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令和元年9月 佐賀県職業能力開発協会創立40周年記念誌への寄稿『百年先を描く』

最終更新日:

 佐賀県職業能力開発協会が創立40周年を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。
 貴協会が昭和54年の創立以来、県民の職業能力の開発と向上に多大な貢献をされてこられたことに対し、敬意を表しますとともに心から感謝申し上げます。

 「夢中の想像にあらざるべし」
 佐賀藩出身で日本電気工学の父と称された志田林三郎は、明治21年電気学会発足式の演説で、決して実現は夢ではないとの言葉とともに、テレビ、光通信、電気自動車、センサー技術など、100年後の社会を見事に予測したと言われています。
 官僚であり研究者でもあった志田は、学術と実業とを結び、日本の電気科学と電気事業を発展させるために、時期尚早と言われながらも、未来を見据えて電気学会を設立しました。庶民の出である彼が先見性や独創性を持ち、様々な功績をあげることができたのは、才能ある者に身分に関係なく勉学の機会を与えた佐賀藩の教育方針の賜物ともいえます。100年先を見通した人づくりが、100年先を見通せる人材を育てたのです。

 そして、ものづくりにかける人々の情熱は、現代の佐賀においてもしっかりと受け継がれています。
 貴協会は、長きにわたり、研修や訓練による人材の育成、検定試験や技能競技会等による技能者の能力向上など、ものづくりを支えてこられました。
 佐賀に、世界に誇る高度な技を持つ技能者が多く、ものづくりの企業が充実しているのは、こうした貴協会のご尽力があったからこそだと思います。

 技術革新や消費者ニーズの多様化が進む中、ものづくり人材育成への期待は大きくなっています。
 一方で、高度な技能者や企業が多いにもかかわらず、県内工業系高校生の6割が県外に就職しているという課題もあります。
 そのため県では、「ものすごフェスタ」等のイベントを通してものづくりに触れるきっかけをつくり、表彰制度等を通して現場で活躍が期待されている方々を広く紹介し、若い世代への周知を図っているところです。そして、ものづくりに従事できる環境をしっかり整えていくことで、同じ道を志す若者を増やし、県内でのものづくりがより盛んになるよう、これからも力を尽くしてまいります。

 ものづくりは人づくりです。佐賀のものづくりへの志を未来に残すため、100年先を見据えた人づくりを、若者が夢をもってものづくりを生涯の仕事として志すことができる社会を、ともに描き、実現していきましょう。





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