このたび、第68回全国公立小・中学校女性校長会全国研究協議大会ならびに第51回九州地区公立学校等女性管理職研究協議会が、佐賀県において開催されますことをお喜び申し上げますとともに、全国各地からお越しいただきました皆様を心から歓迎いたします。
また、関係者の皆様におかれましては、長きにわたり、生徒一人ひとりに寄り添いながら、地域と学校の架け橋として教育の充実と発展に貢献してこられましたことに、深く敬意と感謝の意を表します。
今年は明治維新から150年という節目の年にあたります。
激動の幕末期、稀代の名君と謳われた佐賀藩第10代藩主・鍋島直正は、ふるさとの未来は人にこそあると考え、人づくりに力を注ぎました。そして、藩校・弘道館では、生徒自身が考え学ぶことを尊重し、藩主自ら生徒たちとの活発な議論を交わしました。
直正のそうした人づくりへの真摯な思いと行動は、学制制定に尽力した江藤新平や初代文部卿となった大木喬任、早稲田大学を創設した大隈重信など、明治という時代のリーダー誕生にもつながったのです。
その一人、大隈重信の言葉に次のようなものがあります。
「社会の源は人である。人の源は教育である。」
明治政府によって教育制度が次々と整備されていく一方で、人材が画一化されることに危機感を抱いた大隈は、人づくりこそ国づくりであると考え、多様性と個性を尊重した教育を志します。
さらに、社会の進歩や文化の向上のためには男女が平等で共に活躍する社会でなければならないとし、早稲田大学の女子学生への門戸開放を目指し、また、日本女子大学設立の旗振り役ともなりました。
時代を超えた発想と揺るぎない信念の根底には、人づくりに情熱を注いだ藩主・直正のリーダーの背中、鎖国の時代から世界を見据え議論した同朋たちの姿、そして、子どもたちを愛してやまない母の存在があったといえるでしょう。
佐賀県には、志をもって脈々と引き継がれてきた人づくりの歴史があり、人を大切にする風土があります。
この歴史と風土は私たちの誇りであり、私は、そうしたふるさとの素晴らしさを子どもたちにしっかり伝えていきたいと考えています。
佐賀の子どもたちは、今、ふるさとの学習を通して、見慣れた風景のなかにも先人の思いがあること、その志や行動が今につながり、世界にもつながっているのだということに気づきはじめています。
そしてその気づきこそが、子どもたちにとって、未来に向かっていこうとする力となっていることでしょう。
地域への誇りを持ちながら世界を広く見据える、両方の視点を持った子どもたちを、現場で指導されている先生方と共に、これからも育てていきたいと思います。
現在、佐賀県では、ふるさとの偉業や偉人を顕彰し、先人の志を今に活かし、未来につなぐことを目的として、「肥前さが幕末維新博覧会」を開催しています。
本大会が皆様にとりまして、佐賀の人づくりの歴史を感じていただくとともに、佐賀の文化、自然、食を堪能していただく機会ともなれば幸いに存じます。
最後になりましたが、本大会の御成功と、関係の皆様の今後益々の御活躍を心から祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。