このたび、更生保護制度70周年を迎え、記念誌「更生保護佐賀」が発刊されますことを、心よりお慶び申し上げます。
保護司の皆様をはじめ関係者の皆様方におかれましては、日頃から、犯罪の予防活動や更生保護の取り組みに力を尽くされていることに対し、深く敬意と感謝の意を表します。
「大慈悲を起し人の為になるべき事」
これは、江戸時代に佐賀の地で記され、300年の時を経て今に伝わる『葉隠』の一節です。
人を思いやり、社会のため、人のためになることを行う。また、数多くの人たちをそのように育てていくことが大切であると説かれています。
この、社会や人のために力を尽くすという志は、70年という長きにわたる皆様の活動においても受け継がれていることを、とても心強く思います。
罪を犯してしまった人が社会に復帰するには、周りの理解と援助が必要です。しかしながら、こうした方々をしっかりと支えていくには、専門的な見地や豊富な経験に加えて並々ならぬ熱意が必要とされています。そのような意味でも、犯罪予防と更生保護のために、日夜、社会奉仕の精神と温かさを持って活躍されている保護司の方々をはじめ、更生保護事業に関わる方々の御尽力が何より重要です。
皆様の力で、社会に復帰された方々がたくさんいます。そうして立ち直った方々が自分のやりたいことを見つけ、誰かのためにという志をもって社会で暮らしていく。そんな環境を社会全体で充実させていくことが求められます。
佐賀県では、平成21年から、「佐賀県地域生活定着支援センター」を開設し、出所した方々の社会復帰を促したり、福祉的サービスを受けるための支援を行っています。
また、今年4月には、佐賀県再犯防止推進計画を策定し、「一人ひとりに寄り添い、支え合い、分かりあう共生のまち“さが”の実現」を基本理念に、立ち直ろうとする人が円滑に社会復帰できるよう支援し、誰一人犯罪に巻き込まれることのない安全・安心な県づくりを目指し、佐賀県として力を尽くしてまいります。
誰もが安心して暮らせる社会とは、社会全体で助け合ってこそ、成り立つものではないかと思います。
今後とも犯罪や非行のない明るく住みよい地域社会づくりのため、助けを必要としている方々に寄り添いながら、よりよい佐賀づくりに向けて、一層お力添えをいただきますようお願い申し上げます。
結びに、更生保護に携わる皆様の更なる御健勝と御活躍を祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉といたします。