一般社団法人鹿島青年会議所の創立60周年、誠におめでとうございます。
今年は、明治維新150年の節目の年。
幕末維新期を生きた鹿島最後の藩主・鍋島直彬(なおよし)は、故郷の発展に尽くした名君として、今なお語り継がれています。文武を備えた人材育成が急務であると考えていた直彬は、藩校改革をはじめとする「人づくり」に取り組み、明治期に入ると、旧藩校の伝統を継ぐ学校(現在の県立鹿島高等学校)の開校に尽力しました。また、視察のために渡ったアメリカでは、新しい国づくりに役立てるため、政治制度などを精力的に学ぶとともに、学校制度に関する資料を持ち帰ったといいます。
直彬の人づくりへの思いは、「青年団の父」と呼ばれる鹿島の偉人・田澤義鋪(よしはる)にも引き継がれているように思います。大きく社会が変化した明治期を過ごした田澤は、教育的に恵まれなかった農村で働く青年たちに、社会へ参加することの意義や勉強の重要性を説き、彼らに将来の希望を与えました。そこには、若い力に新しい時代を担ってほしいという切なる願いがあったのではないでしょうか。
青年教育に尽くした田澤は、次のような言葉を残しています。
「平凡道を非凡に歩め」
普通のことを普通にやるだけでは進歩はない。普通のことでも熱心に、人並み以上に取り組むことの大切さを教えています。
鹿島青年会議所の皆様は、政治への参画意識を向上させるためのプログラムや、小学生の自主性や創造性を育むための宿泊体験学習など、様々な人づくりに取り組まれています。こうした地道な取組によって、地域の結びつきはさらに強まり、まちに新たな魅力が生まれることでしょう。
これからも、先人の思いを受け継ぐとともに、「非凡に歩む」仲間と手を携えながら、時代を切り拓いていかれることを願っています。
結びに、鹿島青年会議所の今後ますますのご発展と、会員の皆様のご活躍、ご健勝をお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。