あなたにとって心安らぐ場所はありますか。今、孤独を抱える大人や子どもたちの居場所づくりが求められています。
元法務省沖縄少年院法務教官で、日本こどもみらい支援機構代表を務める武藤杜夫さんは、現在沖縄において、様々な問題を抱える青少年と交流し、再出発を支援しています。
武藤さんが昨年11月、神埼市において「なぜ、少年院で人生が変わるのか?」というテーマで講演された際、次のようなことを言われました。
「大人も子どもも「孤独(こどく)」という「毒(どく)」が回ると死んでしまう。大人が変われば子どもが変わる。世の中からひとりぼっちをなくしましょう。」
私は、武藤さんのこの言葉から、以前読んだ、少年院に入っていた若者たちの手記を思い出しました。
ただ孤独でひどく寂しくなり、不安になる。居場所がほしいーーそれは、頼る術のない若者たちのもどかしい叫びのようなものでした。
みなさんの周りに、ひとりぼっちの人はいないでしょうか。助けを待っている人はいないでしょうか。
人は誰しも、どんなに頑張っても努力しても、自分ひとりの力だけではどうすることもできないことがあります。そんなとき、支えてくれるのは、家族や友人、地域の方、学校や職場の方など、自分以外のだれかです。
一人ひとりの「いのち」を大切に思う気持ち、あたたかい言葉をかける勇気が、人を孤独という毒から救い、新たな一歩を踏み出すきっかけにつながっていくのだと思います。
今年も「社会を明るくする運動」の強調月間が始まります。
この運動にあたり、保護司をはじめ、多くの方々が更生保護に取り組まれていることに対し、心から感謝申し上げます。
一人では変えられないことも、多くの人の気持ちが集まれば変えることができます。皆様の活動によって、新たな一歩を踏み出そうとする人々をあたたかく見守り支える地域社会がつくられています。
県民のみなさん、勇気を出して、心に痛みを抱えた人たちに手を差し伸べ、誰もが心地よい居場所を持つことができる地域を一緒につくっていきましょう。
一人ひとりのかけがえのない「いのち」という宝物が、それぞれの場所で、精一杯輝けるように。