激動の幕末期、ペリーが浦賀に来航し開国を迫った時、大隈重信は15歳(数え年で16歳)でした。
未来は自分たちが創るーー 佐賀の地で、大隈が仲間たちと昼夜議論を重ね、明日を探し学び続けた日々は、大きな志となり、明治という新たな時代を築く原動力となったのです。
佐賀の先人たちの志と偉業を今に伝えたいと、平成30年3月から平成31年1月まで開催した「肥前さが幕末維新博覧会」には、220万人を超える方々が訪れてくださいました。なかでも、私は、10代の皆さんが書き残してくれた、ふるさとを想う心、未来に向けた力強いメッセージの数々に、とても勇気づけられました。
今、コロナ禍によって、社会は大きく変わろうとしています。これからの新しい時代、よりよい未来を創るには、私たち大人の経験だけでは十分ではありません。人生でもっとも多感な時期にある中高生の皆さんが、今の世の中を感じながら、今立つ場所から未来を描き、行動していくことがとても大切なのだと思います。
知事になる前、私は、全国のまちづくりを支援する仕事をしていました。各地を訪れ、気づいたことは、まちづくりには正解がないということ。けれども確かに言えるのは、魅力的なまちは、そこに住む人たちが誇れるものを見つけ、それをとても大切にしているということでした。
皆さんにも、自分しか語ることのできないふるさとの魅力があると思います。それはクリークや田園などの見慣れた風景、祭りの鉦(かね)や笛の音、手に取った器の美しさ、四季折々の食のおいしさ、あるいは、自分を育んでくれた人たちの温かさかもしれません。
ふるさとの人々が大切にしてきたものは何であるのかを知り、先人たちが私たちに何を託したのか想像すること、そして、今を生きる皆さんにしか語れない物語一つ一つが、地域を輝かす原石なのです。
ふるさとの魅力を色々な手段で全国・世界へ発信していくことのできる今、若い皆さんの情熱と知恵は、地域を一層輝かすことができるでしょう。「さが未来発見塾」での出会いを大切に、一人一人の物語を語り合い、未来を大いに描いてほしいと思います。
これからの佐賀を一緒に創っていきましょう!