査開始から54年というあまりにも長い時間、ダム事業に翻弄され、この間、亡くなられた方も多くおられます。平成27年、私は知事就任後直ぐに、現場を訪れ、地域の皆さんと意見交換を行いました。緊張感がある中においても皆さんに温かく迎えていただいたこと。皆さんの想いをしっかりと受け止めたいと決めたこと。「言葉より私の行動を見てほしい」と伝えたこと。私はその時のことを決して忘れません。正面から真っすぐに地域と向き合い続ける中で、筆舌に尽くしがたい皆さんの想いが少しでも癒されることは何か、常に考えてまいりました。そして、それは治水によって恩恵を受ける一人一人がこの歴史を忘れずに、感謝の気持ちを持ち続けることだと思います。今回のつどいはそのスタートの日です。県において、地域の風景や御家族ごとに刻まれた大切な思い出を映像としてアーカイブ化し、未来に引き継いでいくこととしております。2か所の集団移転先のうち、志波屋地区では造成工事が完了し、住宅の建設が始まっており、平ヶ里地区では今年3月の完成を目指し、造成工事が進められています。用地の先行取得に必要な予算を今議会に提案しております。地域の皆さんの想いに応えるためにも、地域がより安全・安心に暮らせるよう、これからも全力で取り組んでまいります。
次に、国への政策提案について申し上げます。
昨年12月に、小泉防衛大臣と面談を行いました。オスプレイの運用においては、飛行の安全が何よりも大切であること、九州佐賀国際空港の滑走路延長と平行誘導路整備の実現は県と防衛省が一緒になり取り組んでいくことを、私と小泉大臣で確認しました。また、県と有明海漁協の間で、佐賀空港は自衛隊との共用を行わない旨の覚書があった状況から、10年以上にわたり県が漁協と一つ一つ丁寧に協議を積み重ねてきたことが今につながっていることを、小泉大臣に申し上げました。
1月には、佐賀、九州の未来を拓く社会資本整備の着実な推進、安全・安心に暮らせる国土強靭化について、国土交通省の廣瀬技監、3名の局長と意見交換を行いました。有明海沿岸道路整備、城原川ダム事業、佐賀城公園整備など幅広い分野において、県と国土交通省が更に連携し、進めていくことについて建設的な意見交換ができたものと認識しております。
次に、佐賀県が2年ぶりに社会増となった住民基本台帳人口移動報告について申し上げます。
令和7年の佐賀県は、国内の日本人の転出超過が前年比で約600人減少しました。直近15年をみると、平成27年に約2,700人と底を打ち、その後、改善傾向にあり、令和7年には約1,200人となり、この10年間で5割弱に減少しております。昨年7月には佐賀駐屯地も開設され、転入者も増えました。そして、この間、県においては、県民の皆さんと一緒になり、佐賀の価値を磨き上げながら、地域への誇りや愛着の醸成、佐賀の未来を創る社会資本整備、戦略的な企業誘致などを進めてまいりました。こうしたよい流れを未来につないでいけるよう、取り組んでまいります。
続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
まず、玄海原子力発電所についてです。
現在、3号機、4号機とも通常運転中です。また、1号機と2号機は廃止措置中です。現在、放射能に汚染されていない設備の解体・撤去が行われています。次の段階である放射能に汚染された設備の解体・撤去を開始するため、九州電力は廃止措置計画を更新し、今年1月に原子力規制委員会から認可されています。今後、県において、専門家の意見を踏まえて、原子力規制委員会の審査内容を確認していきます。
福島第一原子力発電所事故から間もなく15年になります。この事故を、決して忘れてはならず、風化させてはいけません。玄海原子力発電所3号機と4号機は、福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を踏まえて制定された新規制基準に適合した上で運転が行われています。
こうした中、中部電力が、静岡県にある浜岡原子力発電所の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査において、安全性の確認に当たり非常に重要な地震の揺れの大きさを不正な方法で過小評価していました。日本の原子力発電全体の信頼を根幹から揺るがす極めて重大な問題であり、データを意図的に操作するといった不正行為など言語道断であります。中部電力の事案ではありますが、1月22日に、九州電力の西山社長と面談した際には、改めて、「嘘をつかないこと、風通しのよい組織とすること、あらゆる事態に対応できる体制を構築すること」の3つの約束について申し上げ、何が何でも安全を第一とする認識を持つよう求めました。また、1月27日に開催された佐賀県原子力環境安全連絡協議会においても、九州電力に対して、これからも安全第一で取り組むよう求めました。
玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう取り組んでまいります。
次に、佐賀空港の自衛隊使用について申し上げます。
昨年7月末の佐賀空港での訓練開始以降、防衛省が示した運用計画に基づいた訓練が実施されているものと認識しております。県民はもちろん、部隊など佐賀駐屯地に関わるものにとって、飛行の安全は何よりも大切です。慎重にも慎重を重ねて安全を最優先に運用していただきたいと思います。
また、隊員の皆さんは地域の行事に積極的に参加するなど住民との交流が徐々に増えていると聞いております。駐屯地と地元の間で、未来志向の関係が築かれていくよう、お互いに敬意を持ちながら、信頼を積み重ねていってほしいと思います。
次に、有明海の再生について申し上げます。
ノリ養殖の秋芽網期については、少雨の影響により栄養塩が十分ではない中、トップブランドの「佐賀海苔®有明海一番」が2年ぶりに認定されるなど、上質なノリが生産されました。3年間非常に厳しい状況が続きながらも、漁協、漁業者の皆さんなど関係者が一丸となって、あらゆる手段を講じてきたことが功を奏している面もあるものと受け止めております。現在のところ、秋芽網期が好調な理由は明確になっておらず、その要因について分析を行い、今後に活かしていくよう、担当部局に対して指示を出しております。また、漁船漁業については、再生のシンボルであるタイラギが14季連続休漁となり、これまで比較的獲れていたサルボウも獲れなくなるなど、依然として厳しい状況です。漁場環境の改善に向けた大規模海底耕うん、ノリの安定生産に資する精度の高い海況予測システムの開発などに必要な予算を今議会に提案しております。
宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。これからも、力を合わせて全力で取り組んでまいります。
次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
昨年10月、11月に続き、12月にも国土交通省の水嶋事務次官と意見交換を行いました。県と国土交通省において対話を積み重ねていくことには意義があるものと考えておりますが、財政負担、ルート、在来線などの課題を多面的に考えていく必要がある難しい問題です。引き続き、様々なチャンネルを通して意見交換を行ってまいります。
次に、県立大学について申し上げます。
専門家チームとの精力的な議論を経て、カリキュラムの全体像を固めたところであり、今年4月から教員の公募を順次開始する予定です。また、県立大学における学びの概要や入試において重視するポイント等について、1期生の中心である、今年4月に高校1年生になる世代に向けた周知・広報に係る予算を今議会に提案しています。校舎建設の関連予算については、できるだけ早い時期に議会に提案できるよう、現在、実施設計を進める中で精査をしております。
全国に目を転じますと、一部の私立大学では、定員割れが続き、定員縮小や再編が進んでいます。しかし、全国に101校ある公立大学では定員を超過して学生を集めることができています。地域の実情に応じて学部の増設を進めている公立大学もあります。大学は地方にこそ役割があり、特に公立大学は、地域のニーズを捉え、地域に必要とされる大学であり続けることが大切な価値だと考えます。佐賀県立大学は、令和9年10月の設置認可申請に向けて準備を加速し、地域に愛され、地域とともに成長する大学を目指してまいります。
続きまして、提案事項について申し上げます。
まず、喫緊の課題である物価高騰対策など令和7年度補正予算案の概要から御説明申し上げます。なお、物価高騰対策は、令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算において一体的に取り組むこととしております。
補正予算の編成に当たりましては、11月補正後の情勢の推移に対応することといたしており、今回提案いたしました令和7年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 約68億7,100万円
特別会計 約15億6,700万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約5,628億9,200万円
特別会計 約2,040億1,700万円
となっております。
増額補正となっている主な要因としては、年度末の事業精算を踏まえつつ、重点支援地方交付金による物価高騰対策や国の補正予算を活用した経済対策などを講じることによるものです。物価高騰対策につきましては、その時々の状況などに応じて補正予算を中心に継続的に対応してまいりました。「きめ細やかに網羅的に」、「今を支え、未来を拓く」、「佐賀ならではの支援」の3つの視点に留意し、11月補正予算と今議会に提案している予算を合わせて61事業を編成しております。日頃から聞いている現場の声を念頭に置き、県民の皆さんの物価高による痛みや不安に対応します。また、幅広い分野において、国の支援では対応できない、よりきめ細やかな支援を行います。あわせて、CSOや商工団体等と連携し、佐賀ならではの支援に取り組みます。即効性のある応急的な対策はもちろん、その先に活きる形で支援し、将来を見据えた構造改革・賃上げ・人材確保の創出などにつながるよう、全力で取り組んでまいります。
まず、生活者支援についてです。
賃金水準が物価高に追いついていない状況において、商工団体や業界団体等のプレミアム商品券の発行について、支援することとしました。佐賀県商工会連合会と連携を図り、佐賀県独自の体制を構築することで、商品券を発行する実施主体の事務負担を減らし、県民が生活に身近なところで購入できるよう、取り組みます。また、学用品や旅行費用の高騰等を受け、新たに、今年4月の高校1年生の新生活スタート、高校2年生・3年生の修学旅行等に係る経費について支援することとしました。また、私立の保育施設や学校、県立の特別支援学校などの給食等の食材費について支援します。さらに、0歳から2歳児がいる子育て世帯を対象に子育てし大県“さが”タクシーの利用券を配布し、育児中の家庭を支援します。また、県内で急増するニセ電話詐欺に対して、防犯機能を備えた固定電話機の購入について補助します。
次に、中小企業支援について申し上げます。
県では「NEXT賃金UPプロジェクト」により、生産性向上に係る取組を支援し、企業の賃上げを後押ししてきました。このたび、持続的な賃上げに向けて、賃金UP補助金の拡充を図り、県として過去最大の規模で、生産性向上に係る支援を強化することとしました。また、ものづくり企業の大規模設備投資、物流事業者の業務効率化や人材確保について、引き続き支援します。整備などで物流事業者を支える自動車整備事業者の取組を新たに支援することとしました。また、伊万里・有田焼などの陶磁器に加え、新たに、諸富家具・建具、うれしの茶など伝統産業関連事業者の生産性向上の設備投資・補修や販路拡大等の取組を支援します。あわせて、酒蔵の酒米、陶磁器の生地製造事業者や窯元などの陶土に係る経費について、引き続き支援します。また、個人旅行が増加している状況において、県内宿泊割引クーポンの発行などプロモーションを強化し、県内への誘客を促進していきます。
次に、農林漁業者支援について申し上げます。
幅広く園芸農家や林業・漁業者の燃油代等について支援します。また、園芸農家において、ハウス、省力機械など収益性向上に係る設備投資の支援について拡充します。あわせて、遮光ネットなど気候変動対応の設備投資を支援することとしました。また、畜産農家の暑熱対策、防疫対策の設備投資を新たに支援します。畜産農家の配合飼料については、価格の高止まりの中で、国の制度が発動しないことも受け、引き続き県独自の支援を行います。さらに、林業者等の生産性向上の設備投資について支援を拡充します。
次に、福祉支援について申し上げます。
機動性、柔軟性、幅広いネットワークを有し、行政では行き届かないきめ細やかな支援を行うことで優位性があるCSOと連携体制が構築されていることは佐賀県ならではの強みです。このたび、CSOが行う子育て支援、生活困窮者支援、フードバンク活動等への支援を通じて、物価高で日々の生活において苦労されている方を支えていくこととしました。
人材不足に直面している中、高齢者施設、障害福祉施設において、物価高の影響もあり、負担軽減などに係る設備投資を控えている状況もあります。高齢者施設、障害福祉施設の汚物除去洗浄機などの設備投資について支援することとしました。また、就労継続支援事業所に対して、工賃向上に資する生産性向上の設備投資について支援します。
近年の猛暑もあり、空調施設の消費電力が増加している状況において、私立の保育施設等の省エネ対応に係る空調機器の更新・設置について、国の支援対象外のものも含めて支援することとしました。また、物価高の影響を緩和し、シニア世代の活動の場を支えることを目的に、老人クラブに対して、新たに支援金を給付します。
次に、文化・スポーツ支援について申し上げます。
物価高の中、節約志向の高まりもあり、文化芸術を鑑賞する機会も減少しています。県民が鑑賞を継続できるよう、有料公演等のチケット代を支援することとしました。また、文化芸術団体会員の作品制作等に係る材料購入費について支援します。交通費や宿泊費の高騰などを受け、新たに全国大会等に出場する小中高生アスリートの遠征費について支援します。
次に、経済対策について申し上げます。
農産物の生産・出荷体制の維持・拡大を図ることを目的に、JA等が実施主体となるたまねぎの選果貯蔵施設や、米・麦の乾燥調製貯蔵施設の整備などについて、国の支援に加え、県の上乗せ支援を拡充して補助します。
次に、令和8年度当初予算案の概要について申し上げます。
従来の常識や経験が通用しないスピードで変化する社会情勢の中で、佐賀県の令和8年度当初予算につきましては、県民が活き活きと暮らし、それぞれの希望する形で自然に輝き、佐賀県の活力が大きくなり、地域発の新たな価値が創造されるといった想いの中で編成いたしました。引き続き、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり。」を目指す中で、輝ける教育、輝ける女性、輝けるシニアの3つのポイントを特に意識して、取り組んでいきたいと考えております。現下の状況の中で、この3つのポイントを大切にすることが、佐賀県全体を強く前に進めていくものと私は思います。
令和8年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計 5,470億6,600万円
特別会計 約2,129億 100万円
となり、一般会計を前年度当初予算と比較すると、約340億円の増、率にして約6.6%の増となっています。この主な要因は、教育無償化関係経費や社会保障関係経費の増のほか、佐賀の将来を見据えて、必要と考える投資などを盛り込んだことによるものです。
財政運営については、税収等の状況変化に応じてローリングを行い検証しています。今回、当初予算の編成に当たっても、財政調整積立金残高や将来負担比率を検証しながら予算編成を行いました。財政調整積立金残高については、令和8年度末の計画額約130億円を確保できる見通しです。また、将来負担比率については、令和7年度に約140%程度となり、その後、県債残高の減少とともに徐々に改善していく見通しで、安定的な財政運営ができているものと考えています。
財政状況については、今後も外的要因を含め様々な事情により変化することから、常に財政規律に配慮しつつ、佐賀の将来を見据えた県政運営に努めてまいります。
次に、予算案の主な内容について申し上げます。
まず、輝ける教育推進事業についてです。
明治維新の時代、佐賀の先人たちが日本をリードする役割を果たせたのは、佐賀に卓越した教育システムが存在していたことが大きいと思います。教育委員会などと連携し、改めて、すべての世代に資する教育の姿を創り上げていきたいと考えております。自ら考え、実践できる骨太な人材をより育んでいけるよう、探究学習スーパーバイザーの配置などにより、県立高校の探究学習環境の充実に取り組みます。より実践的・探究的な人材育成など高校改革の推進を目的とした基金の創設について、「佐賀県高等学校等教育改革促進基金条例(案)」を今議会に提案しております。また、不登校や特別支援など多様な教育ニーズ、教育改革など教員を取り巻く環境の変化に対応していくことを目的に、学校改革等に知見を有する外部人材を活用しながら、教員が主体となり、学校現場の意識改革などに取り組みます。あわせて、近年の猛暑や児童・生徒のライフスタイルの変化などを受け、県立学校の体育館への空調機器の導入、トイレの洋式化・乾式化を推進します。また、佐賀県の教育を支える大切な仲間である私立の学校、専修学校への運営支援を強化します。
少人数学級について、佐賀県は、国に先行して、小学校全学年への導入を実現しました。来年度は、国に先駆けて中学校2年生に少人数学級を、中学校3年生には少人数学級とティームティーチングの選択制を導入します。また、公立小学校、特別支援学校小学部における学校給食費の抜本的な負担軽減について、市町の支援などに取り組みます。
佐賀の未来を担う子どもたちを育む、誇りある学びの場が創られていくよう、ソフト・ハードともに幅広い視点から取り組んでまいります。
次に、輝ける女性推進事業について申し上げます。
固定的な性別役割分担意識、アンコンシャス・バイアス、私の言葉でいうところの「もんだ症候群」は、若い女性が地方から都市部へと転出する要因の一つとなっています。もんだ症候群の事例を集め、県民一人一人が、自らの言動を考えるきっかけにもなるよう、周知・広報を行います。
また、今年7月に「WOMAN EXPO」を佐賀県で開催します。東京、大阪、福岡など、大都市以外では初めての開催であり、開催に向けて機運を高めていけるよう、準備を進めていきます。
働く女性同士の交流の場をつくり、働く上での悩みの共有、女性同士のネットワーク構築など、将来のキャリアを考え、自身の可能性に向き合う機会となるよう、取り組みます。さらに、一歩を踏み出し、行動したい女性の起業やキャリアアップへのチャレンジを後押しするプログラムを実施します。ビジネススキルアップ、県内企業のトップ層との交流会などの人脈構築、各種アワードの受賞に向けた伴走支援に取り組みます。女性が活き活きと暮らし、それぞれの目標に向かっていけるフィールドづくりに取り組んでまいります。
次に、輝けるシニア推進事業について申し上げます。
シニア世代が活き活きとしていることは、地域全体、県全体の活力になると考えます。来年度は、これまで在校生が中心となり参加をしていた4つのゆめさが大学の「学校祭」について、ゆめさが大学の学生以外のシニア世代などが広く参加できる形で開催します。多くの人を巻き込みながら、取り組んでいきたいと考えております。ゆめさが大学の卒業生の中には、介護福祉施設の慰問活動や公民館での地域活動を行っている方もおられます。卒業生と慰問活動などを行う方たちをつなぐゆめさがアシストセンターの機能を強化し、卒業生の活動を更に後押ししていくこととしました。また、健康増進などに向けて、県内各地にあるシニア世代が集う「通いの場」において、コミュニティを形成し、SAGATOCOを一人ではなく仲間で楽しみながら利用することを促進します。あわせて、シニア世代を対象とするウォーキングイベントを開催することとしました。さらに、佐賀大学と共同で制作した医師監修の筋力低下などの予防体操を県内に広めていきます。また、シニア世代のセカンドキャリアとして、介護の仕事に関心を持ってもらえるよう、セミナーを開催します。介護の仕事が、元気なシニア世代の活躍の場になることにもつながってほしいと思っております。
次に、産業人材確保プロジェクトについて申し上げます。
人材不足の状況が続く中、県では、「プロジェクト65+」や奨学金返還支援事業など、高校生、大学生の県内就職促進に注力しています。来年度、県内の私立高校へ企業が出向き、説明会を行う「私立高校キャリアキャラバン」に取り組むこととしました。県立高校で行っていた学校単位のきめ細やかなニーズに対応可能な小規模の合同企業説明会を私立学校においても実施します。生徒一人一人が自分に合った県内企業を知る機会を増やし、県内就職へつなげていきたいと考えています。また、佐賀県への移住者の約6割は、20代・30代であり、地域の産業を支える重要な役割を担っております。移住を検討している方の中には働く場所に不安を持つ方、移住後に仕事が合わずに転職される方もおられます。移住前に、企業での入社体験や、伊万里・有田焼の作陶、野菜の収穫など、佐賀県での仕事をリアルに体験してもらうツアー等に取り組むこととしました。県内企業の人材の確保・定着に向けて、引き続き、重層的な取組を推進してまいります。
次に、佐賀型産福連携プロジェクトについて申し上げます。
県では、農業分野と福祉分野の連携を図り、障害のある方が農業の担い手として活躍する「農福連携」に取り組んでいます。昨年11月に、農業経営体と障害福祉施設を丁寧につなぐ支援が高い評価を受け、自治体として初めて、ノウフク・アワードの準グランプリを受賞しました。「農福連携」で培ったノウハウを産業分野に活かし、県内企業の人材の確保などにもつながり、障害のある方の新たな活躍の場を創出する「産福連携」に取り組むこととしました。産業分野と福祉分野の連携を図る専任のコーディネーターを配置し、さがすたいるの観点も取り入れ、企業と障害福祉施設がよい関係で連携が図られるモデルを創出できるよう、取り組んでまいります。
次に、福祉・医療充実支援事業について申し上げます。
こころの不調で悩まれている御本人やその御家族の中には、かかりつけ医に受診や相談ができない深夜帯・休日に、精神症状が現れ、対応に困った経験がある方もおられます。来年度、24時間365日いつでも医療相談ができる体制を構築し、御本人や御家族が少しでも安心して暮らせるよう支援します。また、子どもの入院は、治療の内容によっては数か月、時には一年以上、家族が病室で付き添うことが必要となり、身体的・精神的な負担も伴います。付添いの家族が利用できる休息スペースやシャワー室の設置の施設改修、付添い用の簡易ベッド、電子レンジの設置など、医療機関の取組を支援し、入院中の子どもに付き添う環境を整えます。
ひとり親家庭の医療費助成について、県内20市町が調整され、今年11月から、従来の「償還払い方式」から「現物給付方式」への移行が実現します。事業の安定化の観点から、県は市町が実施している医療費助成の2分の1を支援し、ひとり親家庭の医療機関受診の負担の軽減を図ります。また、日々の生活の悩みなどの相談を通じて、生活困窮や孤立、DVなど困難を抱える女性について早期支援へとつながる専門窓口を、佐賀市に次いで唐津市に設置することとしました。
次に、子育てし大県“さが”プロジェクトについて申し上げます。
県内の保育施設においても、人材の確保・定着が喫緊の課題となっています。県では、保育士・保育所支援センターを設置し、保育に関する情報発信、保育士の就職面接会などを実施しています。来年度は、保育士が保育現場での悩みを相談できる専用窓口を設置します。あわせて、保育施設経営者向けの採用力向上セミナーを行います。また、県内の中高生とその保護者を対象とした保育士養成校や保育施設の見学ツアーを開催します。
県内のいじめの認知件数が増加傾向にある中、自分の言動がいじめになっているという認識がないまま、結果的にいじめとして認知されるケースもあります。いじめについて、アスリートなど著名人の声を集めた啓発動画を制作し、SNSや学校現場で活用します。いじめが起こらない環境の醸成にも取り組んでまいります。
次に、司書県さが推進事業について申し上げます。
子どもから大人まで、本を通して様々な可能性を広げることができる図書館は「知の拠点」であり、人と本をつなぐ司書は、人生のナビゲーターとも言える尊い存在です。県ではこれまで司書のつどいや、司書の処遇改善などに取り組んでおります。来年度は、佐賀女子短期大学と連携した司書のスキルアップ支援、司書に光を当てた情報発信に取り組みます。令和11年度に、114年ぶりに佐賀県で開催する「全国図書館大会」において、市町などと連携を図りながら進めてきた読書環境推進や司書の活動支援の取組を全国に発信できるよう、準備を進めていきます。これらの取組を戦略的に推進し、司書が活躍し、県民の学びを支える佐賀県にしたいと考えております。
次に、SSP構想の推進について申し上げます。
SSP構想を求心力に、全国から佐賀県に高校生アスリートが集まっており、アスリート寮への入寮希望者、特に女子の希望者が多く、足りていない状況です。新たに、佐賀市内の県有財産である旧高木瀬教職員宿舎を活用し、女子専用のアスリート寮を整備することとしました。入居する団体のニーズに柔軟に対応できるよう、各フロアに食堂などを設置する形で整備していきたいと考えています。また、ジュニア期において、複数のスポーツ種目を経験するマルチスポーツの推進に取り組みます。新たな可能性の発見など多角的な視点から、佐賀の子どもたちの可能性を大きく伸ばしていきたいと考えております。
今年度から、全国に呼び掛けて、「SAGAパラスポ」を開催し、遠くは千葉県や富山県のアスリートが参加されています。パラスポーツは目標となる大会が少ない中、参加者から大会開催への喜びの声や高い評価をいただいております。来年度は、今年度開催したボッチャなど6競技にソフトボールを追加し、合計7競技で開催することとしました。
次に、佐賀の文化創造拠点ARITAプロジェクトについて申し上げます。
有田は、400年以上、紡がれてきた歴史と名工の技の物語を感じることができる本物が息づく町です。今、世界では本物が渇望されており、有田には、世界の人々の心を惹きつける大きな可能性があると考えます。プロジェクト2年目となる来年度は、欧米を中心としたインバウンド旅行者をメインターゲットとした高付加価値な文化体験の創出などに取り組みます。また、九州陶磁文化館において、陶磁器文化の素晴らしさや価値を体感できる展示空間づくりや、有田の街なかや周辺地域に来訪者を誘導するコンシェルジュ機能の強化など文化観光ハブ拠点化を進めていきます。世界の人々が訪れる文化創造拠点を目指し、町全体が有田の本質的な価値を感じることができる生きたミュージアムになるよう、取り組んでまいります。
次に、さが伝統産業交流促進事業について申し上げます。
佐賀県の伝統産業には、様々な経営課題に直面している中でも、若き後継者をはじめ、産地の未来を担う人材が多くおられます。若き担い手が中心となり、伝統産業を「見る・触れる・体験する」イベントを開催します。“体験”をキーワードとした、作り手の技を見学・体験するオープンファクトリーや、“交流”を通じて、作り手の価値観やものづくりへの想い、生き方に触れられるクロストークを実現します。
次に、新たな埋蔵文化財収蔵施設「魅せる収蔵庫」整備検討事業について申し上げます。
吉野ヶ里遺跡など県内各地の遺跡から発掘した出土品は、10キロサイズのコンテナに換算して約5万箱と膨大です。現在、吉野ヶ里遺跡を含む複数の収蔵施設に分散して保管しており、学術的価値が高いにもかかわらず、いわば眠った状態です。各収蔵施設は老朽化が著しく容量も限界であり、新たな収蔵施設の整備は喫緊の課題となっています。このたび、出土品の新たな収蔵施設の整備を進めていくこととし、今年3月には、高度な専門知識や収蔵展示のノウハウを持つ東京大学総合研究博物館と連携協定を締結する予定です。圧倒的な量の本物の出土品を収蔵したままの状態で展示し、来場者を魅了する「魅せる」収蔵庫をコンセプトにし、収蔵庫そのものが輝く形で整備していきたいと考えております。
次に、佐賀復権推進事業について申し上げます。
県では、これまで肥前さが幕末維新博覧会、大隈重信100年アカデミアなど、佐賀が比類なき存在感を発揮した幕末・維新期の偉業に光を当てた取組を行ってきました。昨年、「江藤新平復権宣言」を行った2月1日を、日本記念日協会に「江藤新平復権宣言の日」として申請し、このたび、今年2月1日に登録されました。今年は江藤が創設した弁護士の前身である「代言人」が免許制となって150年となる節目の年です。佐賀県弁護士会と協力し、江藤が裁かれた裁判の問題と考える点を現代の視点から検証する「模擬裁判」を開催します。あわせて、佐賀戦争当時の佐賀県を取り巻く状況などについて、深掘り研究を更に進めていきます。佐賀復権に向けて、機運醸成の取組や学術的研究などを加速させてまいります。
次に、鍋島焼献上の歩み展inタイ開催事業について申し上げます。
昨年、鍋島焼が伊万里の大川内山で開窯して350周年であったことを受け、大阪・関西万博会場において、国内外へ献上してきた瓶子を一堂に集めた展示会を開催しました。鍋島焼の価値は海外においても輝きを放つものと考え、佐賀県と文化交流を開始して10年目、日本と修好140周年となるタイ王国において、令和9年2月に展示会を開催することとしました。鍋島焼以外の伝統工芸品の展示も行い、佐賀県の伝統工芸品の販路拡大にもつなげていきたいと考えております。
次に、むしろこれから鹿島・太良プロジェクトについて申し上げます。
志の輪を広げる仲間づくり、多良駅のリニューアルオープン、肥前鹿島駅新駅舎の運営準備に係る基本協定の締結など、令和5年のKATAラボの開設以降、地域の皆さん、市町、県などが積み重ねてきたハード・ソフトの取組が一つの形になってきております。来年度は、肥前鹿島駅新駅舎の建築工事に着手します。「nоn‐statiоn」打ち出すべきは「Relаtiоn」をキーワードに、沿線えきやどを起点に様々なところに宿泊する面的なホテルという新たな概念で、単なる駅ではなく、スローツーリズムの拠点になるよう、取り組んでまいります。
次に、山の博覧会・全国都市緑化フェア開催準備事業について申し上げます。
令和10年の春から秋にかけて開催する山の博覧会について、その認知や開催機運の向上に向けて、シンポジウムの開催、SNSを利用した広報などに取り組みます。令和2年から取り組む「山の会議(仮)」は、「自発」をコンセプトに開催しています。山の営みをはじめとした自発の地域づくりを県内外に発信する場となる「山の博覧会」についても、県全体をフィールドとして、地域の皆さんがやってみたいと思うことを、自然に手を挙げてもらう方式、いわば自由な「ソフト事業の集合体」となる形で開催したいと考えております。地域の皆さん、市町、県などで力を合わせて創り上げていくプロセスを大切にしながら準備を進めてまいります。あわせて、令和10年3月25日から5月28日には、吉野ヶ里歴史公園、森林公園、佐賀城公園をメイン会場として、「第44回全国都市緑化フェアfromSAGA」を開催します。次代を担う子どもたちが山と緑を楽しみながら、現下の環境問題について考えるきっかけともなるよう、準備を進めてまいります。
次に、ツール・ド・九州2026開催事業について申し上げます。
非日常体験型マリンアクティビティ「パラセーリング」の運航開始、世界海洋プラスチックプランニングセンター「プラプラ」のオープンなど、今年、唐津から世界を見据えた新たな挑戦を始めます。こうした中、10月10日には、国際自転車ロードレース「ツール・ド・九州」を開催します。現在、肥前名護屋城やプラプラの波戸岬周辺からスタートし、ジャック・マイヨールが愛した海を臨む「ルート・グランブルー」、唐津のシンボル「唐津城」、「虹の松原」などを一気に堪能でき福岡へと抜ける唯一無二のルートで準備を進めております。
次に、コスメ国際カンファレンスinSAGA開催事業について申し上げます。
2013年にコスメティック構想を掲げ、美と健康に関するコスメティック産業クラスターの形成に取り組んでおります。県内の化粧品生産金額は約10年で2倍以上となり、17社の企業誘致が進むなど、多くの成果が生まれています。今年4月には佐賀大学に国公立大学初のコスメティックサイエンス学環が開設予定であり、全国から注目を集めています。こうした好循環の拡大に向けて、令和9年3月に国際カンファレンスを開催することとしました。世界のコスメティック産業クラスターは、国家プロジェクトが主流となっています。その中で、佐賀県は、1つの県として人のエネルギーを核にし、自然環境、素材などを組み合わせながら、地域からコスメティック産業クラスターを形成してきました。そうした価値を、様々な国とも連携しつつ国内外と共有できるよう、準備を進めてまいります。
次に、さが園芸888運動について申し上げます。
最近、活き活きとした若き農業の担い手が少しずつ増えているように感じています。引き続き、次代を担う方たちが希望を持てるよう、「磨き、稼ぎ、つながる農業」の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。来年度は、きゅうりなどの施設園芸において、トレーニングファームや園芸団地の整備を通じて、研修から就農に至るまでの一貫した担い手を確保してきたノウハウを、本県の主力品目であるたまねぎなど露地園芸にも活用していきます。農地の集約を担う専門チームを立ち上げ、地権者の協力を得ながら、農地の大区画化を進めます。また、農業者の高齢化や減少が進む中、将来の担い手がいない農地が増えています。農業に関心のある企業に佐賀農業の価値を発信し、新たに初期投資を支援し、参入の後押しを行うこととしました。また、露地みかん、いちごなどにおいて、近年、生産に大きな影響を与えている気候変動に適応した栽培技術への転換を進めていきます。さらに、第80回の節目となる全国お茶まつり佐賀大会を契機に、うれしの茶の需要拡大に取り組みます。
次に、玄海地区漁家経営安定支援事業について申し上げます。
気候変動の影響により、藻場から海藻がなくなる磯焼け箇所が増加し、アカウニなどの磯根資源が減少しています。藻場の回復に向けたガンガゼの駆除、アカウニ種苗の放流に取り組みます。漁期が短くなっているイカ釣り漁業では、はえ縄漁業等との複合経営の検証に取り組みます。
次に、社会資本整備について申し上げます。
有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、国と連携し、ジャンクション部の橋梁や地盤改良、盛土などの工事を進めます。福富鹿島道路では、鹿島側において、用地買収を進めてまいります。大川佐賀道路については、(仮称)川副インターチェンジの令和8年度中の開通に向けて準備が進められます。
伊万里港においては、シリコンウェハー大手SUMCOの投資が進む久原地区で、改良を終えた楠久津交差点に続き、橋梁の4車線化に係る拡幅等に取り組みます。唐津港の東港地区においては、物流機能向上に向けて、航路泊地の整備が進められています。昨年11月に、東港において過去最大となる三井オーシャンフジの寄港が実現しました。引き続き、クルーズ船の誘致に取り組みます。今後も、佐賀の未来を創り、未来を守る社会資本整備を着実に進めてまいります。
次に、防災・減災対策について申し上げます。
六角川水系において、甘久川の河川整備に着手しております。牛津川遊水地、六角川洪水調整池の整備について、国と連携して取り組みます。唐津市今坂地区の砂防ダムは今年3月に完成する見込みです。引き続き、ダム下流の水路などの完成に向けて工事を進めます。今後も激甚化、頻発化する豪雨災害に備え、被害ができる限り軽減されるよう、佐賀県内水対策「プロジェクトIF」をはじめとした、先手先手の防災・減災対策に取り組んでまいります。
予算外議案といたしましては、条例議案として22件、条例外議案として15件となっています。
乙第6号議案「地域経済牽引事業の促進区域における県税の課税免除に関する条例(案)」につきましては、地域未来投資促進法に基づき県が承認した事業計画の県内投資について課税免除を行うものです。従来の「佐賀県企業立地の促進に関する条例」においては、県内12市町への投資が免除対象でしたが、このたび、投資対象を県内全域とし、さらに県内企業も支援を受けやすくすることとしました。また、立地補助金との併用を可能とします。より戦略的な企業誘致、県内企業の投資促進について積極的に取り組んでまいります。
乙第13号議案「佐賀県産業廃棄物等の適正な処理に関する条例(案)」につきましては、廃棄物処分場の設置に係る手続を明確化し、あわせて監視の強化を行うものです。
乙第20号議案「佐賀県豊かな山を未来へつなぐ条例(案)」につきましては、日本の安全保障の観点からも重要な水源地を含む山の土地取引に関して事前届出を義務付けるものです。取引について事前に覚知し、適切な森林管理、土地利用を図り、佐賀県の大切な山を守り、未来につないでまいります。
最後になりますが、今年は、米国によるベネズエラへの軍事介入から始まりました。近年の国際情勢をみますと、ロシアによるウクライナ侵攻、中国による現状変更の試みなど、力の誇示や行使が続いています。米国は、地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定から離脱し、数十にのぼる国際組織からの脱退も表明しました。大国が自国第一主義の行動を強める中、国内においても、短期的視点を重視した議論や自己中心的な傾向が徐々に広がり、人々の寛容な心や中庸の精神が失われつつあるように感じ危惧しております。戦後80年、これまで築き上げてきたルールに基づく国際秩序、社会環境が揺らぐ大変革期だからこそ、平和、環境、寛容性などの揺るぎない普遍的価値を希求し、国家間のルールづくり等をただ待つのではなく、地域発、佐賀県発でできることを模索しながら、行動していくことが大切だと考えます。
プラプラは、地域発で地球規模の課題である海洋プラスチック問題の解決を目指す世界で初めての拠点です。世界を見据えたチャレンジを行う佐賀県の想いが共鳴を呼び、タイ、インド、フィンランド、オランダ、韓国などの政府関係者や研究者等、仲間の輪が広がっております。佐賀、唐津の岬から、海洋プラスチック問題解決への道筋を描いていけるよう、取り組んでまいります。
世界各地で異常気象が常態化している中、私は、子や孫の世代に今の地球は胸を張って引き継げるものとは言えないと感じると同時に、将来世代の世界を憂慮しております。佐賀県は、平成29年7月の九州北部豪雨を契機に、森・川・海はひとつとして豊かな自然環境を未来につなげる「森川海人っプロジェクト」を推進し、今議会には、水源地を含む山を守ることに関する条例を提案しております。昨秋の九州地方知事会議において、筑後川流域などを守る重要性から、私から直接、福岡県、熊本県、大分県、長崎県の知事に同様の条例制定を呼びかけ、現在、熊本県が制定に向けて取り組むなど、九州北部が連帯した枠組みづくりが一歩ずつ進んでいます。
昨年の戦後80年佐賀県戦没者追悼式では、次代を担う中高生が、高齢化が進む御遺族にインタビューを行いました。今しか残せないかけがえのない「生の声」をアーカイブ化し、若い世代がこの声を様々な機会を通じて自発的に発信していきます。そうした積み重ねにより、御遺族の平和を願う切なる想いを、次の世代、さらに先の世代へと紡いでいってほしいと思っております。
1月に開催されたダボス会議において、カナダのカーニー首相は、ルールに基づく国際秩序が薄れ、大国間の競争の時代に生きる現実を前に、「普遍的価値への揺るぎないコミットメント」が重要とし、次のように説きました。
「中堅国は決して無力ではありません。人権の尊重、持続可能な開発、連帯、主権、そして国家の領土的一体性といった私たちの価値を体現する、新たな秩序を築く力を持っています。」
不確実性の時代にこそ、未来を切り拓く鍵の一つは普遍的価値だと信じております。そして、この佐賀には、地域に根付いた伝統や文化があります。豊かな自然を身近に体感できる環境は唯一無二の財産です。この美しく多彩な営みがある佐賀を未来の子どもたちにつないでいくことは今を生きる我々の使命であります。そうした強い想いを胸に、県民の皆さんと力を合わせて、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり。」に向けて、全力を尽くしていく所存であります。
以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。