最後は、県立大学の基本的な考え方について説明をさせていただきたいと思います。
この基本的な考え方を軸として、時代の要請に応える実践的人材を育成する県立大学の設置に向けた取組を進めていこうと思っています。
佐賀県は、15歳未満の人口割合が全国3番目に高いというのは、これはもう25年ぐらい続いて、ずっとそういう状況が保たれているわけですが、大学進学時に8割以上、直近でいうと83%ぐらいの方が県外に進学していることをずっと繰り返していた県でありまして、これはもちろん県外に行きたい子どもはそれでいいんだと思います。県外で何かしたくて、そして、場合によっては佐賀に戻ってきて。ただ、佐賀で学びたいにもかかわらず、佐賀で親元から通いたいとか、佐賀の会社に就職したいとか、そういう皆さんにとってはなかなかですね、今、佐賀大学と西九州大学はあるわけですけれども、様々なマッチングで、その両方の大学に行けないとか、学部が違うとか、様々な理由で県外に出ていってしまっているというのは非常に残念なことだなと思っているので、何とかここで大学をつくろうという背景があるわけです。
4年生大学の数、全国で最も少ないということで、2つしかありません。ですので、大学進学の選択肢が十分ではないということで、県内の教育環境の充実を図っていきたいと思っています。
例えば、佐賀県と同じ人口の山梨県は大学が7つあります。佐賀県より人口の少ない福井県は6つの大学があります。徳島県は4つの大学があります。平成4年に佐賀県は大学が3校ありましたけれども、佐大と医大の併合で、今2校になっています。隣の長崎県は、平成4年は4校でしたが、現在は8校に倍増しています。その間、佐賀県はほとんど何もしなかった。それは、逆に周りがどんどん増えていったので、そちらに行ったということかもしれませんけれども、私が生まれた昭和40年は、有効求人倍率は0.26です。今は1.40です。明らかに時代背景が違うと。そして、これだけICT化、ボーダーレス、こういった時代になってきた中で、佐賀県から様々な、さっきの産学官もそうですけど、連携をすることによって様々なニーズ、シーズをつくっていくということが可能だと思いますので、ぜひこの機に4年生大学をつくっていきたいと思っています。
ということで、せっかく今からつくるんであれば、未来に向けて羽ばたける大学をつくりたいということで、デジタル化、ITを活用して、経営的視点を持った地域産業を担う実践的中核人材を輩出したいと思っています。もちろん県内の皆さん方の受皿ということを考えておりますけれども、県外から来ていただく方もきっといい大学になるんじゃないかと思います。あくまでも目的は、少しでも佐賀県民の皆さん方に、この佐賀県の中で大学に行っていただこうということではありますが。ということで、設置する大学は県立の4年生大学。佐賀県が設置する公立大学法人ということであります。
ですので、先ほど申し上げたようなITと経営の素養を身につけて、鳥瞰的な視点を持って、自ら考え、実践することができる人材というものを追い求めていきたいと思います。
さらに、佐賀だからできる新しい大学の姿ということで、佐賀県内の県内外の企業、研究機関、教育機関、様々な連携で、実践的・課題解決型の学びをしたいと思います。もちろん学びの機関ですから学びもしますけれども、そこを実践に結びつけていくことも大事です。佐賀県はデジタルの実証フィールドだったり、SSP構想だったり、スタートアップなど、佐賀県の諸施策がありますから、こういった官とも連携しながら、学生の主体的な学びを誘発・促進していきたいと思います。
さらに、佐賀大学、それから西九州大学、短大、そういったところとの連携も、高等教育機関の連携という意味で、みんなで盛り上げていきたいと思います。
ということで、ちょっと場所の話が大分ヒートアップしておりますが、我々として企業、研究機関、教育機関など関係機関との連携を図る観点、みんなでハーモニーをつくっていかなければいけません。そういった観点と通学利便性なども考慮して適地を決定していきたいと思っています。
学校の規模は、入学定員200から300人ですから収容定員1,000人、真ん中の250人としても、先ほど言ったロストしている人の数からすれば、まだまだ数が少ないという状況でありますけど、まず選択肢をつくっていって、実践的な学校をつくっていくということで、こういった程度でスタートしていきたいと思います。
令和10年度の開学を目途に準備をしたいと思います。
大学の運営費についてなんですが、これは県から大学運営法人への運営費交付金ということで、県から交付金を支出する、繰り出すわけですけれども、そのほとんどは地方交付税措置がされるということです。各都道府県、4大を持っているところは標準的な経費になっているわけですが、佐賀県はないんで、ここについて加わるということですが、大部分と書いてありますのは、県からもその状況、学際的な内容、様々な支援、そういったことも含めて、1億円から2億円程度ということは予定をして、これから運営していくということになろうかと思います。
さらに、入学金、授業料というところですが、ここに書いておりますけれども、特に県内学生の負担軽減といったところも取り組んでいきたいなと思います。大体、他県の県立大学は、例えば、入学金などで自分の県民については安くしているようでありまして、そういった意味からも佐賀の県民の皆さん方に、今までいろんな事情で大学を選択肢から外された方も、選択肢の中に入れていただいて検討いただけるような、何か温かい大学をつくりたいなと思います。
あとは、特に、他の連携・交流というところもそうですし、ぜひ小学校、中学校、高校との連携が図れるような大学ということも取り組んでいきたいと思います。
フィンランドなどは、小学生が大学のキャンパスでたまに授業をやっていくということで、公共交通機関を使って、自然な形で大学に触れていくという機会があることが非常にいいんだという話もありました。
さらに、県立大学の設置と並行して、他の充実についても検討したいと思います。それは、我々、先ほど言ったようにまだまだ、これだけ多くの皆さん方が県外に出ていって、県外で就職しているという中で、一つの、まずはスタートアップでしかないところもあるので、もちろん他の大学がさらに盛り上げていきたいというところがあったりというところについては支援をしていきたいと思いますし、高専についても佐賀県はないので、そういったところの取組についてもこれまで同様取り組んでいくということで、この高等教育機関、産官学の連携ということについては、これからも、この県立大学のみならず、さらに追求していきたいと思っております。
このほか必要な検討を進めるということであります。
私からは以上です