「心を込めないと本当の意味で、きれいにできない」
これは、世界一清潔な空港と評価されている羽田空港で、清掃のスペシャリストとして勤務されている新津春子(にいつはるこ)さんの言葉です。
“清掃”と聞くと、目に見える汚れをきれいにすることと思いがちですが、新津さんは見えない場所まで徹底的に掃除をします。時には、トイレに設置してある手の乾燥機を分解して中まで掃除するそうです。清掃のプロである以上、当然のことだと話されるその姿は、まさに“職人”そのものです。
私たちは、「きれい」であることは心地よいと感じます。きれいに磨かれたトイレや階段の手すりを見ると、利用する人に気持ちよく過ごしてもらいたいという清掃員の方々の思いが伝わってきます。
新津さんは、全国ビルクリーニング技能競技会で優勝できたのは、「相手を思いやること」の大切さに気付いたからだと話されています。自信を持って臨んだ予選会で二位となり、落ち込んでいたところ、上司から心に余裕がないといい清掃はできないと言われ、はっとしたそうです。
使う人の気持ちになって何ができるかを考えるからこそ、知識や技術を磨き、心地よいと感じられる空間をつくることができるのではないでしょうか。
ビルクリーニング技能士の皆様は、多くの人々が利用するビルの安全で衛生的な環境を守るため、日々ご尽力いただいています。近年は、建築物の大規模化や用途の複合化が進み、その特性に応じた維持管理が必要とされており、高度かつ専門的な知識と技術の向上が求められているところです。
本日開催される第15回九州地区ビルクリーニング技能競技大会では、九州各県を代表して出場されている技能士の皆様が、日頃の研鑽の成果を存分に発揮されることを期待するとともに、心を込めた清掃技能の披露を通じて、さらなる技術の向上と“職人”同士の交流を深められることを願っています。
最後になりましたが、大会関係者の皆様の今後ますますのご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。