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令和2年11月 有田工業高等学校創立120周年記念誌への寄稿『ここから未来をデザインする』

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 佐賀県立有田工業高等学校が創立120周年を迎えられますことを、心からお祝い申し上げます。
 貴校は、日本最初の陶業教育機関「勉脩学舎」を母体とし、その建学の精神を受け継いだ佐賀県立工業学校有田分校として明治33年に創立されました。
 以後、今日に至るまで輝かしい伝統を築かれ、1万8千余名の優れた人材を社会に送り出されたご功績に対し、先生方ならびに関係者の皆様に深く敬意を表しますとともに心から感謝申し上げます。

 貴校の初代校長であり、日本の工芸デザインの創始者である納富介次郎先生は、日本が近代化していく明治初期において、伝統的美しさを持つ工芸と、西洋の先進的な技術を取り入れた工業を融合した、新たな時代の美術工芸を目指されました。中でも、貴校をはじめとする専門的な教育を通じた人づくりに情熱を注がれたのは、ウィーンとフィラデルフィアでの万国博覧会をはじめとする豊富な海外経験を通して、日本の人々が大切にしてきたきめ細やかな感性とともに確かな技術力を、若い世代にこそ育み、新たな時代を切り拓いてほしいという大きな期待があったからだと思います。

 「愛し、創り、光れ」という貴校の校訓には、こうした納富先生の想いが込められており、貴校に学ぶ皆様は、伝統と革新のまち・有田において、この想いをしっかりと受け継いでこられました。
 近年、学業面では、公募展での上位入賞や難関資格の取得など、生徒の皆さんは各学科で高い専門性を身に付けてられていると伺っています。また、部活動では、窯業研究部やロボット研究部など、貴校ならではのユニークな活動をされており、スポーツでは、ウエイトリフティング部や野球部、バスケットボール部など、幅広い競技で全国大会出場を果たされていることも喜ばしい限りです。
 また、定時制の魅力や授業風景を丁寧に紹介した新聞部は、佐賀県新聞コンクールで2年連続最優秀賞に輝いており、さらに「全国高校デザイン選手権」では、社会問題への優れた解決策が評価され最優秀賞に輝くなど、有工(ありこう)が大切に育んできた他者への思いやりの心、ものづくりやデザインの力は、地域にしっかりと根付き、様々な分野に可能性を広げながら、その輝きを増しているように思います。

 これからの時代、私は、人と人とがつながり、地域の強みを活かしながら、構想力や創造力、団結力を発揮して社会をつくっていくことが大切だと考えています。ものづくりやデザインの力は、ますます社会に必要とされることでしょう。
 貴校の、受け継がれた伝統を大切にする心とともに、もっと良いものにしたいという情熱と挑戦が、佐賀のものづくりを素晴らしいものにしています。新たな時代においても、愛しむ心と優れた技術、独創的なアイディアが、輝きを放ち、未来を創る大きな力となっていくことを心から期待しています。

 結びに、長年にわたり本校に温かい御支援を賜りました地域の皆様をはじめ、関係者の皆様に深く感謝を申し上げますとともに、貴校の今後益々の御発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。





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