今回訪問したKANNEは、日本三大松原、特別名勝である虹の松原において、地域の皆さんや民間の団体、行政機関などと一緒に、松原の再生保全活動に取り組まれています。
始めに、KANNEの生部理事長や藤田事務局長、再生保全活動に携わる皆さんのご案内で、虹の松原内を視察しました。虹の松原は、美しい景観だけでなく、風や砂から街を守り、また皆さんの憩いの場となるなど、とても大切な地域の宝です。しかし、現在、堆積した松葉による土壌の富栄養化によって、雑草や松以外の広葉樹などが繁茂するなど、松が健全に成長できない環境となっているそうです。
虹の松原の再生保全活動は、虹の松原クリーン大作戦などのイベントにご参加いただく形式や個人・団体で特定の区画の整備を担当するアダプト形式などにより、行われています。これらの活動は、地域の皆さんや民間の団体、企業など、多くの方々のお力によって支えられています。しかし、草取りなどの作業は、一人一時間で畳一畳程度が限度ということで、広大な虹の松原全体を整備するには、まだまだ人手が足りないとのことでした。また、集めた松葉の多くは費用をかけて処分する必要があり、活動をスムーズに進めるためには、この松葉や枝の処分・再利用が、大きな課題となっているとのことでした。外から見ると美しい虹の松原ですが、中を歩きながら詳しくご説明を聴くと、様々な課題があることがわかりました。
活動の難しさをお伺いすると、藤田事務局長からは「虹の松原によって風や砂から守られている地域の皆さんでさえ、この活動をご存じない方も多いのが現状です。私たちも、もっと情報発信をして、多くの方に知っていただくことが第一歩だと思っています」とのお話がありました。私も、この虹の松原の現状や再生保全活動について、様々な機会に広く伝えていきたいと思います。
活動に携わる皆さんからは「私達の世代で活動が途切れてしまうことが心配です」、「虹の松原は、日本一の松原だと思っています。しかし、佐賀県民でもご存じない方が多い。是非もっとPRをお願いしたい」などの意見や「幼稚園児から高齢者まで、市民総参加型の活動ができるように働きかけをしていきたいです」など、今後の活動について、たくさんのお話を伺うことができました。唐津南高校の松露プロジェクトの皆さんともお話しし、様々な年代、立場の方々が、この再生保全活動に携わる姿を頼もしく感じるとともに、皆さんから伺った課題にはしっかりと対応していかなければならないと感じました。
その後、皆さんと一緒に、松原に堆積した松葉を除去する松葉かきをさせていただきました。保育園児の皆も参加してくれました。園児の皆の手慣れた様子で松葉を集める様子にとても感心しました。松葉かきをすると、松葉の下から白い砂地が現れます。この砂の白さと松の青さからなる「白砂青松」の姿こそが本来の虹の松原の姿なのだそうです。
この姿を取り戻すために、たくさんの方々が活動されている様子を拝見し、またその実情を伺うことで、この佐賀の宝である虹の松原をしっかりと守っていかなければならないと想いを強くしました。