近年、海外でも高い関心を集めている日本文化は、異国の文化から大きな影響を受けて発展しました。茶道もまた、中国から伝わった茶の楽しみ方が日本人の精神と結びつき、独自の文化として発展してきたものです。
「文化は決して教えられるべきものではなく、探求され、学ばるるべきもの」
十四代家元・淡々斎宗匠のこの言葉は、伝統を守りながらも新たな価値を生み出し、進化を続けることの大切さに気付かせてくれます。他に先んじて海外で茶道の普及に取り組まれたことも、異文化交流による価値の創出を求めておられたからではないでしょうか。
今年、明治維新百五十年の節目を迎え、本県では『肥前さが幕末維新博覧会』を開催しています。当時、西洋の学問や技術を取り入れ、人材育成に努めていた佐賀の先人は、西欧列強の脅威が迫る中、未来を見据え、変わらなければならないという強い思いを持っていました。後に日本の近代化をけん引することとなったのは、そうした「志」が大きな力となったのだと思います。
貴支部の皆様は、日々研鑽に励みながら、学校茶道にも熱心に取り組まれるなど、日本文化の継承にご尽力いただいています。
長きにわたり茶の心を受け継いでこられた皆様には、日本を訪れる外国人観光客が増えている今こそ、様々な「一期一会」の機会を通じて新たな風を呼び込み、これからも茶道の未来を支えていかれることを願っています。
一般社団法人茶道裏千家淡交会佐賀支部創立七十五周年、佐賀青年部創立五十周年、誠におめでとうございます。