○読売新聞
じゃ、県立大学で1問だけお願いします。
県立大学については、やはり大きな事業で、今後10年、数十年と関わっていく大きな事業になると思います。2月議会で本格的な議論が始まっていくということなんですけれども、今回、その構想を発表している部分で、どの部分が一番議論になっていくと思われるかというのと、どのように理解を得ていきたいかについてお話しいただけますでしょうか。
○知事
ちょっと、議論してみないとよく分からないところもあるんですけれども、私、今までいろいろ議員さんと話した中では、何でこれまで、井本県政、古川県政で、一旦出たのに途中でやめることに──やめるというか、前に進むことを止めたのかというところ。
それと、少子化の中でと言う方はあまりおられないんだけれども、全体とした中でそう言われる方もおられたけど、そこは先ほどの佐賀県の状況について説明すると大体分かっていただいたかなと思います。
何といっても、あと外に出ていくということを別に否定しているわけではないので、受け皿を広げているということ。そして、ひとつこれは県議の皆さんにも県民の皆さん方とも議論したいんですけれども、やはり昭和の時代と置かれている環境は全く違う。やはり我々の育った時代というのは、佐賀県に職がなかったわけですよね。だって0.26というのは4人に1人しか佐賀県内で就職できないわけで、農業後継をしようとしても、長男だけしか継げなくて、ほとんどの、次男とか女性たちは県外に行ったり。大学進学率も佐賀県は非常に低くて、なので、ここに県立大学があるんだったら行こうかなという方もおられるはずだし、いろんな機会を広げることになるので、そういった、今言ったようなことも含めて、今度の議会などで議論をして、みんなで議論した上で前へ進もうというふうになっていただければ、私としてはうれしいなと思っています
○西日本新聞
大学の関係で伺います。
先ほど基本的な考え方の説明があった中で、大学のコストのところで、運営費の捻出だと思うんですけど、整備にはどのぐらい。そこら辺、何か考えはありますか。
○知事
大体これまでの大学は100億を超えるぐらいのところが多いんですけれども、なんだけれども、御案内のとおり、今、資材の上がり方というのが半端なくて、今SAGAアリーナを造ったらさらに100億円必要だと、この前、ある方がおっしゃっていたみたいなので。ですので、一応200億円を財政見通しの中に入れて、今、試算をしています。もちろん、資本を投下する規模というのは、これから大学をどのような形で、どのような学科を作るかとか、理文融合とは言っていますけれども、そういったところによるところか多いんだけれども、そうは言っても財政見通しを入れなければいけないので、多目に見積もって200億円というところを入れていますけれども、できれば、そこまでいかないような形になればいいと思いますけれども、これもこれからの議論ということで考えていきたいと思います。
○朝日新聞
引き続き県立大学です。
今回の予算の中では800万円という、県立大学の設置準備事業費ということが予算の中では上がっているということで、実務家会議開催経費と調査経費とありますけれども、具体的にはどんなことを。
○知事
基本的に、何か専門委員会みたいなところに丸投げしようと思っていないので、本当にいろんな関係者、特に、学際的にいろいろ大学との連携というのも大事になってくるので、様々なそういった大学関係の有識者の皆さん方に様々なアドバイスをもらうような会議をいろいろ開いていきたいなと思っています。そういう経費だったり、もちろん、いろんな調査の経費だったり、そういったことも含んだ予算と思っていただいたらいいです。
○朝日新聞
人事の部分と組織の部分なんですけれども、今のところ、特にそれに向け特別な部署を新たにつくられたりとかはしていませんけれども、新年度の人事などの中では、例えば、準備室とか、何かしら組織をつくって当たっていくようなことになるんでしょうか。
○知事
そうですね、さっきの大学関係の予算が可決されれば、次のステップということになるので、県庁内の組織も含めて考えていくことになろうと思います。
○朝日新聞
やはりかなり数多い県内自治体が興味を持って、うちにということで意見が上がっていますけれども、場所の方向性とかが見えてくるというのはまだまだ先の話になるんでしょうか。
○知事
できるだけ早く決めたほうがいいんじゃないかという意見も、こういう話はますますヒートアップするので。ですので、予算じゃなくて、(基本的な考え方の)“場所を決定します”という言葉、前は“選定します”ということでいろいろ中で検討していたんだけれども、何となくどこか言われたところから1つを選ぶという誤解をされるのは嫌だなと。僕らからすると適地なんですよ。だから、市町がどうかということだけではなくて、この場所でこういうところと連携しながらやりたいなというセットができるかだと思っているので、それができるのであれば、できるだけ早く、ここでやりたいと思うということを発表できればなと思います。
○朝日新聞
分かりました。ありがとうございます。
○共同通信
今の質問と少しかぶりますけど、場所の選定の決定の期間、具体的な設置の方向性など、今後のスケジュール感をいつ頃までに決めて、どうしていきたいかという、令和10年の開学から逆算するときのスケジュール感をある程度、もしお持ちであれば、教えてください。
○知事
そうですね、やはりこの議会で議論をしていただいて、前に進むことになれば、基本構想づくりというところにも精力的にいろんな力を注ぎ込んでいくと。それと並行しながらその場所も含めて。ですので、やるということにしたならば、できるだけタイムラグがない方がいいと思うんです。ですので、この大学に関しては、準備をできるだけ早くやれるような体制をつくって様々な協議も行いながら、令和10年というところが達成できるように。もちろん、これはいろんな相手さんもあることですから、まだこれから先は分かりませんけれども、この大学を令和10年につくるというスケジュールで、それに合わせて、特に新年度、令和5年度はできるところまで、ある程度形が見えるようなところまで持っていきたいなと思います。
○共同通信
先ほどの場所とかは今年度中に決めるという感じなんでしょうか。
○知事
これは何とも言えないので、結局、具体的な場所ということになると、いろんな条件が整って、場所が確定するということなので、なので、できるだけ早くとは思っております。何とか、そうですね、あまり遅いと間に合わなくなりますから、できるだけ早くと申し上げておきたいと思います。
○佐賀新聞
県立大学についてお伺いします。
先ほど井本知事、古川知事の時にも検討されて、何でできなかったのと知事はおっしゃいましたけど、何でできなかったと知事は思われていますか。
○知事
これね、正確なところはよく分からなかったんですけれども、1つは外的要因、大学の数、全体としての認可の方針とかがあって、そうした環境の中で佐賀県はちょっと出遅れたのかなと。もっと早いうちからやっていればよかったんだろうけれども、その辺り、私もいろいろ取材する中で、佐賀県庁というのが、大分保守的、昭和30年代に佐賀県は非常に財政が厳しくなって、その時に会計検査院から池田知事が5期務められて、その後、香月知事が、この方は農業を中心に頑張っていただいたんだけど、3期務められて、そういった中で、ほとんど検討された形跡がないので、やはり財政規律をとても大切にするという県だったということで。ただ、昭和の途中の右肩上がりの中で、やはりある程度、霞が関もそうだけど、事業をやったところに補正をして予算をつけていくという世界になったわけです。ですので、あまり保守的に固めて、先ほども言った、将来負担比率とかを低くしていると、逆に得べかるしものも入ってこないという時代の中で、あまり心臓を膨らますことをしなかったじゃないかなと、そういうベースがあるので、なかなか新規事業に対するつかみというのが起きにくい土壌にあったんではないのかなというのが現時点での私の分析です。そういうタイミングがある上に外的要因があって、さらに、やはり地方財政が厳しいという時代、そして、古川さんのときは交付税ショックまで起きていたという中で、その時点時点ではお二人ともやむを得なかったんだろうなと思いますけれども、大きな原因とすると、やっぱり昭和の時代からの佐賀県のそういう土壌というところも影響しているんではないのかなということが私の分析。
○佐賀新聞
2人の知事の時には、そもそも県立大学が必要かどうかから多分議論をされながら、最終的にはつくらないという結論に至ったと思うんですが、今回、山口知事は公約でつくりたいというふうに大きく打ち出されて、今、前向きな検討が議会を含めて入っていくんだろうと思います。
そもそも必要かどうかの議論みたいなものは、あまり県民の目に触れることなく公約で出たんだろうなというふうに思うんですが、そういったことについてどんな議論をどういう時期からしてきたのかというのを、簡単でいいんですけれども、教えてもらっていいですか。
○知事
大学をやりたいという気持ちは、前からそういったものは持っていたんだけれども、大学をつくるというのは、ある程度県民の皆さん方に信頼をいただけないとできないことだと私は思っていたんです。なので、1期目、2期目と信頼を積み重ねていきたいなということでやってまいりました。
例えば、古川県政のときは割と1期目の早い段階で大学を打ち出したんですけれども、やっぱり一定の信頼関係がないと、なかなか大学をつくるというのは難しいんだろうと思いましたし、だからこそ今回は選挙前にこれは大きく打ち出して、県民の皆さん方の意見も聞いてみようと思いました。私は今回の選挙戦でも、「大学よかよ」といろんなところで言っていただいて、「やれやれ」という声がほとんどだったんです。ですので、そういったところではさらに前にいこうと思いましたし、もう一つ、井本、古川県政の時の話とは違うのは、当時の資料には地域振興と書いてあるんです。私は地域振興と思っていないので。それは結果的な問題で、やはり佐賀県がこれから未来の扉を開けるためには、高等教育機関の機能というのがとても必要で、そこで様々な企業やいろんな研究機関と連携することによって、様々な価値がここで生まれていくということなんですね。だから、単に人を増やしたいとか、地域を盛り上げたいから学生を歩かせたいということではない。
だから、私もその深いところをぜひ県民の皆さん方にこれから分かっていただく努力を議会も含めてしたいと思うのでということです。