土井外地区、坂口地区は、筑後川を隔てた福岡県側に位置する「飛地」となっている地区です。昭和初期以前の筑後川の改修に伴い、それまで陸続きだった佐賀県側と筑後川で分断されることとなりました。
始めに訪問した土井外地区では、島﨑区長をはじめ地区の皆さんにお集まりいただき、地区の実情や昭和25年に起こった天建寺渡し船転覆事件のお話を伺いました。
天建寺渡し船転覆事件は、筑後川を隔てた飛地となって以降、土井外地区の皆さんが佐賀県側への交通手段として利用していた県営の渡し船で昭和25年2月13日に起こった転覆事故です。この転覆事故では、通学中の小中学生が巻き込まれ、6名の子ども達が亡くなりました。訪問当日は、ご遺族から当時のお話を伺いました。過去、飛地ということで大きな不便を強いられ、さらに県営の渡し船でそのような事故が起こってしまったということに、私はお詫びの気持ちでいっぱいになりました。当日は、末安伸之町長と一緒に、亡くなった子ども達を慰霊する六地蔵にお参りさせていただきました。
現在、みやき町の三根東小学校では、毎年2月13日に「命について考える日」として、この痛ましい事件を振り返り、命を大切にすることを考える取組をされています。私は、この事件が、世代を超えて、地区の皆さんにきちんと引き継がれていることにとても感銘を受けました。
次に、坂口地区を訪問し、中川原区長はじめ地区の皆さんにいろいろなお話を聞かせていただきました。
始めに、農業の取組をご紹介いただきました。地区では、米・麦・大豆の他、アスパラガスの生産をされています。今年はアスパラガスの出来がよいそうです。一般の企業から転職して、新規就農した方ともお話させていただき、農業の新たな担い手が生まれていることにとても頼もしく感じました。
また、今年完成した排水ポンプ場もご案内いただきました。坂口地区は、周囲を川に囲まれているため、大雨の際に川の水位が高いと排水ができず、地区内が冠水することがあったとのことです。今後は、この排水ポンプによって、川への排水が可能となり、地区の安全が向上したとのことでした。地理的な特殊性からくる様々な不便が確実に解消していることを知り、私としても安心をしました。
それぞれの地区では、少子化に伴い地域の伝統芸能である浮立の伝承が難しくなっていることや、農業関係のことなど、様々な課題についてもお話を伺いました。末安町長からはみやき町としての取組も伺い、県としてもみやき町と一緒にこれらの地区をしっかりと支えていかなければと思いました。
今回、実際に現地を見ながら、皆さんから直接お話を聞くことで、地区の実情を理解することができました。これからも皆さんが想いを繋ぎ、お互いに助け合い、安心して暮らせる地域であり続けられるよう、私も一緒にがんばっていきたいと思います。