認定特定非営利活動法人被害者支援ネットワーク佐賀VOISSが、創立20周年を迎えられましたことを、心からお祝い申し上げます。
貴法人は、被害者支援の市民団体の草分けとして、平成12年の創立以来、被害を受けられた方に寄り添った、きめ細やかな支援を続けてこられました。これまでの皆様の御尽力に対し、深く敬意と感謝の意を表します。
今年11月に開催した「犯罪被害者支援フォーラム」で、『まおちゃんの新しい靴』というデジタル絵本の朗読がありました。京都府亀岡市で無免許運転の青年が起こした事故により、当時7歳の娘さんを亡くされた小谷真樹さんの講演をもとに、大学生のグループが制作した絵本です。
まおちゃんは、お父さんに買ってもらった新しい靴を、翌日晴れたら学校に履いて行こうとしていましたが、交通事故に遭い、二度とその靴を履くことはありませんでした。
下駄箱にぽつんと置かれたまおちゃんの靴を見るたび、ご家族はどれほどやるせない気持ちになったことでしょう。
小谷さんは、自分たちのような思いをする人をなくしたいと切に願い、全国各地で命の大切さを語られています。
「命はひとつしかありません。自分の命も他の人の命も大切にしてほしい」
懸命に行動される姿に、前述の大学生たちは胸を打たれ、被害を受けた方々の思いを自分たちでも広く伝えていきたいと今回の絵本の制作に至ったのだそうです。
つらい思いを抱えておられる方々にとって、こうした被害者の心に寄り添う行動こそが、次の一歩を踏み出す力になるのではないでしょうか。
そして、誰もが一人ひとりの「いのち」を大切に思う気持ちを心に刻むことで、犯罪のない社会をつくっていかなくてはなりません。
貴法人の皆様は、これまで20年という長きにわたり、犯罪被害を受けた方やそのご家族の痛みに寄り添い、ボランティアの養成や被害者の現状と支援の必要性を多くの方に知っていただくための広報活動など、多岐にわたり被害者とそのご家族を支援してこられました。皆様のこうした温かな活動は、被害者とそのご家族の思いと、被害者を支える思いをつなぐ架け橋となっています。
私も知事として、つらい思いを抱えておられる犯罪被害者等の方々が、平穏な生活を取り戻し、次の一歩を踏み出していただけるよう支援に力を尽くしてまいりますので、引き続き、御協力をお願いいたします。
結びに被害者支援ネットワーク佐賀VOISSのますますの御発展と、関係の皆様の御健勝を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。