皆さん、おはようございます。皆で手話を大切にしましょう。
先の9月議会で制定された「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」の趣旨を踏まえ、手話で挨拶させていただきました。手話が言語であるという認識を持ち、全ての県民が、聴覚障害の有無に関わらず、共に安心して暮らすことのできる地域社会を創っていくため、県職員にも、先ずは日常の挨拶に使うことのできる手話を、最低3つは覚えるよう呼び掛けております。
それでは、平成30年11月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについてご説明申し上げます。
今シーズンのプロ野球は、佐賀県出身の2人の監督が盛り上げました。鳥栖高校出身の緒方孝市監督は、広島東洋カープで球団史上初のセ・リーグ3連覇を果たし、佐賀東高校出身の辻発彦監督は、埼玉西武ライオンズを10年ぶりのパ・リーグ優勝に導きました。野球人生を佐賀県から始め、甲子園に出場することがかなわなかった2人の少年が、今では日本のプロ野球界を牽引しています。その志の原点は、人を大切にする佐賀県にあると私は思います。セパ両リーグの優勝監督が同一県出身というプロ野球史上60年ぶりの快挙は、県民に佐賀への誇りと、子供たちに大きな夢を与えています。これからも、優れた人材が育つ佐賀の土壌を大切にし、様々な分野での本県出身者の活躍を応援してまいります。
次に、明治維新150年記念事業について申し上げます。
肥前さが幕末維新博覧会は、多くの方から高い評価を頂いており、また、関連施設やイベントを含めた来場者数も、10月末現在で170万人を超えるなど順調に推移しています。10月20日には、佐賀の偉業・偉人と未来への希望を身近に感じていただく県民参加型の祭りとして「第1回さが維新まつり」を開催しました。会場となった佐賀市城内エリアでは、幕末維新期の偉人たちの志をエネルギッシュに表現した「さが維新おどり」の披露を皮切りに、佐賀の偉人に扮した人々や伝承芸能の担い手など総勢約700人からなる「さが維新行列」が練り歩きました。また、子供たちの手作りランタンと佐賀大学学生による光のオブジェに、浜崎祇園山笠の伝統的な灯りを融合させた幻想的な「灯りの空間」を創り出すなど、訪れた約4万人の方に佐賀らしさあふれる新しい祭りを楽しんでいただきました。こうした取組を通じて、これからの佐賀を皆の力で輝かせていくという想いを県民の皆様に広げてまいります。
11月11日には、佐賀藩出身で札幌の街の基礎を築いた島義勇公を顕彰する銅像を、島の屋敷跡にほど近い佐賀城公園の西御門跡付近に建立することとしています。寄せられたふるさと納税などの寄付は約800件で、総額約2,300万円にのぼり、ご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。銅像は、佐賀城跡にある鍋島直正公の像の方向を向き、これから北に向かって一歩踏み出そうとする若き日の島の姿を表現しています。北海道の地に世界一の都市を夢描いた島義勇の「志」をしっかりと未来へ受け継いでまいります。
また、10月19日からは県立博物館にて「SAGAものづくり夢ラボ」を開催しています。過去、現在、未来のものづくりをテーマに、明治日本の近代化をリードした佐賀藩精煉方の出土品に触れ、自動車、造船、ロボット産業などの分野で世界に誇る県内企業の技術を知り、未来を創り出していく最先端機器を体感することで、佐賀のものづくりの魅力と未来の可能性を感じることができます。
維新博の会期末である来年1月14日まで残り2か月余りとなりました。迫力ある映像や舞台演出を通して佐賀の偉人や偉業に触れ、揺さぶられるような感動を「ことのは」として結んだ子供たちの声など、是非、できるだけ多くの県民の皆様に見ていただきたいと思います。皆様お誘いあわせの上、ご来場ください。維新博は、先人の志を今に活かし、未来につなげていくこと、そして、佐賀への誇りや郷土愛を醸成することを目的に開催しており、県民の心にその種を蒔き続けています。その種が芽吹き、花開いていくよう、来年開催する全国高等学校総合文化祭や、その先へと志のバトンをつなぎ、10年後20年後に「佐賀の飛躍は、維新博がきっかけだった」と言われるよう引き続き力を注いでまいります。
続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
佐賀空港の自衛隊使用要請については、8月に「今回の防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく」という判断をしたところであり、県としては、ノリ漁期の状況を見ながら誠意を持って協議を行ってまいります。
次に、有明海の再生について申し上げます。
有明海の現状を把握するため、この度の内閣改造により就任された𠮷川農林水産大臣が、10月18日に本県を訪問されました。当日は、ノリ養殖の支柱がズラリと並ぶ有明海の様子を船上から視察し、佐賀県有明水産振興センターでは、二枚貝の回復に向けた取組などについて説明を受け、有明海の漁業の現状に対する認識を深められました。その後の意見交換では、漁業者からは、
- 水産資源が回復するまで再生事業を継続して欲しい
- 諫早湾干拓調整池からの排水は、できるだけ自然な形にして欲しい
といった切実な想いが大臣に伝えられ、私からは、有明海の再生のためには、開門調査を含む原因究明が必要だという想いを申し上げ、待ったなしの状況にある有明海の再生に向けた積極的な国の対応を強くお願いしました。また、この度の来訪を通じて、本県が進める、森・川・海はひとつとして豊かな自然環境を未来につなげる「森川海人っプロジェクト」の重要性を大臣と共有することができました。大臣からは、一刻も早い有明海の再生を望む想いは同様であり、
- 有明海の再生対策予算は、訴訟の帰趨にかかわらず、しっかりと確保したい
- 調整池からのこまめな排水の確実な実施について、努力していきたい
などの発言があり、有明海の再生を願う現場の想いを受け止めていただいたものと考えています。諫早湾干拓関連訴訟については、開門差止訴訟及び請求異議訴訟のいずれも最高裁に上告されており、県としては、有明海漁協と意見交換をしながら、今後も訴訟の状況や国の動向を注視し、宝の海である有明海の再生に向け全力で取り組んでまいります。
次に、原子力発電について申し上げます。
玄海原子力発電所においては、現在、3号機と4号機では通常運転が、また、1号機では廃止措置の作業が行われています。県としては、福島第一原子力発電所での事故を風化させることなく、常に緊張感を持って安全性の向上に不断に取り組まなければならないと考えています。県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
私は、原子力発電に依存しない再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指し、様々な取組を推進しています。一方で、玄海原子力発電所とは、廃止措置を含め、これからも非常に長い年月にわたり関わり続けなければならないという現実があります。今後とも県民の安全を何よりも大切に、玄海原子力発電所と真摯に向き合い続けてまいります。
次に、九州新幹線西九州ルートについては、平成34年度の武雄温泉駅での対面乗換方式による開業に向けて整備が進められています。開業を契機に、多くの人が訪れたくなる地域づくりを進めるため、地域が個々の魅力を磨き上げる自発の取組をしっかりと支援してまいります。なお、開業後の整備のあり方については、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会における議論を注視するとともに、新たな提案などがあった場合、県の考えをしっかりと主張してまいります。
次に、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定について申し上げます。
米国抜きの新協定TPP11については、一昨日、オーストラリアが国内手続を完了したことで、参加11か国中6か国の手続が完了し、12月30日に6か国での協定発効が確定しました。今後とも、農林水産業をはじめとした本県の産業が持続的に発展していけるよう、引き続き、関係者に寄り添いしっかりと取り組んでまいります。
次に、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会について申し上げます。
福井県で開催された第73回国民体育大会では、バレーボール成年女子の久光製薬スプリングス、セーリング成年男子470級の吉田雄吾選手・岡田圭樹選手ペア、レスリング少年男子フリースタイル71kg級の諏訪間新之助選手が優勝を果たしました。さらに、弓道成年男子が7年ぶりとなる2位に躍進し、剣道の少年男子、少年女子がそろってベスト4に入るなどの活躍もあり、総合成績である天皇杯は33位と近年続いていた40位台から大きく成績を伸ばし、着実に競技力が向上しています。また、第18回全国障害者スポーツ大会では、陸上競技スラロームの川本美和子選手が大会新記録で金メダルを獲得するなど、佐賀県選手団は昨年を上回る30個のメダルを獲得しました。こうした流れをより大きなうねりとして5年後に本県で開催する国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会につなげるため、SAGAスポーツピラミッド構想に基づき、スポーツエリートアカデミーSAGAを核とした人材育成、アスリート・指導者の定着に向けた就職支援、練習環境の充実に取り組んでまいります。
本県での開催を契機としたSAGAサンライズパークの整備については、8月に公表した素案を基に、庁内推進本部会議において、施設配置や整備内容、整備スケジュールなどを盛り込んだ施設計画を決定いたしました。トップアスリートを目指してスポーツに打ち込む人、健康づくりでスポーツを楽しむ人など、様々なスポーツシーンの実現を目指すことで、県内のスポーツ文化をより一層広げ、SAGAアリーナを中心に新たな人の流れを創り出し、そして、このエリアが佐賀の未来を切り拓く「さが躍動」の象徴となるよう取り組んでまいります。
続いて、最近の県政の主な動きについてご説明申し上げます。
まず、さが農業の未来に向けた取組についてであります。
いちごのトップブランドを目指して、県産いちごの新品種がいよいよ市場デビューを果たします。全国のいちごの中でも「ど真ん中」にいるような存在感を目指し、呼びやすく覚えやすい名前として「いちごさん」と名付けました。「凛とうつくしい色と形」、「華やかでやさしい甘さ」、「果汁のみずみずしさ」が特長です。この開発は、佐賀県農業試験研究センター、生産者、JAが一丸となって進めてきたもので、1万5千種もの株を対象に、食味や食感、収量や栽培のしやすさなどの評価を繰り返し、7年をかけて最も優れた一つの品種にたどり着きました。生産者からは、「食べた農家が笑顔になるくらいおいしい」、「消費者がこぞって買い求めるようないちごを生産していきたい」という喜びや意欲的な声をお聞きしています。生産者の期待と覚悟をしっかりと受け止め、「いちごさん」の持つポテンシャルを最大限に活かし全国に売り込んでまいります。
また、太良町産の「グリーンハウスみかん」が、9月23日に打ち上げられた「こうのとり」7号機で国際宇宙ステーションの宇宙飛行士へ届けられました。保存性や安全性などを評価して選ばれたものであり、本県の農産物が宇宙へ届けられたのは、平成28年の「露地みかん」に続き2回目となります。生産量、販売額ともに日本一を誇る県産「ハウスみかん」の品質の高さを引き続き発信してまいります。
次に、九州佐賀国際空港について申し上げます。
昨年6月の就航以来、プログラムチャーター便として運航してきた「佐賀-台北線」が、10月28日に定期便に移行しました。これを機に、台湾、佐賀双方向の更なる利用促進に向け、県内及び福岡県南西部の自治体関係者、報道関係者と共に台湾を訪問し、九州佐賀国際空港や周辺地域の魅力をPRするとともに、台湾からの誘客促進に向けた情報収集のため、現地の方々との意見交換を行いました。また、上海便、ソウル便、台北便に続く4つ目の国際線として、ティーウェイ航空が「佐賀-プサン線」の開設を計画し、現在、発着枠や機材繰りなどの最終調整が行われています。県としては、プサン便の就航に向けた受入れの準備を進めてまいります。
次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。
9月8日に国道498号の若木バイパスが開通し、伊万里-武雄間の時間短縮や走行性の向上が図られました。
また、有明海沿岸道路については、六角川大橋が11月17日に連結され、いよいよ橋梁全体の姿が見えてまいります。さらに、盛土崩壊によって通行止めになっている芦刈インターから芦刈南インター間の下り線について、年内の通行再開に向けた復旧工事に取り組んでおり、今後、福富インターまでの開通を目指してまいります。引き続き、人々の暮らしを守るとともに、人やモノの交流を促進し地域の活性化を図っていくため、幹線道路ネットワークをはじめとする社会資本の整備を着実に推進してまいります。
次に、交通安全・事故対策について申し上げます。
本県における人身交通事故の発生件数は、昨年と比較して減少しているものの、人口10万人当たりではいまだ全国ワーストレベルにあります。このため、「やめよう!佐賀のよかろうもん運転」をスローガンに、車間距離が短い、ウインカーを出すのが遅い、といったドライバーの心に潜む「このくらいはよかろうもん」という意識を改める運動を始めています。さらに、集中力を高める効果が期待される青色で交差点のカラー舗装化を進めています。こうしたハード面の取組にデザインの視点を取り入れて交通事故の抑止効果を高める「SAGA BLUE PROJECT」を10月18日にスタートさせました。交通事故の防止は、県民一人一人が自分の問題と認識して行動していくことが重要です。今後も様々な手法で県民の心に交通安全の意識を根付かせ、大切な県民の命を守る努力を続けてまいります。
次に、消防防災ヘリコプターの導入について申し上げます。
災害時の初動や人命救助に対応する航空消防隊の運用開始に向け、導入する消防防災ヘリコプターの機種が決定したことから、今議会に消防防災ヘリコプターの取得に係る議案を提案しています。今後、拠点を置く九州佐賀国際空港に格納庫などの施設を整備し、また、航空消防隊に必要な隊員の派遣について県内の各消防本部と調整を進め、平成33年3月の運用開始を目指して着実に体制を整備してまいります。
次に、人の想いに寄り添う拠点の開設について申し上げます。
児童虐待や子供の非行、発育・発達に関する悩みなどの相談は、佐賀市にある中央児童相談所が対応してきました。特に、児童虐待に関する相談は、その内容が複雑化、困難化しており、充実した相談体制を整備するため、県内2か所目となる北部児童相談所を10月1日に唐津市内に開設しました。より迅速できめ細やかな対応に努め、困難な環境に置かれている子供たちや子育てに悩む皆様に寄り添ってまいります。
また、様々な事情で親元を離れて児童養護施設で暮らす子供たちは、18歳で施設を退所した後の生活や就労などに大きな不安を抱えています。このため、退所後も若者の自立を継続的に支援する身近な相談拠点として、「さが・こんね」を10月3日に佐賀市内に開設しました。全ての子供が将来に夢を抱き、自分の力で前に進んでいけるよう若者の巣立ちを後押ししてまいります。
次に、佐賀県伝承芸能祭について申し上げます。
地域コミュニティの力で連綿と続いている伝承芸能を次の世代へと継承していくため、「受け継がれ、繋がる佐賀の思い」をテーマに「第1回佐賀県伝承芸能祭」を開催しました。地域の誇りを胸に、県重要無形民俗文化財の米多浮立や高志狂言など、県内15団体がそれぞれに受け継いできたものを披露し、5,000人を超える方が会場を訪れました。客席の熱気を肌で感じ、また、披露の場ができたことへの担い手の方々の喜びの声をお聞きし、県民の皆様がこうした機会を待ち望んでおられたということを強く実感しました。この伝承芸能祭を刺激に、守るべきものは守りながら新しいものを取り入れていくことが、担い手不足という課題を抱える伝承芸能に若い力を呼び込むことにつながると考えています。今後とも、それぞれの素晴らしさを高め、佐賀の宝として継承されていくよう応援してまいります。
また、時代を超えて受け継がれてきた地域行事の一つで、国重要無形民俗文化財である佐賀市蓮池町の「見島のカセドリ」が、ユネスコ無形文化遺産への登録を勧告されました。神の使いであるカセドリに扮した住民が家々を回って家内安全や五穀豊穣を祈願するこの行事を、江戸時代前期から350年以上にわたり連綿と引き継いできた地域の力を、これからも大切にしてまいります。
次に、全国高等学校総合文化祭について申し上げます。
来年夏の「2019さが総文」の開催に向けて、書道や茶道など23の部門毎にプレ大会を順次開催しており、10月14日にはプレ大会総合開会式を行いました。開会式では、玄界灘や有明海といった佐賀らしさを歌詞にちりばめた大会イメージソングや、佐賀の歴史、人物を取り入れた構成劇など、高校生による心に響く迫力あるステージが披露されました。高校生たちが、自らを育んだ地域やその歴史を学び、日本の文化を身に付けることは、これから未来に向かって、そして、世界を見据えて歩んでいくうえで、大きな力になります。高校生が創造の羽を広げ、力を結集する本大会の成功に向け盛り上げてまいります。
続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、9月補正後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
一般会計 | | 約22億80百万円 |
特別会計 | | 約1百万円 |
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 | | 約4,531億22百万円 |
特別会計 | | 約1,945億73百万円 |
となっています。
次に、予算案の主な内容について申し上げます。
まず、佐賀県食肉センターの施設整備について申し上げます。
牛肉の海外市場への販路拡大などにより畜産業の振興を図るため、老朽化が進む佐賀県食肉センターを、高度な衛生管理が可能な輸出対応型の食肉処理施設として新たに整備してまいります。今年度から用地造成工事の契約手続きを始め、平成31年度から本格的に造成工事に着手できるよう債務負担行為を提案しています。
こうした販売促進を見据えた施設整備に加えて、佐賀牛の生産性向上にも取り組んでまいりました。子牛を確保するための繁殖牛舎の整備や優良な繁殖雌牛の導入、子牛を集団で預かって管理するキャトルステーションの整備などによって子牛の県内自給率は年々向上しています。また、肥育牛の生産コスト低減のため、肥育期間を短縮する研究に取り組み、通常より3か月短い27か月で出荷できる技術を確立しました。本県を代表する銘柄牛「佐賀牛」の振興に向け、こうした生産から販売に至る取組に引き続き力を入れてまいります。
次に、建設工事早期着手対策について申し上げます。翌年度に発注予定の事業のうち、雨期前に実施する浸水対策、防災対策、安全対策などの工事を一部繰り上げて発注し、事業効果の早期発現を図る、いわゆる「ゼロ県債」について、債務負担行為約15億円を提案しています。
次に、予算外議案としては、条例外議案として「県事業に対する市町の負担について」など13件となっています。それぞれの議案については、提案理由を記載していますので説明を省略させていただきます。
最後になりますが、今議会は私にとりまして任期最後の定例県議会となります。私は、平成27年1月の知事就任以来、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に掲げ、県民の心に寄り添った施策に全力を尽くしてまいりました。
危機管理の面では、集中豪雨、地震といった自然災害や、鳥インフルエンザなどの様々な危機事象に対応するとともに、原子力災害に備えるなど、県民の生命・財産を守ることを第一に考え、初動体制の立ち上げ、現場の状況を直視したオペレーション、さらには、大規模災害発生時における他県からの受援体制の整備に取り組んでまいりました。
「日本一、子育てしたいと思える県にしたい」という想いから「子育てし大県“さが”プロジェクト」に取り組み、子育てタクシーの導入や本に親しむこころざしスポットの整備など様々な取組を進めてまいりました。
こうした佐賀で育った若者が県内で活躍できる場をつくり出すため、90件の企業誘致を実現し3,000人を超える新規地元雇用を生み出し、また、「ものづくり人財創造基金」を設置し、若者が誇りと自信を持ってものづくりに従事する流れを創り出しました。農業では、栽培技術や経営ノウハウを学ぶ「トレーニングファーム」を整備し担い手を育成しています。
人の想いに寄り添うという観点からは、県議会の意見を踏まえて、特別支援学校でのスクールバスの運行を開始し、また、「さが現場の声と想いをつなぐ懇談会」での現場の声から「佐賀県発達障害者就労支援センター」を新設するなど、できることから一つ一つ取り組んでまいりました。
社会資本に関しては、長年の懸案で、地元の想いを受け早期の方針決定を国に訴え続けてきた城原川ダム事業が、今年度から建設段階へと移行しています。また、九州佐賀国際空港では、ターミナルビル拡張や滑走路の2,500メートルへの延長など機能強化に取り組んでいます。
この佐賀という地域が未来に向かって飛躍していくためには、こうしたハード面とあわせてソフト面の取組が重要であり、佐賀に住む私たち自身が地域に誇りと愛着を持つことがとても大切なことだと考えています。このため、維新博をはじめ、地域資源の磨き上げや自発の地域づくり、「佐賀さいこう!」をキーワードにした情報発信などを強力に推進してまいりました。
今、佐賀県では、未来に向けた好循環が生まれつつあります。県内の外国人宿泊者数や九州佐賀国際空港の利用者数、伊万里港のコンテナ貨物取扱量、吉野ヶ里歴史公園の入園者数は、それぞれ史上最高を記録し、高校生の県内就職率は工業系の高校で3年連続で改善しています。さらに、県産米のさがびよりは食味ランキングで8年連続の特A評価を受け、佐賀海苔は生産枚数、生産金額ともに15年連続日本一を続けています。
こうした勢いを大切にし、佐賀のポテンシャルを最大限に活かすことに力を注ぎ、真っ直ぐに、愚直に、そしてひたすらに県民のために頑張り続ける。このことをしっかりと積み重ねることで、県議会の皆様、県民の皆様と共に「佐賀の時代」を創り出してまいります。
以上、当面の諸課題への対処方針、最近の県政の主な動き、今回提案いたしました議案などについてご説明申し上げました。
ご審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。